ポアロのクリスマス

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ポアロのクリスマス
Hercule Poirot's Christmas
アメリカ合衆国の旗Murder for Christmas
著者 アガサ・クリスティー
訳者 村上啓夫
発行日 イギリスの旗1938年12月19日
日本の旗1984年9月30日
発行元 イギリスの旗Collins Crime Club
日本の旗早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 死との約束
次作 殺人は容易だ
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ポアロのクリスマス』(原題:Hercule Poirot's Christmas{アメリカ:Murder for Christmas})は、1938年に発表されたアガサ・クリスティ作のエルキュール・ポアロが登場する推理小説である。本作は、作者の長編作品の中で唯一の密室殺人ものである。

解説[編集]

本作は、作者の最近の作品が洗練されすぎてきて貧血症的になってきたとの指摘と、「もっと血にまみれた、思いきり兇暴な殺人を」という要望に応えて書かれた作品であることが、序文「親愛なるジェームズ」に記されている[注 1]

霞流一は、本作がチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を二重写しにした作品で、殺された老富豪は強欲で気難しい「スクルージ老人」、老富豪を訪れる3人の来訪者は「3人のゴースト」、舞台となる館の名前が「ゴーストン」であることなどを指摘している[2]

なお、本作が発表されたとき、評論家のハワード・スプリングは『イヴニング・スタンダード』紙の書評で結末を明かしてしまい、アントニー・バークリードロシー・L・セイヤーズなど当時の著名な推理作家を巻き込んだ論争になった。

ストーリー[編集]

クリスマスも間近に迫ったゴーストン館の当主である老富豪シメオン・リーは、クリスマスのイベントとして家族を集めようと決めて、シメオンと同居している長男のアルフレッドとその妻リディアを困惑させる。シメオンは、彼の他の息子たち、国会議員のジョージと画家のデヴィッド、彼らの妻マグダリーンとヒルダはともかくとして、1度も会ったことのない孫娘のピラールや、シメオンの金を着服して行方をくらまし、その後も不始末を起こしては金をせびる放蕩息子のハリーまで呼び戻すというのであった。

こうして再会した一同だが、そこにシメオンの旧友の息子のスティーヴン・ファーも訪れ、邸に滞在することとなった。不仲のアルフレッドとハリー、不遇に死んだ母親を思い父親への長年の恨みを募らせるデヴィッド、妻の浪費と議員活動に金が必要なジョージ、さらに彼らの感情を煽るかのように遺言を書き換えるというシメオンの発言により、邸内には不穏な空気が流れた。

そしてクリスマス・イヴに事件は起こる。シメオンの部屋から聞こえて来た凄まじい騒音と絶叫。鍵のかかっていたドアを破壊して部屋の中に入った一同が目にしたものは、崩れた家具と、その横に倒れるシメオンの血まみれの死体であった。

州の警察部長のジョンスン大佐の家でクリスマスを過ごすために訪れていたエルキュール・ポアロは、地元警察のサグデン警視の捜査に協力することになる。サグデン警視は2人に、シメオンから、時価数千ポンドダイヤモンドが盗難されたことで相談を受けていたことを告げる。

登場人物[編集]

  • シメオン・リー … ゴーストン館の当主
  • アルフレッド・リー … シメオンの長男
  • リディア・リー … アルフレッドの妻
  • ジョージ・リー … アルフレッドの弟、下院議員
  • マグダーリン・リー … ジョージの妻
  • デヴィッド・リー … アルフレッドの弟、画家
  • ヒルダ・リー … デヴィッドの妻
  • ハリー・リー … アルフレッドの弟
  • ピラール・エストラバドス … シメオンの孫娘
  • スティーブン・ファー … シメオンの旧友の息子
  • エドワード・トレッシリアン … ゴーストン館の執事
  • シドニー・ホーベリー … シメオンの従僕
  • サグデン … 警視
  • ジョンスン … 大佐。ミドルシャー州の警察部長[注 2]
  • エルキュール・ポアロ … 探偵

日本語訳[編集]

本作品は早川書房の日本語翻訳権独占作品である。

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
ポアロのクリスマス 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-15 村上啓夫 解説 浅田寛厚 真鍋博 1976年11月30日 366 4-15-070015-X 絶版
ポアロのクリスマス 早川書房 クリスティー文庫17 村上啓夫 解説 霞流一 Hayakawa Design 468 4-15-130017-1

翻案作品[編集]

テレビドラマ

日本語吹替版においては、シメオン・リーを声優大塚周夫が、そしてシメオンの息子ハリー・リーを大塚の実子大塚明夫が演じるという趣向が凝らされている。

ラジオドラマ

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 「ジェームズ」は作者の義兄、ジェームズ・ワッツである[1]
  2. ^ ジョンスン大佐は『三幕の殺人』ではヨークシャーの警察署長であり、本作でポアロと思い出話をする中で『三幕の殺人』の犯人の名を語っている。

出典[編集]

  1. ^ 『アガサ・クリスティー百科事典』 数藤康雄・編(クリスティー文庫)より、作品事典 - 長編「24 ポアロのクリスマス」参照。
  2. ^ クリスティー文庫『ポアロのクリスマス』巻末に所収の解説参照。