TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜

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L'Arc〜en〜Ciel TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜』(ラルク アン シエル ツアー にせんはち エルセブン トランス エイジア ヴィア パリス)は、日本ロックバンドL'Arc〜en〜Ciel2008年に開催したコンサートツアーおよび、それを収録したライヴビデオ。

概要[編集]

L'Arc〜en〜Ciel
TOUR 2008 L'7
〜Trans ASIA via PARIS〜
L'Arc〜en〜Ciel の コンサート・ツアー
場所 上海
台北
パリ
ソウル
香港
東京
大阪
関連アルバム KISS
初日 4月19日
上海浦東源深体育場
最終日 6月8日
京セラドーム大阪
公演数 10
L'Arc〜en〜Ciel ツアー 年表
TOUR 2007-2008 THEATER OF KISS
2007年 - 2008年)
TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜
2008年
20th L'Anniversary TOUR
2011年

「L'Arc〜en〜Ciel TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜」は、L'Arc〜en〜Cielが2008年4月から6月にかけて日本国内外7都市(上海台北パリソウル香港東京大阪)で全10公演を開催したライヴツアー。海外公演を含んだライヴツアーは、2005年9月に開催された「ASIALIVE 2005」以来約3年半ぶりとなる。

2005年9月に開催したライヴツアー「ASIALIVE 2005」は、ツアータイトルが示すようにアジア地域のみをまわるツアーで、日本以外の開催都市はソウル上海の2都市のみであったが、今回は自身初のヨーロッパ公演を含め、約32万人を動員するツアーとなった。本ツアーでは、前回まわったソウル、上海の他、台北香港パリ、さらに日本の2都市を巡っており、ライヴを開催する都市の数から「L'7」というツアータイトルが付けられている。余談だが、ヨーロッパでの公演はパリ1公演のみとなっているが、他にドイツの都市なども開催候補地としてあがっていたという[1]。ただ、バンド名である「L'Arc〜en〜Ciel」がフランス語であることから、所縁の地であるフランス・パリでの初公演に焦点を絞ったツアーにすることが決まったという。このパリ公演はルゥ・ゼニットで開催されており、日本人が主催するライヴとしては過去最多となる約5,500人を動員し、満員のライヴとなった[2]。パリ公演を振り返り、hydeは「最初にパリ公演の話が出た時、実はまず自分が"行きたい!"って思ったんだよね。なんとなく意味あるなぁって感じが直感でしたから。たぶん行っておかないと悔いが残りそうな気がした。俺、パリって旅行でも行ったことなかったし…逆に、フランスに行くんだったら、ちゃんと行きたいと思ってたの。だからあえてハズしてたんだけど。そういう意味では思い入れがあったかもしれないですね。まぁ実際にあんなに歓迎してもらえるとは思ってなかったですけど[3]」と述べている。

セットリストは、海外公演を中心としたライヴツアーだったこともあってか、シングル表題曲が高い割合で組み込まれた構成となっている。ただ、ツアーの最後に組まれた日本公演では、当時音源化されていなかった楽曲「NEXUS 4」「SHINE」の他、近年演奏されることがなかった楽曲も多数組み込まれた。今回の公演では、「LORELEY」が約10年ぶり、「Sell my Soul」が約9年ぶり、「THE NEPENTHES」「TIME SLIP」が約8年ぶりに披露されている。なお、ツアーの最後に組まれた日本公演に限り、2004年に開催したライヴツアー「SMILE TOUR 2004」から引き続き、パートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELのセルフカバーコーナーが設けられている。

また、本ツアーにおけるパリ公演の模様は、ライヴ当日となる2008年5月10日の日本時間深夜3時に、東京大阪福岡広島新潟の日本5都市のシネマコンプレックスで生中継された[4]。ちなみにこれは、世界初の海外コンサートの同時中継企画となった[4]。バンドの所属事務所の代表を務める大石征裕曰く「映像収録もしたが、当時はPALと規格が違うエリアでは電圧も違い、カメラや機材の調整や日本までの伝送について各方面への根回しが大変だった[2]」という。また、このパリ公演の模様は2009年5月29日NHK総合で放送された特別番組『L'Arc〜en〜Ciel LIVE IN PARIS』で一部流されている。なお、この特別番組ではメンバーへのインタビューや、メンバーが各地でオフを過ごしている様子も放送されており、この映像は2009年3月25日に発表したドキュメンタリー・ビデオDOCUMENTARY FILMS 〜Trans ASIA via PARIS〜』に収録されている。ちなみに、本ツアーのライヴ映像に関しては、2009年5月20日に発表したライヴビデオ『LIVE IN PARIS』にパリ公演の模様が、2010年3月31日に発表したライヴビデオ『TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜』に東京の2日目公演の模様が、2011年4月6日に発表したボックス・セット『FIVE LIVE ARCHIVES 2』に大阪の最終日公演の模様が収録されている。

バンドの所属事務所の代表を務める大石征裕は、2020年に発表した自身の著書で、このツアーを振り返り、「欧米ではエスタブリッシュ・アーティストでない限り、2000人以下のキャパで20箇所くらいをバス移動で廻るようなツアーを3年間続ける、という地道な活動が要求されるので、ラルクの活動環境では時間的にも体力的にも難しい。そこで、将来海外のエージェントの目に止まるような活動、つまりある種ビジネスとしては成り立たない興行もあることを覚悟して計画することになる。2008年のパリ公演で学んだのは、現地プロモーターのセオリーや、国民性や習慣の違いが大きく影響するということだった[5][6]」と述懐している。また、大石は同著書で「日本のプロモーターはアーティスト重視だが、海外ではコントラクト・オリエンテッド(契約重視)で、契約外、時間外、範囲外の仕事は一切手をつけないのが常識となっている。グローバルスタンダードに準ずるには、現地プロモーターがやってくれないことややれないことは、日本人スタッフを同行させて処理するか、アーティストと海外用のチームワークを形成し、限られた人数でこなしていくしか方法はない[6]」と綴っている。このツアーの後に大石は、ヴァージン・アメリカ米エピック・レコードの社長を歴任し、ジェフ・ベックニルヴァーナのA&Rも務めたカズ宇都宮とコンタクトを取り[6]、ライヴツアー「WORLD TOUR 2012」の開催に向けて動いていくことになる。

余談だが、このライヴツアーの開催中となる2008年5月13日に、ツアー終了をもってバンド結成20周年を迎える2011年までライヴ活動を行わないことが発表されている[7]。この発表の通り、2011年1月1日に開催したニューイヤーライヴ「20th L'Anniversary Starting Live "L'A HAPPY NEW YEAR!"」までの約2年半の間、L'Arc〜en〜Ciel名義での公演は開催されていない。但し、本ツアー終演後の2008年8月27日に、日本公演で先行披露していた新曲「NEXUS 4」を表題曲としたシングルがリリースされている他、メディア出演などのプロモーション活動が実施されており、完全なバンド活動休止とはなっていない。tetsuyaは、ライヴ活動休止後のインタビューにおいて「ライヴはスケジュール的にしばらく先まで難しいのかなと思うんですけど、バンドってライヴだけが活動じゃないですから。ライヴ以外にも活動はありますから、だからあっちゅう間ですよ[8]」と述べている。

公演日程[編集]

公演日 開催都市 会場  
4月19日 上海 上海浦東源深体育場
4月26日 台北 中山足球場
5月9日 パリ ルゥ・ゼニット
5月17日 ソウル オリンピックパーク 体操競技場
5月24日 香港 アジア・ワールド・エキスポ
5月31日 東京 東京ドーム
6月1日
6月3日
6月7日 大阪 京セラドーム大阪
6月8日

DVD・Blu-ray[編集]

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TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜
L'Arc〜en〜Cielライブ・ビデオ
リリース
録音 2008年6月1日
東京ドーム
ジャンル ポップ・ミュージック
ロック
時間
レーベル Ki/oon Records
チャート最高順位
  • 週間2位(オリコン・DVD音楽)
  • 2010年度年間45位(オリコン)
L'Arc〜en〜Ciel 映像作品 年表
LIVE IN PARIS
(2009年)
TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜
(2010年)
FIVE LIVE ARCHIVES 2
(2011年)
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解説[編集]

DVD版は2010年3月31日BD版は2014年3月19日発売。発売元はKi/oon Records

本作品は、2008年4月19日から世界7都市(上海台北パリソウル香港東京大阪)で全10公演を開催したライヴツアー「TOUR 2008 L'7 〜Trans ASIA via PARIS〜」から、同年6月1日東京ドームで行ったライヴの模様を収録したライヴビデオである。

フィジカルは通常盤(2DVD)の1形態でリリースされている。初回限定仕様はスペシャルパッケージ仕様となっており、L'7ロゴステッカーが封入されている。2枚組DVDのうちDisc1には16曲目に披露された「READY STEADY GO」までのライヴ本編が収録され、Disc2にはライヴ本編の続きに加え、エクストラムービーとして上海台北ソウル香港で行った4公演のライヴMC集と、日本公演で曲と曲の幕間にスクリーンで流された俳優・石田純一出演のミニドラマが収録されている。

なお、ライヴ本編終わりに流れるスタッフロールにおいて、2009年11月に不慮の事故で逝去したスタッフ、近藤琢哉(愛称:コメット)への追悼のメッセージが記されている。近藤は、数多くのアーティストのライヴやイベントの制作に関わり、L'Arc〜en〜Cielのライヴ制作にも長く携わっていたスタッフであり、亡くなる直前まで2011年に開催するバンド結成20周年ライヴの構想をメンバーと話し合っていたという[9]。ちなみにtetsuyaは、2009年12月に"tetsu"から現在の"tetsuya"にアーティスト名義を変更しているが、これは同氏の名前から一文字譲り受けたことによるものとなっている[10]。tetsuyaは2012年に発表したインタビュー本の中で、近藤の死を受け「僕も、いつか死ぬ訳で。あの世でコメットに会った時に、"おまえがいなくなった後、大変だったけど、頑張ったよ"って言えるようにしないといけないと思ってますし。また、胸張ってコメットに会いたい[10]」と述べている。なお、本作に追悼メッセージを入れた理由について、tetsuyaは「ファンからしたら、関係ないといえば関係ないし、なんで関係ないもの入れてるのって意見もあるのかもしれないけど、やっぱり、僕は忘れたくない。そういう人に支えられてきてるから。何か形にして残したいっていうか。僕が死んでもCDやDVDが残る。でもスタッフの人って、実はそんなに残ってなかったりするから。せっかく一緒に撮った写真とか、映ってるオフショットとかあるなら、少しでも使いたい。形としてこの世に残したいなと思って[11][12]」と語っている。

ちなみに、hydeはソロ活動期間中に、本作リリースのための映像チェック作業をしていたとき、ライヴの出来栄えに感動し、思わず涙したと語っている[13]。hydeは音楽雑誌『CD&DLでーた』2010年2月号のインタビューの中で、このエピソードについて「今、前のドームライヴをチェックしてるんですけど、見ていて、すっごいいいライヴだったなって思って涙が出てきたんですよ。そんな経験は、初めてかもしれない。でも、たぶん、ずっとやってたらL'Arc〜en〜Cielがこんなにいいライヴをしているっていうことには気づけなかったんじゃないかなって思います[13]」「今、L'Arc〜en〜Cielっていうのを客観的に見れてるんですよ。それでその結果思ったのが、見た目はすごいポップなロックバンドを装ってるけど、実は演奏はすげえなっていうこと。やっぱりパッと見、華やかな印象があるんで軽く見られる部分もあるとは思うんですけど、演奏に魂がこもってる。(中略)一曲一曲にすごく魂がこもってる、いいバンドだなって[14]」「正直言うと、忙しいのに、なんでこんな仕事やらなあかんねん。誰かやれや!と思いながら最初は見てたんですけど(笑)、見ているうちに引き込まれるんですよ。それが、すごい。もちろん、ヘタクソ!って思うところもあることはあるんですけど、そんなことがつまらないことに感じるようなライヴでしたから[14]」と述べている。

また、2014年2月26日には、本作を含む音楽作品18タイトルを収録したBD-BOXL'Aive Blu-ray BOX -Limited Edition-』が発売されており、この作品にはライヴ音源CDも収録されている。さらに2014年3月19日には、前述のボックス・セットに収められた本作のBlu-ray Disc版が単体でリリースされた。

収録曲[編集]

  • DVD版は本編・特典を2枚に、BD版は1枚に収録。DVD版は「Feeling Fine 2007」以降の楽曲および特典映像がDisc 2となる。
  1. REVELATION
  2. Pretty girl
  3. Caress of Venus
  4. DRINK IT DOWN
  5. DAYBREAK'S BELL
  6. Sell my Soul
  7. get out from the shell
  8. THE NEPENTHES
  9. My Dear
  10. LORELEY
  11. 永遠
  12. forbidden lover
  13. SEVENTH HEAVEN
  14. Killing Me
  15. STAY AWAY
  16. READY STEADY GO
  17. Feeling Fine 2007 P'UNK〜EN〜CIEL
  18. HONEY 2007 (P'UNK〜EN〜CIEL)
  19. NEXUS 4
  20. Driver's High
  21. Link
  22. MY HEART DRAWS A DREAM
  23. 星空
  • <Extra>
    • MC COLLECTION 〜L'7 at ASIA〜
    • 連続幕間ドラマ『ラブストーリーは幕間に』 第一話・第二話・第三話・最終話

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ドキュメンタリー・ビデオ『DOCUMENTARY FILMS 〜Trans ASIA via PARIS〜』、2009年
  2. ^ a b 『大石征裕 自伝 夢の船』、p.107、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020年
  3. ^ 『WORDSⅡ L'Arc〜en〜Ciel』、p.196、角川マガジンズ、2010年
  4. ^ a b "ラルクのパリ公演を深夜の映画館で生中継". ナタリー. 27 April 2008. 2023年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月7日閲覧
  5. ^ 『大石征裕 自伝 夢の船』、p.108、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020年
  6. ^ a b c 『大石征裕 自伝 夢の船』、p.109、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020年
  7. ^ "真夜中の映画館でラルク海外公演、生中継!". Sony Music. 27 April 2008. 2023年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月7日閲覧
  8. ^ 『WORDSⅡ L'Arc〜en〜Ciel』、p.208、角川マガジンズ、2010年
  9. ^ 『哲学2。』、p.126、エムオン・エンタテインメント、2012年
  10. ^ a b 『哲学2。』、p.127、エムオン・エンタテインメント、2012年
  11. ^ 『哲学2。』、p.156、エムオン・エンタテインメント、2012年
  12. ^ 『哲学2。』、p.157、エムオン・エンタテインメント、2012年
  13. ^ a b 『CD&DLでーた』、p.13、角川マガジンズ、2010年2月号
  14. ^ a b 『CD&DLでーた』、p.14、角川マガジンズ、2010年2月号