複数の時計
『複数の時計』(ふくすうのとけい、原題:The Clocks)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティによって1963年に発表されたエルキュール・ポアロシリーズの長編推理小説である。
あらすじ[編集]
速記タイピストのシェイラは、仕事でクレスント通り19号の家に向かった。彼女が指示された部屋に入ると、そこは無数に時計が置いてある妙な部屋だった。そして、彼女はそこで男の死体を見つける。さらに、死体を囲んでいた時計は、その家の住人の持ち物ではなかった。
主な登場人物[編集]
- エルキュール・ポアロ - 探偵
- コリン・ラム - 秘密情報部員
- ベック大佐 - 秘密情報部員。コリンの上司
- シェイラ・ウェッブ - 速記タイピスト
- K・マーティンデール - タイプ引受所の所長
- ミセス・ロートン - シェイラの叔母
- エドナ・ブレント - シェイラの同僚
- R・H・カリイ - 殺されていた謎の男
- マーリナ・ライヴァル - カリイの妻と称する女性
- ゼラルディン - 現場近くのアパートに住む少女
- ディック・ハードキャスル - 警部
- ミリセント・ペブマーシュ - 身体障害施設の女教師。盲人
- ジョサイア・ブランド - 建設業者
- ミセス・ブランド - ジョサイアの妻
- ミセス・ラムジイ - 土木技師の妻
- アンガス・マクノートン - 引退した教授
- ミセス・ヘミング - 老婦人
- ジェームズ・ウォーターハウス - 弁護士
補足[編集]
- 作者作品には『そして誰もいなくなった』や『ポケットにライ麦を』を初め、他にも『愛国殺人』や『五匹の子豚』等、マザー・グースが引用された作品が多数あり、本作でもポアロが解決編の中で「釘が不足で蹄鉄打てず」というマザー・グースを歌っている。
- デヴィッド・スーシェ主演のドラマ版では、米ソ冷戦の時代背景を第2次世界大戦直前のドイツの台頭と英国内の親独派のエピソードに置き換えている。
- コリン・ラムは原作では「父は警視」と称しており、研究者の間では『チムニーズ館の秘密』や『ゼロ時間へ』などに登場するバトル警視の息子に擬せられることが多いが、ドラマ版では『ナイルに死す』に登場したレイス大佐[1]の息子を名乗っている。
映像化作品[編集]
『名探偵ポワロ』第65話