再選挙
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再選挙(さいせんきょ)は、当選者がいない、または得票数が足りない場合であって繰り上げ当選等の方法で補充できないために、再度選挙を行うこと。以下では主に、日本の選挙における再選挙について記述する。
再選挙の発生原因[編集]
総説[編集]
日本の選挙では、繰上補充で候補者が補充することができずに、法定得票に達する候補者がなく、または不足した場合、立候補者が定員に満たない場合等の事由により当選人がなく、あるいは当選人の数が定員に満たない場合、当選人が死亡した場合、当選人が当選を定められた後当選を失った場合[1]、選挙無効や当選無効の判決、裁決、決定が確定する結果当選人がいなくなったり定員に満たなくなった場合、総括責任者等の選挙違反でいわゆる連座制により当選が無効となった場合、当選人が選挙違反をして当選人の当選が無効となった場合に行う。
ただし、衆議院比例代表選出議員、参議院比例代表選出議員、地方議会の議員の場合にあっては、選挙無効の判決、裁決、決定が確定した場合を除いて、このことによって欠ける定員が補欠選挙の事由が発生する事由と同じ定員不足に至った場合に限る。参議院比例代表選出議員の場合において、任期を異にする参議院比例代表選出議員の選挙が行われる場合や、地方議会においてはその選挙区で同じ地方公共団体の他の選挙が行われる場合は、当選人の不足数にかかわらず再選挙を実施する。
ただし、任期満了6月前[2]の場合は再選挙を実施しない。
再選挙の発生原因は、選挙の対象となる公職によって異なっている。
- 衆議院小選挙区選出議員・参議院選挙区選出議員・地方公共団体の長 公職選挙法109条
- 衆議院比例代表選出議員・参議院比例代表選出議員・地方公共団体の議会の議員 公職選挙法110条
日本以外の国では、再選挙の代わりに上位候補による決選投票制を導入している場合もある。
再選挙の期日[編集]
国政選挙において、当選人がないことや定員に満たなかった場合、あるいは選挙無効訴訟の結果選挙無効となった場合は原則としてその事由が発生した日から40日以内に、その他の場合は統一補欠選挙と同日に実施することとなる。
地方選挙の場合は、原則としてその事由が発生した場合は50日以内に実施する(公職選挙法34条[3])。
なお、再選挙を実施する場合であっても、選挙無効訴訟等が係属中の期間は実施しない。
再選挙の実例[編集]
法定得票に達する候補者がなく、または不足した場合にも再選挙が行われることになるが、再選挙の立候補資格は通常の選挙と変わらず、元の選挙の候補者はもちろん、新たに立候補することもできる。そのため、形の上では永遠に再選挙が繰り返される危険性があり、これを避けるため法定得票の基準は外国に比べ緩くなっていると言われている。
- 国政選挙
- 史上最多の候補者が乱立した1946年衆院選で、2議席分(東京2区と福井全県区の最下位当選枠各1名分)が法定得票に達せず、再選挙となった(この時、東京2区では広川弘禅・福井全県区では堂森芳夫がそれぞれ当選)。
- 1954年「奄美群島復帰に伴う暫定措置法に基く選挙」(旧・奄美群島区)で再選挙になっている(保岡武久が当選)。
- その他、選挙無効の判決が確定した場合も再選挙を行うことになっており、現憲法下においては一部無効による再選挙の実例がある。1949年衆院選の新潟2区のうち七谷村において選挙事務の大部分を首長部局に一任し選挙管理委員会が選任する立会人による立ち会いが行われなかったこと等を理由として一部選挙無効となり1950年10月に再選挙が行われた事例や1953年参院選の全国区において、栃木県佐野市の投票所で候補者の所属する党派名を誤記したことにより、同年10月に佐野市で再選挙が行われた事例がある。
- 最近の再選挙の施行例としては、学歴詐称で選挙違反として議員の当選が無効となったことを理由として、1994年9月11日に行われた参議院愛知県選挙区における事例が存在する。なお、選挙違反や連座制の適用に関しては、判決が確定する前に議員が自発的に辞任することがあり、補欠選挙として行われることがある。
- 地方首長選挙
- 公職選挙法施行以降では、法定得票に達する候補者がなく再選挙となった例は、1979年4月の千葉県富津市長選、1992年2月の奈良県広陵町長選、2003年4月13日の北海道札幌市長選、2007年4月22日の宮城県加美町長選、2017年1月29日の鹿児島県西之表市長選、2017年11月26日の千葉県市川市長選の6例がある。
- 当選人死亡で再選挙となった例としては、1992年4月26日の栃木県鹿沼市長選がある(再選を果たした候補が投票日の翌日に死亡)。
- 選挙無効判決で再選挙になった例としては、1975年6月29日の埼玉県加須市長選がある(埼玉県加須市長選挙無効事件)。
- 地方議会議員選挙
- 1971年4月の大阪府議会議員選挙河内長野市選挙区で定数1に対して6人立候補、5月投票の再選挙(5人立候補)でも法定得票数に達せず、6月の再々選挙で当選人が決まった。再々選挙での立候補者は3人[8]。
- 2007年4月の東京都昭島市議会議員選挙で、定数24に対して23人しか法定得票に到達せず、残り1議席に限り再選挙を実施した。
- 2011年4月の千葉県議会議員選挙浦安市選挙区で、東日本大震災の被害の復旧の優先を理由に市の選挙管理委員会が選挙事務を行わず、投開票ができなかったため、当選者がおらず再選挙となった。
- 2018年11月の群馬県昭和村議会選挙で、定数12に対し立候補者が9人しかおらず[9]、残り3議席を対象とした再選挙が2019年1月に行われた(3人立候補し無投票で当選)。
脚注[編集]
- ^ 比例代表選挙で当選人が当選が定められた後に所属政党等を他の届出政党等に異動して失格したり、その他就職禁止の職に就任して所定の期日までその職を辞さなかったり、地方公共団体において請負等の関係にあって所定の期日までその関係を解消しない場合
- ^ 地方議会の場合議員定数の欠員が3分の1超の場合を除く
- ^ 公職選挙法 - 法庫 houko.com
- ^ 平成4年2月2日執行 広陵町長選挙結果 広陵町選挙管理委員会 (PDF)
- ^ 選挙に関する不服申立て - 選挙コンサル
- ^ 第5回補充立候補制度等のあり方に関する研究会 14頁 (PDF) - 総務省
- ^ 平成5年8月8日執行 広陵町長選挙結果 広陵町選挙管理委員会 (PDF)
- ^ “市川市長選 再選挙 1月14日投開票は再協議”. 東京新聞. (2017年11月30日) 2017年11月30日閲覧。
- ^ 群馬・昭和村議選、定数割れで再選挙へ 県内の市町村議選で戦後初(産経新聞、2018年11月27日)