X X X
「X X X」 | ||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel の シングル | ||||||||||||||||
初出アルバム『BUTTERFLY』 | ||||||||||||||||
B面 | I'm so happy -L'Acoustic Version- | |||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||
規格 |
マキシシングル デジタル・ダウンロード | |||||||||||||||
録音 | 2011年 | |||||||||||||||
ジャンル |
ポップス ロック | |||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||
レーベル | Ki/oon Records | |||||||||||||||
作詞・作曲 | hyde | |||||||||||||||
プロデュース |
L'Arc〜en〜Ciel 岡野ハジメ | |||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||
※ いずれも日本レコード協会認定 | ||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||
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L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表 | ||||||||||||||||
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「X X X」(キス・キス・キス)は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの38枚目のシングル。2011年10月12日発売。発売元はKi/oon Records。
解説
L'Arc〜en〜Cielの2011年第2弾シングルで、前作「GOOD LUCK MY WAY」以来約3ヶ月半ぶりとなるシングルリリース。本作の表題曲ならびにカップリング曲にはタイアップが付いていない。そのため本作は、1999年4月発表の「HEAVEN'S DRIVE」以来2作目となるタイアップ楽曲を含まないCDシングル作品となっている。
本作の表題曲「X X X」は、エレクトロ隆盛以降のアメリカのR&Bを果敢に吸収したロック・ナンバーとなっている[3]。この曲はhydeが作詞・作曲を手掛けている。作曲志向についてhydeは「R&Bとメタルをくっつけたかった[4]」「デスティニーズ・チャイルドみたいな音をロックにするとどうなるだろう[5]」と語っており、R&Bの要素を入れたダンサンブルな楽曲として制作されている。また、本作発売以降に開催したライヴでは、頻繁にセットリストに組み込まれる人気曲の一つとなっており、L'Arc〜en〜Cielの2010年代以降のライヴにおけるスタンダードソングとなっている。ちなみに、2012年に日本を除く世界10都市で開催したライヴツアー「WORLD TOUR 2012」のマディソン・スクエア・ガーデン公演に関するニューヨークタイムズ紙に掲載されたライヴレポートにおいて、ポピュラー音楽評論家のジョン・ペアレスは、「多くの楽曲がメタリカ、U2、デペッシュ・モードやデヴィッド・ボウイのようなギター・ロックでありながら、"X X X"のダンス・ポップのようなタッチの、アメリカのロックバンドがやらないスタイルの曲もこなしている[6]」と、この曲に触れたうえでバンドの音楽性の多様さを評している。
本作のリリースプロモーションとして、写真週刊誌『FRIDAY』に<熱愛スクープ "まさかの" メンバー全員超ラブラブ ラルク アン シエル キス!キス!キス!>と題した誌面が掲載された[7]。さらに、誌面にはメンバー同士の盗撮キス写真が掲載されており、文面はあいたいのクリエイティブディレクターを務める稗田倫広が週刊誌のトーンを研究し、FRIDAY風に書き上げたものとなっている[7]。ちなみに、週刊誌の発売2日前には、L'Arc〜en〜Cielの公式サイトが<メンバーに関する情報が掲載されますが、内容は事実と異なります。また、本件に関するコメントは差し控えさせていただきます[7]>というコメントを掲載している。このコメントが引き金となり、ファンの間でさまざまな憶測を呼び、TwitterやFacebookを中心に話題が盛り上がり、ファン層からその外側へと拡大するプロモーションとなった[7]。
表題曲のミュージック・ビデオは、本作の初回生産限定盤に付属するDVDに初収録されている。また、2019年12月11日に、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて映像の無料公開を開始している。この映像のディレクションはL'Arc〜en〜Ciel自身が務めており、映像は『旧約聖書』における「楽園追放」をテーマとした内容となっている。
カップリングには、2004年発表のシングル「自由への招待」から前作「GOOD LUCK MY WAY」までの作品に収録していた、パートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELによるL'Arc〜en〜Cielの楽曲のセルフカバーではなく[8]、L'Arc〜en〜Cielの過去の楽曲をアコースティック・アレンジした"L'Acoustic Version(読み:ラコースティックヴァージョン)"を収録している。アコースティックヴァージョンのプロデュースは、P'UNK〜EN〜CIELのときと同様に、メンバー4人が持ち回りで担当することになっている。ちなみ、当初はtetsuyaが考案した「L'Arc-Un-plugged」という副題にする予定であったが、Unpluggedが商標化されていたことから現在の副題に変更されたという[9]。余談だが、P'UNK〜EN〜CIELの次のカップリング企画として、このアコースティックヴァージョン以外にも、「バンドメンバーがソロ名義で発表した曲をL'Arc〜en〜Cielでカバーする」という企画をtetsuyaが提案していたが、hydeが却下したとtetsuyaがコメントしている。
本作は、初回生産限定盤(CD+DVD)と通常盤(CD)の2形態でリリースされている。初回盤には「X X X」のミュージック・ビデオが収録されたDVDが付属している。ジャケットは、L'Arc〜en〜Cielの作品では珍しくメンバー4人全員が写っているデザインとなっており、寝そべっている隣同士のメンバーの胸部に頭をのせ、4人で輪になるという構図となっている。なお、メンバーがCDシングルにおいて、初回盤・通常盤ともにジャケットの表を飾るのは、インディーズシングル「Floods of tears/夜想花」以来であり、現メンバーでは初となる[10]。また、初回生産限定盤と通常盤(初回仕様限定)には、「ワクワク☆ラルク アン シール」(全8種のうち1種)を封入、さらに通常盤(初回仕様限定)のみ「着せ替えジャケット」が封入(全4種のうち1種)されている。
発売初週となる2011年10月24日付のオリコン週間シングルチャートでは、2008年4月に発表した「DRINK IT DOWN」以来約3年半ぶり通算21作目の首位を獲得した。これにより、1990年代・2000年代・2010年代の「3つの十年代連続」でオリコン週間シングルチャートの首位獲得を達成した。この「3つの十年代連続の首位獲得」は、ロックバンドとしてはサザンオールスターズ、B'zに次ぐ史上3組目の快挙となった[11]。また、Billboard JAPANの週間総合チャートHot 100においても初の首位獲得、着うたフルの有料ダウンロード数を集計したRIAJ有料音楽配信チャートでも初の首位を獲得している。
収録曲
- CD
- X X X
- 作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Hajime Okano
- エレクトロ隆盛以降のアメリカのR&Bを果敢に吸収したロック・ナンバー[3]。この曲には、作詞・作曲を手掛けたhydeの意向により、R&Bの要素が取り入れられている。楽曲コンセプトにR&Bを取り入れた背景について、hydeは「最近のロックと言われているものよりも、実はポップスやR&Bのほうがヘヴィだったりロックだったりするなって思うことが多くて。だからそこをあえてミックスしてロックとポップスの両立を目指そう思った[5]」「R&Bとメタルをくっつけたかった[4]」と語っている。また、具体的なイメージとしては「デスティニーズ・チャイルドみたいな音をロックにするとどうなるだろうと考えていた[5]」と本作発売当時のインタビューでhydeは語っている。
- この曲は、本作に収録された楽曲の中で、かなり制作が難航した曲となっている。レコーディングにおいてhydeは、一度出来上がったミックスに納得ができず、再度マスタリングをやり直すほど、この曲にこだわっていたといい[5]、アレンジ作業に5ヶ月ほどかけたという[12][13]。yukihiroは「アルバムのレコーディングで刺激になった曲」としてこの曲をあげており、「hydeのこだわりがすごくあったんで、素晴らしいなと思いましたね[14]」と語っている。
- また、kenはこの曲のギターアプローチについて「hydeのデモのリフがダウンチューニングだったので新鮮でしたね。その開放の雰囲気が欲しかったからリフは全弦1音下げにしました[15]」と述べている。ちなみにライヴでこの曲を披露する際は、レギュラーチューニングで演奏されている[15]。さらに、hydeの制作したデモ音源のギターソロをkenが気に入ったため、kenはデモのギターソロをそのまま使うことを提案したという[15]。ただ、hydeのリクエストによりkenが別のフレーズを弾き直している[15]。そして、yukihiroのドラム録りにおいても、hydeの意向が反映されており[16]、hydeの「キックが一定すぎるからちょっと変えたい[16]」というリクエストにより、ランダムで独特なキックのパターンが取り入れられている[16]。他にも、hydeのリクエストにより、サビはシンコペーションでアクセントをつけたリズムとなっている[17]。楽曲制作を振り返り、hydeは「kenが親身に相談役になってくれたり、yukihiroからは"この打ち込み具合はなくさないほうがいいと思うよ"って意見をもらったり。俺も変に生っぽくしすぎるとこの曲の良さが活きないと思ってたから、そこは意識して死守しました。tetsuyaも折々でアイデアをくれたし、何より最初に"この曲がいいな"って言ってくれたのはtetsuyaなんで、そういう意味では案外L'Arc~en~Cielの意見が飛び交った曲ですね[5]」と述べている。
- ちなみに、シングルの表題曲を決めるにあたりスタッフは他の楽曲を推薦していたが、メンバーは全員一致でこの曲を推薦したというエピソードがある。シングルの表題曲に選んだ経緯について、tetsuyaは「覚えやすいし、メロディアスでキャッチーだし、オトナな曲だなって思いました。「GOOD LUCK MY WAY」の次にこの曲をリリースするのは良いなと思いましたね[9]」と述べている。
- タイトルに含まれた単語「X」は、手紙を書くうえで最後の署名の後につけて愛情を示すための"キスマーク"を意味しており、英語のスラングの一種となっている。従って、タイトルは「キス・キス・キス」と読むのが正式となっている。また、歌詞には<Darling 最後のキスなのね>のような女性言葉を取り入れたフレーズが散りばめられており、女性言葉を使うのはL'Arc〜en〜Cielの楽曲としては初めてのこととなった。
- ちなみに、フィジカル発売翌年の2012年5月23日には、この曲の全英語詞バージョン「X X X -English version-」が配信限定でリリースされている(詳細は配信限定楽曲参照)。
- I'm so happy -L'Acoustic Version-
- 作詞・作曲: hyde / プロデュース: hyde
- 4thシングル「風にきえないで」にカップリングとして収録された「I'm so happy」のアコースティックバージョン。
- アコースティックアレンジをするにあたり、プロデュースを担当したhyde曰く「歌詞とアレンジが合わないところがあった[5]」といい、オリジナルから一部歌詞が変更され、完全なボーカルの録り直しが行われている[5]。hydeは「歌うときに少々メロディが変わるような歌い方をしたかった。フェイクがガンガン入るような[5]」「歌詞が決まっててもう何回も歌ってる曲って自分の中でメロディがロックされてて、すごく崩しにくいんですね。だったら一回、歌詞を失くして、ラララから歌ったほうがフェイクは入れやすいので[5]」と述べている。また、yukihiroはこの曲の演奏でブラシを使用しているが、yukihiroは「ブラシ奏法をやってるわけではなくて、あくまでもスティックの代わりに使ってるだけです[18]」と語っている。
- X X X (hydeless version)
- I'm so happy -L'Acoustic Version- (hydeless version)
- DVD(初回生産限定盤のみ)
- X X X (Music Clip)
- ディレクター:L'Arc〜en〜Ciel[19]
参加ミュージシャン
- hyde:Vocal
- ken:Guitar
- tetsuya:Bass
- yukihiro:Drum
- X X X
- hyde:Keyboards, Programming
- 西平彰:Keyboards, Programming, Strings Arrangement
- 斎藤仁:Manipulate
- 金原千恵子ストリングス:Strings
- I'm so happy -L'Acoustic Version-
- 佐々木真理:Electric Piano
配信限定楽曲
X X X -English version-
- CDシングルの表題曲「X X X」の全英語詞バージョンで、「I Love Rock'n Roll」以来となる配信楽曲。2012年5月23日から配信開始。
- 2012年に開催した海外ライヴツアー「WORLD TOUR 2012」およびライヴハウス公演「一夜限りのL'Arc〜en〜Ciel Premium Night」では、このバージョンが演奏されている。他にも、2012年の年末に出演したテレビ朝日系番組『ミュージックステーション スーパーライブ 2012』においても、このバージョンが披露されている。
- また、2012年3月3日発売の海外版ベストアルバム『WORLD'S BEST SELECTION』にこの曲が収録されており、この作品で初CD化となった。
収録アルバム
- オリジナルアルバム
- 『BUTTERFLY』 (#1)
- ベストアルバム
- 『WORLD'S BEST SELECTION』 (#1,全英語詞バージョン)
脚注
- ^ ゴールドディスク認定 2011年10月 - 日本レコード協会
- ^ ダウンロード認定 2014年1月 - 日本レコード協会
- ^ a b BUTTERFLY<通常盤>- TOWER RECORDS ONLINE
- ^ a b 『THE HYDE』、p.6、ソニー・マガジンズ、2012年1月29日、著者:寶井秀人
- ^ a b c d e f g h i シングル『X X X』インタビュー(hydeインタビュー)
- ^ A Debut in New York, 20 Years in the Making- The New York Times
- ^ a b c d 『フライデー』でL’Arc~en~Cielまさかの熱愛スクープ!? 実は新曲プロモーション - AdverTimes
- ^ 『CD&DLでーた』2011年9・10月号「tetsuya's PRESS」tetsuyaコメントより
- ^ a b シングル『X X X』インタビュー(tetsuyaインタビュー)
- ^ 現メンバーがシングルのジャケットとなるのは「Link」の初回仕様限定盤を含めば2回目。また、配信限定シングル「I Love Rock'n Roll」を含めば3回目。
- ^ ラルク新曲3年半ぶり首位
- ^ 『THE HYDE』、p.7、ソニー・マガジンズ、2012年1月29日、著者:寶井秀人
- ^ FM802系ラジオ番組『REDNIQS』2012年2月12日放送分
- ^ “L’Arc〜en〜Ciel yukihiro インタビュー”. ナタリー (2012年2月6日). 2012年3月10日閲覧。
- ^ a b c d 『ギター・マガジン』、p.25、リットーミュージック、2012年3月号
- ^ a b c 『リズム&ドラム・マガジン』、p.20、リットーミュージック、2012年4月号
- ^ 『リズム&ドラム・マガジン』、p.21、リットーミュージック、2012年4月号
- ^ シングル『X X X』インタビュー(yukihiroインタビュー)
- ^ ミュージックビデオサーチ - X X X - SPACE SHOWER TV