動く指

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動く指
The Moving Finger
著者 アガサ・クリスティー
訳者 高橋豊
発行日 イギリスの旗1943年
日本の旗
発行元 イギリスの旗日本の旗早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 五匹の子豚
次作 ゼロ時間へ
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動く指』(原題:The Moving Finger)は、1943年に刊行されたイギリス小説家アガサ・クリスティ推理小説ミス・マープルが登場するマープルシリーズ長編の第3作目の作品である。

本作はクリスティ自身のお気に入り作品10作のうちのひとつに挙げられている。なお、この10作品に順位は付けられていない[1]

あらすじ[編集]

戦時中の飛行機事故により重傷を負ったジェリー・バートンは、医者の勧めにより、静養のために妹のジョアナとリムストックの町へとやって来た。二人がリムストックに居を構えてまもなく、差出人不明の手紙が届けられる。それは、「ジェリーとジョアナが本当の兄妹ではない」という内容を下品な表現で文にした誹謗中傷の手紙だった。ジェリーはバカバカしいと思い手紙を破り捨てるも、地元の医師・グリフィスに手紙のことを打ち明ける。するとグリフィスは、リムストックでは以前から人々を誹謗中傷する怪文書が出回っていると話す。そしてこの怪文書事件は新たな悲劇を引き起こした。事務弁護士ディック・シミントンの妻であるモナが服毒自殺を遂げてしまったのだ。

手紙には、現夫のディックとの間に生まれた次男のコリンが、ディックではなく別の男との間に生まれた子供であるという内容が下品な表現で綴られていた。モナの遺体のそばには「生きていけなくなりました」というメモが残されていたことや、彼女が以前から神経衰弱気味だったことから、モナの死はこの手紙を苦にしての自殺と思われた。

さらに事件は続き、今度はシミントン家のお手伝いであるアグネスが行方不明になる。彼女は行方不明になる少し前に、リトル・ファーズ邸のメイドであるパトリッジに相談したいことがあると電話をしていたのだった。パトリッジはアグネスとお茶を一緒にという約束をしていたが、現れなかったのだという。

翌朝、ジェリーは電話のベルで目を覚ました。相手はミーガン。シミントンの妻・モナが前の夫との間に授かった娘であった。ミーガンは慌てた口調でジェリーに「すぐに来て!」と話し、ジェリーは悪い予感を感じつつシミントン家へと向かう。その悪い予感は的中した。行方不明になっていたアグネスは、階段の下の戸棚で他殺死体となって発見されたのだった。この事態に牧師夫人は、知人のジェーン・マープルを呼び寄せた。マープルは事件の真相を探るべく、リムストックを探索することとなった。

登場人物[編集]

ジェーン・マープル
詮索好きな独身の老婦人。
ジェリー・バートン
本作の語り手。傷痍軍人で、療養のためにリムストックから半マイル離れたリトル・ファーズ邸に移住。
ジョアナ(ジョー)・バートン
ジェリーの妹。兄ジェリーとともにリトル・ファーズ邸に移住。
リチャード(ディック)・シミントン
ガルブレイス・アンド・シミントン法律事務所の事務弁護士。
モナ・シミントン
ディックの妻。
ミーガン・ハンター
モナの先夫の娘。
エルジー・ホーランド
シミントン家の家庭教師。
アグネス・ウォデル
シミントン家のお手伝い。
ローズ
シミントン家のコック。
オーエン・グリフィス
医師。
エメ・グリフィス
オーエンの妹。
エミリー・バートン
リトル・ファーズ邸の持主で、オールドミスの姉妹の最後の1人。
パトリッジ
リトル・ファーズ邸のお手伝い。
ケイレブ・デイン・カルスロップ
教区牧師。
モード・デイン・カルスロップ[注 3]
教区牧師夫人。
ナッシュ
郡警察の警視。
ミス・ギンチ
ガルブレイス・アンド・シミントン法律事務。
ジョージ
ベアトリスの恋人。
パイ
プライアーズ・エンドの修道院長。
クリート夫人
植木屋の妻。‘賢者の一族’の出身。
ベアトリス
リトル・ファーズ邸のお手伝い。

出版[編集]

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
動く指 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ436 高橋豊 1958年 219 絶版
動く指 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-27 高橋豊 ミス・マープル・シリーズ著作リスト 真鍋博 1977年11月30日 320 4-15-070027-3 絶版
動く指 早川書房 クリスティー文庫37 高橋豊 解説 久美沙織 Hayakawa Design 2004年4月16日 399 4-15-130037-6

映像化作品[編集]

  • 1985年にジョーン・ヒクソン主演で放送されている。吹き替えは山岡久乃が担当。
  • 2006年にジェラルディン・マクイーワン主演による『アガサ・クリスティー ミス・マープル』の第2シリーズで放送。吹き替えは草笛光子。原作とは違い、ジェリーがケガを負った原因が「無気力な日々に嫌気がさし、バイクで自滅事故を起こしたため」になっている。また、ジェリーは原作同様本エピソードの語り手となっている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 初登場は『パーカー・パイン登場』に収録の短編作品「不満軍人の事件」。
  2. ^ 『蒼ざめた馬』では「カルスロップ」が「キャルスロップ」と表記されている。
  3. ^ デイン・カルスロップ夫人は、のちにノン・シリーズの『蒼ざめた馬』で、『ひらいたトランプ』『マギンティ夫人は死んだ』等、ポアロものに多数登場する女流作家のオリヴァ夫人[注 1]と共演する[注 2]

出典[編集]

  1. ^ ゴルフ場の殺人』(創元推理文庫、1976年)巻末解説、および『終りなき夜に生れつく』(ハヤカワ文庫、1977年)巻末「クリスティーお気に入りの自作」参照。