柴崎友香

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。KasparBot (会話 | 投稿記録) による 2016年3月18日 (金) 00:04個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (Normdaten moved to Wikidata)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

柴崎 友香
(しばさき ともか)
誕生 (1973-10-20) 1973年10月20日(50歳)
日本の旗 日本大阪府大阪市大正区
職業 小説家
言語 日本語
最終学歴 大阪府立大学総合科学部
活動期間 1999年 -
代表作 『その街の今は』(2006年)
『春の庭』(2014年)
主な受賞歴 咲くやこの花賞(2006年)
織田作之助賞大賞(2006年)
芸術選奨新人賞(2007年)
野間文芸新人賞(2010年)
芥川龍之介賞(2014年)
デビュー作 「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」(1999年)
配偶者 独身[1]
テンプレートを表示

柴崎 友香(しばさき ともか、本名同じ、1973年10月20日 - )は、日本小説家大阪府大阪市大正区出身。大阪府立市岡高等学校大阪府立大学総合科学部国際文化コース人文地理学専攻卒業。

経歴

母は広島県呉市の出身で、祖父は『わたしがいなかった街で』に書かれた通り、広島市原爆ドーム近くのホテルコックとして働き、原爆投下の直前、呉市に移り難を逃れ、後に大阪に出た[2]。『わたしがいなかった街で』に出てくる「赤い橋」は音戸大橋を指す[2]

小学校4年生の国語の教科書で、"たった三行でわたしに小説を書き続けるエネルギーをくれたのはジャン・コクトーの「シャボン玉」という詩だった"[3]という。

高校時代から小説を書き始める。大学卒業後は4年ほど機械メーカーでOLとして勤めた。1998年、「トーキング・アバウト・ミー」で第35回文藝賞の最終候補になる(受賞者は鹿島田真希)。1999年、短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が『文藝別冊 J文学ブック・チャートBEST200』に掲載されて作家デビューする。

2004年、『きょうのできごと』が行定勲監督により映画化。2006年に第24回咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞し、『その街の今は』で第23回織田作之助賞大賞を受賞。2007年、『その街の今は』で第136回芥川龍之介賞候補、第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。同年、『また会う日まで』で第20回三島由紀夫賞候補、「主題歌」で第137回芥川龍之介賞候補。2006年より名久井直子長嶋有福永信法貫信也とともに同人活動も行なっている。作家の保坂和志から高い評価を受けるが、三島由紀夫賞選考では保坂との作風の類似も指摘されている(福田和也の評)。

2010年、「ハルツームにわたしはいない」で第143回芥川龍之介賞候補、『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年、「春の庭」で第151回芥川龍之介賞受賞。

受賞歴

作品一覧

小説

  • きょうのできごと』(2000年、河出書房新社/2004年、河出文庫)
    • レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー(『文藝別冊 J文学ブック・チャートBEST200』)
    • 途中で(『文藝』1999年冬号)
    • ハニーフラッシュ、オオワニカワアカガメ、十年後の動物園(書き下ろし)
    • きょうのできごとのつづきのできごと(文庫版のみ/『文藝』2004年春号)
  • 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(2001年、河出書房新社/2006年、河出文庫)
    • 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?(『文藝』2000年夏号)
    • エブリバディ・ラブズ・サンシャイン(『文藝』2001年春号)
  • 『青空感傷ツアー』(2004年、河出書房新社/2005年、河出文庫)
    • 初出:『文藝』2002年夏号
  • 『ショートカット』(2004年、河出書房新社/2007年、河出文庫)
    • ショートカット(『文藝』2003年秋号)
    • やさしさ(『文藝』2004年夏号)
    • パーティー、ポラロイド(書き下ろし)
  • 『フルタイムライフ』(2005年、マガジンハウス/2008年、河出文庫・ISBN 4309409350
    • 初出:『ウフ.』2004年5月号~2005年2月号
  • 『その街の今は』(2006年、新潮社/2009年、新潮文庫・ISBN 4101376417
  • 『また会う日まで』(2007年、河出書房新社)のち文庫 
    • 初出:『文藝』2006年春号
  • 『主題歌』(2008年、講談社)のち文庫 
    • 主題歌(『群像』2007年6月号)
    • 六十の半分(『朝日新聞』関西版2006年1月5日、12日、19日、26日)
    • ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド(『Melbourne 1』2006年11月)
  • 『星のしるし』(2008年、文藝春秋ISBN 4163274805
  • 『ドリーマーズ』(2009年、講談社)のち文庫 
    • ハイポジション(『群像』2005年5月号)
    • クラップ・ユア・ハンズ!(『Иркутск2』〔イルクーツク2〕2007年12月)
    • 夢見がち(『esora vol・2』2005年7月)
    • 束の間(『esora vol・3』2006年4月)
    • 寝ても覚めても(『esora vol・5』2008年8月)
    • ドリーマーズ(『群像』2009年6月号)
  • 『寝ても覚めても』河出書房新社、2010 のち文庫 
  • 『ビリジアン』毎日新聞社、2011 
  • 『虹色と幸運』筑摩書房、2011
  • 『わたしがいなかった街で』新潮社、2012
    • わたしがいなかった街で
    • ここで、ここで
  • 『週末カミング』角川書店、2012
    • 蛙王子とハリウッド(『野性時代』2006年8月号)
    • ハッピーでニュー
    • つばめの日(『野性時代』2008年12月号)
    • なみゅぎまの日
    • 海沿いの道
    • 地上のパーティー
    • ここからは遠い場所
    • ハルツームにわたしはいない(『新潮』2010年6月号)
  • 『星よりひそかに』幻冬舎、2014 
  • 『春の庭』文藝春秋、2014
  • 『パノララ』講談社、2015

随筆

  • 『ガールズファイル~27人のはたらく女の子たちの報告書~』(2007年、マガジンハウス)
    • ガールズファイル(『ハナコ・ウエスト』2005年6月号~2007年8月号)
    • 毎日、寄り道。(『ハナコ・ウエスト』2004年5月号~2005年5月号)※小説
  • 『見とれていたい わたしのアイドルたち』マガジンハウス 2009
  • 『よそ見津々(しんしん)』日本経済新聞出版社 2010
  • 『よう知らんけど日記』京阪神エルマガジン社 2013

対談集

  • 『ワンダーワード』(2008年、小池書院ISBN 4862253071
    • ワンダーワード(『大阪芸術大学 大学漫画』vol.1~vol.9)特別編含む。
    • 京都観光 2024原作/柴崎友香・作画/田雜芳一(『河南文藝 漫画篇』vol.3)
    • 上條淳士とふたたび and 2008 Now――(新録書き下ろし)

共著

  • 『いつか、僕らの途中で』(2006年、ポプラ社)共著・イラスト、田雜芳一
    • 田雜芳一との往復書簡。『河南文藝 漫画篇』2004年初夏号~2005年新春号連載。
  • オールマイティのよろめき(extra flight!)(Иркутск2〔イルクーツク2〕)

アンソロジー

ムック

  • もうひとつの、きょうのできごと(2004年3月、河出書房新社・ISBN 430901626X
    • 映画出演者によるイメージ写真と、柴崎友香の書き下ろし短編小説から成っている。

単行本未収録作品

  • ランドスケープ(『文藝』2003年夏号)
  • あと少し(『文藝』2004年冬号)
  • 小さな覗き窓(『集英社WEB文芸RENZABURO』連載中)※フォトエッセイ

  1. ^ 【BOOKセレクト】柴崎友香著「春の庭」 : 社会 : スポーツ報知
  2. ^ a b 論ステーション:戦争は遠いけれど 野樹かずみさん/柴崎友香さん. 毎日新聞 2013年08月09日 大阪朝刊. <オピニオン opinion>”. 毎日新聞 (2013年8月9日). 2014年7月28日閲覧。
  3. ^ 柴崎友香『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)p.232で書いている。

    シャボン玉の中には
    庭は入れません
    周囲(まわり)をくるくる回っています

    同時に、コクトーが初めて書いた小説『ポトマック』もこの詩と同じ"世界のきらめきへの感動に満ちた眼差し"があるという。

外部リンク