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りょうけん座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
りょうけん座
Canes Venatici
Canes Venatici
属格 Canum Venaticorum
略符 CVn
発音 英語発音: [ˈkeɪniːz vɨˈnætɨsaɪ] Cánes Venátici, 属格:/ˈkeɪnəm vɨˌnætɨˈkɒrəm/
象徴 the Hunting Dogs
概略位置:赤経 13
概略位置:赤緯 +40
正中 5月20日21時
広さ 465平方度[1]38位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
21
3.0等より明るい恒星数 1
最輝星 α CVn(2.795
メシエ天体 5
確定流星群 Canes Venaticids
隣接する星座 おおぐま座
うしかい座
かみのけ座
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りょうけん座[2](りょうけんざ、猟犬座、Canes Venatici[2])は星座の1つ。17世紀後半にヨハネス・ヘヴェリウスが考案した、比較的歴史の新しい星座である。1922年に国際天文学連合 (IAU) によって現行の88星座に選定された。

主な天体

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恒星

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以下の4個の恒星には国際天文学連合 (IAU) によって固有名が認証されている[3]

その他、以下の恒星が知られている。

星団・星雲・銀河

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ハッブル宇宙望遠鏡が撮像した子持ち銀河

その他

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由来と歴史

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ウィレム・ブラウ製作の天球儀(1602年)。中央上部に熊を追う2匹の猟犬の姿が描かれている。スコークロステル城英語版の所蔵品。

1687年ヨハネス・ヘヴェリウスの遺稿となった著書『Prodromus Astronomiae』の中で、うしかい座に引き連れられて大熊を追う2匹の猟犬の星座「Canes Venatici」として描かれた[14]。ヘヴェリウスは星図と星表の中で、北側の犬にギリシャ語で「小さな星」を意味する「アステリオン (Asterion)」と、南側の犬にギリシャ語で「楽しみ」を意味する「カラ (Chara)」とそれぞれ名付けている[2][14]

ヘヴェリウス以前にも「うしかい座に引き連れられた2匹の猟犬」というモチーフが星図に描かれた例が存在した。まず、ドイツの人文主義者ペトルス・アピアヌス1533年に描いた星図にうしかい座に連れられた猟犬の絵が描かれていた[2][14]。しかしこれは、現在のりょうけん座と位置や向いている方角が異なり、また特定の星と結び付けられたものではないため、りょうけん座の起源とは見做されていない[14]。一方で、1602年オランダの地図製作者ウィレム・ブラウ英語版が製作した天球儀には、ヘヴェリウスに比べると半分程度の領域でしかないものの、うしかい座が従えた2匹の犬がおおぐま座を追う姿が描かれている[14]。この領域の2つの明るい星を2匹の犬に見立てたのはこれが初めての試みであることから、星座の近代史に詳しいイアン・リドパスは「りょうけん座の発案にブラウの功績があったことは否めない」としている[14]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にその1つとして選定された[15]

新しい星座のため、神話はない。

中国

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太微垣の星を当てはめた星図。りょうけん座の恒星は左上の「常陳」の一から六が該当している。

中国の天文では、りょうけん座の星々は北天を3つの区画に分ける「三垣」の1つ「太微垣」の中にある「常陳」と呼ばれる星官を成していた。常陳は、α・10・9・β・6・2の6つの星とおおぐま座67番星で形作られていた。一部の暗い星は三垣の紫微垣にある「三公」と「相」という星官を形作っていた。三公は24番星と21番星の2つと不明の星の3つの星で形作られた。相は5番星単独による星官であった。

呼称と方言

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1879年(明治12年)、木村一歩内田正雄らによってノーマン・ロッキャーの著書『Elements of Astronomy』を訳した『洛氏天文学』が刊行された際は、訳語が充てられずラテン語の「カネスベナチシ」と英語の「ハンチングドッグ」という読みだけが示された[16]。その後、1908年(明治41年)に創刊された日本天文学会の会誌『天文月報』の第1号では「猟犬」という訳語が充てられた星図が掲載されている[17]。1925年(大正14年)に創刊された『理科年表』では「猟犬(かりいぬ)」と読み仮名が振られており[18]、以降この呼び名が使われた。1944年(昭和19年)、天文学用語の整理統一を目的として学術研究会議の天文学術語委員会より刊行された『天文術語集』でも「かりいぬ」という読みが採用されていた[19]

戦後の1952年(昭和27年)7月、日本天文学会は「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[20]として、新たに刊行した『天文述語集』の中で多くの星座の表記を変更した。この際、Canes Venaticiの訳名も「りょうけん」[21]と改められ、以降この呼び名が継続して用いられている。

出典

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  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 原恵『星座の神話 - 星座の歴史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、116-117頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c d IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年11月23日閲覧。
  4. ^ "alf02 CVn". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月23日閲覧
  5. ^ a b Durlevich, Olga. “GCVS Introduction”. Sternberg Astronomical Institute. 2022年11月13日閲覧。
  6. ^ "bet CVn". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月23日閲覧
  7. ^ "Y CVn". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月23日閲覧
  8. ^ 『ステラナビゲータ11』(11.0i)AstroArts。 
  9. ^ Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2022年11月23日閲覧。
  10. ^ メシエ天体ガイド:M51”. AstroArts. 2022年11月24日閲覧。
  11. ^ Jaggard, Victoria (2010年9月10日). “渦巻銀河合体の痕跡:M63”. ナショナルジオグラフィック. 2022年11月24日閲覧。
  12. ^ 中西昭雄『メシエ天体ビジュアルガイド』誠文堂新光社、2014年10月28日、134頁。ISBN 978-4-416-11462-9 
  13. ^ メシエ天体ガイド:M63”. AstroArts. 2022年11月24日閲覧。
  14. ^ a b c d e f Ridpath, Ian. “Star Tales - Canes Venatici”. 2022年11月23日閲覧。
  15. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2019年11月4日閲覧。
  16. ^ ジェー、ノルマン、ロックヤー 著、木村一歩内田正雄 編『洛氏天文学 上冊文部省、1879年3月、57頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/831055 
  17. ^ 星座名」『天文月報』第1巻第1号、1908年4月、12頁、ISSN 0374-2466 
  18. ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/977669 
  19. ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月。doi:10.11501/1124236 
  20. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  21. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466