吉原炎上

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吉原炎上
Tokyo Bordello
監督 五社英雄
脚本 中島貞夫
出演者 名取裕子
かたせ梨乃
根津甚八
音楽 佐藤勝
撮影 森田富士郎
編集 市田勇
製作会社 東映京都
配給 東映
公開 日本の旗 1987年6月13日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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吉原炎上』(よしわらえんじょう)は、1987年公開の東映映画。監督は五社英雄。 また、1998年には新橋演舞場にて、映画と同じく名取裕子の主演で舞台化もされている。そして、2007年には観月ありさ主演でテレビドラマ化された。

吉原の5人の花魁の悲喜を描いている。テレビでも複数回放映され高視聴率を記録している(テレビ朝日日曜洋画劇場や深夜枠など)。

名取、かたせ、西川、藤ら今では考えられないような当時の有名女優の大胆なヌードシーン、特に名取と二宮のレズビアンシーンがあった事が大きな話題を呼んだ。

ストーリー[編集]

主人公の久乃は明治の終わり、1908年に吉原の中梅楼に遊女として売られた。そこでは借金に縛られた女たちが六年の年季が明けるまで、春をひさいでいた。

生まれては苦界、死しては投げ込み寺の世界を生き抜いた女郎と生き抜けなかった女郎の波乱万丈の世界を描いた作品である。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

主人公たち[編集]

上田久乃→若汐→紫太夫
演 - 名取裕子
主人公。
登場時は19歳。岡山県のとある村から父親の仕事での借金のため吉原に売られてきた。作中では、身請け金として800円の値で引き渡され、一目見たおちかからは「あれ(久乃)は稼ぐようになるよ」と言われ、花魁になる前からその素質を見出されている。花魁となり最初の客といざ事を始める直前に逃げ出してしまうという失態を犯してしまう。しかし徐々に花魁としての自尊心が芽生え、御職を目指すようになる。
九重
演 - 二宮さよ子
中梅楼の一番花魁(御職)、春の章ヒロイン。
若汐が初めての客から逃げ出したあと身を持って客を喜ばせる方法を教えた。本人によると久乃からいい匂いがしているとして気に入っている。一番人気で上物のお得意様から声がかかる。年上ということもあり、姉御肌。自身を「年増女郎」と言っており、年季が明けたあとの人生を考えると寂しさを募らせる。
吉里
演 - 藤真利子
中梅楼の二番花魁、夏の章ヒロイン。
九重のあとの御職を継いだが、あまりいい客が来ておらず借金が多い。株で大損をした野口の金の穴埋めに若汐づてで古島から50円借りた。若汐に妊娠した場合の助言をした。
小花
演 - 西川峰子
中梅楼の三番花魁、秋の章ヒロイン。
立派な家柄だったが両親が亡くなったため、帝大の医学部に通う弟のために花魁になった。若汐によると弟の写真を肌身離さず持っているとのこと。その後、詳しい病名は不明だが喀血(かっけつ)して体調を崩してしまい、花魁としての仕事ができなくなる。
菊川
演 - かたせ梨乃
久乃の先輩女郎、冬の章ヒロイン。
久乃は後輩だが出会って間もなく仲良くなり、久乃からは「菊ちゃん」と呼ばれている。貧しい家の娘で、中梅楼では白米を2回も食べられると喜んでいたり、自身の古着を実家に送って家族にあげている。その後本人によると「要領が悪く、稼ぎが悪いから」との理由で、女将から言われて品川にある別の遊郭に住み替えした。

中梅楼[編集]

大倉伊三郎
演 - 山村聡
中梅楼の主人。スミによると毎日の仕事前に伊三郎が直々に各部屋に訪れて挨拶する花魁は、九重、吉里、小花の人気のある3人の花魁にだけと言っている。若汐は、吉原一の花魁になると期待を寄せ、吉原の伝統である花魁道中をやってほしいと思うようになる。
大倉スミ
演 - 佐々木すみ江
中梅楼の女将。中梅楼を取り仕切っている。古島がチップとして1人50円渡していると聞いた時は、髪を整えて自ら急いでもらいに行った。古島や坪坂など大物の人物を馴染みの客の持つ若汐を運の強い子だと褒めている。「紫(太夫)」という江戸時代から吉原に伝わる大変な名跡を継がせる。
おちか
演 - 園佳也子
遣り手。中梅楼の二階の階段と廊下に隣接した簡単な座敷から、花魁や女中たちの働きぶりを見ている。本人は「ここが私が睨みをきかせている中梅楼の司令塔」と称している。口達者でよく喋り、女将にも色々と自分の注文を伝えている。
由松
演 - 左とん平
客引き。中梅楼が開店すると通りから見えるように花魁たちが並んでいる店先(今で言うショーウィンドウ)で、お客さんを呼びこむための売り文句を述べている。
国さん
演 - 岸部一徳
中梅楼での雑用などをこなしている。
源さん
演 - ビートきよし
中梅楼での雑用などをこなしている。
(役名不明)
演 - 絵沢萠子
中梅楼での雑用などをこなしている。若汐と共に桜田に小花の家族について話を聞きに行った。小花が大きな失敗をして、旦那や女将の逆鱗に触れた時も小花の味方となり、涙ながらに許してもらえるようにお願いした。
綾衣
演 - 速水典子
(役名不明)
演 - 松岡知重

馴染み客[編集]

古島信輔
演 - 根津甚八
救世軍の活動に身を投ずる古島財閥の若当主、若汐となった久乃の馴染み客。若汐が初めての客から逃げ出した時に川岸で偶然知り合う。若汐を初めて指名した時は、多くの花魁総揚げして、さらに他の従業員たちにも1人50円もの金をチップとして大盤振る舞いした。ただし、若汐をその後も何度か指名して一夜を共にしているが、一度も抱いたことはない。
坪坂義一
演 - 小林稔侍
紫太夫となった久乃=若汐の馴染み客。役所勤めの裕福な男。仕事を辞めて岡山で事業を始めるので一緒になってほしいと紫太夫に結婚を申し出た。
宮田
演 - 井上純一
学生、九重の馴染み客。九重とは歳の差があり、学生とあってまだまだ人生経験が少ない。九重に対し「年増」呼ばわりすることもある。
野口
演 - 益岡徹
株屋、吉里の馴染み客。株で大損をしてしまい、具体的な損害額は不明だが400円の金が必要になった。吉里が本気で愛した男。
越後屋善之助
演 - 河原崎長一郎
吉里の馴染み客。金使いはあまりいい方ではないが、吉里を指名している。吉里との布団の上で「一緒に死のうか」との問いかけにそれを承諾するようなやり取りをしたが、本人は冗談のつもりだったがその後事件に発展。
かたやまゆうきち
演 - (役者名不明)
久乃とは旧知の仲。探していた久乃が若汐という花魁となって吉原にいるのを見つけて再会を喜び、一晩を共にした。博多によるとその後働いていた造船所の金庫から大金を盗み出したとのことで全国指名手配になっている。金にも女にもだらしないフヌケで、女と逃げているとのこと。
亭主
演 - 成瀬正
菊川の馴染み客。

吉原の人々[編集]

お春
演 - 野村真美
菊川の妹分、羅生門河岸の長屋女郎。古島に見初められて、指名されるようになった。
今朝次
演 - 成田三樹夫
女衒(ぜげん)。借金のカタに久乃を吉原に連れてきた人物。久乃の父親は瀬戸内の船長だったが、船の転覆事故により船もろとも亡くなる。船の借金は家と土地を売って片が付いたが、体の弱い母親と幼児(性別は不明)がいて遺族に保証金が払えないため売られた。
桜田紅洋
演 - 竹中直人
演歌師、小花の過去を知る。吉原の通りでヴァイオリンを弾きながら歌っている。
峯半の女将
演 - 中島葵
写真屋
演 - 大村崑
医者
演 - 山本清
遊郭に花魁として働きに出される前の女性の検査や検梅や妊娠検査などを行っている。
博多巡査部長
演 - 光石研
久乃が吉原で働き始める前に遊郭がどのような場所であるかを説明した。後にかたやまゆうきちという久乃と親しかった男が犯罪を犯したとして、久乃に事情聴取を取った。
福島巡査
演 - 緒形拳[1]
冒頭で遊郭での「はずす」という言葉(作中では、客との行為中に気を失ってしまうことと説明)を久乃に教えた。1年後会った時も久乃にはずしたことがあるか気になっているようで尋ねている。
ナレーター - 岸田今日子

テレビドラマ版[編集]

テレビ朝日系列で2007年12月29日に放送されたテレビ朝日東映制作の年末テレビドラマである。主演は観月ありさ

テレビ朝日では開局以来約50年間続いたレギュラー放送の時代劇を視聴率不振などを理由にこの年の9月で終了させ、今後は1年間で数本を特番として制作・放送する方針に切り替えており、本作品がその第1弾にあたる。

視聴率は16.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。関西は19.1%

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

備考[編集]

  • 監督・猪原達三、脚本・橋本綾とも、時代劇は「吉原炎上」が初めてである。
  • 田中芳之プロデューサーは、「映画はヌードシーンもあったが、そのような描き方はしない。悲しい境遇でも強く生きる女性の姿を描くことで、現代の女性にも共感してもらえるドラマにしたかった」と制作方針を話している。[2]

脚注[編集]

  1. ^ 宣伝用ポスターや予告編等では出演表記なし。緒形程のネームバリューのある現役の主役級俳優が本筋には直接関わらない端役で出演する場合、クレジットタイトルでは「特別出演」或いは「友情出演」等の但し書きが付くか、単独での表示またはタイトルの後半に少人数での表示で配慮されるか(今作でいう所の山村聰のような扱い)、もしくはノンクレジットのカメオ出演扱いとなるのが通例だが、今作では本編オープニングタイトルのキャストクレジットでも下位の「その他大勢の脇役の中の一人」扱いでクレジットされている。これは非常に稀なケースである。
  2. ^ 新鮮 普段と違う自分~テレビ朝日系ドラマ「吉原炎上」で時代劇初挑戦 観月(みづき)ありさ”. 読売新聞 (2007年12月3日). 2008年5月14日閲覧。

外部リンク[編集]