五大明王
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五大明王(ごだいみょうおう)は、仏教における信仰対象であり、密教特有の尊格である明王のうち、中心的役割を担う五つの明王を組み合わせたものである。本来は別個の尊格として起こった明王たちが、中心となる不動明王を元にして配置されたものである。
概説
[編集]彫像、画像等では、不動明王が中心に位置し、東に降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、南に軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、西に大威徳明王(だいいとくみょうおう)、北に金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)を配する場合が多い。なお、この配置は真言宗に伝承される密教(東密)のものであり、天台宗に伝承される密教(台密)においては金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)が五大明王の一尊として数えられる。
五大明王像は日本において盛んに造像されたが、中国でも若干の遺例を見ることができる。日本では、密教が平安時代前期に隆盛したことから、五壇法の本尊として五大明王が祀られた。日本における代表的な造像例としては、京都の東寺講堂に安置されている平安時代前半の像(国宝)が知られる。その造像は、講堂が創建された承和6年(839年)頃と推定されている。この他、各地の寺院に彫像があるほか、画像も東寺、醍醐寺等に残存している。
五大明王の配置
- 中央 - 不動明王 - 大日如来の教令輪身
- 東方 - 降三世明王 - 阿閦如来の教令輪身
- 南方 - 軍荼利明王 - 宝生如来の教令輪身
- 西方 - 大威徳明王 - 阿弥陀如来の教令輪身
- 北方 - 金剛夜叉明王(東密系) - 不空成就如来の教令輪身 または 烏枢沙摩明王(台密系)
日本の主な五大明王像
[編集]全作例を列挙することは不可能なため、国宝または重要文化財に指定された物件を列挙するにとどめる。
- 絵画
- 岐阜県 来振寺本 国宝 東密系の画像
- 滋賀県 芦浦観音寺本 重要文化財 不動明王像を欠く。
- 京都府 東寺本 国宝
- 京都府 醍醐寺本 国宝
- 奈良国立博物館本 重要文化財 1幅に五大明王と制吒迦童子・矜羯羅童子を描く。
- 彫刻
- 京都府 東寺講堂像 国宝
- 京都府 大覚寺像 明円作 重要文化財
- 京都府 醍醐寺像(上醍醐五大堂) 重要文化財
- 京都府 醍醐寺像(霊宝館) 重要文化財
- 滋賀県 金勝寺像 (軍荼利明王独尊にて安置) 重要文化財
- 奈良県 不退寺像 重要文化財
- 奈良県 宝山寺像 湛海作 重要文化財
- 宮城県 瑞巌寺(松島五大堂)像 重要文化財
- 三重県 常福寺像 重要文化財
- 千葉県 成田山新勝寺(平和大塔)像 重要文化財
(※「重要文化財」は、文化財保護法第27条により日本国文部科学大臣が指定したもの(「国の重要文化財」)を指す。)
- 来振寺本
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烏蒭沙摩明王
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大威徳明王
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不動明王
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軍荼利明王
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降三世明王