ツール・ド・フランス2009は、ツール・ド・フランスの96回目のレース。2009年7月4日から26日まで行われた。
コース [編集]
コースは全21ステージ、総延長は合計3459.5km。ステージの内訳は平地10・中級山岳1・山岳7・個人タイムトライアル(以下、TT)2・チームタイムトライアル1、山岳ステージの頂上ゴールは昨年より1つ減って3。タイムトライアルステージの総距離は95km。 グランデパール(最初のスタート地点)にはモナコがはじめて選ばれた。第1ステージの個人TTではモナコグランプリで使われるモンテカルロ市街地コースの一部が使われる。 また、コース内でモナコ・スペイン・アンドラ・スイス・イタリアの5ヶ国を訪れる。 そして今回、最終日前日の第20ステージには個人TTではなくモン・ヴァントゥの頂上ゴールのステージが組まれた。最後の個人TTは2日前の木曜日・第18ステージにアヌシー湖を周回するコースで行われる。
展望 [編集]
概要 [編集]
開幕はモナコでの個人TT。ファビアン・カンチェラーラ(チーム・サクソバンク)が圧倒的な走りで優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得。
第2、第3ステージはスプリントでカヴェンディッシュが連勝。第2ステージでは新城が5位、第3ステージでは別府が8位と日本人選手が連日の大健闘を見せた。
第4ステージは4年ぶりのチームTT。アスタナが総合力の高さを見せつける形で優勝。アームストロングが総合でカンチェラーラと0秒差に迫るが、わずか0.22秒差でアームストロングの4年ぶりマイヨ・ジョーヌはならず。
第5ステージはトマ・ヴォクレール(ブイグテレコム)が逃げを決めて悲願のツール初勝利。スペイン・カタルーニャ地方に入った第6ステージでは上りスプリントをフースホフトが制した。
山頂ゴールとなった第7ステージはプロ1年目のブリス・フェイユ(アグリテュベル)が制覇。マイヨ・ジョーヌはリナルド・ノチェンティーニ(Ag2r)が獲得。第8ステージは逃げ集団内のスプリントをルイス・レオン・サンチェス(ケス・デパーニュ)が制した。第9ステージはピエリック・フェドリゴ(ブイグテレコム)がフランコ・ペッリツォッティ(リクイガス)との一騎打ちを制して優勝。
休息日明けの第10、第11ステージはカヴェンディッシュが再び連勝。第12ステージは鮮やかな2段スパートを見せたニッキー・セレンセン(チーム・サクソバンク)が優勝。
唯一の中級山岳ステージとなった第13ステージはハインリヒ・ハウスラー(サーヴェロ・テストチーム)が大逃げで勝利。第14ステージもセルゲイ・イワノフ(チーム・カチューシャ)が逃げ切り勝ち。2度目の山頂ゴールとなった第15ステージはコンタドールが他を圧倒する走りで勝利し、ついにマイヨ・ジョーヌに袖を通す。
2度目の休息日明けの第16ステージは残り2kmで絶妙のアタックを決めたミケル・アスタルロサ(エウスカルテル)が優勝。第17ステージはフランク・シュレク(サクソバンク)が2006年以来のツール勝利。
最後の個人TTとなった第18ステージはマイヨ・ジョーヌのコンタドールが制してマイヨ・ジョーヌを確固たるものに。第19ステージは終盤の上りに耐え抜いたカヴェンディッシュが昨年を越えるステージ5勝目。別府が7位と大健闘。
モン・ヴァントゥへの山頂ゴールという最終決戦となった第20ステージは逃げ集団内の争いをフアン・マヌエル・ガラテ(ラボバンク)が制した。最終第21ステージはカヴェンディッシュがステージ6勝目で有終の美を飾り、別府が敢闘賞に輝いた。
レビュー [編集]
- 総合優勝の大本命と目されていたアルベルト・コンタドール(アスタナ)はランス・アームストロングとのチーム内でのエース争い問題を抱えていたものの、第15ステージでの圧勝で自らそのエース問題に決着を付け、さらに第18ステージの個人TTも制するなど下馬評通りの強さを見せつける格好で見事に2度目の総合優勝。自身のグランツール連勝を4に伸ばした。
- 4年ぶりにカムバックしたアームストロングは、第4ステージのチームTTの勝利であわやマイヨ・ジョーヌ着用か、など多くの見せ場は作ったものの、山岳ステージや個人TTでやや精彩を欠くなどコンタドールに力の差を見せつけられて8度目の総合優勝はならず。しかし37歳という年齢、そして3年半のブランク期間を考えれば総合3位は健闘と言える。また、ステージ通算25勝目はアンドレ・ルデュックと並ぶ歴代3位タイ、通算8回目の表彰台はレイモン・プリドールと並ぶ史上最多となりアームストロングの偉大な記録のひとつに加わった。アスタナはアンドレアス・クレーデンも総合6位に入るなどチームとしての総合力の高さを見せて、チーム時間賞にも輝いた。
- 一方で戦前に総合優勝候補に挙げられていながら精彩を欠いた選手が目立った。昨年の覇者カルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)は、得意とする山岳での冴えが見られずに総合17位。2年連続総合2位に入っていたカデル・エヴァンス(サイレンス・ロット)もチームTTで遅れをとると、勝負所のアルプス山岳ステージで連日後退。第17ステージに至ってはグルペットでゴールという屈辱で総合30位に沈んだ。ジロとのダブルツールを狙っていたデニス・メンショフ(ラボバンク)も初日の個人TTでいきなり遅れを取ると、チームTTでも自身が落車するなど大きなタイムロス。そしてアルプス山岳ステージでも連日大きく遅れるなど、コンタドールから1時間以上遅れの総合51位という不本意な成績に終わっている。いずれもチームTTで失敗したチームである。
- 平坦ステージはマーク・カヴェンディッシュ擁するチーム・コロンビア=HTCの独擅場と化した。チームメイトの完璧なアシストとトレインに恵まれたカヴェンディッシュは持ち前の爆発的なスプリント力を存分に発揮して第2、3、10、11、19、そしてシャンゼリゼゴールの最終第21ステージと怒涛のステージ6勝。集団ゴールとなったステージをことごとく制するという圧倒的な強さを見せた。
- しかしながらスプリント王の証であるマイヨ・ヴェールは、トル・フースホフト(サーヴェロ・テストチーム)がカヴェンディッシュを抑えて獲得。フースホフトはステージ優勝こそ第6ステージの1つにとどまったが、大崩れせずに安定してステージ上位でスプリントポイントを積み重ね、山岳ステージの第8、17ステージでは逃げに乗って中間スプリントポイントをソツなく獲得するなど高い登坂力を見せ、さらにカヴェンディッシュが第14ステージでフースホフトへの進路妨害で降着処分を受けるなどの幸運もあってカヴェンディッシュを10ポイント差で抑え、見事に2度目のマイヨ・ヴェールに輝いた。
- マイヨ・ヴェール争いで有力とされていたスプリンターでも精彩を欠いた選手が目立った。昨年のマイヨ・ヴェールオスカル・フレイレ(ラボバンク)は第6ステージでフースホフトに競り負けるなどスプリントには絡むもののステージ優勝は挙げられず。ジロ・ブエルタでポイント賞の実績があるダニエーレ・ベンナーティ(リクイガス)は第10、14、21ステージでの9位が最高とほとんどスプリントに絡めず。トム・ボーネン(クイックステップ)に至っては第11ステージの16位が最高とスプリントに全く絡めないまま第15ステージに出走せずにリタイアという体たらくであった。
- 1996年の今中大介以来、13年ぶりの日本人ツール出場者となった新城幸也(ブイグテレコム)、別府史之(スキル・シマノ)の2人は新城が第2ステージで5位、別府が第3ステージで8位、第19ステージで7位に入り、さらに最終第21ステージの敢闘賞に選ばれるなど随所で印象に残る走りを見せた。また別府が総合112位、新城が総合129位で無事に完走。日本人として史上初めてツール・ド・フランスの完走を果たした。
ドーピング問題 [編集]
大会前 [編集]
- 第16ステージにおいて、イタリア国内の領域に入ることから、オペラシオン・プエルトにかかわるドーピング違反を理由に、イタリアオリンピック委員会から2年間のイタリア国内におけるレース出場禁止処分が科されたアレハンドロ・バルベルデ(ケス・デパーニュ)が不参加を余儀なくされた。
- UCIプロチームでありながら、フジ・セルベット(2008年のツールでは、サウニエル・ドゥバル=スコットとして参加)は、前年の大会においてドーピングスキャンダルのため、全選手途中棄権となったことをアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)に咎められ、当大会に参加することができなかった。
- なお、トム・ボーネンもコカイン陽性反応を重く見られ、一旦はASOに参加を拒否されたが、土壇場で参加が認められることになった。
大会中 [編集]
- 近年、大会期間中に決まってドーピング問題が噴出し、『ドーピング・ド・フランス』と揶揄されていたツール・ド・フランスだが、当年大会については、UCI、ASOが事前にドーピング問題(あるいは疑惑)を抱えるチーム、選手を排除したことが功を奏し、幸いにも大会期間中については、一度もドーピング問題に関連した醜態話は無かった。
- 2009年8月23日、UCI会長パット・マッケイドより大会期間中の検査で、誰一人陽性反応が出なかったことが発表された[2]。
大会後 [編集]
日程 [編集]
参加チーム [編集]
3月17日、参加予定チームが発表された[5]。フジ・セルベットを除く17のUCIプロツアーチームに加え、スキル・シマノ、サーヴェロ・テストチーム、アグリテュベルの3チームを加えた合計20チームに、アモリ・スポル・オルガニザシオンから招待状が送られた。
スタートリスト [編集]
最終成績 [編集]
総合成績 [編集]
ポイント賞 [編集]
山岳賞 [編集]
新人賞 [編集]
チーム総合時間 [編集]
- 総合敢闘賞選手
脚注 [編集]
- ^ ドーピング問題が尾を引き、2009年のブエルタ・ア・エスパーニャに招待されていない。
- ^ サイクリングタイムニュース
- ^ サイクリングニュース2009年7月31日付記事(英語)
- ^ ポイント賞1位のファビアン・カンチェラーラが総合首位、同2位のアルベルト・コンタドールが山岳賞首位のため繰り下げの繰り下げで翌日ジャージを着用した。
- ^ サイクルスポーツ2009年3月18日付記事
- ^ サイクリングニュース
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]