やくざ刑事シリーズ
『やくざ刑事シリーズ』(やくざでかシリーズ、Kamikaze Cop series)は、日本映画のシリーズ。主演:千葉真一、製作:東映。
概要
[編集]腕利きの秘密捜査官が型破りな捜査で犯人を追いつめていくシリーズで[1]、お色気とコメディも盛り込まれ[1]、千葉真一が吹き替えなしでアクロバティックなアクション・スタントを演じている[2][3][4][5]。シリーズは成功し[6]、全4作が製作された。
全作品
[編集]やくざ刑事
[編集]やくざ刑事 マリファナ密売組織
[編集]- 出演 - 千葉真一・内田良平・渡辺文雄・南利明・浜かおる・由利徹・内田朝雄・ジャイアント馬場
- 監督 - 野田幸男・伊藤俊也
- 脚本 - 神波史男・野田幸男
- 製作 - 東映
- 公開 - 1970年10月17日 ()
やくざ刑事 恐怖の毒ガス
[編集]やくざ刑事 俺たちに墓はない
[編集]製作
[編集]1968年から放送されている『キイハンター』で[6]、本格的なアクションをお茶の間に持ち込んだ千葉真一は[6][7]、ハイティーンのファンを獲得[8]。アイドル的な人気を誇り[9]、「カッコいいお兄さん」の印象が定着していた[8][9]。『キイハンター』は視聴率30%を越える大ヒットをしていたので[7][9]、その勢いにあやかり[10]、スクリーンでも再現しようと製作がスタート[10]。千葉にとってアクション映画は、1966年の『カミカゼ野郎 真昼の決斗』以来であった[10]。
製作会見では「千葉真一のアクロバティックな連続活劇シーンを売りにする[11]」「1970年は千葉真一の年にしたい[10]」と発表され、最初からシリーズ化を見据えて準備が進められた[10]。擬斗の日尾孝司は『007シリーズ』のようなあらゆる秘密兵器を駆使したものではなく、吹き替えに頼らず、自らの身体を張って演技するところが千葉の魅力なため、小道具を取り入れずに、アクション・スタントを構成する腹積もりだった[10]。本シリーズ全作を企画する太田浩児は、あまり女性を絡ませず、男と男のぶつかりあいを描くことを千葉のファンは望んでいると想定し、そのほうが千葉のイメージに合致すると、作品の骨子を固めていた[10]。
千葉真一は「今までやってきたものの総まとめとしてやりたい。そしていつもは楽天的な男でも、一人になった時には孤独だし苦悩に満ちている。そんな演技をやってみたい[10]」、演ずる隼田志郎の名は戦前に活躍したアクションスター・隼ヒデトに由来しているので[11]、「“昔ハヤブサ、今チバシン”と云われるようにしてみせます[8]」と抱負を語っている。1964年の『柔道一代 講道館の鬼』で「肩を脱臼」、『カミカゼ野郎 真昼の決斗』で「小石が脛に刺さる」など、入院をする大怪我をしていた千葉は1966年以降、父親を受取人にして、傷害保険・生命保険と契約していた[12]。『キイハンター』でも1969年に左足首を骨折しており[12]、本シリーズのクランクイン前、約1億円の保険に加入した[8]。
出来上がった第一作は、『キイハンター』における千葉真一のアクション・スタントとコメディタッチは踏襲されているものの、千葉が兼ね備えているスマートさだけでなく、『キイハンター』と任侠路線を足して2で割ったような映画になっている[10]。これは岡田茂が製作現場の企図に、プラスアルファで「不良性感度」を加え[8]、千葉ファンと任侠ファン双方を満足させる目論見からであった[10]。そのため、テレビでは放送できない濃厚なベッドシーンが盛り込まれている[8]。千葉真一のアクロバティックなアクションやスタントは定評高いので、東京都とその近郊を舞台とした第一作の反響を待たず、半期に2,3本は製作する運びとなった[13]。しかし『キイハンター』で忙しいため、日程調整に苦労していたが[10]、シリーズ化されている。
脚注
[編集]- ^ a b 『やくざ刑事』(第一作)
- ^ 『やくざ刑事 マリファナ密売組織』 - 日本映画製作者連盟
- ^ 『やくざ刑事 マリファナ密売組織』(第二作)
- ^ 『やくざ刑事 恐怖の毒ガス』 - 日本映画製作者連盟
- ^ 『やくざ刑事 恐怖の毒ガス』(第三作)
- ^ a b c “香港で出会った大スター 「千葉空手」生んだブルース・リーの死(1/2ページ)”. ZAKZAK. 【今だから明かす あの映画のウラ舞台】. 産業経済新聞社. p. 1 (2016年3月18日). 2016年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月27日閲覧。
- ^ a b “キイハンター”. 東映チャンネル. 2018年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月5日閲覧。
- ^ a b c d e f 「シネマ・サロン 1億円の生命保険かけた千葉真一 -東映男性路線にカムバック-」『週刊明星』1971年5月10日号、集英社、172頁。
- ^ a b c 「千葉真一、深作欣二の初監督の怒号に驚いた」『Asagei +plus』、徳間書店、2012年11月27日、 オリジナルの2017年10月24日時点におけるアーカイブ、2021年6月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 「チバちゃんが初夏のスクリーンに大活躍!! 最新作『やくざ刑事』(東映)とは?アクション ACTION またあくしょん トッポイ刑事が大暴れ……!?」『近代映画』1970年5月号、近代映画社、54 – 56頁。
- ^ a b 「スクリーン情報 セット便り」『週刊平凡』1970年4月30日号、平凡出版、126頁。
- ^ a b 「●空中滑降撮影中、地面にたたきつけられる 本誌カメラマンの目の前で千葉真一が 『キイハンター』 左足首を骨折! 2ヶ月の重傷!!」『週刊平凡』4月3日号、平凡出版、1969年。
- ^ “封切映画興行記録”. 週刊映画ニュース (全国映画館新聞社): p. 4. (1970年9月26日)
外部リンク
[編集]- “やくざ刑事”. 東映チャンネル. 2021年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月1日閲覧。
- “やくざ刑事 マリファナ密売組織”. 東映チャンネル. 2021年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月1日閲覧。
- “やくざ刑事 恐怖の毒ガス”. 東映チャンネル. 2021年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月1日閲覧。
- “やくざ刑事 俺たちに墓はない”. 東映チャンネル. 2021年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月1日閲覧。