ウミイグアナ

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ウミイグアナ
フェルナンディウミイグアナ
フェルナンディウミイグアナ
Amblyrhynchus cristatus cristatus
保全状況評価[a 1][a 2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg ワシントン条約附属書II
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : トカゲ亜目 Sauria
下目 : イグアナ下目 Iguania
: イグアナ科 Iguanidae
亜科 : イグアナ亜科 Iguaninae
: ウミイグアナ属
Amblyrhynchus Bell, 1825
: ウミイグアナ A. cristatus
学名
Amblyrhynchus cristatus Bell, 1825
和名
ウミイグアナ
英名
Galápagos marine iguana

ウミイグアナAmblyrhynchus cristatus)は、爬虫綱有鱗目イグアナ科ウミイグアナ属に分類されるトカゲ。本種のみでウミイグアナ属を構成する。

分布[編集]

エクアドルガラパゴス諸島[1][2][3][4][5]固有種

形態[編集]

全長120-150センチメートル[1][3]。頭胴長30-55センチメートル[2]。頭部や頸部は太くて短い[2]。頭部背面は瘤状に隆起する[3]。頸部背面には12-20枚の刺状の鱗(クレスト)が並び、胴体背面から尾の先端にかけてもクレストが並ぶ[2]。尾は頭胴長の1.5倍に達し、側扁する[1][2][3]。これにより海中で大きな推進力を得ることができる[2][3]。体色は緑がかった灰褐色で、気温が高いと明色、気温が低いと暗色になる傾向がある[2]。暗い体色は体温を上げるのに役立ったり、周囲の岩礁に似た保護色になると考えられている[4]

鼻孔に体内に溜まった塩分を排出する腺を持つ[5]。四肢や指趾は頑丈で、また指趾は長く鋭い爪が生える[2]。これにより海底の岩に爪を引っ掛けることで体を固定し、速い海流内でも採食を行うことができる[2]

分類[編集]

イグアナ科内ではオカイグアナ属に近縁と考えられている[4]。本種とオカイグアナ属はガラパゴス諸島に侵入したイグアナ類からそれぞれ分化したと考えられている[5]

7-9亜種に分かれる[2][4][5]

  • Amblyrhynchus cristatus cristatus (Bell, 1825) フェルナンディウミイグアナ
  • Amblyrhynchus cristatus albemarlensis (Eibl-Eibesfeldt, 1962)
  • Amblyrhynchus cristatus hassi (Eibl-Eibesfeldt, 1962)
  • Amblyrhynchus cristatus mertensi (Eibl-Eibesfeldt, 1962) サンチャゴウミイグアナ
  • Amblyrhynchus cristatus nanus (Garman, 1892)
  • Amblyrhynchus cristatus sielmanni (Eibl-Eibesfeldt, 1962)
  • Amblyrhynchus cristatus venustissimus (Eibl-Eibesfeldt, 1962) エスパニョラウミイグアナ

生態[編集]

岩礁海岸に生息する[1][2][4][5]。群れを形成して生活する[1][4]。ガラパゴス諸島周辺の海域は寒流で海水温が低いため、海から上がると日光浴をして体温を上げる[2][3]。体温が上がりすぎると岩影や木陰に避難する[1]。四肢を胴体にくっつけて、尾をくねらせて泳ぐ[1]。危険を感じると鼻孔から塩分を吹きつけて威嚇する[1]。幼体はイワカモメガラパゴスノスリに捕食されることもある[2]

食性は植物食で、主に海藻を食べる[1][3][5]。海藻類を主食とする脊椎動物はほとんど知られておらず、ウミイグアナの食性は非常に珍しいと言える。又、カニやアシカの糞、多肉植物を食べることもある[4]。海中の岩に付着した海藻を潜水しながら食べるが[2]、幼体やメスは浅瀬や干潮時の潮間帯で採食を行うことが多い[4][5]

繁殖形態は卵生。1-2月にオス同士で縄張りをめぐって頭部を押し付けあい儀式的に争う[2]。1-4月に砂地に穴を掘って、1回に1-6個の卵を産む[1][2][5]

人間との関係[編集]

大航海時代には食用とされたこともあった[2]

食用の乱獲により生息数は激減した[2]。ガラパゴス諸島は国立公園に指定されて生息数が増加したため、絶滅の危険性は低いと考えられている[2]。一方で分布が限定的なこと、人為的に移入された動物による影響、エルニーニョによる緑藻の減少に伴う生息数の大幅な減少が懸念されている[5]。また、近年緑藻の減少が原因で陸上へ移動する個体が増え、リクイグアナとの交雑が問題になっている。

A. c. cristatusA. c. albemarlensisA. c. hassiA. c. sielmanniA. c. venustissimus
VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[a 2]
Status iucn3.1 VU.svg
A. c. mertensiA. c. nanus
ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[a 2]
Status iucn3.1 EN.svg

画像[編集]

参考文献[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、141、185頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社2001年、64、71、104-107、184、193、260-261頁。
  3. ^ a b c d e f g 千石正一監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、30頁。
  4. ^ a b c d e f g h 千石正一 「HERPS IN THE WILD ガラパゴスのウミイグアナ」『フィッシュマガジン』第514号、緑書房、2009年、126-127、154-155頁。
  5. ^ a b c d e f g h i 『絶滅危惧動物百科2 アイアイ―ウサギ(アラゲウサギ)』 財団法人自然環境研究センター監訳、朝倉書店2008年、50-51頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  1. ^ CITES homepage
  2. ^ a b c The IUCN Red List of Threatened Species