葬儀を終えて

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

葬儀を終えて』(そうぎをおえて、原題:After the Funeral、米題:Funerals Are Fatal、英改題:Murder at the Gallop)は、1953年に刊行されたイギリスの女流作家アガサ・クリスティの推理小説である。名探偵エルキュール・ポアロが、怪事件に挑む。ポアロものの25作目にあたる。

あらすじ[編集]

富豪アバネシー家の当主リチャードの葬儀が執り行われた後、宏壮な邸「エンダビー・ホール」で親族が一堂に会した中、莫大な遺産の分配が伝えられた。遺産の大部分はリチャードの弟、亡き弟の妻、妹、甥、2人の姪に6等分されるという内容であった。自分の取り分を聞いて素直に喜んだ末妹のコーラは、小首をかしげて無邪気に言い放つ。

「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」

コーラは少し頭が弱く、子供のころから思いついたことを何でも口にする性格で、皆から無邪気すぎて困ると言われていた。そのため、その発言を誰もまともには取り合わず、その場では受け流された。その一方で、昔からコーラの発言には真実が込められていたことから、リチャードの遺言執行者を務める弁護士のエントウイッスルをはじめ、帰途に就く親族たちの心にかすかな疑惑がしこりのように残った。その中、リチャードの亡き弟の妻ヘレンは、コーラが発言したときの光景の中に、何か妙なもの、あるはずのないものがあったような気がしていた。

その翌日、コーラは自宅で斧でずたずたに斬られて殺されているのが見つかる[1]。家政婦の証言によれば、リチャードは死ぬ3週間ほど前にコーラを訪ね、何事かを話していたとのことであった。果たしてコーラは、リチャードの死について何かを知っていたから殺されたのだろうか?

アバネシー家の代理の立場として真相を知りたいエントウイッスルは、エルキュール・ポアロに調査を依頼する。しかし、その矢先に家政婦の毒殺未遂事件が発生する。

登場人物[編集]

  • エルキュール・ポアロ:私立探偵
  • リチャード・アバネシー:アバネシー家の当主
  • ヘレン・アバネシー:リチャードの義妹
  • ティモシー・アバネシー:リチャードの弟
  • モード・アバネシー:ティモシーの妻
  • ローラ・クロスフィールド:リチャードの妹
  • ジョージ・クロスフィールド:ローラの息子、リチャードの甥
  • コーラ・ランスケネ:リチャードの末妹
  • ギルクリスト:コーラ・ランスケネの家政婦
  • スーザン・バンクス:リチャードの姪
  • グレゴリー・バンクス:スーザンの夫、薬剤師
  • ロザムンド・シェーン:リチャードの姪、女優
  • マイケル・シェーン:ロザムンドの夫、俳優
  • ランズコム:アバネシー家の執事
  • エントウイッスル:弁護士[2]、リチャードの遺言執行者
  • モートン:警部

作品の評価[編集]

  • 1971年の日本全国のクリスティ・ファン80余名の投票による作者ベストテンで、本書は8位に挙げられている[3]
  • 1982年に行われた日本クリスティ・ファンクラブ員の投票による作者ベストテンでは、本書は9位に挙げられている[4]

翻案作品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 斧でずたずたに斬られていたことから連想して、エントウイッスル弁護士は実の父親と継母を斧で斬り殺した「リジー・ボーデン」の唄(マザー・グースに分類されている)を口ずさんでいる。
  2. ^ ヒッコリー・ロードの殺人』に登場するエンディコット弁護士と同一人物だと思われる。
  3. ^ ゴルフ場の殺人』(創元推理文庫、1976年)巻末解説参照。
  4. ^ 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(6)『アクロイド殺害事件』(集英社文庫、1998年)巻末解説参照。