有機農業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

有機農業(ゆうきのうぎょう、Organic farming、Organic agriculture)とは、農業形態のひとつである。有機農法有機栽培オーガニック農法などとも呼ばれる。

定義[編集]

用語[編集]

科学用語としての有機は、有機化合物のことを示す。これは当初主流だった化学肥料が無機質だったことと対照的に、伝統的な肥料の多くが有機質だったことから、象徴的に有機という単語が用いられた。したがって有機農業を省略して有機としてしまうと、科学的な意味が通じなくなる場合があるので注意が必要である。例:「有機農業で栽培された食品」を「有機食品」と略すと意味が通じない。食品の大半は有機質であることから。

日本[編集]

「有機農業の推進に関する法律」(平成 18 年法律第 112 号)の第二条において、有機農業は次のように定義される;「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」[1]

農林水産省の「有機農産物の日本農林規格」[2]では、有機農業で生産された農産物(有機農産物)は次のように定義されている。

  • 有機農産物
    • 1) 有機農産物:農薬と化学肥料を使用しない田畑で3年以上、栽培したもの[注釈 1]
    • 2) 転換期中有機農産物:同6ヶ月以上、栽培したもの
  • 特別栽培農産物
    • 3) 無農薬栽培農産物:農薬を使用せずに栽培したもの
    • 4) 無化学肥料栽培農産物:化学肥料を使用せずに栽培したもの
    • 5) 減農薬栽培農産物:その地域での使用回数の5割以下しか農薬を使わずに栽培したもの
    • 6) 減化学肥料農産物:同化学肥料を使わずに栽培したもの

有機JAS規格では有機農産物を「生産から消費までの過程を通じて化学肥料農薬等の合成化学物質や生物薬剤、放射性物質遺伝子組換え種子及び生産物等をまったく使用せず、その地域資源をできるだけ活用し、自然が本来有する生産力を尊重した方法で生産されたもの」と定めている。

海外[編集]

国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が定めた「有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドライン」(通称:コーデックスガイドライン)が世界的に共通して採用されている[3]。日本のガイドライン(有機農産物の日本農林規格)はコーデックスガイドラインを基に作成されたため[4]、基本的に有機農業の定義を同じくしている[注釈 1]。ただし、有機農産物の認定は日本では農家の申請によるのに対し、海外では生産時だけでなく収穫時や輸送中も含めて化学肥料・農薬・遺伝子組み換え品種の非混入の客観的な証明を要する[5]

歴史と背景[編集]

有機農業という言葉と概念が誕生する以前の20世紀から今日まで、化学肥料や化学合成農薬といった農業用化学合成基質―化学工業で生産された、生物(農作物、害虫雑草、病害微生物など)に対する効果を目的とした基質で、化学工業により生産されるもの―が利用されている。日本では1961年農業基本法が制定され、化学肥料や化学合成農薬の使用が大きく推進されてきた。この理由は、使用以前の古典的な方法と比べて農地の単位面積あたりの収穫量を大幅に増大させるためである。しかし、後述する理由により化学合成基質の使用が問題視され、化学合成基質を使用しない有機農業が生じる背景となった。

有機農業という言葉は1971年に生まれた。日本では、1987年に有機米の公認(特別栽培米)、1991年に有機栽培のガイドラインが制定された。有機農業の誕生から初期の頃は、(農薬の未使用なども含めた)有機農業の効果というよりも有機資材の施用の効果―無機肥料の施用との比較、無機肥料の施用により生じた土壌浸食の防止[6]や土壌物性の改善[7][8][9][9]―が中心に研究された。

1990年ごろから有機農業と減農薬農業の研究は始まった[5]。この頃、米国でLISA(Low lnput Sustainable Agriculture)が提唱された[10]。日本でも、1992年に農林水産省が「新しい食料・農業・農村政策の方向(新政策)」の中で、生態系と調和した持続可能な「環境保全型農業」を提唱した[11]

化学肥料の施用の問題[編集]

長年に亘って化学肥料ばかりを使い続けると、自然の生態系に悪影響があることが次第に解ってくる。土の中の菌類、バクテリアなどの生物は、本来は落ち葉や腐った木、糞尿などの有機物を分解して生きている。しかし、これらの有機肥料の代わりに無機質の化学肥料ばかりを大量に使用し続けると、有機物が不足しはじめ、土の中の微生物が減少する。やがて、無機質を好む嫌気性生物の細菌が土中に繁殖しやすくなる[要出典]。その結果、植物は病気にかかりやすくなり、対処のために農薬の使用を増やさざるをえなくなり、ますます環境を悪化させる…という悪循環に陥ってしまうようになった。また、化学肥料を用いた連作による塩害も生じている。

内容[編集]

有機農業者は、土壌の生産性と耕地を維持し、植物栄養分を供給し、雑草害虫・病気などを抑えるために、できる限り、輪作したり、作物の残余物・動物性肥料を利用したりしている。 その土地や気候環境に強い植物や植物の種を選ぶことでも肥料や農薬の使用を抑えることができる。

一方、後述のように有機農業の単位面積当たりの収量が低い場合には、慣行農法と同様の収量を得るためにはより多くの農地を必要とする。農地自体が人為的なものであり、慣行農法によって高収量で農地を少なくする方がより生態系保護や環境保全に利するという観点も存在する。このように生態系保護や環境保全という観点からだけでも、有機農業に対する評価は多様である。

また、熟成が不十分な有機質肥料は、寄生虫汚染や病原微生物汚染の原因になる。そのため、十分に熟成させた堆肥を利用する必要がある。そのため、かつて、有機質肥料を用いず、化学肥料のみを用いて栽培した野菜を「清浄野菜」と称して尊重したこともあった。また、堆肥の熟成が不十分な場合、ガス障害や高いC/Nによる窒素飢餓が生じる恐れもある。

有機農業というアプローチは共通の到達点と実践を共有しているが、その手法は様々である。 合成化学肥料を使用しないかあるいは厳しく制限する。あるいは土壌を浸食や貧栄養化、物理的な崩壊から保護することや、生物多様性の保全(例えば、一品種を栽培するのではなく、多品種を栽培するなど)、家畜類を屋外で飼育すること(平飼い)が含まれる。これらの枠組みの中で、個々の農業者はそれぞれ自分自身の有機生産システムを発展させる。そういった個々の有機農業のあり方は気候や市況、地域的な農業の基準によって規定されている。

広義には、有機農業は無農薬または低農薬農法までを含む。農薬による薬害や公害も次第に明らかになり、70年代にもDDTなどの毒性の強い農薬が規制されてきた。これらの農薬には分解されにくいものがあり、環境や人体への蓄積も懸念される。また本来の生態系を破壊することで、新たな害虫の発生や天敵による害虫抑止力の喪失などの弊害を招くことも明らかとなった。この反省から、有機肥料とともに無農薬または低農薬農法を実践する農家がある。

一方、無農薬や低農薬農法を用いた結果、病害虫防除が不十分だと病害虫に抵抗するために植物自体が作る天然化学物質の方が残留農薬などよりも遙かに毒性が強いという報告が、突然変異原性の検出法エームズ試験の開発で有名なエームズ博士らによって出されている[12]

有機栽培は慣行栽培に比べ、統計的に単位面積あたりの収量が低い傾向がある。 現在の高度な栽培方法が導入される明治中期までの反収(1=300=10 a辺り)は奈良律令制時代の100 kgからさほど伸びずせいぜい200 kg(13)程度。これが純粋な伝統的有機栽培での収量と思われる。

有機肥料の多くは農産廃棄物、畜産廃棄物、林産廃棄物などの産業廃棄物を熟成・発酵させたものであり、ゴミの減量や物質循環という意味でも有意義である。 原種から食感の向上、収量の増大などを目的として人の手による改良を経た作物は、原種とは異なる性質を備える。異なる性質の中には肥料への要求成分・分量の変化も含まれる。

有機肥料は窒素に関しては緩効性肥料として作用するため、肥効を短時間でコントロールするような栽培法には速効性窒素肥料に比べて不向きであり、栽培にも習熟が必要とされる。さらに、窒素肥料という観点からしても、温度や水分含量によって微生物による有機肥料の分解速度が異なり、制御が困難である。

有機JAS規格[編集]

有機JAS規格では、以下のような天然に存在する物質の使用が許可されている[13]

有機肥料の他に様々な無機肥料が認められる。それらは、草木灰炭酸カルシウム苦土炭酸カルシウムを含む。)、塩化加里硫酸加里、硫酸加里苦土、天然りん鉱石、硫酸苦土、水酸化苦土、石こう硫黄生石灰(苦土生石灰を含む。)、消石灰、微量要素(マンガンほう素亜鉛モリブデン及び塩素)、岩石を粉砕したもの、塩基性スラグ、鉱さいけい酸質肥料、よう成りん肥、塩化ナトリウム、リン酸アルミニウムカルシウム、塩化カルシウム、などであり、有機肥料しか有機農業に用いられていないということは誤解である。

使用条件のついているものもあるが、使用可能な農薬は、除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤、なたね油乳剤、マシン油エアゾル、マシン油乳剤、大豆レシチン・マシン油乳デンプン水和剤脂肪酸グリセリド乳剤、メタアルデヒド粒剤、硫黄くん煙剤、硫黄粉剤、硫黄・銅水和剤、水和硫黄剤、硫黄・大豆レシチン水和剤、石灰硫黄合剤、シイタケ菌糸体抽出物液剤、炭酸水素ナトリウム水溶剤及び重曹、炭酸水素ナトリウム・銅水和剤、銅水和剤、銅粉剤、硫酸銅、生石灰、天敵等生物農薬、性フェロモン剤、クロレラ抽出物液剤、混合生薬抽出物液剤、ワックス水和剤、展着剤二酸化炭素剤、ケイソウ土粉剤、食酢の30種類である。

その他、有機JAS規格によれば、本来は種苗や防除資材や肥料などに組換えDNA技術を用いたものを利用できない。しかし、附則(平成18年10月27日農林水産省告示第1463号)により、特例として遺伝子組換え作物に由来する有機質肥料である堆肥を有機栽培に用いることが許可された(遺伝子組み換え作物の「遺伝子組換え作物と有機栽培」の節を参照)。

特定非営利活動法人・日本有機農業研究会は、「有機農業の目指すもの」として、下記の項目を挙げている。

国内での現状[編集]

有機農産物認定事業者の数は、平成14年6月時点で3639戸、平成15年5月時点で4273戸、平成16年3月時点で4453戸、平成17年3月で4664戸、平成18年3月時点で4611戸、平成18年9月時点で5104戸と、増加傾向にあるといえる。[14]

関連法令[編集]

2000年1月、日本農林規格(JAS規格)に、コーデックス委員会に準拠した「有機JAS」の規格ができた。 認証されるのは、遺伝子組み換えされておらず、基本的に化学合成された農薬や肥料を避けられた食品である。ただし、緊急の際に特定農薬や、許可された天然に存在する物質に由来する農薬が使用されることがある。その他、平成21年8月27日の改正により、遺伝子組み換え作物に由来する堆肥の使用は当分の間、許可されることとなった(「有機JAS規格」の小節において後述)。

2002年12月、農薬取締法に特定農薬指定制度ができた。特定農薬は、安全性の明らかなものと定義されている。通称「特定防除資材」と呼ばれる。しかし、定義が安全性の明らかなものとされているのに農薬という呼称をつけるのはどうかとの批判がある[15]

2006年12月、「有機農業の推進に関する法律[16]が制定・施行された。 またそれを受け、2007年4月には「有機農業の推進に関する基本的な方針」が公表された。 これにより、日本の法制度のもとでは規制の対象としか見られてこなかった有機農業が、法律によって推進されることとなった。

国際的な動き[編集]

イギリスの植物学者のアルバート・ハワード英語版が、1905年から1931年までインドで東洋の自然観にもとづく農業の研究をし、インドール方式と呼ばれる堆肥のつくり方を発表する。『農業聖典』[17]などの著作がある。

ドイツでは、ハワードと同じような頃、神秘思想家のルドルフ・シュタイナーバイオダイナミック農法の講演を行っていた[18]

日本でも1930年代に福岡正信や宗教家の岡田茂吉が、農作業の大部分を自然に任せる自然農法をはじめている。また、マクロビオティックの創始者である桜沢如一が、農薬や化学肥料を使った農法に問題提起をしている[19]天皇家の食料品を生産している御料牧場では、一貫して有機農業が行われている[要出典]

1962年、アメリカの自然科学者のレイチェル・カーソンが、DDTなどの毒性と残留性の強い農薬による危険性を訴えた『沈黙の春[20]を出版し反響を呼ぶ。

1972年、国際有機農業運動連盟(IFOAM、アイフォーム、International Federation of Organic Agriculture Movements)ができる。

1989年1月7日、ウェールズ公チャールズは、自分の領地では有機農業を行うと宣言し、また自ら所有する家庭菜園でも有機農法を実践している[21]

1992年、ウェールズ公チャールズは有機農産物のブランド、「ダッチー・オリジナル」[22]を創設する。

IFOAMによる「有機農業の原則」は,予防的管理,伝統的知識,社会的・生態学的公正など幅広い内容を含んでいる。 同連盟によると、有機農業の役割は、生産加工流通消費のいずれにおいても、生態系および、土中の最も小さい生物から人間に至る有機体の、健全性を持続し強化することである。 アメリカ合衆国農務省(USDA)等による有機農業の基準は、遺伝子組換え品種を禁じているわけではない。 多くの国では、特例を除いて家畜への投薬を禁じている。

有機農業は、フェアトレードや環境管理(environmental stewardship)といった文化的実践の上にある原理への賛同とも関係がある。(これは全ての有機農場・有機農業者に当てはまるわけではない。)

アメリカ合衆国、ブルガリアアイスランドノルウェイルーマニアスイストルコオーストラリアインド日本フィリピン韓国台湾タイアルゼンチンコスタリカチュニジア、そしてEUなど、多くの国々・地域では、有機農業は法律によっても定義されているので、農業や食品製造における「有機」という単語の商用利用は、政府によって統制されている。 法律が存在する場合、有機であるという認定は有料で行われる。無認可の農場にとって、自分自身あるいは自分の生産物を有機であると称することは違法ということになる。 カナダにおいては、法律は整備されていないが、任意の認定が可能である。 キューバでは、都市部の自給的農業を中心に展開している。

有機農産物の品質[編集]

下表は、有機資材投入・無農薬栽培および有機資材投入と慣行農法との比較を農作物の品質について行った研究とその結果を作物別に示す。

慣行農法と比較した、有機資材投入・無農薬栽培および有機資材投入による農産物の品質変化の比較
農産品 栽培方法 品質変化
有機資材投入・無農薬栽培 デンプンの粘り、Mg/K比、食味が向上した[23]
無化学肥料・無農薬栽培 収量が10%程度減少した[24]
有機資材投入 食味、アミロース含量、Mg/K比に差がなかった[25]
減化学肥料・減農薬栽培 食味と収量に差がなかった[25][26]
ニンジン 有機資材投入・無農薬栽培 香気成分パターンに差はなかった[27]
カロチノイド含量に差はなかった[28]
微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
葉中の硫黄ナトリウムが高かった。収量、ビタミンCとE、αおよびβ-カロチン、N・P・K・Na・Ca・Mg・S・Fe・B・Mn・Zn・Cuで差がなかった[29]
官能試験に差があった。ビタミンC、還元糖、アミノ酸含量とその組み合わせに差がなかった[30]
有機資材投入 カロチン含量と日持ち性が向上した。上物収量に差はなかった[25][31]
減化学肥料・減農薬栽培 トウド、ビタミンC、β-カロチン含量に差はなかった[32]
大根 有機資材投入・無農薬栽培 日持ち性、香味で差があった[33]
香気成分パターンに差はなかった[27]
近赤外スペクトルで識別可能[27]
微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
有機資材投入 辛み成分が低かった[25][31]。上物収量に差がなかった。
有機資材(油粕)投入 外観、肉質、歩留まりが向上した[34][35]
有機資材(バーク)投入 す入りになった[34][35]
収量および土壌の陽イオン交換能が増加した[36]
減化学肥料・減農薬栽培 グリコシレート含量が低かった[28]
トマト 有機資材投入・無農薬栽培 N・P・K・Ca・ビタミンC含量および官能評価に差がなかった[37]
官能試験で慣行農法の評価がより高かった[38]
官能試験で、表面の赤みと旨みとの評価がより高かった。糖度とビタミンC含量がより高かった[39]リコピン含量とアミノ酸含量に差はなかった。
有機資材投入 外観、肉質、歩留まりが向上した[34][35]
食味が良く、貯蔵性が高かった[40][41]
栽培年と着果位置による調査成分の変動が大きかった[41]
果色、糖、酸度、ビタミンCに差がなかった[25]
ホウレンソウ 有機資材投入・無農薬栽培 葉色と硝酸含量に差があった[25]。ビタミンC、シュウ酸、日持ち性、無機成分含量に差がなかった。
官能試験と日持ち性に差があった[42]
水分・ビタミンC・糖分・硝酸・シュウ酸含量、日持ち性に差がなかった[43]
有機資材投入 食味に差がなかった[25]
還元糖含量は高く、硝酸態窒素含量は低かった[44]
キャベツ 有機資材投入・無農薬栽培 収量、ビタミンCとE、αおよびβ-カロチン、N・P・K・Na・Ca・Mg・S・Fe・B・Mn・Zn・Cuで差がなかった[29]
腫瘍壊死因子(TNF-α)産生誘導とキノンレダクターゼ(肝解毒酵素)活性と関連は認められなかった[45]
有機資材投入 収量と土壌の陽イオン濃度が増加[36]
還元糖含量は高く、硝酸態窒素含量は低かった[44]
外観、肉質、歩留まりが向上した[34][35]
レタス 有機資材投入・無農薬栽培 N・P・K・Ca・ビタミンC含量と官能的評価に差がなかった[37]
有機資材投入 糖含量と貯蔵性が高かった[46]
外観、肉質、歩留まりが向上[34][35]
還元糖含量は高く、硝酸態窒素含量は低かった[44]
ジャガイモ 有機資材投入・無農薬栽培 N・P・K・Ca・ビタミンC含量と官能的評価に差がなかった[37]
有機資材投入 内部品質(ビタミンC・タンパク質・遊離アミノ酸含量、デンプン価、乾物率)に差がなかった[47]
白菜 有機資材投入・無農薬栽培 香気成分パターンに差はなかった[27]
近赤外スペクトルで識別可能[27]
微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
紫外線の蛍光写真で差がなかった
葉ネギ 有機資材投入・無農薬栽培 葉色と硝酸含量に差があった[25]。ビタミンC、シュウ酸、日持ち性、無機成分含量に差がなかった。
タマネギ 有機資材投入・無農薬栽培 フラボノイド含量に差がなかった[28]
N・P・K・Ca・ビタミンC含量と官能評価に差がなかった[37]
微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
サツマイモ 有機資材投入・無農薬栽培 香気成分パターンに差はなかった[27]
クロロゲン含量に差はなかった[28]
微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
近赤外スペクトルで識別可能[27]
メイズ 有機資材投入・無農薬栽培 収量が10%減少したが、タンパク質含量が低下し、アミノ酸組成は変化しなかった[48]
タイム 有機資材投入・無農薬栽培 活性成分含量は作物ごとのばらつきが大きかった[49]。乾燥重量は慣行農法のほうが高かった。
カモミール 有機資材投入・無農薬栽培 活性成分含量は作物ごとのばらつきが大きかった[49]。乾燥重量は慣行農法のほうが高かった。
エンドウ 有機資材投入・無農薬栽培 N・P・K・Ca・ビタミンC含量と官能評価に差がなかった[37]
ペッパー 有機資材投入・無農薬栽培 N・P・K・Ca・ビタミンC含量と官能評価に差がなかった[37]
イチゴ 有機資材投入・無農薬栽培 日持ち性と香味で差があった[33]
ブロッコリー 有機資材投入・無農薬栽培 微弱振動電磁波による評価に差がなかった[28]
ナス 有機資材投入 外観、肉質、歩留まりが向上[34][35]
チンゲンサイ 有機資材投入 還元糖含量は高く、硝酸態窒素含量は低かった[44]
温州みかん 有機資材投入 収量と糖度が高かった[6][50][51]。ただし、病害虫により品質が低下した。酸度、果実重、果実比重、果皮色に差はなかった。土壌物性の改善効果は認められなかった。
有機資材投入 官能評価、収量、全窒素含量に差がなかった[52][53][54]
小麦 有機資材投入 タンパク質含量が低かった[55]
収量と土壌物性が向上した[7][8]
大豆 有機資材投入 収量と土壌物性が向上した[7][8]
ネットメロン 有機資材投入 遊離アミノ酸含量が低かった[25]
キュウリ 有機資材(油粕)投入 外観、肉質、歩留まりが向上[34][35]
有機資材(バーク肥料)投入 形状不良[34][35]

注釈[編集]

  1. ^ a b 日本の「有機農産物の日本農林規格」と海外の「コーデックスガイドライン」のどちらも有機農産物の条件に、化学肥料と化学合成農薬を「3年間」使用しないことをあげているが、なぜ3年なのかという科学的根拠はない。西尾道徳:農業および園芸、73、845(1998).

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 有機農業の推進に関する法律(平成 18 年法律第 112 号)
  2. ^ 有機農産物の日本農林規格(平成24年)
  3. ^ 有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドライン
  4. ^ 有機食品の検査認証制度について(平成27年1月)
  5. ^ a b 堀田博 (1999). "有機栽培と慣行栽培農産物の品質上の差異". 日本食品化学工学会誌 46 (6): 428–435. 
  6. ^ a b 酒井正勝; 川口公男; 秋成昇; 森聡; 安宅雅和 (1997). 徳島県果樹試験場研究報告 25 (9). 
  7. ^ a b c 黒柳直彦; 藤田彰; 小田原孝治; 兼子明; 渡邉敏朗 (1995). "畑地における有機物の長期連用効果 第1報 作物収量と土壌化学性". 福岡県農業総合試験場研究報告 15: 64–68. 
  8. ^ a b c 黒柳直彦; 藤田彰; 小田原孝治; 兼子明; 渡邉敏朗 (1997). "畑地における有機物の長期連用効果  第2報 作物収量と土壌物理性". 福岡県農業総合試験場研究報告 16: 63. 
  9. ^ a b 全購連農業技術センター肥料研究部 (1970). 昭和44年度試験成績書: 184. 
  10. ^ V. P. Grubinger (1992). HortScience 27: 759. 
  11. ^ 環境保全型農業研究会, ed (1997). 環境保全型農業の展開に向けて. 地球社. pp. 13. 
  12. ^ "Nature's Chemicals and Synthetic Chemicals: Comparative Toxicology", BN Ames, M Profet and LS Gold, PNAS, Vol. 87, 7782-7786, (1990), PMID: 2217211
  13. ^ 有機農産物の日本農林規格 制定平成12年1月20日農林水産省告示第59号 一部改正平成15年11月18日農林水産省告示第1884号 全部改正平成17年10月27日農林水産省告示第1605号 最終改正平成21年8月27日農林水産省告示第1180号) (農林水産省)
  14. ^ 農林水産省生産局農産振興課 (2007). 有機農業の現状と課題. 
  15. ^ 「農薬定義:アイガモ、アヒル、牛乳も? 農水省と農家、珍論争」(毎日新聞、2003年1月30日)
  16. ^ 有機農業の推進に関する法律 (平成18年12月15日法律第112号) (法令データ提供システム)
  17. ^ アルバート・ハワード 『農業聖典』 保田茂監訳、日本有機農業研究会、2003年3月。ISBN 9784906640959An agricultural testament 1940
  18. ^ ルドルフ・シュタイナー 『農業講座-農業を豊かにするための精神科学的な基礎』 イザラ書房、2000年5月。ISBN 978-4756500878。原題:Geisteswissenschaftliche Grundlagen zum Gedeihen der Landwirtschaft 1924年の講座。
  19. ^ 桜沢如一 『我が生命線爆破さる:「農業の秩序」の序編』 無双原理構究所、1941年8月。
  20. ^ レイチェル・カーソン 『沈黙の春』新潮社《新潮文庫》、1974年2月。ISBN 978-4102074015。原題:Silent Spring, 1962
  21. ^ 津野志摩子 『恐るべき食品添加物と問題児-イギリスのホールフード運動』バーディ出版、1989年11月。ISBN 978-4791804665
  22. ^ Duchy Originals
  23. ^ 鈴木雅光; 長谷川愿; 宮野斉; 大場伸一 (1994). "28". 山形県立農業試験場研究報告: 39~. 
  24. ^ 玉置雅彦; 吉松敬祐; 堀野俊郎 (1994 url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcs1927/64/4/64_4_677/_article/-char/ja/). "水稲有機農法実施年数と米のアミログラム特性値およびミネラル含量との関係". 日本作物学会紀事 64 (4): 677–681. 
  25. ^ a b c d e f g h i 農林水産省農業研究センター (1995). 平成6年度地域重要新技術開発促進事業報告資料「生態系活用型農業における生産安定技術」. 
  26. ^ 高橋能彦; 中野富夫; 藤巻雄一; 岩津雅和; 佐々木康之 (1997). "魚沼コシヒカリの減農薬・少化学肥料栽培". 日本土壌肥料学雑誌 68 (5): 578–582. 
  27. ^ a b c d e f g 日本土壌協会; 農林水産省構造改善局計画部資源課 (1996). 野菜品質評価検討会報告書(平成8年3月). 
  28. ^ a b c d e f g h i j 日本土壌協会; 農林水産省構造改善局計画部資源課 (1995). 野菜品質評価検討会報告書(平成7年3月). 
  29. ^ a b P. R. Warman; K. A. Havard (1997). "Yield, vitamin and mineral contents of organically and conventionally grown carrots and cabbage". Agriculture, Ecosystems & Environment 61 (2-3): 155–162. doi:10.1016/S0167-8809(96)01110-3. 
  30. ^ 伊藤真奈美; 妻鹿絢子 (1998). "ニンジンの食味及び成分変化に及ぼす有機質肥料と無機質肥料の影響". 日本食品科学工学会 第45回大会講演要旨集: 76. 
  31. ^ a b 矢野秀治; 川瀬昭; 北嶋敏和 (1996). 岐阜県農業総合研究センター研究報告 9: 28. 
  32. ^ 片山勝之; 三浦憲蔵; 皆川望; 高柳繁 (1998). 日本作物学会紀事 67: 122~. 
  33. ^ a b 東京都生活文化局編 (1997). 自然と農業 2 (3). p. 53. 
  34. ^ a b c d e f g h 浅野次郎; 速見昭彦; 小浜節雄 (1981). 野菜試験場報告A 9: 97. 
  35. ^ a b c d e f g h 浅野次郎 (1982). "野菜の品質に及ぼす有機物の影響". 農業および園芸 57: 1399–1404. 
  36. ^ a b 西田一平; 立川元治; 古山賢治 (1995). 奈良県農業試験場研究報告 26: 53. 
  37. ^ a b c d e f L. V. Svec; C. A. Thoroughgood; H. C. S. Mok (1976). "Chemical evaluation of vegetables grown with conventional or organic soil amendments". Communications in Soil Science and Plant Analysis 7 (1): 213–228. doi:10.1080/00103627609366634. 
  38. ^ D. Wees (1995). HortScience 30: 892~. 
  39. ^ 渡部しおり; 熊野知子; 荒川義人 (1996). "有機栽培トマトの品質について". 日本食品科学工学会第43回大会講演要旨集: 74. 
  40. ^ 吉田企世子; 森敏; 長谷川和久; 西沢直子; 熊沢喜久雄 (1984). "肥料の違いによる栽培トマトの食味". 日本栄養・食糧学会誌 37 (2): 115–121. 
  41. ^ a b 吉田企世子; 森敏; 長谷川和久; 西沢直子; 熊沢喜久雄 (1984). "肥料の違いによる栽培トマトの還元糖, 有機酸およびビタミンC含量". 日本栄養・食糧学会誌 37 (2): 123–127. 
  42. ^ 荒川義人; 渡部しおり; 小林奈美子; 笹田真衣子; 豊島琴恵 (1995). "有機栽培ホウレンソウの品質について". 日本食品科学工学会第42回大会講演要旨集: 158. 
  43. ^ 藤原孝之; 坂倉元 (1998). "有機質肥料・資材の連用がホウレンソウの成分・日持ち性に及ぼす影響". 日本食品科学工学会第45回大会講演要旨集: 75. 
  44. ^ a b c d 山崎晴民; 六本木和夫 (1998). 埼玉県園芸試験場研究報告 21: 78. 
  45. ^ 永田郁子; 福家洋子; 益永利久; 丸太里江; 加藤哲朗; 上田浩史; 山崎正利 (1998). "キャベツのTNF-α産生およびキノンレダクターゼ活性誘導への調理条件の影響". 日本食品科学工学会 第45回大会講演要旨集: 58. 
  46. ^ 速見昭彦 (1978). 植物調節 12: 17. 
  47. ^ 古館明洋; 目黒孝司 (1997). 北海道立農業試験場集報 73: 29. 
  48. ^ J. L. Wolfso; G. Shearer (1981). Agron. J. 73: 611~. 
  49. ^ a b Lucette Laflamm; J. Charbonneau; J. Harbonneau; A. Gosselin; E. Rochat (1995). HortScience 28: 705. 
  50. ^ 貞野光弘; 高田次郎; 行成正昭; 中西友章; 辻雅人; 東出円朗 (1996). "温州ミカンの減・無農薬栽培体系における主要病害虫の発生動向". 徳島県果樹試験場研究報告 24: 1~. 
  51. ^ 鈴木晴夫 (1986). 静岡県柑橘試験場研究報告 22: 41~. 
  52. ^ 烏山光昭; 松元順; 藤島哲男 (1983). "有機物施用茶園における土壌中の可給態窒素含量と収量,品質との相関". 茶業研究報告 58: 20–27. doi:10.5979/cha.1983.58_20. 
  53. ^ 古賀亮太; 井手勉; 中島征志郎; 永尾嘉孝; 石井研至 (1992). "有機物の長期連用が茶園土壌の理化学性および茶樹におよぼす影響". 茶業研究報告 75: 1–11. 
  54. ^ 後藤昇一; 鈴木康孝; 小林栄人 (1995). 静岡茶試研報 19: 25. 
  55. ^ 農林統計協会 (1998). 平成9年度農業白書附属統計表. p. 220.