養老鉄道養老線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。210.149.120.123 (会話) による 2012年5月26日 (土) 00:33個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎利用状況)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

養老鉄道養老線
養老線の列車
養老線の列車
養老線の列車
路線総延長57.5 km
軌間1067 mm
電圧1500 V(直流
最大勾配 25 パーミル
最小半径160 m
最高速度65 km/h
STR
JR東海関西本線
STR STR
近鉄名古屋線
STRrg KRZu STRq KRZu
三岐鉄道北勢線
STR
西桑名駅
exSTRrf
0.0 桑名駅
eABZrf STR
桑名電軌
STRrf STR STR
STRq KRZu ABZrf
ABZrg STRrf
DST
0.7 東方駅
BHF
1.6 播磨駅
BHF
4.0 下深谷駅
BHF
6.6 下野代駅
BHF
8.6 多度駅
eGRENZE
三重岐阜県境
BHF
11.9 美濃松山駅
BHF
14.2 石津駅
BHF
16.2 美濃山崎駅
BHF
19.8 駒野駅
BHF
24.5 美濃津屋駅
BHF
28.8 養老駅
BHF
31.8 美濃高田駅
BHF
34.5 烏江駅
WBRÜCKE
牧田川橋梁 牧田川
BHF
36.0 大外羽駅
BHF
37.4 友江駅
BHF
39.4 美濃青柳駅
KRZu STRq
JR東海:東海道新幹線
BHF KDSTa
41.2 西大垣駅
ABZrg STRrf
富吉検車区大垣車庫
STR
eBHF
42.2 新室駅 -1972
STRrg STRq STRrf
43.0 左:大垣駅
ABZdrl BHFq STRlg
44.1 右:室駅
eABZ3lf STRlg STR
JR東海:東海道本線
STR STR
樽見鉄道樽見線
STR eDST
44.5 四軒家駅
STRlf KRZu
BHF
45.4 北大垣駅
eBHF
河間駅 -1974
BHF
47.5 東赤坂駅
BHF
50.3 広神戸駅
BHF
51.9 北神戸駅
BHF
53.5 池野駅
BHF
54.4 北池野駅
BHF
55.2 美濃本郷駅
KBHFe
57.5 揖斐駅

養老線(ようろうせん)は、三重県桑名市桑名駅から岐阜県揖斐郡揖斐川町揖斐駅までを結ぶ養老鉄道鉄道路線

概要

揖斐川流域西側を縦断する路線で、岐阜県と三重県を直結する唯一の鉄道路線でもある。多度駅から美濃高田駅までは養老山地の麓を走る。沿線には多度大社養老の滝などの名所がある。

途中にあるJR東海道本線樽見鉄道乗り換え駅の大垣駅は、桑名方面と揖斐方面との線路が合流するスイッチバック形の配線となっている。地元では大垣 - 揖斐間を揖斐線と呼ぶ場合がほとんどであり、スイッチバックの配線もあって別路線だと思われていることも多い。実際、両線にまたがって運行される列車はなく、特に連絡をはかったりもしていない。なお、沿線住民においては、特に大垣市以北では養老線というと大垣駅以南を指すことが多く、地図ですらこの区別をしているものがある。

室駅東方にある、桑名方面(左側)と揖斐方面(右側)の分岐点。揖斐方面の少し奥に室駅ホームが見える

路線データ

西大垣駅に運転区と車庫が併設されており、当線業務の中核的存在となっている。

近鉄からの移管

養老線は、長らくの間、近畿日本鉄道(近鉄)によって運営されていた。しかし、貨物輸送の減少、国道258号の整備、少子化高齢化などで次第に経営状況が悪化していった。そのため、近鉄本体による運営継続を断念し、2007年2月14日に設立された養老鉄道(近鉄の子会社で第二種鉄道事業者)に同年10月1日付で同線の運営が移管された。この運営移管によって、岐阜県から近鉄が直接運営する鉄道路線が消滅することになった。ただし、線路や車両などの施設は近鉄が第三種鉄道事業者として引き続き保有している。

分社化と同時に駅名標が更新されたが、近鉄の駅名標の意匠を踏襲しながらも、ラインカラー(近鉄はマルーンとオレンジ)が緑とライムグリーンに変わっている。ただし、車両のカラーなどは当面近鉄時代のまま使われる模様である。

運行形態

全線を通して運転される列車はなく、スイッチバック式の大垣駅を境に運転系統が分かれている。すべて普通列車で、ワンマン運転を行っている。大垣駅以南では桑名 - 大垣間の列車がおおむね毎時2本運転されているが、昼間時間帯はうち1本が桑名 - 石津間運転の列車となる。大垣 - 揖斐間はおおむね朝と夕方以降は毎時3本、昼間は毎時1本の運転となっている。

かつて伊勢電気鉄道の時代には大神宮前駅伊勢神宮外宮前)まで本線の列車が直通しており、名古屋線が1067mm軌間の狭軌だった頃は名古屋線との直通運転列車があった。また1982年頃には、早朝の西大垣発大垣行き始発がそのまま揖斐行きになったこともあった。1959年(昭和34年)の伊勢湾台風の水害復旧の際に名古屋線は標準軌化されたが、養老線は大垣 - 桑名間を短絡する国鉄直通貨物輸送があったため標準軌化されなかった。

現在は優等列車の設定はないが、1983年までは桑名 - 養老間に急行列車が走っていた(途中停車駅は多度のみ)。大外羽駅は、1986年までは一部列車のみ停車していた。

また、近鉄時代より毎年1月に大垣 - 桑名 - 名古屋線宇治山田間に伊勢神宮初詣臨時列車が伊勢神宮初詣割引きっぷ購入者を対象とした団体列車として運行されているが、この列車は直通ではなく桑名駅で乗り換えとなっている。

利用状況

輸送実績

収入実績

営業成績

運賃・切符

普通券・回数券・定期券

  • 運賃は運営移管後別体系となったが、近鉄時代はローカル線の加算運賃が適用されていた。
  • 回数券は、養老鉄道移管時は近鉄と同様に、10枚分の価格で11回使用可能で有効期限は3か月であったが、2011年4月1日から、7枚綴りで片道運賃の7倍の7%引きで有効期間1か月に改定された。
  • 普通券・回数券は、非エンコード券(紙券)である。有人駅からの一部区間では硬券乗車券も発売されている。
  • 通勤定期は1・3・6か月定期の3種類がある。
  • 通学定期は1・3・6か月定期の3種類のほかに、年度ごとに期間が定められている1箇年通学定期を発売するようになった。
  • 自動券売機は一般的な食券発売用のものを転用したものとなっている。カード類(パールカードなど)、ICカードPiTaPaICOCATOICAなど)は使用できない。
  • 養老線内の駅員配置駅である大垣駅・養老駅では播磨 - 揖斐間とJR連絡のエンコード定期券、下深谷駅・多度駅・駒野駅・美濃高田駅・西大垣駅・揖斐駅では養老線内の相互駅間・非エンコード定期券の購入が可能なほか、硬券の入場券が常備されている。
  • 養老線と近鉄名古屋線(一部区間)、湯の山線内部線八王子線、JR線(大垣駅経由のみ)との間に連絡定期券が発売されているが、連絡乗車券の設定はない。また、1箇年通学定期の連絡定期券の設定はない。
  • 三岐鉄道北勢線との連絡乗車券は定期券を含め設定されていない。
  • 近鉄との連絡定期券は桑名駅を含む近鉄の駅のみ、JRとの連絡定期券はJRの駅と大垣駅、養老駅のみで購入可能である。
  • 大垣駅の養老鉄道とJR東海との連絡改札口では、JR東海道本線の自動改札機でICカードのTOICAが使用可能である。

養老線休日フリーきっぷ

土曜日および休日、春休み・夏休み・冬休み期間に、乗車当日限り養老線全線に何度も乗車可能な切符である。大人1000円・小人500円(近鉄時代と同一価格)で、養老線内の駅員配置駅(桑名駅・下深谷駅・多度駅・駒野駅・養老駅・美濃高田駅・西大垣駅・大垣駅・揖斐駅)にて販売されている。

運営移管時の乗車券等の扱い

養老線の運営主体が近鉄から養老鉄道に変更されたことにより、乗車券等については過渡的に下記の扱いを行なった。

  • 移管前に近鉄の駅で購入し、有効期限が残っている定期券については、養老鉄道移行後もそのまま使える。
  • 移管前に近鉄の駅で購入し、有効期限が残っている回数券については、養老鉄道移行後は使用できない。残券については近鉄の駅で無手数料にて払い戻しが可能である。
  • 近鉄全線乗り放題のフリー切符については、養老鉄道移行後は養老線内では使用できない。
  • 養老鉄道移管後も、近鉄線とまたがる区間を1枚の定期券で利用できる連絡定期券を発売するが、普通乗車券の連絡きっぷは発売しない。

使用車両

養老線はローカル線のため、現・近鉄吸収合併後は専用の新車が全く製造されず、近鉄狭軌線および名古屋線の中古車全般がかき集められ、バラエティに富んでいた。しかし、現在では幹線用統一規格通勤車が型落ちしてきたため、基本的には幹線と変わりなくなっており、転属元は軌間の同じ南大阪線か、桑名駅で接続している名古屋線で占められている。

現在の車両

過去の車両

伊勢電合併前の養老線オリジナル車両

近鉄発足前に製造された車両

近鉄発足後に製造された車両

車両基地

西大垣駅構内に所在。車庫内で車両の列車検査月検査を施工するが、定期検査(全般検査重要部検査)を行う施設が無いため、定期検査時は車両の台車を東方台車振替場(桑名)にて標準軌用仮台車に履き替え、電動貨車モト90形(モト94・96)に牽引されて塩浜検修車庫に回送した上で検査を実施する(正台車はモト94・96の荷台に積まれる)。

歴史

養老線は、立川勇次郎1911年(明治44年)に設立した初代の養老鉄道によって1913年に開業した(現在の養老鉄道とは直接的な関連はない)。その後、一時期揖斐川電気(現在のイビデン)への合併・分離を経て伊勢電気鉄道の傘下に入るが、再び分離の後、改めて参宮急行電鉄に合併されるという複雑な経過をたどった。この結果、過去に運営主体の会社名が8回変わっている。

岐阜延伸計画

近鉄および養老線の前身の養老電気鉄道と伊勢電気鉄道は、養老線の大垣駅から岐阜市へ至る新線建設に力を注いでいたこともあった。その支線として、安八郡結村(現・安八郡安八町) - 海津郡今尾町(現・海津市)も計画されていた。

戦前の計画

1927年(昭和2年)、大垣市を中心とした12市町村で西濃鉄道組合が設立され、岐阜 - 大垣の鉄道建設を計画する。その一方で、養老電気鉄道が1928年(昭和3年)に岐阜 - 大垣の鉄道建設を計画する。この2つの計画は統合され、1929年(昭和4年)に養老電気鉄道を吸収した伊勢電気鉄道により着手される。建設のための準備として、大垣と岐阜の間にある揖斐川長良川に架かる橋(揖斐大橋長良大橋)は、岐垣国道(現岐阜県主要県道31号線)との共用として1933年(昭和8年)に建設されていた。しかし、無理な拡張がたたり、破綻状態となり、新線の建設に着手できなかった。

戦後の計画

戦後、モータリゼーションによる交通量の増加に伴い、岐阜県は1957年(昭和32年)、橋梁の使用権が岐阜県にあることから、道路専用橋にすることを近鉄に申し出る。近鉄は名古屋、岐阜への進出を積極的に行っていたこともあり、この申し出に応じなかった。近鉄は1961年(昭和36年)、この長良大橋と揖斐大橋を利用して大垣 - 羽島の新線の建設を発表、東海道新幹線岐阜羽島駅との連絡線(桑名 - 大垣 - 岐阜羽島間三線軌条)[要出典]を打ち出した。当時の計画によると、養老線西大垣駅南から岐垣国道に並行し東進し、羽島市小熊から長良川沿いに岐阜羽島駅に至る、総延長12.5km。工費は50億円を予定していた。将来的には羽島市小熊 - 岐阜間を建設し、国鉄高山本線への乗り入れも考えており、実際に当時の高山本線の準急「こがね」などの岐阜羽島駅乗り入れ構想があった。しかし、岐阜羽島への路線建設は名古屋鉄道に免許が下りたため、近鉄の計画は消滅し、名古屋鉄道によって岐阜羽島駅の近くに羽島線新羽島駅が設置された。また、西濃鉄道組合も唯一の資産であった岐阜バス(名鉄系)の株式を各自治体に分配の上解散し、岐阜 - 大垣間の私鉄建設は幻と消えた。なお、岐阜羽島駅・大垣間の輸送は現在も近鉄系の名阪近鉄バスが担っているほか、2007年9月までは岐阜バスの岐垣線が、大垣から安八町結を経由し海津市までという、上記鉄道計画と大部分重複するルートを走っていた。

なお、近鉄では岐阜進出に関して他に、岐阜市の長良川ホテルを買収し、都ホテルチェーン長良川ホテルを展開していたこともあった。

運行継続問題

養老線は慢性的な赤字路線のため、2006年(平成18年)から、路線の運行継続に向けて沿線市町の金銭的支援の可否について、沿線市町と近鉄が協議を行ってきた。この協議の結果、両者間で以下の内容で合意した。

  • 近鉄は、養老線を分離するために近鉄100%出資の子会社「養老鉄道株式会社」(本社:西大垣駅内)を設立し、その子会社が養老線の運行に当たる。
  • 養老線の施設は従前通り近鉄が所有・管理し、「養老鉄道株式会社」は養老線の営業・運行のみを行う(広義の上下分離方式)。
  • 新会社による養老線運営移管は、2007年(平成19年)10月1日となる。
  • 各沿線市町は、2007年(平成19年) - 2010年(平成22年)にかけて、「養老鉄道株式会社」に対して下記の内容の支援を行なう。なお、2011年(平成23年)以降は路線の存廃の是非および支援内容について改めて協議する。
    • 2007年(平成19年)については、沿線市町が養老線の固定資産税分(110,230千円)を支援する。
    • 2008年(平成20年) - 2010年(平成22年)にかけて、沿線市町は各年度の赤字額の半分を支援する。ただし、支援額は年間3億円を上限とする。
    • 沿線市町の運営支援額の内訳・負担割合および算出根拠は下表の通りとする。
    • 沿線市町の負担割合は、均等割り50%、各沿線市町の養老線営業キロ割り20%、各沿線市町の養老線駅数割り20%、各沿線市町の人口割り10%を加味して決定する。

この結果、近鉄は中部運輸局に鉄道事業廃止届を提出、2007年4月20日に認可され、10月1日から新会社により運営が始まった。

沿線市町名 支援額負担
割合
上限額3億円
の場合の
負担額
(千円)
各市町内の
駅数
各市町内
営業キロ
各市町
人口
(人)
所在県
桑名市 17.54% 52,610 5 10.3km 140,420 三重県
海津市 17.10% 51,310 5 15.4km 40,668 岐阜県
養老町 13.23% 39,700 3 9.0km 33,694
大垣市 20.39% 61,180 7 12.7km 166,620
神戸町 11.66% 34,970 3 5.2km 20,682
池田町 11.33% 33,980 3 4.1km 24,580
揖斐川町 8.75% 26,250 1 0.8km 26,078
2011年度 - 2013年度の支援負担割合変更
上限3億円の負担金について、2010年まで沿線市町の負担割合を決める項目から人口割り10%を除いて、50%だった均等割りを60%にして計算する方針が固まっている[1]

駅一覧

  • 普通列車のみ運転、全列車が各駅に停車
  • 駅員が配備されている駅は*印を付ける
駅名 駅間キロ 営業キロ 乗降人員
-2008年-
接続路線 所在地
桑名駅* - 0.0 4,853人/日 近畿日本鉄道名古屋線
東海旅客鉄道関西本線
三岐鉄道北勢線西桑名駅
三重県桑名市
播磨駅 1.6 1.6 582人/日  
下深谷駅* 2.4 4.0 1,174人/日  
下野代駅 2.6 6.6 485人/日  
多度駅* 2.0 8.6 1,424人/日  
美濃松山駅 3.3 11.9 883人/日   岐阜県 海津市
石津駅 2.3 14.2 601人/日  
美濃山崎駅 2.0 16.2 181人/日  
駒野駅* 3.6 19.8 1,009人/日  
美濃津屋駅 4.7 24.5 316人/日  
養老駅* 4.3 28.8 638人/日   養老郡養老町
美濃高田駅* 3.0 31.8 1,032人/日  
烏江駅 2.7 34.5 982人/日  
大外羽駅 1.5 36.0 889人/日   大垣市
友江駅 1.4 37.4 541人/日  
美濃青柳駅 2.0 39.4 559人/日  
西大垣駅* 1.8 41.2 379人/日  
大垣駅* 1.8 43.0 8,790人/日 東海旅客鉄道:東海道本線
樽見鉄道樽見線
室駅 1.1 44.1 526人/日  
北大垣駅 1.3 45.4 398人/日  
東赤坂駅 2.1 47.5 374人/日   安八郡神戸町
広神戸駅 2.8 50.3 1,064人/日  
北神戸駅 1.6 51.9 665人/日  
池野駅 1.6 53.5 840人/日   揖斐郡池田町
北池野駅 0.9 54.4 579人/日  
美濃本郷駅 0.8 55.2 643人/日  
揖斐駅* 2.3 57.5 1,743人/日   揖斐郡揖斐川町

廃駅

  • 東方駅(ひがしかたえき、桑名駅から0.7km 桑名 - 播磨)
  • 新室駅(しんむろえき、西大垣 - 大垣)
    • 1937年 - 1952年に旅客営業開始
    • 1972年7月1日廃止
  • 四軒家駅(しけんや、室 - 北大垣)
    • 1922年6月25日開業
    • 1927年 - 1930年頃廃止
  • 河間駅(がまえき、北大垣 - 東赤坂)
    • 1920年6月1日開設
      • 日本電気製鉄所専用として
    • 1974年4月1日廃止

施設

軌道

軌条(レール)は、本線では37・40N・50PS・50Nが使用されている。PCマクラギ烏江駅前後の高架区間以外ほとんど用いられておらず、大半が木マクラギまたは鉄マクラギである。

分岐器・転轍器

転轍器は、本線においては電気転轍機と旧式の発条転轍機(列車の車輪で分岐器を転換させバネの力で復位させる)が使用される。

トンネル

石津駅付近にはトンネルが4か所存在し、すべて天井川をくぐるものである。

変電所

駒野変電所(整流器出力1500kW)、西大垣変電所(整流器出力1250kW)、広神戸変電所(整流器出力1200kW)の3箇所の変電所があり、ここから電力が供給されている。

桑名駅付近の名古屋線との交差部分には開閉所が設けられ、この開閉所を経由して名古屋線とき電線が接続されている。

電路設備

  • 架線シンプルカテナリー方式である。
  • 電柱の木柱からコンクリート柱への更新工事が進行中である。
  • 架線自動張力調整装置(テンションバランサー)が設置されている。
  • 高圧配電線(信号・踏切用の電源線)全線において単相3300V 1回線が架設されている。

信号・連動装置

養老線で使用される3位式2現示(Y・R)閉塞信号機(上下方向の信号機を背面に取り付け1本の柱で兼用している)
  • 常置信号機として、主信号機がすべて設置されている。
  • 信号機は、3位式2現示(黄色:Y、赤色:R)が採用されている。G(青色)がないのは、近鉄(養老鉄道・伊賀鉄道を含む)ではY信号の制限速度が65km/hとなっており、また当路線の最高速度も65km/hのためである。
  • 西大垣駅をのぞき、ARCまたはPRCによる進路制御を行っている。
  • 連動装置は、第一種継電連動装置または第三種継電連動装置となっている。

ATS

  • 多変周式・連続照査型の「近鉄型ATS」を採用している。車両が地上子からの信号を受信・記憶し、車両の速度を常時監視し、速度が超過した場合は直ちに非常ブレーキが動作するシステムになっており、原理上、車両の速度超過は起こり得ない。
  • ATSの速度制限段としては0・30・45・65km/hの4段となっている。
  • 急曲線・急勾配部分の速度制限箇所の一部には速度超過防止用ATSが備えられている。

踏切

その他

  • 西大垣車庫など、一部の駅施設の隣にイビデンの施設があるが、これは元々前述の揖斐川電気と同じ会社だった頃の名残である。

脚注

関連項目

外部リンク

  • 養老鉄道株式会社
  • 里山工房 - 養老線の車両が比較的新しい車両に統一される前の、バラエティ豊かな旧性能車の写真が多数掲載されている。