東京大学教育学部附属中等教育学校

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東京大学教育学部附属中等教育学校
地図北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861座標: 北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861
過去の名称 旧制東京高等学校
東京大学附属中学校
東京大学附属高等学校
東京大学教育学部附属中学校 高等学校
国公私立の別 国立学校
設置者 国立大学法人東京大学
設立年月日 1948年5月30日
共学・別学 男女共学
中高一貫教育 中等教育学校
課程 全日制課程
単位制・学年制 学年制
設置学科 普通科
学期 2学期制
学校コード D213110000011 ウィキデータを編集
中等教育学校コード 13007K
所在地 164-8654
東京都中野区南台一丁目15番1号
外部リンク 東京大学教育学部附属中等教育学校
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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東京大学教育学部附属中等教育学校 (とうきょうだいがく きょういくがくぶ ふぞく ちゅうとうきょういくがっこう、: The University of Tokyo Secondary School)は、東京都中野区南台1丁目15-1(東京大学中野キャンパス)に所在する国立中等教育学校中高一貫校)。後期課程高等学校に相当)においては若干名のみ入学者を募集する準完全中高一貫校[1]

設置者は国立大学法人東京大学で、東京大学教育学部附属学校

概要[編集]

1921年大正10年)創立の官立旧制東京高等学校(七年制)を前身とする。自由主義的な校風の下、独特の教育方法、入試制度が採られている。

男女共学の1学年120人の小規模校で、1学年あたり、6人の担任団と15人の教員が教科指導にあたる体制となっている。前後期制である。

沿革[編集]

歴史[編集]

起源は1921年大正10年)創立の七年制の官立旧制東京高等学校GHQによる学制改革に伴い1948年昭和23年)に新制中学校として東京大学に包括され「東京大学附属中学校」として再編した。翌1949年(昭和24年)には学年進行による新制の「東京大学附属高等学校」も発足し、旧制七年制高校の流れをくみ日本初の男女共学の中高一貫型の学校形態が誕生した。

翌年、東京大学に教育学部が創設され、1951年、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となり、国内の中高一貫教育を牽引する存在として、授業研究開発を開始する。2000年4月1日国立で初の中等教育学校となり、学年は高1・高2・高3がそれぞれ4年・5年・6年に改編。後期課程(高等学校に相当)においては欠員が生じた場合に若干名入学(編入学)者を募集する中高一貫校となった。

敷地内には旧制東京高等学校を記念するモニュメントが残されている。

年表[編集]

  • 1921年大正10年)- 官立旧制 東京高等学校創設。
  • 1948年昭和23年)5月30日 - 学制改革に伴い、「東京大学附属中学校」(新制中学校、男子校)として再編。
  • 1949年(昭和24年)-「東京大学附属高等学校」が開校し、日本初の男女共学の中高一貫教育の開始。筆記試験無しの公開抽選で入学者選抜を行う。
  • 1950年(昭和25年)- 東京大学教育学部が発足。
  • 1951年(昭和26年)- 教育学部に移管され、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」と改称。
  • 1953年(昭和28年)- 双生児募集枠を設け、双生児男子10組、女子10組の募集を開始。
  • 1955年(昭和30年)- 高校への自動的進級の改定(学年の10%以内を進学不許可とし、補欠募集を実施)。
  • 1966年(昭和41年)- 高等学校の補欠募集を停止し、完全中高一貫教育体制となる。2-2-2制を採用し、「特別学習」を開始。
  • 1980年(昭和55年)- 入学者選抜を、公開抽選のみから、公開抽選後に学力検査実施に改訂。
  • 1999年平成11年)- 全国に先駆け、入学者選抜試験の学力検査を「適性検査型入試」で実施。
  • 2000年(平成12年)- 国立で初の中等教育学校への移行、「東京大学教育学部附属中等教育学校」と改称。
  • 2001年(平成13年)- 総合教育棟が完成。教員も7名増員となる。
  • 2007年(平成19年)- 入学者選抜試験で抽選を廃止する。
  • 2010年(平成22年)- 入学者選抜試験を改定し(適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、実技)とし、本格的な学力試験を導入する。
  • 2013年(平成23年)- 新体育館、グラウンド落成。
  • 2017年(平成29年)- 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センターとの連携を開始する。
  • 2018年(平成30年)- 「空間UI技術」で部屋全体をデジタル化したDeAL教室完成。
  • 2019年(平成31年)- 入学試験での双生児募集枠を一般選抜枠内に含める方針に変更。(双生児6~7組程度/1学年)
  • 2020年令和2年)- 東大院生による季節補習開始。コロナ禍のオンライン授業でTOEFLのCriterion導入開始。TOEIC Bridge L&R・TOEIC Bridge S&Wを全学で受験開始。
  • 2021年(令和3年)- 東京大学芸術創造連携研究機構発足に伴い、「アートを遊ぶ、アートに学ぶ、アートで繋がる」学問と芸術教育の連携を開始。空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業の探求学プログラムにおいて、東大院生によるZoomを用いた生徒支援を開始。入学者選抜試験の情報公開を開始。
  • 2022年(令和4年)- 東京大学教育学部の教授陣によるリレー講義形式の授業「現代教育学入門」を開始。

所在地[編集]

東京大学中野キャンパス旧制東京高等学校の敷地)内にある。2010年4月に東京大学海洋研究所が柏キャンパスに移転したものの、その後も中野キャンパスという呼称は残り今に至る。

学校行事[編集]

銀杏祭[編集]

銀杏祭(ぎんなんさい)は、毎年9月に開催される。生徒を主体に、芸術表現と身体表現、学習と研究が披露される。主催の銀杏祭実行委員会は異学年合同で共創し運営する。

伝統の「東高音頭(とんこうおんど)」を東高(とんこう)OGと在校生有志がするステージが続けられていた。

宿泊研修[編集]

国内では、1年生は中山道ウォーク、3年生は里山里海体験(漁船クルージング体験・シーカヤック体験)、5年生は長崎での宿泊研修がある(1,3年生は2泊3日、5年生は3泊4日)。5年生は長崎県にて、自然コース[島原半島]・平和コース[長崎追悼祈念館]・近代化コース[長崎市内]の3つのコースに分かれ、コースごとに学習を進める。課題別講座でも、3~4年合同での宿泊フィールドワークがコロナ禍前まで盛んであった。体育科の宿泊スキー教室もある。

海外においては異文化体験と理解、英語研修を目的とし、オーストラリアのブリスベン夏のスタディツアーを開催している。ホームステイし、現地の高校の演劇、ダンス、音楽などのアートの授業に参加することで英語力を高め、STEM教育を通して、グローバルな視点で物事を考えるプログラムとなっている。

東大附属芸術祭[編集]

東京大学芸術創造連携研究機構との共催で、一流を見て触れて本物を体験する場を提供している。「一流を再考する芸術の交差点」というスローガンを抱え、アートクロスロードプロジェクトとして、社会的に活躍する一流の芸術家・科学者・アーテイストと産学連携を試み、各分野のプロフェッショナルによる講演やワークショップを行う。

体育祭[編集]

生徒会と体育祭実行委員会の主催による、生徒主体で企画と運営を行う初夏のイベントで、1年間かけて準備を進める。「〇回生」という学年が横のアイデンティティーならば、体育祭のA組(白)B組(青)C組(赤)の「色組」は、1年生から6年生までを一体化する縦のアイデンティティーとなる。色組の異学年一体でリレーのバトンをつないだり応援合戦を行い、チームワークを高めていく。競技のプログラムとスローガンは、体育祭実行委員会がリフレクションを重ねて毎年設計している。

部活動[編集]

設備・施設[編集]

  • ソーラーパネルを導入し、2005年夏より全教室に冷暖房完備。
  • 空間UI技術を採用したICT教室、パソコンラウンジ、OA教室、屋上プール、道場。
  • FAB room(3Dプリンター・レーザーカッター・3D-CAD装備)
  • 蔵書数3万冊の図書室は、図書館司書と東京大学大学院情報学環・学際情報学府が連携しながら、ラーニングコモンズとして発展させている。本郷キャンパスの総合図書館からの本の連携貸し受け取りも可能。
  • 野球場、200mトラック(人工芝)、全天候型直線走路 (120m)、サッカーコート(人工芝)、プール、テニスコート2面の運動施設が設置されており、学校の敷地の総面積は37,111㎡と、東京都内有数の広い施設を有する。
  • 校舎内に東大生協が設置されている。
  • ランチタイムに、生徒と教職員向けに予約制のオーガニック弁当販売がある。

その他[編集]

  • 旧制東京高校から東大附属に改編時にGHQCIAにより、入学選抜は学力試験は行わずに公開抽選のみとされた。これは、戦前まで旧制東京高校といったエリートが集団で軍国主義に激しく傾倒していた記憶がGHQには生々しく、一般の公立学校と同じ水準を強いたためであるとされる。抽選のみによる入学選抜はその後も長年続いた。
  • 1980年から、ようやく入学試験を開始し公開抽選との組み合わせが可能となった。2008年に抽選を廃止し、入学者選抜試験を本格的に学力試験として開始。「適性検査型入試」を全国で初めて実施し、400文字作文、実技を含む教科横断型の出題で論理的思考力・読解力・記述力・数学力・表現力と試行力を測る。
  • 2020年度までは入試情報を一切公開しておらず、過去問の販売も無く、入試情報が極めて少なかった。2021年度より東京大学として入試情報の公開に努め始め、受験生の試験問題の持ち帰りを初めて可能とし、過去問集の販売も開始された。
  • 教育手法等が、遺伝や家庭等環境にあって、どのように差異が生ずるかまたは生じないのかを検証するため双生児研究がなされており、1953年より、双生児入学枠を設けていた、2020年度入学試験以降、双生児募集枠は一般選抜枠内に含めることになったが、一定数の双生児入学者は継続している[2]

著名な関係者[編集]

元教員[編集]

出身者[編集]

関連文献[編集]

  • 『中高一貫教育1/2世紀-学校の可能性への挑戦』(東京書籍1998年4月27日発行)- 東京大学教育学部附属中・高等学校著作
  • 『新版 学び合いで育つ未来への学力-中高一貫教育のチャレンジ』(明石書店2010年6月10日初版発行)- 東京大学教育学部附属中等教育学校編著

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 後期課程編入学説明会 のご案内
  2. ^ 双生児研究”. 東京大学教育学部附属中等教育学校. 2024年4月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

単発記事