ハイブリッドHDD
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ハイブリッドHDD (Hybrid HDD) は、ハードディスクドライブにフラッシュメモリをキャッシュメモリとして搭載した記憶装置。
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[編集] 概要
[編集] 開発背景
ハードディスクは半導体メモリに比べてアクセスが遅く(特にシーク)、長年コンピュータの性能のボトルネックとなっていた。また、プラッタとヘッドの駆動にモーターを使っているので消費電力が大きく、ノートパソコンなどのようなバッテリーを使う機器の、駆動時間の短さに繋がっていた。物理的な駆動をするため、消耗・劣化も激しく、パソコンの中では「最も壊れやすいパーツ」になっていた。
この解決策の1つに、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)によるハードディスクの置き換えがある。しかし、大幅な高速化と省電力化が図れる反面、SSDは容量単価がハードディスクよりも非常に高く、現行の数十 - 数百GBのハードディスクを置き換えるにはコストがかかりすぎてしまう。そのため、フラッシュメモリとハードディスク両方の特徴(高速、省電力、大容量)を持つ、ハイブリッドHDDが開発された。
時期的にWindows Vistaの開発と重なっており、Windows VistaにはハイブリッドHDDの標準サポートが組み込まれた。これにはマイクロソフトがWindows Vistaの動作環境に比較的高いCPU・GPU性能を求める中で、HDDの転送速度がこれまで以上にボトルネックとなり、それを解決したかった思惑があったとみられる。
[編集] 現在の動向
2007年9月時点では、内蔵ハイブリッドHDDは日本国内で一般には出回っておらず、NECなどの一部ノートパソコンに採用されているに留まっている。極めて若干数ではあるが、自作系ショップで「内蔵型HDD」が限定販売されたが、開店直後に完売となった。
2007年10月後半になって、シーゲイト社から大容量フラッシュ搭載品としては初の2.5インチハイブリッドHDD「Momentus 5400 PSD」シリーズが発売され、12月にはサムスン社からも販売開始した。これにより、一般ユーザもハイブリッドHDDの入手が簡単になった。しかし、自作系の専門ショップでも取り扱っていない場合も多く、販売している店舗数は限られているため、ネット通販などが利用されている。
しかし現状ではサポートしているOSがWindows Vistaしか存在せず、またVista自身の普及率の低さもあり現在もあまり普及が進んでいない。
[編集] 将来的な展望
コアなパソコンユーザーだけでなく、一般ユーザーへの利点も大きいため、将来的にはノートパソコンだけでなく、多くのデスクトップ機への搭載を予想する向きもあった。同様に、音楽プレイヤーなどの携帯端末や次世代ゲーム機、カーナビゲーションなどへの利用も、技術的には可能とされている。
しかし一方で、この手のいいとこ取りの製品は逆に「どっちつかずで中途半端」と看做され、敬遠される事例も多い。おりしも2008年より店頭に並び始めたSSDは、急速に大容量化・低価格化が進んでおり、ノートパソコンでHDDに取って代わる例も増えている。ハイブリッドHDDが普及する余地が、無くなってしまう可能性も大きい。
この一因として、ハイブリッドHDDを利用するために必要なOSである、Windows Vista の普及率の低さが挙げられる。2009年に発売が予定されている新OS「Windows 7」が、本格普及への鍵となると予想される。
[編集] 利点
- 高速性
- フラッシュメモリは、ハードディスクに比べてシーク動作や回転待ち時間などの時間的ロスが無い。このため頻繁に要求されるデータ(特にハードディスク内に分散しているデータ)をフラッシュメモリに蓄えることで、データアクセスの高速化を図れる。
- 高速起動
- フラッシュメモリは電源を切っても内容が保持されるので、コンピュータの電源を切る(シャットダウンや休止状態への移行をする)際に、再開に必要なデータをフラッシュメモリに蓄えることで、次回のOSの起動の高速化が可能。
- 省電力
- フラッシュメモリにないデータが要求された場合や、書き込みキャッシュが一杯になった場合にだけプラッタを回転させ、普段は停止させることで大幅な省電力化を図る事が可能。これにより、ノートパソコンの駆動時間を、大幅に延ばすことができるといわれる。しかし、プラッタを再度回転させる際に大きな電力が必要となるため、大容量のフラッシュメモリが搭載されていない場合は効果が表れない。またキャッシュ効果によりシーク動作のモーター駆動回数が減る。
- 静音性
- HDDの駆動を抑えられることから、静音化にも効果がある。
- 熱対策
- 駆動時間が少なければ、HDD回転による熱が発生しにくくなり、HDDだけでなくその他の内蔵機器への悪影響が少なくなるため、故障率が下がる。また、熱が発生しなければ、PCの廃熱ファンも回転せずに済むため、静音性も向上することができる。また、廃棄熱も少なくなるため、夏場に部屋が暑くなりにくくなり、結果として吸気温度も低くすることができる。
- 耐久性
- HDDの総回転時間を短縮できることから、HDDの消耗が少なくなるため、耐久性を伸ばすことが可能になる。
- 耐衝撃性
- データの転送はフラッシュメモリに蓄えて行われている物と使用するので、ヘッドが退避エリアに退避している時間が長い。これにより、予期しない衝撃でヘッドがプラッタを傷つけてしまう可能性が減る。
[編集] 欠点
- コスト増加
- フラッシュメモリを搭載する分、NVROMと特別なコントローラチップが必要となるため同容量のHDDより10~20%程割高になる。
- 未キャッシュデータの読み出し性能劣化
- HDD部が休止している状態でフラッシュメモリ上に存在しないデータを読みだそうとするとHDDのスピンアップが必要となり、その分アクセスの遅延が起きる。
- 故障率上昇の懸念がある
- 通常のHDDに比べて回転の開始・停止やヘッドの待避が頻繁に行われるため、かえって故障率が上昇する可能性がある。またフラッシュROMの書き換え可能回数自体がHDDのそれよりも少なく、フラッシュROMの寿命が訪れたときの挙動も未知である。
- ホストコントローラとの相性問題が起きやすい
- 一部のチップセットやRAIDコントローラ上で正常動作しない不具合が多数報告されている。
- OSのサポートが必須
- 現存のハイブリッドHDDは対応OS以外では通常のHDDとしてしか動作せずそのメリットを享受できない。またWindows XPなどハイブリッドHDDをサポートしないOSとのデュアルブート環境構築が困難であったり、LinuxやDOSを利用したバックアップツール・リカバリツールなどが正常に使用できない事がある。
- Windows Vista以外のOSのサポート、もしくはOSに依存しないハイブリッドHDDの登場が待たれる。
[編集] OSサポート
Windows Vistaでは、このドライブを制御する機能として、「Windows ReadyDrive」(まぎらわしいがReadyBoostではない)が組み込まれている。

