三幕の殺人
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三幕の殺人 Three Act Tragedy ![]() | ||
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著者 | アガサ・クリスティー | |
訳者 | 長野きよみ ほか | |
発行日 |
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発行元 |
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ジャンル | 推理小説 | |
国 |
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前作 | なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? | |
次作 | 雲をつかむ死 | |
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『三幕の殺人』(原題:Three Act Tragedy、アメリカ版: Murder in Three Acts)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティが1934年に発表した、探偵エルキュール・ポアロが登場する長編推理小説である。
イギリス版とアメリカ版で真相が若干異なっており、翻訳ではハヤカワ文庫版『三幕の殺人』がイギリス版に、創元推理文庫版『三幕の悲劇』がアメリカ版元に対応している。 なお、『ポアロのクリスマス』中で本作の犯人の名前が明かされている。
あらすじ[編集]
物語は第一幕から第三幕の3章で構成されている。
引退した舞台俳優チャールズ・カートライトが主催するパーティーで、土地の牧師が死亡する。数か月後、今度はチャールズの親友の医師が、やはりパーティーで死亡する。事件のなかで素人探偵役を務める俳優・娘・演劇パトロンの3人は、互いの考えを交換しあうが、そこにポアロが介入してきて…。
登場人物[編集]
主な登場人物[編集]
- チャールズ・カートライト
- 引退した人気俳優。52歳でハンサム。コーンウォールのルーマス地方に「カラスの巣」と名付けた豪邸を構えて隠遁生活を送る。
- 数年前にチャールズの芝居に投資したのが縁で、彼と友人関係になった。ポアロとはこの事件以前にわずかだが面識があった。
- ハーミオン(ハーマイオニー)・リットン・ゴア
- 黒髪で灰色の瞳の、活発で美しい娘。年齢は20歳前後。年齢の離れたチャールズに想いを抱き、彼を主演にした探偵劇を現実の事件のなかで実演してもらおうと画策する。愛称は「エッグ」。
- 成功した金持ち探偵で、本作の時点では引退して世界を周遊中。チャールズには変人と思われている。エッグには内心で、チャールズの活躍のお株を奪うお邪魔虫扱いをされている。「カラスの巣」でのパーティーにも招待されていた。本作ではサタースウェイト相手に、過去の経歴の一端を語る。
その他の登場人物[編集]
- メアリー・リットン・ゴア
- エッグの母。55歳。上流階級の未亡人。ルーマスに娘とメイドと在住。背が高く痩せている。
- ロナルド・ゴア
- メアリーの亡き夫。エッグが3歳の時に死亡した。
- バイオレット・ミルレー
- チャールズに6年間奉公するメイド頭格の女性。40代の末。驚異的な不美人だが、仕事は有能。チャールズが現役中は秘書を務めていた。
- ミセス・ミルレー
- キリング地方に在住のバイオレットの母。病弱で、彼女の看護のためにバイオレットは、辞職を願い出ている。
- テンプル
- チャールズのメイド。32~33歳。有能。
- アンジェラ・サトクリッフ
- 中年の美人の人気女優。エレン・テリーの再来と言われる。背が高く、金髪。
- アンソニー・アスター
- 女流脚本家。本名はミュリエル・ウィルズ。代表作は評価の高い戯曲「一方通行」。縮れた金髪で背が高く、痩身。
- フレディ・ディカズ
- 元旗手の大尉。酒と若い美人が好き。明朗な印象だが身持ちが悪く、評判はよくない。
- シンシア・ディカズ
- フレディの妻。婦人服業界の有名ブランド「アンブロジン商会」のオーナー。背が高い美人で、髪は緑に染めた金髪。
- ミス・ドリス・シムズ
- アンブロジン商会の若いモデル。
- スティーヴン・バビントン
- マーガレット・バビントン
- スティーヴンの妻。大柄で感じの良い女性。チャールズに園芸を教えている。妹は日本在住。他界した息子ロビンを含めて3人の子供がいる。
- ロビン
- インドで死亡したバビントン夫妻の息子。エッグは、生前の彼に好感を抱いていた。
- マクドウガル
- ルーマスの医師。スティーヴンの検死を担当。
- オリヴァー・マンダース
- エッグの異性の友人。25歳前後のジャーナリスト。ぼってりした瞼で黒い目のハンサム。私生児。共産主義に傾倒する。
- サー・バーソロミュー・ストレンジ
- ジョン・エリス
- バーソロミューが最近雇用した執事。主人の怪死後、行方をくらます。
- L・ベイカー
- バーソロミューのもう一人の執事。7年前から奉公。
- ミセス・レッサー
- バーソロミューの料理人。太った女性。
- ベアトリス・チャーチ
- バーソロミューの古株のメイド。長身の痩せた女性。
- アリス
- バーソロミューのメイド。30歳前後。
- ミス・グラディス・リンドン
- バーソロミューの秘書。33歳。
- 婦長
- バーソロミューのサナトリウムの看護婦長。バーソロミューを尊敬する。
- ミセス・ド・ラ・シュフリンジャー
- バーソロミューの患者。西インド諸島出身。神経衰弱。
- サー・ホレス・ハード
- エリスをバーソロミューに紹介したという人物。
- ジョンソン大佐
- ヨークシャーの警察署長
- クロスフィールド警視
- ジョンソンの部下。妻がチャールズのファン。
- マルセル
- ポアロと遊んでいたフランス人の子供。
出版[編集]
題名 | 出版社 | 文庫名 | 訳者 | 巻末 | カバーデザイン | 初版年月日 | ページ数 | ISBN | 備考 |
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三幕の悲劇 | 黒白書房 | 世界探偵傑作叢書15 | 河瀬廣 | 裝幀 山下謙一 | 1936年10月 | 287 | 絶版 | ||
三幕の殺人 | 早川書房 | 世界傑作探偵小説シリーズ 3 | 田村隆一 | 1951年 | 329 | 絶版 | |||
三幕の殺人 | 早川書房 | 世界探偵小説全集159 | 田村隆一 | 解説 江戶川亂步「クリスティー略伝」 | 1954年12月15日 | 230 | 絶版 | ||
三幕の殺人事件 | 大日本雄辨會講談社 | クリスチー探偵小説集:ポワロ探偵シリーズ 4 | 松本恵子 | 1956年1月 | 270 | 絶版 | |||
三幕の悲劇 | 東京創元社 | 世界推理小説全集42[1] | 西脇順三郎 | 1957年10月 | 228 | 絶版 | |||
三幕の悲劇 | 東京創元社 | 創元推理文庫105-15 | 西脇順三郎 | 解説 中島河太郎 | イラスト:ひらいたかこ、デザイン:小倉敏夫 | 1959年6月20日 | 323 | 4-488-10515-0 | |
三幕の殺人 | 角川書店 | 角川文庫 赤502-2 |
赤冬子[注 1] | あとがき 訳者 | 上原徹 | 1961年5月 | 306 | 978-4042502029 | 絶版 |
三幕の悲劇・スタイルズの怪事件[2] | 東京創元社 | 世界名作推理小説大系 別巻 第4 | 西脇順三郎 | 解説 中島河太郎 | 1961年10月 | 446 | 絶版 | ||
三幕の殺人 | 早川書房 | ハヤカワ・ポケット・ミステリ159 | 田村隆一 | 装幀:勝呂忠 | 新版1975年10月15日 | 240 | 絶版 | ||
三幕殺人事件 | 新潮社 | 新潮文庫ク-3-8 | 中村妙子 | 解説 中村妙子 | 野中昇 | 1984年1月 | 355 | 4-10-213509-X | 絶版 |
三幕の殺人 | 早川書房 | ハヤカワ・ミステリ文庫1-84 | 田村隆一 | アガサ・クリスティー 長篇作品リスト |
真鍋博 | 1988年12月 | 348 | 4-15-070084-2 | 絶版 |
三幕の殺人 | 早川書房 | クリスティー文庫9 | 長野きよみ | 解説 日色ともゑ | Hayakawa Design | 2003年10月15日 | 381 | 4-15-130009-0 |
児童書
題名 | 出版社 | 文庫名 | 訳者 | 巻末 | カバーデザイン | 初版年月日 | ページ数 | ISBN | 備考 |
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三幕の悲劇 | 講談社 | 講談社青い鳥文庫204-9 | 花上かつみ | 高松啓二 | 2004年8月15日 | 382 | 4-06-148658-6 | 新書判 |
- 西脇順三郎=訳(創元推理文庫)はアメリカ版。田村隆一=訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)、赤冬子=訳[3](角川文庫)、中村妙子=訳(新潮文庫)、長野きよみ=訳(クリスティー文庫)、花上かつみ=訳(講談社青い鳥文庫)はイギリス版の「動機」になっている。
翻案作品[編集]
ラジオドラマ
- 2002年、BBC Radio 4で放送されている。
TV作品
- Murder in Three Acts(イギリス·アメリカ 1986年) (ポワロ:ピーター・ユスティノフ) 原作では登場しないヘイスティングスが狂言回しの役割を担う。
- 名探偵ポワロ「Three Act Tragedy(邦題 三幕の殺人)」(イギリス 2010年) サタスウェイトは登場せず、当初からポワロがサー・チャールズの友人として関わる。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
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