駅名標

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駅名標(えきめいひょう)とは、鉄道駅において、当該駅名を記した識別系案内標識である。

「東京」が当該駅名。端の「神田」「有楽町」は隣駅名、線の切れ込みは進行方向(次駅は神田)、緑線は社色、中央の水色は路線色JR東日本在来線)

概説[編集]

車窓から視認できるようにプラットホーム上、またはホーム屋根に設置され、駅名の正しい表記や読み方を表示する。その目的から、一つのホームでも車両の1-2両分(20-40メートル前後)の間隔で設置する[要出典]

日本の駅名標[編集]

概要[編集]

JR東日本で採用されている「Y字型駅名標」隣駅が3つある場合に使用される。この場合は、左(西)向きが陸羽東線南新庄駅、北(上)向きが陸羽西線升形駅、東(下)向きが奥羽本線泉田駅となっている。
戦前の中央本線韮崎駅の駅名標
観光用に津和野駅に復元された駅名標

日本の駅名標は、当該駅の名前を中央に大きく配し、進行方向を示す矢印線を添えて左右に両隣の駅名を小さく表記したデザインを基本とする[要出典]。複数の支線が乗り入れる幹線の大駅では、隣駅表記がない場合もあった[要出典]。鳥居状に組んだ木製の支柱に板をはめ込み、白地に黒で平仮名の駅名を毛筆体で記して建植したものが原型で、明治期以降、国私鉄を問わず普及した[要出典]。昭和初期には駅名のローマ字表記を加えたものも登場した[要出典]日本国有鉄道(国鉄)では木製支柱下端部を黒く塗り、距離標などの標識と同じ扱いをしていた[要出典]

1950年代から徐々にデザイン上の整理が行われはじめた。国鉄は1967年、俗に「スミ丸ゴシック体」と呼ばれる統一書体を制定した上で、在来のデザインを元に表記の形式、大きさなどを定めた鉄道掲示基準規程を制定し、1970年代には駅所在地の市町村名も表記するようにしたほか、70年代後半から登場した新しいスミ丸ゴシック体が1982年の鉄道掲示基準規程改正時に制式化された[要出典]。この書体は、現在は[いつ?]JR東海が版権を所有[注 1]しており、JR北海道の柱用駅名標で使われているほか、デザインを一部修正したものがJR東海でも用いられている。

国鉄では、駅名標の設置は各鉄道管理局の管轄だった上、規程が最小限度の内容で厳密なものではなかったため、管理局や線区、受注の看板業者によってさまざまなバリエーションが存在した。また都市圏を除いて一斉に交換することはなく、同一駅においても設置時期によるデザインの違いがあった[要出典]。民営化後の現在も、JR東日本などでは建植式を中心に支社独自の駅名標デザインを採用しているところがある。

私鉄では、高度成長期以降、関西の大手私鉄や地下鉄を中心に、独自のデザインを制定して国鉄との差異を強調し、分割民営化後のJR各社の駅名標などのデザインに影響を与えた[要出典]

JR各社では分割民営化後数年間、新駅設置や在来駅名標の更新にあたり、書体のみを汎用の写植文字とした国鉄規程準拠の駅名標を設置していたが、1988年にJR東海がコーポレートカラーを帯状に配した新デザインを制定したのを皮切りに、1990年代半ばにかけて各社で色帯を配した独自の駅名標デザイン制定が相次いだ[要出典]。この流れは折からのCIブームに乗って私鉄にもおよび、大手から中小にいたる各社で同種の新駅名標が登場した。

形態[編集]

第1種駅名板の例(写真は東京駅
第3種駅名板の例(写真はほしみ駅

国鉄は「鉄道掲示規程」(のち「鉄道掲示基準規程」)で駅名標の種類および大きさなどについて、大きく4種類に分けて規定していた[要出典]。一般的に称される「駅名標」とは第4種(建植用)および第2種(つり下げ用)を指している。

  • 第1種 屋外用(駅本屋入口上部に掲出)
  • 第2種 つり下げ用(ホーム上屋に掲出) - 1号型(天地900mm、左右1200mm)または2号型(天地800mm、左右1100mm)。電気掲示器の場合は431号型(天地750mm、左右1330mm)
  • 第3種 柱用(ホーム上屋柱・電柱などに掲出) - 9号型(天地750mm、左右150mm)。電気掲示器の場合は210号型(天地700mm、左右150mm)
  • 第4種 建植用(ホーム上、または第1種から第3種までの駅名標が設置できない場所に設置) - 1号型。電気掲示器の場合は431号型
内部に蛍光灯を設置した駅名標(写真は新千歳空港駅

前面をガラス板またはプラスチック板として内部から蛍光灯などで照明する「電気掲示器」も古くからあり、電照式、内照式などと呼ばれている。主に第2・4種駅名標に用いられている。

第3種駅名標は平仮名縦書きで、長く紺地に白字を基本とした。国鉄の首都圏本部管内、静岡鉄道管理局管内および北海道内では、1970年代後半から、ラインカラーなどの色枠を周囲に配して9号掲示板より一回り大型化し、下部に広告板をねじ止めで取り付る「枠付き」タイプの柱用駅名標が登場した。平仮名の書体は時期に応じて新旧の違いがある。このうち首都圏3局と静岡局では数度にわたり広告スポンサーが入れ替わった末、民営化後の1991年ごろ[要検証 ]にスポンサー募集をやめ新デザインのものに取り替えた。JR北海道は一貫してサッポロビールがスポンサーで、現在も国鉄の新スミ丸ゴシック書体を用いて使用されている。一部の事業者ではこれのすぐ下に新聞社などの広告が入る(東武鉄道など)。

第4種駅名標のいわゆる「国鉄タイプ」と呼ばれる[誰によって?]駅名標は、民営化後も従来通りの手書きレタリングや写植文字を使用するなどしてしばらく登場していた[いつまで?]。特にJR東日本では、民営化以後設置された国鉄タイプの第4種駅名標が今も数多く残る。

現状[編集]

JR四国高徳線南小松島駅の駅名標
 
東武鉄道小佐越駅の駅名標

JRおよび私鉄の駅名標の多くは、会社や線区などを象徴する色帯に、列車の進行方向を示す矢印などを組み合わせたり、帯を枝分かれさせて分岐駅を示すなどのデザインを採用している。JR東海の在来線、JR四国、東武鉄道などでは、国鉄後期の規程に合わせ、当該駅の所在地(都道府県市区町村名)の表記を続けている。 当駅名の表記は明治期以降、長らく平仮名表記が主だったが、東海道新幹線開業時の新幹線用駅名標や地下鉄の一部で、可読性の高さを理由に漢字を大きく表記するケースが現れた[要出典]。さらに近年では[いつから?]JR西日本、JR四国が漢字中心のデザインとしたほか、当初平仮名を主としたデザインを制定したJR東日本でも、首都圏や地方都市圏で、漢字を大きくした新デザイン駅名標への切り替えを進めている。また駅名標に中国語朝鮮語を併記するケースも現れている。

また大手私鉄の一部でかつて[いつ?]見られた縦書きの駅名標も、現在伊予鉄道などで見ることができる。JR東日本の一部支社やJR九州、第3セクター各社では、観光客にアピールするために、駅名標に名所のイラストや写真などの装飾を施すケースも見られる。

各国の駅名標[編集]

日本の駅名標[編集]

JR各社のケース[編集]

JR東海の標準デザイン
  • 在来線の駅数が少ないJR東海は、1988年に各種の駅名標を含む駅構内掲示全般について新デザインを発表。置き換えまでの間、在来の全駅名標にもオレンジ色の帯を配してデザイン上の統一感を与えた上で、およそ2年間ですべて置き換えた。在来線用第4種の左右幅は、建植式の国鉄規定1号型掲示板でもっとも多く見られた支柱間隔に合わせており、置き換えの便を図っている。
  • JR北海道・JR四国では、第2種・第4種とも国鉄の1号型掲示板または431型電気掲示器の使用継続を前提とした新デザインを制定し、支柱や掲示器の交換を避けてコスト削減を図った。JR北海道では新千歳空港駅開業時以降、第2種について新型が都市圏を中心に普及したが、2011年夏ごろ[要検証 ]新千歳空港駅の駅名標を従来のデザインに戻し、同年高架化した旭川駅でも従来のデザインをそのまま採用したことから、新デザイン駅名標の普及はわずかにとどまる見通しである。
  • JR西日本では、1990年から関西圏で第2種、第4種とも新型(左右1800mm、天地600mm)に置き換えた一方、地方線区向けには1号型掲示板または431型電気掲示器を使った折衷タイプのデザインを別に定めて板のみ取り替えた。これら折衷タイプの第2種および第4種駅名標については、ほとんどを90年代後半以降に新型のものに置き換えた。第3種については青枠水色を基調とした樹脂製のものが普及したが、のちローマ字付きの新デザインのものに全面的に置き換えた。
  • JR東日本では、1988年ごろ[要検証 ]から首都圏および幹線駅のほとんどで、第2種について新型に置き換えたが、成田空港駅の開業から、駅名表記を漢字中心とした新デザインへの置き換えを進めている(それ以前にも、新宿駅や秋葉原駅などで、漢字中心の駅名標を試験的に設置していた[いつ?])。第4種については首都圏以外の多くで1号型掲示板を現在も使っており、各支社ごとにさまざまなデザインが見られる。第3種は首都圏を中心にラインカラーを上部に配した新デザインのものが普及。現在は多くの駅で下部にローマ字付きのものに置き換えている一方、支社によってはJR西日本の旧タイプに類似した緑枠水色基調のものを使用するなど違いが見られる。2009年からは第2種の電気掲示器を「エコ薄型電気掲示器」として、光源を蛍光灯からLEDに変更した新型への置換えを順次進めている[2]
  • JR九州では、第2種および第4種について帯を使わずに赤矢印を用い、地元のシンボルイラストを配したデザインを制定しているが、他社に比べ比較的駅名標のデザインには固執しない傾向で、現在も国鉄設置および国鉄規程に準じた民営化以後設置の駅名標を使っている駅が少なくない。

私鉄各社のケース[編集]


台湾の駅名標[編集]

台湾鉄路管理局の駅名標は、基本的なフォーマットは、当該駅の名前が中央に大きく、さらに左右の下に両隣の駅名及びキロメートルが小さく書かれている。

交通部台湾鉄路管理局の所属ではなく阿里山森林鉄路の駅名標、海抜もある。

捷運高速鉄道は両隣の駅名のある駅名標がなく、路線図だけある。


韓国の駅名標[編集]

韓国の駅名標は、ハングルやローマ字とともに漢字でも表記されている(ただし、元々漢字表記が存在しない場合、書かれないか、書ける部分のみ漢字、書けない部分はハングルのままで対応している。釜山交通公社1号線4号線は全ての駅、2号線3号線は一部の駅で朝鮮語、英語、日本語、中国語(日本語と同一の場合は省略)で表記されている)。また地下鉄においては、駅ナンバリングも行われている。


ドイツの駅名標[編集]

両隣の駅名及びキロメートルは載っておらず、駅名のみ記載されている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 分社化当時のJR東海社長 須田寛がスミ丸ゴシックの制作に携わっており、思い入れがあったからだといわれている[1]

出典[編集]

  1. ^ 渡部千春 『これ、誰がデザインしたの?』 美術出版社。ISBN 4-568-50269-12009年6月23日閲覧。
  2. ^ “環境にやさしい駅をめざして” (PDF) (プレスリリース), 東日本旅客鉄道, (2010年2月2日), http://www.jreast.co.jp/press/2009/20100202.pdf 

関連項目[編集]