細雪

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細雪』(ささめゆき)は、日本作家谷崎潤一郎の長編小説。全編の会話が船場言葉で書かれた作品である(谷崎自身は東京出身)。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びのを内包し挽歌的切なさをも醸しだしている。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られる。舞台は阪神間だが、本質的には大阪(船場)文化の崩壊過程を描いている。

背景・出版[編集]

谷崎は第二次世界大戦中の1941年谷崎潤一郎訳源氏物語(旧訳)を完成させており、1942年(昭和17年)9月下旬には山梨県南都留郡勝山村(現在の富士河口湖町勝山)の河口湖湖畔にある富士ビューホテルに滞在しており、その滞在中の様子をモチーフとした場面が『細雪』下巻に描かれている。昭和18年の1月及び3月に月刊誌『中央公論』に『細雪』の第1回と第2回が掲載された。夫人の松子、義姉、義妹たち四姉妹の生活を題材にした大作だが、1943年に軍部から「内容が戦時にそぐわない」として掲載を止められる。1944年(昭和19年)には私家版の上巻を作り、友人知人に配ったりしていたが、それも軍により印刷・配布を禁止される。疎開を経て、戦後は京都鴨川べりに住まいを移し、1948年(昭和23年)に作品を完成させる。

その後『細雪』は評価され、谷崎は毎日出版文化賞(1947年)や朝日文化賞(1949年)を受賞する。また、作家の三島由紀夫をはじめ、『細雪』は作家たちにより多くの文芸随想等で幾度か取り上げて高く評価され、読書アンケートや名著選でも必ず近代文学の代表作に挙げられる。

世界各国で出版されており、スロベニア語イタリア語中国語スペイン語ポルトガル語フィンランド語ギリシャ語フランス語セルビア語ロシア語英語The Makioka Sisters(英語))・韓国語オランダ語チェコ語ドイツ語に翻訳されている。

『細雪』の舞台となった神戸市東灘区の谷崎の旧邸は、保存運動がNPO法人「谷崎文学友の会」と地元住民によって進められ、六甲ライナー建設による移築保存を1990年に成しとげ、「倚松庵」と名づけられている。

なお、作中には年号の表記が出てこないが、作中で四季の移り変わりと大きな気象災害が克明に描かれているため、この作品は1937年から1941年までのことを書いているものだとする研究結果も発表されている [1]

あらすじ[編集]

大阪船場で古い暖簾を誇る蒔岡家の四人姉妹、「鶴子」「幸子」「雪子」「妙子」の繰り広げる物語。三女雪子の見合いから話は始まる。

三女雪子は美人なのであるが、なぜか縁遠く、三十代に入っても嫁げず姉の幸子夫婦が奔走している。一方四女妙子は始終恋愛事件をおこして姉達をてこずらせている。なお、兵庫県芦屋市に居を構える蒔岡家の分家で傍観者的な既婚者として登場する二女幸子は、(谷崎の夫人の)松子のことである。

映画[編集]

『細雪』はこれまで3度映画化されている。いずれも日本映画史を代表するトップ女優が出演して話題となった。

1950年版[編集]

細雪
監督 阿部豊
脚本 八住利雄
出演者 高峰秀子
山根寿子
轟夕起子
花井蘭子
音楽 早坂文雄
撮影 山中進
編集 後藤敏男
製作会社 新東宝
配給 新東宝
公開 日本の旗 1950年5月17日
上映時間 145分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 3800万円
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新東宝で製作・公開され、阿部豊が監督を務めた。四姉妹は高峰秀子山根寿子轟夕起子花井蘭子といった新東宝の看板女優を起用した。製作費は当時の作品としては破格の3800万円で、洪水シーンなどで特撮が使われている。1950年度キネマ旬報ベストテン第9位。

出演者

1959年版[編集]

細雪
監督 島耕二
脚本 八住利雄
製作 永田雅一
出演者 京マチ子
山本富士子
轟夕起子
叶順子
撮影 小原譲治
製作会社 大映東京撮影所
配給 大映
公開 日本の旗 1959年1月14日
上映時間 105分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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大映で製作・公開され、島耕二が監督を務めた。脚本の八住利雄と鶴子役の轟夕起子、婆や役の浦辺粂子は1950年版に引き続いての参加である。

出演者

1983年版[編集]

テレビドラマ[編集]

舞台[編集]

『細雪』は1966年に初演され、多くの有名女優たちが四姉妹を演じてきた。上演回数は1000回を超える伝統の舞台となっており、会場も帝国劇場明治座などが使用されている。

文献[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 島田守家 『ブルーバックス B-922 暴風・台風びっくり小事典 目には見えないスーパー・パワー』 p.68 講談社 1992年6月20日発行 ISBN 4-06-132922-7

外部リンク[編集]

  • 倚松庵 谷崎が家族と住んでいた『細雪』のモデルとなった家。
  • 花小宿 細雪に登場する花の坊の跡地に戦後建てられた有馬温泉の木造旅館。