書斎の死体

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書斎の死体
The Body in the Library
著者 アガサ・クリスティー
訳者 山本やよい ほか
発行日 アメリカ合衆国の旗1942年2月
イギリスの旗1942年5月
日本の旗
発行元 アメリカ合衆国の旗Dodd, Mead and Company
イギリスの旗Collins Crime Club
日本の旗早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 NかMか
次作 五匹の子豚
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書斎の死体』(しょさいのしたい、原題:The Body in the Library)は、1942年に刊行されたイギリス小説家アガサ・クリスティ推理小説ミス・マープルが登場するマープルシリーズ長編の第2作目の作品である。

あらすじ[編集]

邸宅ゴシントン・ホールのメイドが「書斎に死体がある!」と言ってバントリー夫人を起こす。バントリー夫人は夫のバントリー大佐を起こす。大佐は書斎の暖炉の前の敷物の上に、濃い化粧をして、銀色のスパンコール・ドレスを着たプラチナブロンドの若い女性の死体を発見する。大佐は警察を呼び、バントリー夫人は旧友のミス・マープルに電話をかける。警察からはメルチェット大佐とスラック警部補が派遣されてくる。

この死んだ若い女性の身元を確認しようと、メルチェットは近くのバジル・ブレイクの別荘に向かう。ブレイクの恋人ダイナ・リーはプラチナブロンドであるが、メルチェットがブレイクにインタビューしている間に生きた姿で家にやってくる。ヘイドック医師の検死により、健康な若い女性が前日の夜10時から0時の間に死亡したこと、薬物を投与された後に絞殺されたこと、性的虐待を受けていないことが判明する。マープルは、噛まれた爪や古びたドレスなど、この少女の外見の特徴に気づき、それをバントリー夫人に伝える。

デーンマスのマジェスティック・ホテルに滞在中のコンウェイ・ジェファーソンは、ホテルの18歳のダンサー、ルビー・キーンが行方不明になったと言う。ホテルの従業員ジョージー・ターナーは、ゴシントン・ホールで発見された死体がいとこのルビーであると確認する。宿泊客たちは夜11時までルビーがジョージ・バートレットと踊っているのを見ていたが、真夜中のダンス演技に現れなかったという。ジェファーソンは警察に、ルビーと養子縁組するつもりであったこと、手続きが完了するまでの間、彼女を優遇するように遺言を修正したことを話す。

バントリー夫人とマープルはマジェスティック・ホテルに移動して、さらに調査を進める。ジェファーソンはヘンリー・クリザリング卿を呼び出し、捜査に参加させる。クリザリング卿はホテルでマープルを見かけ、彼女を捜査に誘う。

ジェファーソンは、子供たちが結婚した時に、それぞれに多額の遺産を用意していた。ところが、8年前に妻、息子、娘の3人が飛行機事故で亡くなってしまった。悲しみに暮れる3人の遺族、義理の息子マーク、義理の娘アデレードとジェファーソンは一緒に暮らしていたのだった。彼らは殺人のあった夜、ジョージーと一緒にブリッジをしていた。警察は当初、義理の息子と娘はそれぞれ経済的に余裕があると考え、容疑者から除外していたが、スラックの捜査やアデレードとバントリー夫人の会話から、どちらも財政難であることが判明する。

ホテルの客バートレットの燃えた車が発見され、中には黒焦げの死体が見つかる。片方の靴と片方のボタンから、死体は前夜に両親から捜索願が出された16歳の少女ガイド、パメラ・リーヴスと判明する。

警察はマープルに、ガイドのイベントに参加した他の少女たちの事情聴取を依頼し、クリザリング卿にはジェファーソンの付き人であるエドワーズの事情聴取を依頼する。マープルはパメラの友人フローレンスから、パメラが映画プロデューサーに声をかけられ、その晩にスクリーン・テストを申し込まれたこと、そのため彼女は直接家に帰らなかったことを聞き出す。エドワーズは、ジェファーソンと一緒にいたルビーのハンドバッグからバジル・ブレイクのスナップ写真が落ちたのを見たと報告し、ブレイクを指し示す。そのときスラックはすでにブレイク宅のラグが捨てられているのを発見していた。

マープルは犯人を分かっていると思い、その推理を証明しようとする。彼女はダイナ・リーを訪ねる。そこにブレイクが帰宅し、彼はあの晩パーティーの後でかなり酔っ払って真夜中に帰宅し、部屋の敷物の上に死体を発見したこと、以前からバントリー大佐のことが気に入らなかったので死体を彼の邸宅に運んだこと、しかし彼は少女を殺していないことを白状する。警察は彼を逮捕する。

ホテルに戻ったマープルは、サマセット・ハウスで結婚記録を調べるよう手配する。そしてクリザリング卿に頼んでジェファーソンに一芝居打ってもらう。ジェファーソンはマークとアデレードに、翌日遺言を変更して遺産をロンドンのホステルに寄付するつもりだと告げる。クリザリング卿は警察に通報し、マークとジョージーが結婚しているという書類を見せる。深夜3時、ジェファーソンの寝室に侵入したジョージーは、ジギタリスの入った注射器でジェファーソンに危害を加えようとするところを警察に現行犯逮捕される。

マープルは、ジェファーソンと警察に自分の推理を説明する。書斎にあった死体はパメラ・リーヴスであり、ルビーに偽装されていたが、噛まれた爪が若さを物語っていた。反対に車の中で燃やされたのはルビーだった。これらはホテルでのアリバイ工作であった。マープルはジョージーの身元確認を信じず(「この邪悪な世界にとって、人はあまりにも信用できない」)、計画を察知したのであった。

彼女はマークとジョージーが実は結婚していると疑っていた。ジェファーソンの死を望んでいた上に、ジェファーソンがルビーの養子縁組を計画していることを知り、二人の殺人計画を立てたのだ。マークはパメラをホテルに誘い込み、架空のスクリーン・テストを行った。ジョージーは彼女に服を着せ、髪を染め、ルビーに似せて化粧を施し、薬を飲ませた。ブリッジの間、マークは休憩を取り、薬漬けにしたパメラをブレイクの家に連れて行き、ベルトで絞め殺した。真夜中前、ルビーがダンス演技のために着替えに上がると、ジョージーが後をつけ、注射か一撃で殺した。真夜中のダンスの後、パメラの服を着たルビーをバートレットの車に乗せて採石場へ行き、車に火を放った。警察の取り調べで、マークは泣き崩れ、すべてを自白する。

アデレードは長年の恋人ヒューゴとの結婚に同意したと言い、ジェファーソンを喜ばせる。彼の新しい遺言は、アデレードに現金を渡し、残りは息子のピーターに残すというものだった。

登場人物[編集]

  • ジェーン・マープル - 探偵好きな独身の老婦人
  • アーサー・バントリー - 退役大佐で地方行政官
  • ドリー・バントリー - アーサーの妻
  • コンウェイ・ジェファースン - 富豪
  • アデレード・ジェファースン - コンウェイの義理の娘
  • ピーター・カーモディ - アデレードの息子
  • ヒューゴ・マクリーン - アデレードの恋人
  • マーク・ギャスケル - コンウェイの義理の息子
  • ジョージー(本名:ジョゼフィン・ターナー)- ダンサー
  • ルビー・キーン - ダンサー。ジョージーのいとこ
  • レイモンド・スター - ダンサーでテニスの教師
  • ベイジル・ブレイク - 撮影所の大道具係
  • パメラ・リーヴズ - ガール・ガイド団員
  • バートレット - ホテルの客
  • ヘンリー・クリザリング卿 - 元警視総監
  • メルチェット大佐 - ラドフォードシャー州警察の本部長[注 1]
  • スラック - メルチェット大佐の部下、警部
  • ハーパー - グレンシャー州警察の警視

出版[編集]

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
書斎の死体 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-16 高橋豊 ミス・マープル・シリーズ著作リスト 真鍋博 1976年12月15日 287 4-15-070016-8 絶版
書斎の死体 早川書房 クリスティー文庫36 山本やよい 解説 黒山ひろ美 Hayakawa Design 2004年2月13日 344 4-15-130036-3

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 牧師館の殺人』ではセント・メアリ・ミード村はダウンシャー州にあり、メルチェット大佐は「この州の刑事部長」と紹介されている。

外部リンク[編集]