魔術の殺人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

魔術の殺人』(まじゅつのさつじん、原題:They Do It with Mirrors、米題:Murder with Mirrors)は、1954年に刊行されたアガサ・クリスティ推理小説マープルシリーズの長編第5作目にあたる。

あらすじ[編集]

ミス・マープルはロンドンに出かけて、旧友のルースと親交を温めていた。ルースとキャロラインの姉妹は、ミス・マープルの女学校時代の親友である。ルースは最近会った妹のことをひどく心配していた。はっきりとした根拠は分からないが、何か嫌な雰囲気だったと。そしてマープルに、彼女の所へ行って調べてほしいと依頼する。そのため、あらかじめキャロラインに「マープルが零落して、三度の食事にも事欠く有様なので助けてやってほしい」と言っておいたというルースに苦笑しつつも、マープルはキャロラインの住むストニゲイト荘に招かれ、潜入捜査を開始する。

極端な理想主義者で体のひ弱なキャロラインは、未成年犯罪者の救済に尽力するルイス・セルコールドと結婚して、少年院の隣で暮らしている。そこには彼女の家族と親戚、たくさんの非行少年たち、医師や研究者、精神病患者の青年がいる。その中にルースを不安にさせた何かがあったのだとマープルも思う。そして数日後、訪れたキャロラインの義理の息子クリスチャン・グルブランドセンが射殺された。

登場人物[編集]

ミス・マープル
探偵趣味の老婦人。
ルース・ヴァン・ライドック
マープルの寄宿学校時代からの友人。妹のキャロラインを心配して、マープルに潜入捜査を依頼。
キャロライン(キャリイ)・ルイズ・セロコールド
ルースの妹で富豪。かなり浮世離れした人物で、殺人事件の渦中にあって上の空。3度結婚し、夫の連れ子たち、養女、実の娘、養女の娘など多数の家族を持つ。
ルイス・セロコールド
慈善活動家。キャロラインの現在の夫(3番目の夫)。
エリック・グルブランドセン
キャロラインの最初の夫。故人。
クリスチャン・グルブランドセン
エリックの息子(連れ子、キャロラインにとって義理の息子だが2歳年上)。射殺される。
ミルドレッド・ストレット
キャロラインとエリックの実の娘(つまり唯一キャロラインと血縁関係のある家族)。
ジーナ・ハッド
キャロラインとエリックの養女ピパの娘(キャロラインの孫)。イタリア人との混血で快活な女性。
ウォルター・ハッド
ジーナの夫でアメリカ人。
ジョニィ・リスタリック
キャロラインの2番目の夫。故人。
アレックス・リスタリック
ジョニィの息子(連れ子)
スティーブン・リスタリック
ジョニィの息子(連れ子)。アレックスの弟。
エドガー・ローソン
セロコールド家の使用人で、キャロラインの現在の夫ルイスの助手。精神分裂症気味で虚言癖がある。
ジュリエット・ベルエヴァー
キャロラインのコンパニオン
Dr.マヴェリック
精神分析医。少年院で非行少年の感化に当たっていた。
カリィ
警部。事件の捜査責任者。
レイク
部長刑事。カリィの部下。

補足[編集]

日本語訳の題名『魔術の殺人』は、マープルが事件現場を「マジックショーの舞台」になぞらえて説明するシーンに由来する。原題(They Do It with Mirrors)も劇中のマープルの台詞である「彼ら(マジシャン)のトリックは大抵は鏡(要約)」からきている。