ジェームス・ハロルド・ジャップ
ジェームス・ハロルド・ジャップ(James Harold Japp)は、アガサ・クリスティの小説「エルキュール・ポアロ」シリーズに登場する架空の人物。ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の主任警部 (Detective chief inspector) として、ポアロの事件捜査と関わりを持つ。『スタイルズ荘の怪事件』など7本の長編作品と13本の短編作品に登場する。「トミーとタペンス」シリーズの『秘密機関』にも名前だけ登場する[1]。
アガサによる原作小説では、ポアロのパートナーであるアーサー・ヘイスティングズと同じく、後半シリーズになるにつれて出演機会が減っていった。ドラマ版『名探偵ポワロ』ではヘイスティングズやミス・レモンと共に主要人物として多くのエピソードに登場しており、最終シリーズとなった第13シーズンでは警視監に出世している。
人物[編集]
ロンドン警視庁に勤務するベテラン刑事。ロンドン近辺で発生する事件ではほとんどの場合、現場捜査に訪れる。作中でも基本的に優秀な刑事として描かれてはいるが、ポアロ相手では先を越されてしまう。多くの警察関係者がそうであるように私立探偵の存在を疎ましく思っているが、ポアロの捜査能力については一目を置いている。ポアロとは旧知の間柄で、『スタイルズ荘の怪事件』以前にも1904年のアバークロンビー偽造事件や、アルタラ男爵の事件などを一緒に捜査した、という設定になっている。
英国紳士的な振る舞いをするヘイスティングズに比べ、頑固で意固地な人物である。しかし異国人(ベルギー人)であるポアロから見ればどちらもイギリス人であり、実際にポアロがイギリス文化に馴染めていない(馴染もうとしない)様子を指摘することもある。妻帯者でウェールズ出身の妻がおり、妻の実家を訪問している描写がある。
草花を愛する一面も有り、英語名のみならず学名込みで野草を識別出来るほどであり、休暇を野草の観察とコレクションのために費やす描写も有る。
映像化作品[編集]
何度か映像化されたポアロシリーズの中でも、特に著名な『名探偵ポワロ』ではフィリップ・ジャクソンがジャップ警部役を演じた。また同作でポワロ役を演じているデヴィッド・スーシェは1985年のテレビドラマ「名探偵ポワロ/エッジウェア卿殺人事件」で、ジャップ警部役を演じたことがある(ポワロ役はピーター・ユスティノフ)。ジョン・モファットがポワロ役を務めたBBCのラジオドラマでもジャクソンがジャップ警部役を演じていたが、これはテレビドラマ版と同時出演であった。
日本のアニメ作品『ポワロとマープル』に登場したシャープ警部が実質的にジャップ警部役の役割を継承している。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ ホテルでトミーとタペンスと食事中に訪ねてきた警部の名刺を見て、ジュリアス・P・ハーシャイマーが「今度はスコットランド・ヤードの犯罪捜査課のジャップ警部ですよ」と説明している。