ハイブリッド

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ハイブリッド: hybrid英語発音: [ˈhaibrid] )とは、

  • 種や品種が異なる植物や動物から生まれた子孫[1]
  • 異種のものを組み合わせたもの[2][1]

概説[編集]

Oxford Dictionariesの説明でまず挙げられているのは「種や品種が異なる植物や動物から生まれた子孫。例えばラバのようなもの。」である。そして2番目に挙げられている意味が「ふたつの要素を組み合わせて作られたひとつのもの」とある[1]。広辞苑でも同様の説明で、1番目に「雑種」、2番目に「異種のものを組み合わせたもの」としている[2]

そもそものhybridの語源ラテン語の「hybrida ヒュブリダ」(=豚とイノシシから生まれた子孫)である[1]。Oxford Dictionariesによると、17世紀初頭から英語のhybridが使われるようになり、例えば「自由人奴隷の間に生まれた子」を呼ぶような場合に使われはじめたらしい[1]。「hybrid」という言葉・概念は、もともとは生命のあるものに関する言葉・概念であったのだが、それが(比喩的に)製作物等にも転用されるようになったわけである。

現在の日本語ではhybridを音写した「ハイブリッド」で十分に通用しているが、あえて和語や漢字(漢語)表現にする場合は「かけあわせ」「交配」「雑種」「混血」「まぜあわせ」「混成」などといった言葉になる。

工学・技術の分野で、2種の要素を組み合わせた製品がさかんに作られている。

言語におけるハイブリッドには、異種の言葉の組み合わせ、というものがある。

様々な分野でハイブリッドがあるので詳細は下の節に譲る。

生物[編集]

ゾンキーと呼ばれるロバシマウマの種間雑種。ゾンキーを含めシマウマと他のウマ科動物との雑種はゼブロイドと総称される。

前述の通り、イノブタを意味するヒュブリダを語源とするが、転じて広義の交雑種 (Hybrid) または雑種を指し、生物学・生理学的な種内雑種から種間雑種まで広い範囲が含まれる。

種内雑種は稔性があり、ハイブリッドの語源となったイノブタやアイガモのような家畜・家禽、環境変化により自然に生じたハイブリッドイグアナやハイブリッドベア等がある。エンドウの種内雑種に関するグレゴール・ヨハン・メンデルの論文はVersuche über Pflanzen-Hybridenである。

種間雑種としては、自然界でも交雑が見られるモウセンゴケ、近代科学の発達前から行われて来たウマロバの交配によるラバ、実験的な交配によるレオポン細胞融合組織培養等のバイオテクノロジーによって作出されたポマトオレタチ等がある。個体の形成まで至らないが、細胞融合によって作出されたハイブリッドの細胞まで指す事がある。詳細は各項目参照。

  • ハイブリッドウルフ (Hybrid Wolf) - 大型犬種のひとつ。ハスキー、シェパードなどの犬種と家畜化されたオオカミとを交配したものをこう呼ぶ(ウルフハイブリッドとも呼ぶ)。
  • ハイブリッドイグアナ (Hybrid Iguana) - ガラパゴス諸島オスウミイグアナメスリクイグアナの間で生まれ、両方のDNAを持つ雑種のイグアナ。地球温暖化気候変動海藻の枯渇が一部起こり、オスのウミイグアナが陸に上がり、メスのリクイグアナと交雑した結果、誕生した新たな雑種。生物は気候変動に新たな生息地を求めるが、ここでは移動ができない。移動ができなければ絶滅もあるが、ハイブリッドイグアナは新たな進化と考えられている[3]
  • ハイブリッド米 - ヘテロシス雑種強勢)という、雑種第一代目(F1)が両親よりも優れた性質になる現象を利用した多収穫米のこと。(野菜は米よりも技術的に容易で、米に先んじて多くがハイブリッド化されている(ハイブリッド野菜))。[4]

テクノロジー・工業製品[編集]

技術の発展からの組み合わせであるだけに、そのものの出現当時は期待を担ったが、ハイブリッドコンピュータのように、より優れた他のものにとって代わられ衰退や一部の特定分野だけの利用に留まり、製造や商品、商業形態などとして継続しないものもあることは否定できない。[要出典]

電子工学・計算機工学・IT[編集]

放送技術[編集]

動力[編集]

このほか、漁船やタンカー、飛行機など各分野において、実験段階ではあるが複数動力併用の可能性が模索されている。近年燃料の中東依存や化石燃料枯渇への懸念から、これらの動きはますます加速しつつある。

システム工学、環境・エネルギー[編集]

ハイブリッド発電の例。風車とソーラーパネルがセットになっている。

[編集]

  • ハイブリッドイメージ (Hybrid image) 、2007年マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した人間の視覚的錯覚をもとにした一つの画像が見る距離によって違った2通りに見える画像。全く違う2つの画像を、一つは輪郭のはっきりした画像とし、もう一つはぼかした画像とし、その2つの異なった画像を重ね合わせた画像をハイブリッドイメージと呼ぶ。これを見た場合に近距離では前者が、遠距離では後者が見えるもの[7]

言語[編集]

  • ハイブリッド語 - 言語学では、昨今の若者語の「写メ」、英語の「beautiful(フランス語”beauté”+英語接尾辞”-ful”)」など、2種の異なる言語の語または要素が結合して出来た言葉、混成語をいう。「かばん語」も参照。

金融[編集]

  • ハイブリッド証券 - 証券取引の分野では、社債と株式の中間的特性を備えた証をハイブリッド証券と呼ぶ。劣後債、永久債、優先出資証券、利益参加社債など。日本では金融機関が多数発行してきた。通常の株式発行に対し、一株あたり利益の希薄化や新株主による経営参加のリスクを防ぐことが出来るほか、通常の債権発行に対し財務の柔軟性を高めることが出来る。一般に通常の有利子負債よりも調達金利が高くなるとされる。

「ハイブリッド」を冠する固有の商品、サービス名、アルバム名など[編集]

製品名・サービス名
バンド名やアルバム名

日本での使われ始めの経緯[編集]

表面にオレンジ色エポキシ樹脂浸漬塗りし密封されたハイブリッド 集積回路を立てて搭載した プリント基板。塗布された集積回路内の各種の構成部品が凹凸を呈しているのが判る。

日本語として「ハイブリッド」という表現が使われ始めたのは1960年から1970年代のハイブリッド計算機日本でも欧米を追い商品化された時代からで[要出典]、一部の関係者はこの言葉を使った。また1964年IBM が開発、販売した汎用コンピュータであるSystem/360の基本ハードウェアに「hybrid integrated circuit」も使われた(参照:System/360#基本ハードウェア)。当時流行したアマチュア無線機においては、真空管とトランジスターを併用した機種をハイブリッドと称した。

一方、コンピュータ分野とは別に1970年当初頃から混成集積回路(後のハイブリッド集積回路)が新たに作られ、これが電子部品として多数、また多くの分野で広く活用され始めたのは1980年代となってからであった。混成集積回路が新たに作られた時代にハイブリッド計算機は既に有り、米国では「hybrid integrated circuit」とも言われたが、日本ではハイブリッドとは呼ばず、初期には日本語の「混成」を冠した言い方が多かった[8][6]。その後は混成集積回路もまた他の分野でも次第にカタカナのハイブリッドを冠するものが現われ、言葉として広く定着してきた。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e Oxford Dictionaries [1]
  2. ^ a b 広辞苑 第6版 「ハイブリッド」
  3. ^ テレビ朝日開局50年周年記念2008年1月4日放送、番組「地球の危機2008」から。ガラパゴス諸島のSouth Plaza島の状況
  4. ^ ブリタニカ百科事典
  5. ^ ハイブリッド計算機1971年昭和46年)、計算機の歴史、統計数理研究所統計数理研究所
  6. ^ a b 電子材料編集部編『最新ハイブリッドIC技術』、工業調査会、1984年
  7. ^ ハイブリッドイメージを解説する英文サイトとその静的なハイブリッドイメージを動画で表すサイト
  8. ^ [2] - 国立科学博物館産業技術の歴史に掲げられる厚膜ハイブリッドIC(厚膜混成集積回路

関連項目[編集]