阿部詩

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阿部詩
基本情報
ラテン文字 Uta ABE
原語表記 あべ うた
日本の旗 日本
出生地 兵庫県神戸市
生年月日 (2000-07-14) 2000年7月14日(19歳)
身長 158cm
選手情報
階級 女子52㎏級
所属 日本体育大学
段位 初段
 
獲得メダル
女子 柔道
世界柔道選手権
2018 バクー 52kg級
グランドスラム
2017 東京 52kg級
2018 パリ 52kg級
2018 大阪 52㎏級
2016 東京 52kg級
グランプリ
2017 デュッセルドルフ 52kg級
2018 フフホト 52kg級
2019 フフホト 52kg級
世界ジュニア
2017 ザグレブ 52kg級
2017年10月20日現在
テンプレートを表示

阿部 詩(あべ うた、2000年7月14日 - )は、兵庫県神戸市出身の日本女子柔道選手である。階級は52kg級。身長158cm。リーチ164cm。握力は右48kg、左46kg。血液型はB型。段位は初段。組み手は右組み。得意技は内股袖釣込腰。現在は夙川学院高校卒業。兄が二人おり、次男は66kg級で活躍している阿部一二三[1][2]。2018年の世界選手権では兄妹同時に世界チャンピオンとなった[3][4]

経歴[編集]

小学生時代[編集]

柔道は5歳の時に兄2人に続いて兵庫少年こだま会で始めた。最初は兄の付き添いで見学していただけだったが、練習風景が楽しそうに思えて、女の子だからピアノでも習った方がいいと考えていた父親の反対を押し切った。なお、この当時は水泳やピアノも習っていたが、そのうち柔道に専念するようになった[1][5]。兄の一二三によれば、妹は非常に熱心で妹の方が強くなると道場の関係者に期待されていたという[6]。一方、小学生時代はそれほど本格的に練習に取り組むことはしていなかったとも言われている。小学校4年の時からは兄と一緒に夙川学院中学校・高等学校の柔道部監督を務める松本純一郎の指導も受けることになったが、車から出てこなかったり、道場の入り口付近の壁にへばり付いて駄々をこねまくるなど頻繁に練習を嫌がっていた。柔道に積極的に取り組む向上心旺盛な兄とは正反対の態度を取り続けていたものの、兄よりもセンスのある天才肌という評価を受けていたこともあって、小学校5年の時には全国小学生学年別柔道大会40kg級に出場を果たすが、2回戦で敗れた[2][5][7]。6年の時には45kg超級に46kgながら出場するも、初戦で80kgほどある相手に小外刈であっけなく敗れた。この敗戦を機に闘争心に火が点いたという[2]。なお、小学校4年から3年連続で後に友人となる素根輝と対戦したことがあったものの、軽くひねりつぶされたという[8]

中学時代[編集]

夙川学院中学に入学すると、小学生までとは違って練習にも真面目に取り組むようになった[2]。1年の時には全国中学校柔道大会52kg級に出場するが3回戦で大成中学3年の武田亮子に合技で敗れた。2年の時には決勝まで進むも田島中学3年の富沢佳奈に合技で敗れて2位だった[1]。3年の時には全日本カデの決勝で埼玉栄高校1年の富沢と対戦すると、内股で一本に近い技ありを先取しながら 合技で逆転負けを喫して2位に終わった[9]。全国中学校柔道大会では決勝でバルセロナオリンピック71kg級金メダリストの古賀稔彦の娘である東橘中学3年の古賀ひよりを内股の有効で破って優勝を飾った[1]全日本ジュニアでは準決勝で三井住友海上前田千島腕挫十字固で敗れるが3位となり、中学生ながらシニアの全国大会である講道館杯に出場するも、2回戦で富沢に技ありで敗れた[1]

高校1年[編集]

2016年には夙川学院高校に進学すると、1年の時には4月の全日本カデ決勝で大成高校1年の河端風を指導2で破って優勝を飾った[10]。8月のインターハイでは初戦で広島皆実高校3年の島谷真央と対戦すると、河津掛を仕掛けたとみなされて反則負けを喫した[2]。この敗戦には非常にショックを受けて、今までやってきたことが全て間違いだったような気分にまで陥ったものの、兄の一二三に叱咤激励されたことで立ち直ることができた。これを契機に心の持ちようが劇的に変化すると、驕り高ぶった気持ちも消えて、県予選レベルから大きな大会に至るまでぶれない気持ちを持続させることができるようになったという[11][12]。9月の全日本ジュニアでは準決勝で大成高校3年の武田亮子に大外返で敗れて3位だった[13]。11月の講道館杯では準決勝で了徳寺学園職員の角田夏実に腕挫十字固で敗れるも、高校1年ながら3位入賞を果たした[14]。12月には初のシニアの国際大会であるグランドスラム・東京に出場すると、史上最年少の16歳141日で決勝まで進むが、角田に腕挫十字固で敗れて優勝はならなかった。なお、兄の一二三は優勝したことにより、兄妹でのメダル獲得となった[5][15]。2017年2月のグランプリ・デュッセルドルフでは準々決勝で了徳寺学園職員の志々目愛を内股で破ったのをはじめ全試合に一本勝ちして決勝まで進むと、フランスのアマンディーヌ・ブシャールを内股の技ありで破って優勝を飾り、IJFワールド柔道ツアーを史上最年少の16歳225日で制することとなった[16][17]。この際に全日本女子代表監督の増地克之は次のように語った。「プレッシャーがかかる場面で力を発揮できる。スター性を感じた」「課題はありますけど何か周りを引き付けるものを持っている。期待も込めて谷亮子選手のようになってもらいたい」[5][18]。3月の全国高校選手権個人戦では準々決勝までの3試合を寝技で一本勝ちすると、準決勝は指導2による勝利だったものの、決勝では新田高校2年の児玉風香を開始早々の袖釣込腰で破って優勝した。翌日の団体戦では決勝の大成高校戦で反則勝ちを収めるなど全試合に勝利してチームを優勝に導いて最優秀選手に選出された。これにより個人戦との2冠を達成した[19][20][21]。寝技師で有名な舟久保遥香のいる富士学苑高校で寝技修業を積んだ成果も今大会で現れた[11][22]

高校2年[編集]

2年の時には4月の体重別に初出場した。前日に兄が優勝していたことで兄妹優勝を期待されていたものの、準決勝で過去2戦2勝の志々目に指導2でリードしながら内股の技ありで逆転負けを喫して3位に終わり、高校2年での世界選手権代表入りはならなかった[23][24]。7月の金鷲旗では決勝の南筑高校戦で先鋒の古賀若菜に優勢勝ちすると、続く3人に一本勝ちするなど4人抜きの大活躍を果たすも、相手大将の素根輝に横四方固で敗れた。その後他のメンバーも次々と素根に敗れて、結果、素根一人に5人全員が一本負けして2位に終わった。監督の松本は試合前の予想で南筑高校と対戦した場合は5人全員が素根に敗れるのではないかと懸念していたが、その通りの結果になった[25][26][27]。8月のインターハイ個人戦ではオール一本勝ちで優勝した。この際に監督の松本は「高校生のできる柔道じゃない。心も体も技も別人になった」と評価した。本人は「東京五輪は絶対に自分が出ると心に決めている。次はシニアで日本一を目指します」とコメントした[28]。9月にはジュニア交流大会に出場してオール一本勝ちで優勝した[29]。10月の国体では兵庫県チームの一員として出場して2戦2勝ながら、チームは準々決勝で地元の愛媛県チームに敗れて5位だった[30]。続く世界ジュニアでは準々決勝までの3試合を一本勝ちすると、準決勝ではモンゴルの選手に試合終了と同時に反則勝ちした。決勝では前田千島を技ありで破って優勝した[31][32][33]。初開催となった男女混合による団体戦では準々決勝のカザフスタン戦のみの出場となったが一本勝ちすると、その後チームも優勝を果たした[34]。11月の講道館杯では3回戦で龍谷大学1年の武田亮子に指導2勝ちだったが初戦と準決勝を一本勝ちすると、決勝では福岡大学3年の立川莉奈をGSに入ってから大外落の技ありで破って今大会初優勝を飾った。兄と同じく高校2年で今大会を制することになった。この際に、「(世界チャンピオンとなった志々目や世界2位の角田に対して)絶対に負けない自信がある。向かっていくだけ。(東京五輪で)きょうだいそろって金メダルを取ります」と語った[35][36]。12月のグランドスラム・東京では準々決勝で世界チャンピオンの志々目を浮落の技あり、準決勝ではブシャールから技あり2つを取ってそれぞれ優勢勝ちすると、決勝では立川を背負投で破って、66kg級で優勝した兄の一二三との兄妹優勝を果たした。この際に、「今年一番うれしい。きょうは100点」「次は世界選手権で、兄と二人で優勝したい」とコメントした。なお、今大会に勝たないとその先の道が絶対にないと考えていた中での優勝だったので、自分にとって初めてウルっときた、解放感を味わうことになった試合だったと後に振り返った[11][37][38][39][40]。2018年2月のグランドスラム・パリでは最初の2戦をともに10秒以内で勝利すると、準々決勝でコソボのディストリア・クラスニキ、準決勝でベルギーのシャルリーヌ・ファンスニックをそれぞれ合技で破った。決勝では地元のブシャールにGSに入ってから反則勝ちするなどオール一本勝ちして優勝を飾った[41][42]。高校選手権個人戦の県予選にはエントリーしなかったが、団体戦ではチームの優勝に貢献した。続く本選の高校選手権団体戦には出場しなかったが、チームメイトの金知秀などの活躍により2連覇を果たした[43][44]

高校3年[編集]

3年の時には4月の体重別準決勝で、過去2戦2敗だった角田に巴投げでまたも敗れて3位にとどまった。この際に、「まだ(結果を)受け止められていない」「苦手意識はあった。(相手の巴投げを)受けられると思っていたが甘かった」とコメントした[45]。しかし、世界選手権代表には志々目に続いて選ばれた。代表監督の増地は阿部を選出した理由を次のように説明した。「選考大会4試合のうち3大会で優勝している。さらに、国際大会で海外選手との戦いに負けていない。そこで角田選手よりも優勢だった」。これにより、66kg級で代表に選ばれた兄の一二三とともに兄妹での世界選手権出場となった。過去に兄弟での世界選手権同時出場はあったが、兄妹での同時出場は史上初となる[46][47]。5月のグランプリ・フフホトでは決勝で地元中国の呉樹根崩上四方固で破ったのをはじめ、オール一本勝ちで優勝した[48][49]。6月には兄に続いてJOCネクストシンボルアスリートに選ばれた[50]。なお、世界選手権に専念するため、7月の金鷲旗と8月のインターハイの出場を取り止めた[51]。8月の強化合宿の際には元世界チャンピオンの中村美里が現役復帰してくることについて次のようにコメントした。「あの中村さんが完全復帰となると正直怖い。出来れば、(復帰は)東京五輪が終わってからにしてほしい…」[52]。インターハイには当初出場する予定はなかったものの、高校最後の大会となることから監督の松本に出場を直訴して、団体戦に出場する運びとなった。3回戦から出場すると、決勝の敬愛高校戦で3階級上となる個人戦70㎏級3位の多田純菜を技ありで破るなど、3勝1分の活躍でチームの24年ぶりの優勝に貢献した[53][54]。9月の世界選手権では準決勝でブシャールを開始早々の腕緘で破ると、決勝では世界チャンピオンの志々目をGSに入ってから内股で破るなど5試合オール一本勝ちで優勝した。自らが勝利した直後に兄の一二三も優勝したことから、史上初の兄妹同時優勝を達成した。試合後のインタビューでは次のように語った。「自分の進化、成長をアピールできた。ここまでやってきたことは間違いないと確信を持てた。(初の世界選手権は)普通の国際大会と変わらなかった。緊張はしたけど、雰囲気にのまれなかった。」「自分が先に優勝してうれしかったが、お兄ちゃんの優勝もうれしかった」「(五輪に)また一歩近づいた。このまま突っ走っていく」。なお、18歳69日での優勝はダリア・ビロディドの17歳345日、田村亮子の18歳27日に次ぐ記録ともなる。また、国際大会デビュー戦となった2016年3月のチューリンゲンカデ国際以来、外国選手に無敗の34連勝となった[4][11][55][56][57]。加えて、今大会で兄妹優勝したことにより、66㎏級の兄と同時に世界ランキング1位になった[58]。10月には兄に続いて、オリンピック60kg級で3連覇を達成した野村忠宏が設立した「Nextend(ネクステンド)」とマネジメント契約を結んだ[59]。なお、どんな大会でもしくじりは許されない気持ちでやってきたことで精神面が強化された結果、世界チャンピオンにまでなったことで、『どうやったら自分が負ける』、『誰に負けるの?』というほど強い自信を抱くようになったという。続いて、「誰もがしたことがないようなことをしていきたい。お兄ちゃんとオリンピックで優勝したらまた1つ歴史を作れる」と意気軒昂に語った[12]。また、世界選手権で優勝して周囲から兄に追いついたねと言われるも、自分の中では「追いついてもいないし、追い越してもいない」。兄がいつも先鞭を付けてくれたからこそ強くなれたと考えている[60]。11月のグランドスラム・大阪では準決勝で志々目を開始早々の内股すかしで破ると、決勝では過去3戦全敗の角田にGSに入ってから反則勝ちするなどオール一本勝ちで優勝した。今大会は全く緊張せず、角田対策の成果も現れた。代表監督の増地も、「大人の柔道。勝ちに徹したのを感じた」と評価した。世界選手権と今大会に勝ったことで、規定により2019年の世界選手権代表に内定した[60][61][62]。2019年2月にはかねてから待望していた北海道への修学旅行に参加すると、3月には夙川学院高校を卒業した。在籍していたグローバルアスリートコースの担任は、阿部が一番強いとの理由で3年間クラス会長の役に就かせ続けた。「気付いたらクラスの中心にいるような子でした。みんなに呼びかけてやらせる会長ではなくて、率先して何でもやるから、みんなが付いていく。そんな会長やったと思います」。また、勉強にもきちんと取り組むため3年間最前列の指定席に座り続けたという。一方で本人は、「(東京オリンピックは)本当に国民の全員が期待している試合。必ず私が出て、優勝するよう心に決めている」と語った[63][64][65]。なお、グランドスラム・エカテリンブルグに出場予定だったが、左肩関節挫傷により出場を回避した[66]

大学1年[編集]

4月からは兄の一二三と同じく日体大へ進学した。この際に新元号にちなんで、「令和で一番活躍できるようにもっと強くなりたい」と語った[1][67][68]。体重別はすでに世界選手権代表が内定していたため出場しなかった。大会後、正式に代表が決まった[69]。今年最初の大会となった5月のグランプリ・フフホトでは、決勝でスイスのエヴリネ・チョップを内股で破るなど全て一本勝ちして2連覇した[70][71]

世界ランキング[編集]

IJF世界ランキングは5900ポイント獲得で2位(19/4/22現在)[72]

世界ランキングの年度別変遷
2016年 2017年 2018年
順位 50 11 2

(出典[1]JudoInside.com)。

人物[編集]

  •  当初、母親は娘を「ななみ」と名付けようと考えていた。しかし、「ななみ」をありきたりの名前だとみなして受け付けなかった父親が、生まれたばかりの我が子の顔を見るなり、「この子は詩や!」と鶴の一声で「詩」と決めた。本人は覚えてもらいやすいと自分の名前を気に入っているものの、兄の「一二三」の方がインパクトのある名前だと自覚している[5]
  •  負けず嫌いで何でも一番になりたい性格だと自己分析している。また、周囲から期待されるのが好きで、大勢いる中でやる方が力を出せるタイプだという[73][74][75]
  •  最初のうちは大会で3位になってもそれでいいや程度にしか思っていなかったが、優勝を積み重ねる兄ばかり褒められるのを見て羨ましくなり、トップを極めたいと思うようになった[75][76]
  •  「怪物」になりたいと思っている。見る者全てに、「阿部詩は怪物だ」、「阿部詩はおかしい」と言われるくらい強くなりたいという。「怪物」というのは単に強いとか凄いとかではなく、言葉で表せないぐらいの人になりたいという意味を込めて言っている。東京オリンピックで優勝したら「怪物」になれるという。最終的には、「柔道といえば阿部詩」と言われるくらいの存在になりたいと考えている[74][77][78][79]
  •  とある大会で優勝した時にバナナ模様の靴下を履いていたことから、それ以来試合に出場する際は毎回必ずバナナ模様の靴下を身に着けるようになった[80]
  •  2020年の東京オリンピックに兄の一二三と兄妹代表になれば同じ日の試合に出場することになるので、兄妹同時金メダルの獲得を狙っている[60][81]。加えて、オリンピック柔道競技で日本の女子選手は全7階級のうち52㎏級のみ金メダルを獲得していないので、東京オリンピックでは自分が第1号になるつもりでいる[5]
  •  柔道界では6歳年上の田代未来とおない年の素根輝と仲が良い。田代は生意気な自分をかわいがってくれるカッコいいお姉さん的存在で、いつも後ろを付いて回っている。中学2年の時にカデ合宿がきっかけで仲良くなった素根とは2人だけしかできない会話をよく交わす[8][74]
  •  国内のライバルである志々目愛と角田夏実は自身を凄く苦しめる存在であると同時に、凄く強くしてくれる存在だという。自身が試合に勝ってもこの2人もどこかで必ず勝ってているので、ホッとすることもできず心底喜べない状況が続いているものの、この両者の存在こそが日々の練習を駆り立てるモチベーションともなり、今の自分の強さに繋がっていると語った[79]
  •  好きな芸能人はイモトアヤコ[60]

柔道スタイル[編集]

右組からの内股と袖釣込腰を最も得意とする[1][2]。とりわけ袖釣込腰に関しては、阿部詩と言えば袖釣込腰だと言えるほど自信を有しているし、周囲もそうみなすだろうと考えている。本人も自認しているように、体幹の強さを活かした爆発的な瞬発力から繰り出される豪快な立ち技を特徴としている。小学生まではあまり練習にも取り組まず、柔道センスだけを頼りに見よう見まねで技を覚えていたが、中学以降は本格的に取り組むことで結果が伴ってきた。また、兄の一二三が試合で繰り出す袖釣込腰や大外刈などを観察して、「詩日記」と呼ばれるノートに学習内容を書き留めると、それを自己流にアレンジして自分のもにしていった[5][2][82][83]。細かい組手技術に拘ると技が出なくなるタイプなので、自分の体に染みついた感覚で技を繰り出すことを心掛けている[75]。代表争いを勝ち上がるため技の幅を広げようと中学3年くらいから寝技にも積極的に取り組み始め、隅返からの寝技への移行をヒントに自己流にアレンジした回転式の腕緘を得意技にしていった。また、抑込技での一本勝ちも少なくない[1][2][11][84][85]。何も考えず愚直に前へ出る柔道を持ち味にしているが、苦手の角田相手にそのスタイルで対峙すると相手の戦略に嵌ってしまうと考えて、攻めるべき場面と守るべき場面をきっちり使い分ける頭を使った柔道を、世界チャンピオンになってからは心がけるようになった。また、高校2年までは自分の勝った試合しかYoutubeで見なかったが、その後は角田に負けた試合も敢えて見ることで課題を探り出して、それを練習で克服するように努めている[60][86]。なお、高校ではウェートトレーニングを一切行っていないという[87]

戦績[編集]

(出典[1]JudoInside.com)。

対外国人選手の連勝記録[編集]

国際大会デビュー戦となった2016年3月のチューリンゲンカデ国際1回戦から40連勝中。

連勝数 ラウンド 対戦相手 内容
チューリンゲンカデ国際 (2016年3月19日) 優勝
1 1回戦 ウィール(ドイツ) 一本勝ち(袖釣込腰)
2 2回戦 タバ(ブラジル) 一本勝ち(上四方固)
3 3回戦 ザクホバ(チェコ) 一本勝ち(合技)
4 準々決勝 マカロフ(ドイツ) 一本勝ち(合技)
5 準決勝 ベルアリ(カナダ) 一本勝ち(合技)
6 決勝 バルハウス(ドイツ) 一本勝ち(上四方固)
グランドスラム・東京 (2016年12月3日) 2位(準決勝は立川に一本勝ち(大外刈)、決勝は角田に一本負け(腕挫十字固)
7 2回戦 ワラシハ(タイ) 優勢勝ち(有効)
8 3回戦 ネト(フランス) 一本勝ち(袖釣込腰)
9 準々決勝 クォン(韓国) 一本勝ち(合技)
グランプリ・デュッセルドルフ (2017年2月17日) 優勝(準々決勝は志々目に一本勝ち(内股))
10 2回戦 ベザレル(イスラエル) 一本勝ち(大外刈)
11 準決勝 フロリアン(ルーマニア) 一本勝ち(内股)
12 決勝 ブシャール(フランス) 優勢勝ち(技あり)
ジュニア交流大会 (2017年9月6日) 優勝(準決勝は児玉に一本勝ち(大外刈)、決勝は古川に一本勝ち(腕挫十字固))
13 2回戦 ムンフジャルガル(モンゴル) 一本勝ち(横四方固)
世界ジュニア (2017年10月19日) 優勝(決勝は前田に優勢勝ち(技あり))
14 2回戦 ベテセングエ(カメルーン) 一本勝ち(腕緘)
15 3回戦 テミクバ(イスラエル) 一本勝ち(上四方固)
16 準々決勝 ペレシャン(アゼルバイジャン) 一本勝ち(内股)
17 準決勝 ベシュレト(モンゴル) 反則勝ち
世界ジュニア団体戦 (2017年10月22日) 優勝(準々決勝のみの出場)
18 準々決勝 カルチイバ(カザフスタン) 一本勝ち(袈裟固)
グランドスラム・東京 (2017年12月2日) 優勝(準々決勝は志々目に優勢勝ち(技あり)、決勝は立川に一本勝ち(背負投))
19 2回戦 アザヤ(モンゴル) 一本勝ち(袖釣込腰)
20 3回戦 ペレイラ(ブラジル) 優勢勝ち(技あり)
21 準決勝 ブシャール(フランス) 優勢勝ち(技あり)
グランドスラム・パリ (2018年2月10日) 優勝
22 2回戦 バレンティン(フランス) 一本勝ち(袖釣込腰)
23 3回戦 イオニタ(ルーマニア) 一本勝ち(内股)
24 準々決勝 クラスニキ(コソボ) 一本勝ち(合技)
25 準決勝 ファンスニック(ベルギー) 一本勝ち(合技)
26 決勝 ブシャール(フランス) 反則勝ち
グランプリ・フフホト (2018年5月25日) 優勝
27 2回戦 ビシェルト(モンゴル) 一本勝ち(内股)
28 3回戦 ジャン(韓国) 一本勝ち(腕緘)
29 準決勝 デルガド(アメリカ) 一本勝ち(合技)
30 決勝 呉(中国) 一本勝ち(崩上四方固)
世界選手権 (2018年9月21日) 優勝(決勝は志々目に一本勝ち(内股))
31 2回戦 ピエンコウスカ(ポーランド) 一本勝ち(袖釣込腰)
32 3回戦 コッシャー(スイス) 一本勝ち(袖釣込腰)
33 準々決勝 ペレイラ(ブラジル) 一本勝ち(舟久保固)
34 準決勝 ブシャール(フランス) 一本勝ち(腕緘)
グランドスラム・大阪 (2018年11月23日) 優勝(準決勝は志々目に一本勝ち(内股すかし)、決勝は角田に反則勝ち)
35 2回戦 ツィオリニリナ(マダガスカル) 一本勝ち(袖釣込腰)
36 準々決勝 朴多率(韓国) 反則勝ち
グランプリ・フフホト (2019年5月24日) 優勝
37 2回戦 ジャン(韓国) 一本勝ち(合技)
38 準々決勝 グイカ(カナダ) 一本勝ち(内股)
39 準決勝 プリモ(イスラエル) 一本勝ち(合技)
40 決勝 チョップ(スイス) 一本勝ち(内股)

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.com等)。

有力選手との対戦成績[編集]

(2019年6月現在)

対戦成績
国籍 選手名 内容
日本の旗 志々目愛 5勝1敗
日本の旗 角田夏実 1勝3敗
フランスの旗 アマンディーヌ・ブシャール 4勝
ベルギーの旗 シャルリーヌ・ファンスニック 1勝
コソボの旗 ディストリア・クラスニキ 1勝

(参考資料:ベースボールマガジン社発行の近代柔道バックナンバー、JudoInside.com等)。

表彰[編集]

  • 2018年 ー 関西スポーツ賞[88]
  • 2019年 ー 関西スポーツ賞[89]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 「柔道全日本強化選手名鑑 2019」近代柔道 ベースボールマガジン社、2019年4月号
  2. ^ a b c d e f g h 「解体新書 阿部詩」近代柔道 ベースボールマガジン社、2017年2月号 32-35頁
  3. ^ 「解体新書 阿部一二三」近代柔道 ベースボールマガジン社、2015年2月号
  4. ^ a b 阿部兄妹が初の同時V!一二三「2連覇より兄妹での優勝が目標だった」 世界柔道 サンケイスポーツ 2018年9月21日
  5. ^ a b c d e f g 阿部詩、一二三の妹からYAWARA2世へ デイリースポーツ 2017年4月20日
  6. ^ 「解体新書 阿部一二三」近代柔道 ベースボールマガジン社、2015年2月号 28頁
  7. ^ 東京五輪のホープ、阿部詩は「天才」 恩師の松本純一郎さん「もうひと回り強くなる」と太鼓判 産経新聞 2018年5月31日
  8. ^ a b 柔道界最強、素根と阿部 仲良しJK語り尽くす 47NEWS 2019年3月2日
  9. ^ 「全日本カデ柔道体重別選手権大会」近代柔道 ベースボールマガジン社、2015年6月号 61頁
  10. ^ 柔道全日本カデ体重別 村上が初優勝 男子73キロ級
  11. ^ a b c d e 【柔道】18歳の阿部詩、初代表で世界女王 連覇狙った志々目破る 産経新聞 2018年9月22日
  12. ^ a b 「お兄ちゃんだなぁ」 阿部詩、挫折から救った兄・一二三の言葉」 世界柔道
  13. ^ 平成28年度全日本ジュニア柔道体重別選手権大会
  14. ^ 平成28年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
  15. ^ 阿部一二三の妹・詩は健闘の2位「もっと強くなりたい」/柔道 サンケイスポーツ 2016年12月2日
  16. ^ 16歳阿部詩、史上最年少で優勝…柔道GP女子 読売新聞 2017年2月25日
  17. ^ 柔道国際大会 女子52キロ級で16歳の阿部が優勝 NHK 2017年2月25日
  18. ^ 詩よヤワラちゃんになれ!増地監督が勝負強さ絶賛 スポーツ報知 2017年2月28日
  19. ^ 阿部詩 高校日本一「気持ち晴れた」豪快一本!初出場で初優勝 スポーツニッポン 2017年3月20日
  20. ^ 夙川学院・阿部詩、兄・一二三超えの2冠「自慢します」 スポーツ報知 2017年3月20日
  21. ^ 第39回全国高等学校柔道選手権大会
  22. ^ 阿部詩は田村亮子の再来「お兄ちゃんと一緒に金」 - 柔道 日刊スポーツ 2017年3月30日
  23. ^ 平成29年全日本選抜柔道体重別選手権大会
  24. ^ 阿部詩、涙の敗退 兄妹アベック代表ならず - 柔道 日刊スポーツ 2017年4月2日
  25. ^ 大会直前監督インタビュー(女子)
  26. ^ 柔道・金鷲旗
  27. ^ 南筑の素根、圧巻の決勝5人抜き「気持ちが結果につながった」/柔道 サンケイスポーツ 2017年7月23日
  28. ^ 【高校総体】阿部一二三の妹・詩、オール一本で初優勝「ホッとしました」 スポーツ報知
  29. ^ 日本は阿部らが優勝=柔道日ロジュニア 時事通信 2017年9月7日
  30. ^ “一二三の妹”阿部詩、国体でも衝撃12秒一本勝ち デイリースポーツ 2017年10月10日
  31. ^ 女子52キロ阿部詩、57キロ舟久保遥香がV 柔道 日刊スポーツ 2017年10月20日
  32. ^ Junior World Championships 2017, Zagreb - DAY TWO
  33. ^ World Championship Juniors 2017
  34. ^ Word Junior Championship Teams 2017
  35. ^ 柔道 講道館杯 女子52キロ級 17歳の阿部詩が初優勝 NHK 2017年11月12日
  36. ^ 阿部詩、兄妹制覇!東京五輪も「そろって金」/柔道 サンケイスポーツ 2017年11月13日
  37. ^ 柔道 グランドスラム東京 阿部兄と妹がそろって優勝 NHK 2017年12月2日
  38. ^ 阿部詩「100点」=柔道グランドスラム東京 時事通信 2017年12月2日
  39. ^ Grand Slam Tokyo 2017
  40. ^ 【インタビュー vol.1】柔道 阿部 詩「18歳 たびだちの詩(うた)」
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外部リンク[編集]