五匹の子豚
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五匹の子豚 Five Little Pigs ![]() | ||
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著者 | アガサ・クリスティー | |
訳者 | 山本やよい ほか | |
発行日 |
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発行元 |
![]() ![]() 早川書房 | |
ジャンル | 推理小説 | |
国 |
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前作 | 書斎の死体 | |
次作 | 動く指 | |
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『五匹の子豚』(原題:Five Little Pigs、アメリカ版:Murder in Retrospect)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティが1943年に発表した推理小説であり、探偵エルキュール・ポアロが登場する「エルキュール・ポアロ・シリーズ」の作品のひとつである。
原題『五匹の子豚』は、マザー・グースの童謡(「この子豚はマーケットへ行った」など5匹の子豚が登場する遊戯の数え歌)の5つの歌詞にちなんだものである。
本作品には、現在に影響を及ぼす事件を解決するため過去へと遡ってその原因を明らかにする、クリスティの作品に少なからず見受けられる手法が盛り込まれており、アメリカ版原題『回想の殺人』はその内容にちなんだものである。
あらすじ[編集]
16年前夫殺しで終身刑を宣告され、獄中で死亡した母の無実を訴える遺書を読んだカーラは、母が潔白であることを固く信じポアロのもとを訪れる。彼女の話に興味を覚えたポアロは、あたかも「五匹の子豚」の如き5人の関係者との会話を手がかりに過去へと遡り、ついに真実へたどり着く。
物語は「まえおき」につづく3部構成である。
- まえおき
カーラがポアロを訪ねて母親の関与した真相の究明を依頼する。 - 第1部
ポアロは過去の事件の関係者に会い、各自の記憶をたどることで事実を照合し、会話の端々に犯人特定の糸口を見いだそうとする。その際、ふと脳裏に浮かんだマザー・グースの童謡の歌詞が、事件の重要関係者5人それぞれに当てはめられており、また、本部第6章から第10章の章題に採用されている。 - 第2部
ポアロが受け取った、重要関係者5人に依頼していた回顧の手紙の内容が示される。 - 第3部
ポアロは5人それぞれに最後の質問を行い、ついに真実へたどり着く。
登場人物[編集]
- カーラ・ルマルション - 事件の依頼者。その事件の後、カナダのおじに引き取られた。
- ジョン・ラッテリー - カーラの婚約者。
- アミアス・クレイル - 画家、カーラの父。
- カロリン・クレイル - アミアスの妻。夫毒殺の罪で終身刑を受け、のちに獄死。
- エルサ・ディティシャム - 旧姓は「グリヤー」。当時はアミアスの絵のモデルを務めた少女で、アミアスの愛人。現在はディティシャム卿夫人で、社交界の華である。
- フィリップ・ブレイク - アミアスの親友。過去にカロリンに振られたことがある。現在は株式仲買人。
- メレディス・ブレイク - フィリップの兄。カロリンに秘かに恋していた。現在は隠居で、薬草の研究をしている。
- アンジェラ・ウォレン - カロリンの異母妹。現在は考古学者。赤ん坊のころ、カロリンのミスで片目が失明したが、姉妹の仲は良かった。一方、女癖の悪いアミアスを敵視していた。
- セシリア・ウィリアムズ - アンジェラの家庭教師。
- モンタギュー・ディプリーチ卿 - 勅撰弁護士。
- クェンティン・フォッグ - 勅撰弁護士。
- ジョージ・メイヒュー - 弁護士。
- クレイブ・ジョナサン - 弁護士。
- ヘイル - 元警視。
- エルキュール・ポアロ - 私立探偵。
出版[編集]
題名 | 出版社 | 文庫名 | 訳者 | 巻末 | カバーデザイン | 初版年月日 | ページ数 | ISBN | 備考 |
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五匹の子豚 | 早川書房 | ハヤカワ・ミステリ文庫1-21 | 桑原千恵子 | 回想の殺人 (S) | 真鍋博 | 1977年2月28日 | 331 | 4-15-070021-4 | 絶版 |
五匹の子豚 | 早川書房 | クリスティー文庫21 | 桑原千恵子 | 解説 千街昌之 | Hayakawa Design | 2003年 | 406 | 4-15-130036-3 | 絶版 |
五匹の子豚 | 早川書房 | クリスティー文庫21 | 山本やよい | 解説 千街昌之 | Hayakawa Design[1] | 2010年11月10日 | 4-15-131021-8 |
戯曲[編集]
1960年「Go Back for Murder」の題名で著者自身が本作を戯曲化しており、邦訳『殺人をもう一度』(深町眞理子訳)が光文社文庫から刊行されている。ただし、ポアロは登場しない内容に脚色されている。
映像化[編集]
TV作品
- 名探偵ポワロ「Five Little Pigs(邦題 五匹の子豚)」(イギリス 2003年)
- ポワロ - デヴィッド・スーシェ
- ルーシー・クレイル - エイミー・マリンズ
- カロリン・クレイル - レイチェル・スターリング
- アミアス・クレイル - Aidan Gillen
- エルサ・グリヤー - Julie Cox
- アンジェラ・ウォレン - Sophie Winkleman
- カロリン・クレイルの刑死から、ポワロへの依頼までの期間は14年となっている。また改名前の娘の名前がルーシー・クレイルとなっている。フィリップは同性愛者でカロリンではなくアミアスを子供のころから愛していた設定に変更されている。全編にわたってエリック・サティ作曲のピアノ曲『グノシエンヌ第1番』が編曲されて用いられている。
脚注[編集]
- ^ 「アガサ・クリスティー生誕120周年記念」新訳版期間限定カバー:1977年2月刊行ハヤカワ・ミステリ文庫(装画:真鍋博)の復刻あり。
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