大村市
おおむらし 大村市 | |||
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国 | 日本 | ||
地方 | 九州地方 | ||
都道府県 | 長崎県 | ||
市町村コード | 42205-3 | ||
法人番号 | 5000020422053 | ||
面積 |
126.73km2 | ||
総人口 |
97,291人 [編集] (推計人口、2024年4月1日) | ||
人口密度 | 768人/km2 | ||
隣接自治体 |
長崎県: 諫早市・東彼杵町 佐賀県: 鹿島市・嬉野市・太良町 | ||
市の木 | イチイガシ | ||
市の花 | おおむらざくら | ||
大村市役所 | |||
市長 | 園田裕史 | ||
所在地 |
〒856-8686 長崎県大村市玖島一丁目25番地 | ||
外部リンク | 大村市 | ||
ウィキプロジェクト |
大村市(おおむらし)は、長崎県の中央に位置する市。東は多良岳県立公園、西は大村湾を望む自然豊かな市である。また、長崎空港があることから、長崎県の玄関口としての面も併せ持つ。
地域
人口
大村市(に相当する地域)の人口の推移 | |||
総務省統計局 国勢調査より |
現在の概況
人口は9万人と中規模ではあるが着実に人口が増加している。県央地区に位置するため、長崎市・佐世保市へのアクセスも良くベッドタウンとしての一面を持つ。現在もその傾向は強く、新興住宅地や大型マンションの開発が行われている。
交通の便はJR・バス・航空・船舶と非常に多い。交通の便の良さを生かして以前より企業・大学誘致に力を注いでいる。商業については郊外に大型店舗等の進出が多く、中央部は苦戦を強いられている状況である。土地が平坦なためか、自転車の利用も非常に多い。
財政は大村競艇場の収入も以前より減少している関係上、余裕は少ない。
他の市町村に比べ、火災・事故・犯罪事件などの発生は比較的少ない。しかし、自転車の盗難は非常に多い。
地理
多良山系の西麓、大村湾の東岸に位置する。大村平野は長崎県内でも数少ない、まとまった面積を持つ平坦地でもある。
市西部の市街地は郡川・大上戸川の扇状地の上にある。平野部が比較的広く生活の不便が少ない。また、平野部から山間部にかけてはなだらかな起伏となっている。市の東部は標高1,076mの経ヶ岳を筆頭に多良山系の切り立った山地があり、各河川によって深い谷が刻まれる。
- 平野:大村平野
- 湾:大村湾
- 山岳:多良山系経ヶ岳・五家原岳(ごかはらだけ)・郡岳(こおりだけ)
- 渓谷:黒木渓谷
- 河川:郡川(こおりがわ)・大上戸川(だいじょうごがわ)・内田川・鈴田川・東大川
- 島:箕島(みしま : 長崎空港)・臼島
- 湖沼:野岳湖・池田堤
- ダム:萱瀬(かやぜ)ダム・重井田ダム
隣接する自治体
地区
- 大村地区・西大村地区・竹松地区・福重地区・松原地区・萱瀬地区・鈴田地区・三浦地区
- 詳しい町名については大村市の地名を参照。
歴史
大村藩
大村藩の起源は言い伝えによると藤原氏の遠縁にあたる藤原直純が900年代前後に東彼杵荘大村に入り、久原(大村市久原町)に屋敷を立てて定住したのが始まり。その後16代領主純伊の際、島原の有馬氏に敗北。所領を失った。
しかしその後は北九州地方の豪族の手を借り旧領を回復。豊臣秀吉以前の大村家は長崎外海地方(現在の出島の起源とも)を領有しており、南蛮貿易も盛んだった。18代領主大村純忠は日本初のキリシタン大名。当然領内のキリスト教信仰は盛んになるが、反面仏教を排斥するというキリシタンの暴徒化もあり、いくつかの寺が焼き討ちされた。
19代(初代藩主)大村喜前の代で関ヶ原の戦いが起きた。大村家は東軍に付き、所領を安堵される。2万7千石の城下町として栄えたが、彼の代よりキリシタン弾圧が始まり、1657年(明暦3年)の郡崩れ(こおりくずれ)では、608名が検挙され、最終的に411名が処刑された。
幕末は明治新政府側につき、最終的に3万石となり、廃藩置県により大村県とされた後、長崎県に統合された。最後の藩主は大村純熈であった。脱藩勤皇派藩士の一人であった中村喜八郎は維新の功績により家老職家と任ぜられた。その先祖は江戸時代初期に漁村(大村藩の密貿易の港兼用)代官所の手代(算盤方)として郷士格(長崎氏がイエズス会へ長崎領を寄進し長崎を離れた時に長崎氏の一族が中村氏を名乗り長崎に残った家柄)村役人の家より出仕、後に勘定方藩士として取り立てられた。喜八郎の祖父は長崎番十人組頭をし彼の孫の松雄が第二次世界大戦前夜の上海で特務機関員をしていた時にドイツ軍の親衛隊から迫害されていたユダヤ人の一団を三菱から徴用した船で米国へ逃がしたが、そのことは如何にもキリシタン大名を輩出した大村藩と開明的長崎港の歴史的縁を偲ぶ物語と言えよう。
明治維新の際は明治政府側に立ったため所領を安堵され、明治以降も医学・政治などの分野で多くの偉人を輩出している。
近現代
大村藩の領地であった彼杵郡は東西に分割され、1889年の町村制施行によりさらに細分化された。大村藩解体後もしばらくは西彼杵半島方面との繋がりも深かったものの、城下町としての地位を失った大村は衰退をみることとなる。
1897年に熊本の歩兵第46連隊(日本陸軍)が放虎原(ほうこばる)に駐屯し、各種サービス業者が営業を開始したことにより状況は一変する。1923年には海軍航空隊が、1941年にはアジア最大ともいわれた第21海軍航空廠が開設され、大村は「軍都」として発展した。1941年の人口は3万3,000人ほどであったが、1943年には6万7,000人と倍増し、1942年2月11日に大村町、三浦村、萱瀬(かやぜ)村、福重(ふくしげ)村、鈴田村、松原村の1町5村が合併し市制施行した。
第21海軍航空廠は1944年10月25日の大空襲で壊滅し、その後も度々米軍の艦載機等の攻撃に晒されている。長崎市への原子爆弾投下の際には海軍や陸軍の病院があったため(前者は現在の国立医療センター、後者は現在の大村市民病院)多くの被爆者が搬送されてきた。一時期、長崎師範学校(現・長崎大学教育学部)や長崎医科大学基礎医学部などが大村市内に移転しており学園都市としての発展も期待されていたが、いずれも1949年から1953年にかけて長崎市に再移転している。
戦後は世界初の海上空港である長崎空港や高速道路などのアクセスの利便性を活かしたハイテク産業などの面でも発展を続けている。
年表
教育史
- 大村藩校集義館(のちの五教館)設立(1670年)
経済
農業
漁業
産業
- 大村ハイテクパーク・オフィスパーク大村
大村市に本社を置く主な企業
行政
市長
市議会
- 大村市議会 定数25
庁舎
- 大村市役所
県議会
- 長崎県議会 大村市選挙区 定数3
衆議院選挙区
国の機関
- 長崎空港があるため、空港関係の機関が多い。
- 国土交通省
- 農林水産省
- 長崎森林管理署大村森林事務所
- 門司植物検疫所福岡支所長崎出張所空港分室
- 動物検疫所門司支所長崎空港出張所
- 防衛省
長崎県の機関
- 地理的にも長崎県の中央に位置し、離島とも空路で結ばれているため、県の機関も多い。
警察
消防
- 県央地域広域市町村圏組合
- 大村消防署
- 宮小路分署
- 大村消防署
医療
- 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター(650床)
- 長崎県精神医療センター(141床、旧長崎県立大村病院)
- 市立大村市民病院(284床)
- 大村共立病院(198床)
-
大村市水道局
姉妹都市・友好都市
姉妹都市
- 国内
- 国外
友好都市
金融機関
- 銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 長崎県民信用組合 – 大村支店
- 長崎県央農業協同組合(JAバンク)- 大村北支店、大村中央支店、郡支店、三鈴支店
- 郵便局
教育
大学
- 私立
- 活水女子大学(看護学部)
高等学校
- 県立
- 私立
中学校
- 市立
小学校
- 市立
- 旭が丘小学校(あさひがおか)
- 大村小学校(おおむら)
- 萱瀬小学校(かやぜ)
- 黒木小学校(くろき)
- 三城小学校(さんじょう)
- 鈴田小学校(すずた)
- 竹松小学校(たけまつ)
- 中央小学校(ちゅうおう)
- 富の原小学校(とみのはら)
- 西大村小学校(にしおおむら)
- 東大村小学校(ひがしおおむら)
- 福重小学校(ふくしげ)
- 放虎原小学校(ほうこばる)
- 松原小学校(まつばら)
- 三浦小学校(みうら)
幼稚園
- 市立
- 大村幼稚園
- 鈴田幼稚園
- 西大村幼稚
- 福重幼稚園
- 放虎原幼稚園
- 松原幼稚園
- 三浦幼稚園(休園中)
- 私立
- 大村聖母幼稚園
- くじら幼稚園
- 向陽幼稚園
- 長崎星美幼稚園
保育所
- 市立
- 三城保育所
- 中央保育所
- 私立
- 池田保育園
- 植松保育園
- おひさま保育園
- かたまち保育園
- 萱瀬保育園
- 木の実保育園
- くじら保育園
- 久原保育園
- 昊天宮保育園(こうてんぐう)
- 桜馬場保育園
- 新城保育園
- 鈴田保育園
- 諏訪保育園
- たんぽぽ園
- ふるまち保育園
- ときわ保育園
- ひまわり認定こども園
- 妙宣寺保育園
- ゆりかご保育園
- わかば保育園
特別支援学校
- 県立
その他の学校
- 県立
- 長崎県消防学校
- 大村建設技術専門学院
施設
図書館
- 大村市立図書館
- 中地区公民館(コミュニティーセンター)図書室
- 市の出張所にも図書室がある。(三浦・鈴田・竹松・福重・松原・萱瀬)
博物館
- 大村市こども科学館
ホール
- 大村市民会館
- シーハットおおむら(大村市体育文化センター)---ホール、体育館など。
スポーツ施設
- シーハットおおむら
- 大村市陸上競技場
- テニスコート
- 野球場
- 補助グラウンド
- 森園運動広場
- 森園ファミリースポーツ広場
- 大村市南部運動広場
- 大村市鈴田運動広場
- 大村市屋内プール
- 大村市民プール
- 黒木山小屋
交通
航空
鉄道
バス路線
一般路線バス
高速バス
- 長崎県営バス
- 長崎空港リムジンバス(長崎市-長崎空港)
- 高速シャトルバス(長崎市-大村市内)
- ロマン長崎号(長崎-大分)
- 出島号(長崎-北九州)
- りんどう号(長崎-熊本)
- サンライト号 (長崎-別府・大分)
- ブルーロマン号(長崎-宮崎)
- ランタン号(長崎-鹿児島)
- 長崎バス
- 西肥バス(空港特急バス)
- 昭和バスレインボー壱岐号(長崎-唐津)
- 九州急行バス九州号(長崎-福岡)
道路
- 高速自動車国道
- 長崎自動車道
- 一般車両用施設:大村インターチェンジ - 木場パーキングエリア(下り線のみ)
- バス停留所:松原バスストップ - 大村インターチェンジ - 高速大村木場(上り線は単独設置、下り線は木場パーキングエリアに併設)
- 長崎自動車道
- 一般県道
- 長崎県道126号松原停車場線
- 長崎県道127号竹松停車場線
港
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 大村公園:玖島城址二重馬場の桜トンネル、大手(大村神社)の桜を筆頭に、大村公園は日本のさくら名所100選に選出されている。4月中旬頃「オオムラザクラ」も見られる。花見の名所であり、特に3月 - 7月にかけては様々な催しが行われ、来客も多い。城堀跡に作られた菖蒲園もあり、シーズン期間中は花菖蒲の見所となっている。また、菖蒲園付近にある池にはボラが多数生息している。
- 旧円融寺:国の名勝に指定されている枯山水様式の庭園がある。
- 大村競艇場:競艇発祥の地。県内、県外の来客も多い。入場料は100円。観覧無料のお笑いライブも多い。日本最南端の競艇場。
- 野岳湖:キャンプ、遠足などに適した公園施設。道が広いため車で行きやすい。ゴルフ場も近い。また、付近には鉢巻山展望所がある。
- 裏見の滝:野岳湖に近く有名な滝。滝の裏側に回ることが出来ることに由来。
- 琴平スカイパーク:ピクニックやドライブ向けの施設。ソリすべり、パターゴルフ等あり。また、景色も良く大村市のほぼ全てを見渡す事が出来、休日はハングライダーも多く見られる。なお、オフィスパーク方面へ繋がる999段の階段もあり。
- おおむらファーム「シュシュ」:ソフトクリームが有名。他にも、レストランやマーケットもある。
- レストラン「ハワイ」:全国的にもパフェが有名。その種類は300種類以上。大村中央商店街沿い。
- おおむら夏越まつり:例年8月の始めに催される。初日は花火大会、2・3日目が本祭り。
- 森園公園:空港入口(箕島大橋)にある。景色も良く、海風も当たる。
- サンスパおおむら:空港入口の天然温泉。温泉以外にも、飲食店・コミックカフェ・ゲームセンターなど数多くの店舗がある。
- 大村湾サーキット:野岳湖の横に位置しているレーシングカートコース。一般向けにレンタルカート完備。県内、県外の来客も多い。
- フルーツの里:福重地区にある、果樹農家が密集している地区の総称・ブランド。シーズン中には、梨狩りやブドウ狩りを提供する農園もある。
- スコーコーヒーパーク:日本初のコーヒー温室栽培に成功。自家生産によるコーヒー専門店。店舗スタッフによる観光客向けのショーも行われている。国道34号寿古町沿い。
郷土芸能・名産品
- 黒丸踊り - 寿古踊り、沖田踊りと共に郡三踊りと呼ばれている。空港入り口交差点に黒丸踊りの像が建てられている。
- 大村寿司 - 四角形の押し寿司で、上に錦糸卵を載せたもの。主要販売店などで購入可。全日空の機内食(長崎-東京)でも食べられる。
- 塩ゆで落花生 - 落花生を塩ゆでしたもの。ゆでピーの愛称で親しまれている。大村市内の学校給食でも食べられている。
- 松原鎌、包丁 - 郡地区・松原本町で生産される刃物の総称。
- 黒田五寸人参 - 主に黒丸町で生産される特産品。
- 寿古コーヒー - 寿古町で生産される国産コーヒー。大村湾PAでも購入できる。
大村市出身の人物
- 荒木十畝(横山大観と並び称される日本画の大家:私立大村中学玖島学館卒)
- 石井筆子
- ANZA(女優、歌手)
- 金開山龍(大相撲力士)
- 楠本正隆(第三代衆議院議長、東京府知事、東京市会議長、長崎府判事)
- 貞松隆弥(サダマツ代表取締役社長)
- 杉田亮毅(日本経済新聞社現社長)
- 田崎俊作(東証一部上場企業・田崎真珠株式会社創業者)
- 田口健二(元・衆議院議員)
- 谷川史子(マンガ家)
- 蝶々夫人(プッチーニの歌劇「蝶々夫人」の主人公で架空の人物)
- 出羽乃富士智瑛(大相撲力士)
- 長岡半太郎(物理学者、大阪帝国大学初代総長:大村藩校五教館最後の入学者)
- 長与千種(プロレスラー・クラッシュギャルズ)
- 福田雅太郎(陸軍大将:旧制私立大村中学玖島学館卒)
- 松尾伴内(タレント・たけし軍団)
- 三岳博輔(元・日本NCR専務)
- JOE(ドラマー)
- 宮脇詩音(歌手)
- 服部雅樹(セールスコンサルタント)
- 朝長孝介(バレー選手)
- 徳島早苗(漫画家)
- グエン・トラン・フォク・アン(社会人野球選手、高校野球甲子園で活躍)
大村市ゆかりの人物
- 今里広記(日本精工会長から経団連副会長、波佐見町出身)
- 蛭子能収(漫画家、タレント、大村競艇場で毎年蛭子能収杯が開催、長崎市出身)
- 大村純毅(旧大村藩主家大村氏第33代当主、元大村市長、名誉市民。静岡県静岡市生まれ、東京都出身)
- 黒板勝美(国史学の権威、東京帝国大学教授:旧制私立大村中学玖島学館卒業、波佐見町出身)
- 長与専斎(衛生行政の祖、長崎府医学校《後の長崎大学医学部》校長:大村藩校五教館に学ぶ)
- 福田清人(児童文学:旧制長崎県立大村中学玖島学館卒業、波佐見町出身)
- 力道山(力士、プロレスラー、番付上の出身地は東彼杵郡大村町、出生地は朝鮮咸鏡南道)
脚注
- ^ 2008年(平成20年)4月に、大村市民のパスポート業務が長崎県より大村市役所に移管された。そのため、県庁や振興局のパスポート窓口での申請はできない。
参考文献
- 大村市史編纂委員会編著『大村市史』(上・下)大村市役所、1962年
- 久田松和則『大村史 琴湖の日月』国書刊行会、1989年
- 牧野一成 「城下町から高速交通の拠点都市へ - 大村市」『九州 地図で読む百年』 古今書院、平岡昭利編、1997年、73-78頁、ISBN 4-7722-1665-0