1980年の日本シリーズ
1980年の日本シリーズ | |
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ゲームデータ | |
日本一 広島東洋カープ 2年連続2回目 4勝3敗 | |
試合日程 | 1980年10月25日-11月2日 |
最高殊勲選手 | ジム・ライトル |
敢闘賞選手 | 小川亨 |
チームデータ | |
広島東洋カープ(セ) | |
監督 | 古葉竹識 |
シーズン成績 | 73勝44敗13分(シーズン1位) |
近鉄バファローズ(パ) | |
監督 | 西本幸雄 |
シーズン成績 | 68勝54敗8分(後期1位・PO優勝) |
パリーグプレーオフ | |
1980年のパシフィック・リーグプレーオフ | |
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1980年の日本シリーズ(1980ねんのにっぽんシリーズ、1980ねんのにほんシリーズ)は、1980年10月25日から11月2日まで行われたセ・リーグ優勝チームの広島東洋カープとパ・リーグ優勝チームの近鉄バファローズによる第31回プロ野球日本選手権シリーズである。
概要
古葉竹識監督率いる広島東洋カープと西本幸雄監督率いる近鉄バファローズの2年連続の対決となった1980年の日本シリーズは、広島が4勝3敗で勝利し、2年連続2度目の日本一。前年の雪辱に燃える近鉄は、前年同様連勝でスタートしたが、地元で連敗。しかし、第5戦にエース鈴木啓示の力投で先に王手をかけ、悲願の初制覇目前と思われたが、広島の底力に屈した。広島は前年も活躍した山根和夫を中心投手として据え、第4戦は完封、第7戦でも味方の逆転を呼んで2勝。シリーズ男と言われた。
なお、前年と同様、日生球場の収容能力不足、藤井寺球場のナイター施設不備が理由で、近鉄主催試合は大阪球場で開かれた。これが大阪球場における最後の日本シリーズの開催となった[1]。
セ・リーグにおいては、この年を最後に同一球団の日本シリーズ連覇は達成されていない(2022年現在)[1][2]。
試合結果
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
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10月25日(土) | 第1戦 | 近鉄バファローズ | 6 - 4 | 広島東洋カープ | 広島市民球場 |
10月26日(日) | 第2戦 | 近鉄バファローズ | 9 - 2 | 広島東洋カープ | |
10月27日(月) | 移動日 | ||||
10月28日(火) | 第3戦 | 広島東洋カープ | 4 - 3 | 近鉄バファローズ | 大阪球場 |
10月29日(水) | 第4戦 | 広島東洋カープ | 2 - 0 | 近鉄バファローズ | |
10月30日(木) | 第5戦 | 広島東洋カープ | 2 - 6 | 近鉄バファローズ | |
10月31日(金) | 移動日 | ||||
11月1日(土) | 第6戦 | 近鉄バファローズ | 2 - 6 | 広島東洋カープ | 広島市民球場 |
11月2日(日) | 第7戦 | 近鉄バファローズ | 3 - 8 | 広島東洋カープ | |
優勝:広島東洋カープ(2年連続2回目) |
第1戦
10月25日 広島 入場者29037人
初回、ジム・ライトルの2ランで広島が先制するが、近鉄は4回、投手の井本隆の安打を口火に小川亨、佐々木恭介、羽田耕一の適時打で3点を挙げ逆転。広島は6回、ライトルの2本目の本塁打で同点に追いつき、8回には2死1、2塁から水谷実雄が勝ち越しのタイムリー二塁打。広島のマウンドには8回から江夏豊が登っており、勝負あったかに見えたが、近鉄は9回四球と安打で無死1、3塁とし、途中出場の吹石徳一の犠飛によって同点に追いつく。江夏は延長に入った後も続投し、シーズン中1度もなかった4イニング目となる11回も三者三振の力投を見せていたが、5イニング目となる12回、小川に二塁打を打たれ、2死を取ったものの羽田に2ランを浴び勝ち越しを許す。古葉監督はそれでもなお江夏に続投させたが、クリス・アーノルド、梨田昌孝に連打され、ついに力尽き降板。9回からリリーフし、ここまでパーフェクトに抑えていた柳田豊が12回裏も三者凡退にしとめ、近鉄が先勝した。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第2戦
10月26日 広島 入場者29668人
3回に池谷公二郎の適時二塁打、4回にマイク・デュプリーの適時打で第1戦に続き広島が2点を先制したが、近鉄は5回、2死から吹石が逆転3ラン。6回にも平野、小川に連打を許した後チャーリー・マニエルが3ランを放ち、リードを広げた。続く栗橋茂に四球を与えたところで池谷はKO。渡辺秀武に交代したが、1死後羽田、石渡茂、吹石の3連打で2点を追加し勝負あり。近鉄の先発・鈴木啓示は3回、4回以外は全く危なげなく完投勝利。昨年に続いて近鉄が最初の2戦を連勝した。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第3戦
10月28日 大阪 入場者17371人
大阪球場に舞台を移しての第3戦。近鉄が1死満塁から小川の2点適時打で先制するが、広島は5回水谷、6回山本浩二と本塁打攻勢で逆転。近鉄は8回、広島の先発・福士敬章を攻め、無死2、3塁とするが、代わった江夏に対しマニエルの遊ゴロの間の1点にとどまり同点止まり。9回、広島はデュプリーが遊撃手吹石のエラーで出塁した後、水沼四郎が右中間へ二塁打、中継に入ったアーノルドの本塁への返球が乱れ、1塁からデュプリーが生還し勝ち越し。その裏を江夏が抑え、広島が1勝。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第4戦
10月29日 大阪 入場者21254人
前日9回に登板し負け投手となった近鉄井本が連投で先発したが、初回にライトルに2ランを浴びる。井本はその後は0点に抑え味方の反撃を待ったが、近鉄打線は広島先発の山根和夫に散発2安打、8三振に抑えられ完封負け、ホームで連敗し2勝2敗のタイに持ち込まれた。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第5戦
10月30日 大阪 入場者22287人
小川が1回、2回と連続適時二塁打で計3点。さらに佐々木も適時打を放ち、7回にも佐々木、有田修三の適時打で6-2と突き放した。近鉄先発の鈴木は4回、ライトルの打球が左太ももを直撃したが、気力を振り絞ってこのあとわずか1安打に抑え、2試合連続完投勝利。昨年と逆に、近鉄が先に日本一に王手をかけた。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第6戦
11月1日 広島 入場者29297人
後のない広島は初回、1死満塁から水谷がグランドスラムを放ち、近鉄先発の村田を1回でKO。5回には山本浩のソロでさらにリードを広げた。近鉄はようやく9回に広島先発の福士を捕らえ、1死から代打・栗橋の本塁打、2死後代打アーノルドの適時打で2点を返すも反撃はここまで。3勝3敗のタイとなり、2年連続で最終戦にもつれ込むこととなった。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
第7戦
11月2日 広島 入場者29952人
広島が3回にライトル、5回に山本浩の適時打で2点をリードするが、近鉄は6回表に小川、石渡の適時打で3点を挙げ逆転。しかし広島はその裏、この回から登板の鈴木を攻め、代打三村と木下の適時打で2点を挙げ再逆転。広島は続く7回に衣笠が2ラン、8回にも二塁手アーノルドの野選とデュプリーの2塁打で2点を追加し、勝負を決めた。7回から登板の江夏は危なげない投球で、前年は苦しんだ9回も走者こそ許したものの最後は代打の石山一秀を三塁への併殺打に仕留め、広島が2年連続の日本一を決めた。なお、1・2戦をホームで連敗しながら逆転で日本一になったのは、史上初である(のちに2000年の巨人、2011年のソフトバンクが記録)。
この第7戦で球審を務めた岡田功(当時の登録名は岡田和也)は、1964年でも球審を務めており、1953年と1955年の二出川延明(パ・リーグ)に続き、セ・リーグの審判として初めて日本シリーズ第7戦の球審を2度務めた。
なお、敗退した近鉄はその翌週、未消化となっていた前期の残り3試合をロッテ、南海、阪急相手に行っている。
公式記録関係(日本野球機構ページ)
表彰選手
- 最高殊勲選手賞:ジム・ライトル (広)
※なお、本来MVP受賞者にはトヨタ自動車協賛の乗用車が贈呈されるが、カープの資本関係上マツダ協賛のものが贈呈された。
テレビ・ラジオ中継
テレビ中継
- 第1戦:10月25日
- 第2戦:10月26日
- 第3戦:10月28日
- 第4戦:10月29日
- 第5戦:10月30日
- 朝日放送≪ANN系列≫ 実況:太田元治 解説:皆川睦雄 ゲスト解説:山内一弘
- 第6戦:11月1日
- 第7戦:11月2日
ラジオ中継
- 第1戦:10月25日
- 第2戦:10月26日
- 第3戦:10月28日
- 第4戦:10月29日
- 第5戦:10月30日
- NHKラジオ第1 解説:藤田元司、上田利治
- TBSラジオ(JRN・毎日放送制作) 解説:米田哲也 ゲスト解説:山田久志
- 文化放送・ラジオ大阪 解説:別所毅彦、辻佳紀
- ニッポン放送(NRN・朝日放送製作) 解説:皆川睦雄 ゲスト解説:福本豊
- ラジオ関東 解説:笠原和夫、黒江透修
- 第6戦:11月1日
- 第7戦:11月2日
- NHKラジオ第1 解説:加藤進、鶴岡一人
- TBSラジオ(JRN) 解説:長谷川良平 ゲスト解説:野村克也
- 毎日放送ほか(NRN・中国放送制作裏送り) 解説:金山次郎
- 文化放送・ラジオ大阪 解説:別所毅彦、豊田泰光
- ニッポン放送 実況:深澤弘 解説:金田正一
- ラジオ関西ほか 解説:有本義明
脚注
関連項目
- 1980年のパシフィック・リーグプレーオフ
- 1979年の日本シリーズ
- 2020年の日本シリーズ - セ・リーグから読売ジャイアンツが進出したが、本拠地の東京ドームでシリーズの期間中に第91回都市対抗野球大会を開催することがあらかじめ決まっていたため、セ・リーグ側のホームゲームに京セラドーム大阪を特例扱いで使用。日本シリーズで出場球団の本拠地以外の球場を使用する事例は、1980年以来40年振りである。
外部リンク
- NPB公式記録 - NPB.jp 日本野球機構
セントラル・リーグ | パシフィック・リーグ | ||||||
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優勝 | 広島東洋カープ | 2位 | ヤクルトスワローズ | 優勝 | 近鉄バファローズ | 2位 | ロッテオリオンズ |
3位 | 読売ジャイアンツ | 4位 | 横浜大洋ホエールズ | 3位 | 日本ハムファイターズ | 4位 | 西武ライオンズ |
5位 | 阪神タイガース | 6位 | 中日ドラゴンズ | 5位 | 阪急ブレーブス | 6位 | 南海ホークス |
:日本一 :後期優勝・日本シリーズ出場 :前期優勝(パ・リーグ) | |||||||