KAMAKURA
『KAMAKURA』 | ||||
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サザンオールスターズ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1985年3月 - 8月 VICTOR STUDIO FREEDOM STUDIO in Tokyo | |||
ジャンル |
ロック[1] ジャズ[1] レゲエ[1] ハードロック[1] 電子音楽[2][3] 実験音楽[2][3] AOR[3] | |||
時間 | ||||
レーベル | タイシタレーベル | |||
プロデュース |
サザンオールスターズ 高垣健 藤井丈司 | |||
チャート最高順位 | ||||
サザンオールスターズ アルバム 年表 | ||||
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『KAMAKURA』収録のシングル | ||||
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『KAMAKURA』(カマクラ)は、サザンオールスターズの8枚目のオリジナル・アルバム。1985年9月14日にCD・レコード・カセットテープで発売。発売元はタイシタレーベル。
ジャケット表記や一部メディアなどは、『kamakura』として表記されている[4][5]。
同年10月21日には 「KAMAKURA-BOX」として、1998年5月22日と2008年12月3日にはCDとして再発売されている。また、2014年12月17日からはダウンロード配信、2019年12月20日からはストリーミング配信が開始されている[6][7]。
背景・制作
グループ初の2枚組のオリジナル・アルバム。総レコーディング時間は1,800時間を費やしている[2]。現在のDTMの前史を創ったフェアライトCMIを全面的に導入しており、当時としては高音質かつ複雑なアレンジが実現されている。
2枚組になったことについては、当初は普通に1枚のアルバムを作る予定だったものの、制作していくうちに桑田が作る曲が増えてきてしまい、それらの楽曲をすべて収録したいという意向で2枚組としてリリースすることとなり、このアルバムの制作でサザンとしてできる事を当時の時点ですべてやりつくしてしまったというエンジニア・マニュピレーター側の見解と[8][3] 、本作のコンセプトがそもそも2枚組であり、メンバーの構想として2枚組として出す考えが何となくあったという桑田や識者による見解が存在している[2][9]。
タイトルは鎌倉を撮影で一泊した際に浮かんだものであることが語られている[9]。
音楽性
音楽的には、当時出始めたサンプラーやデジタル・シンセサイザー、ドラムマシンなどが多く使用されている。これら電子楽器やプログラミングの担当として、YMOのアシスタントを務めた藤井丈司が参加している[2]。
プロモーション
「国民待望の2枚組」という触れ込みで発売され、CMには明石家さんまが出演した。さんまは、サザンの楽曲「メロディ (Melody)」を口パクで歌っており、そのCMを見た人のほとんどが「メロディ (Melody)」をさんまの歌だと思っていた、という逸話は有名であり[10]、さんまの持ちネタの1つでもある。さんまの出演のきっかけは大阪の業界人が集まる飲み屋に桑田やさんまが足を運んでおり、この場で桑田とさんまは交流を深めるようになった。その後に本作の宣伝用CMを作る際に桑田はさんまに出演を頼み、さんまも承諾したという[11]。また、さんまはこの後サザン活動休止中の企画盤『バラッド2 '83〜'86』のCMにも出演した。本作のCMは、2004年にDVD『ベストヒットUSAS (Ultra Southern All Stars)』に収録されている。
リリース
前述の通りレコーディングが長引いたことにより、発売が当初の予定より半年ほど延びたことが語られている[3]。
本作の発売後ステッカーや1986年度のカレンダーなどとセットになった『KAMAKURA-BOX』も発売されている。
1998年の再発盤の初回限定盤は、オリジナルLP復刻ジャケット(いわゆる紙ジャケット)仕様で、当時テレビ朝日アナウンサーの辻よしなりによるライナーノーツが封入されている。
本作発表以降、バンド活動は休止状態となり、桑田や松田弘が参加したKUWATA BANDなど、各メンバーはソロ活動に移行する。
再発売
批評・チャート成績
音楽プロデューサーの小室哲哉は本作に衝撃を受けたことを公言しており、「けっこうハイテクで、テクノロジーを駆使したアルバム。ちゃんとしたセールスの中で、セールスを考えた中での実験だったと思うから、いいバランスだと思ったんですよ。こういうことやれるのはサザンしかいないなと思ってたし、マーケットを考えてもね。だからすごい羨ましかった。」と評価している[12]。
オリコンによる本作の累計売上枚数は95.3万枚を記録している[13]。
受賞歴
- 第27回日本レコード大賞[5]
- 優秀アルバム賞
収録曲
- シングル収録曲は各シングルで説明しているため、ここでは説明を省略する。
- オリジナル・アナログ盤ではDisc1、2ともに6曲目からがB面となっていた。
Disc 1
- Computer Children (6'12)
- 真昼の情景 (このせまい野原いっぱい) (3'30)
- 古戦場で濡れん坊は昭和のHero (4'09)
- 愛する
女性 とのすれ違い (4'01)- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 藤井丈司)
- 恋愛における心の”ゆらぎ”が描かれたポップな曲調のバラード[16]。
- 死体置場でロマンスを (3'59)
- 欲しくて欲しくてたまらない (4'31)
- Happy Birthday (4'42)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 藤井丈司)
- 自身としては初の誕生日をテーマにした楽曲[1]。
- アレンジ面ではスクリッティ・ポリッティの影響があるとされる[3]。
- メロディ (Melody) (5'05)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ)
- 23枚目シングル。
- 本作のCMにも使われ、明石家さんまが口パクでこの歌を口ずさんだ。
- 吉田拓郎の唄 (4'14)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 藤井丈司/管編曲:新田一郎)
- 制作当時『吉田拓郎 ONE LAST NIGHT IN つま恋』をもって引退と囁かれていた吉田拓郎を名指してのメッセージソング[1][16]。内容は桑田が吉田の音楽性に影響を受けた事に触れ、そして決別するものになっている。歌詞の中には「唄えぬお前に誰が酔う」「一人男が死ぬ」「フォークソングのカス」といった過激なフレーズも並んでいる。ちなみに、この曲の仮タイトルは『死ね吉田拓郎』だったとされる[19]。
- 当の吉田は1988年に引退を撤回し活躍の幅を広げていった[19]。
- 2003年の『流石(SASが)だ真夏ツアー!』では当時肺がんの手術を受け療養していた吉田を励ます目的で歌唱され、「酔いどれ姿もいかしてた そんな男がいる」「今でもあなたの歌声が 胸を熱くさせる」など原曲とは逆に吉田を称えるフレーズが並んでいる[20]。
- この曲の発表後も桑田と吉田の交流は続き、桑田がそのエピソードを語ったり[21]、吉田が桑田及びサザンの才能や影響力を称えるといった良好な関係が続いている[22]。
- スージー鈴木はこの曲を『桑田お得意の「先輩ミュージシャンへのおせっかいシリーズ」の最高傑作』と評している[23]。
- 鎌倉物語 (3'55)
Disc 2
- 顔 (3'38)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 藤井丈司)
- 歌詞中の「女人瓜売僕助平(にょにんうりうりぼくすけべい)」は桑田の造語。
- Bye Bye My Love (U are the one) (4'45)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & リアル・フィッシュ)
- 22枚目シングル。
- Brown Cherry (4'08)
- Please! (5'49)
- (作詞・作曲:桑田佳祐/編曲:サザンオールスターズ & 原田末秋)
- アウトロでは、エリック・クラプトンが在籍したバンド、クリームの「Sunshine of your love」のイントロがそのまま使われている[1]。
- 星空のビリー・ホリデイ (3'59)
- 最後の日射病 (4'18)
- (作詞・作曲:関口和之/編曲:サザンオールスターズ & 大谷幸)
- 関口和之のメインボーカル曲。
- 夕陽に別れを告げて 〜 メリーゴーランド (4'45)
- 怪物君の空 (5'09)
- Long-haired Lady (3'38)
- 悲しみはメリーゴーランド (2'36)
参加ミュージシャン
- 桑田佳祐 - ボーカル、ギター、コーラス
- 大森隆志 - リードギター、コーラス
- 原由子 - キーボード、ピアノ、オルガン、アコーディオン、コーラス、ボーカル
- 関口和之 - ベース、コーラス、ボーカル
- 松田弘 - ドラムス、コーラス
- 野沢秀行 - パーカッション、コーラス
- 藤井丈司 - シンセサイザー & コンピュータ・プログラミング
- 関島雅樹 - プログラミング アシスト
- 大谷幸 - キーボード、コーラス
- EPO - コーラス、コーラスアレンジ
- イリア - コーラス、ピアノ
- 矢口博康 - サクソフォーン、クラリネット
- 包国充 - サクソフォーン
- 淵野繁男 - サクソフォーン
- 片山鉱二 - サクソフォーン
- 金城寛文 - サクソフォーン、フルート
- Jake H. Conception - サクソフォーン
- 福原まり - アコーディオン、コーラスアレンジ
- 美尾洋乃 - アコーディオン、ヴァイオリン
- 小滝満 - アコーディオン
- 渡辺等 - チェロ、ブズーキ
- 新田一郎 - トランペット
- 兼崎順一 - トランペット、フリューゲルホルン
- 吉田憲司 - トランペット
- 早川隆章 - トロンボーン
- 岩瀬富美夫 - トロンボーン
- 向井滋春 - トロンボーン
- 西山健治 - トロンボーン
- 八木正生 - ピアノ
- 鈴木重雄 - クラリネット
- 石橋雅一 - オーボエ
- 大畠條亮 - ファゴット
- 山口弘治 - ホルン
- 玉野嘉久グループ - ストリングス
- 広瀬裕美子グループ - ストリングス
- 八木のぶお - ハーモニカ
- 小林克也 & LINDA - Telephone
脚注
出典
- ^ a b c d e f g h i j 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p119
- ^ a b c d e f g h i 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p37 - 38
- ^ a b c d e f 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p44-46
- ^ a b 安室奈美恵の勢い衰えず!ドリカム以来14年8ヶ月ぶりの6週連続首位 オリコン 2017年11月29日閲覧
- ^ a b 第27回日本レコード大賞 日本作曲家協会 2020年7月6日閲覧
- ^ サザン、全266曲を世界111ヶ国で配信 オリコン 2014年12月17日配信, 2020年6月4日閲覧
- ^ サザン関連全972曲 サブスク一斉解禁 メンバーソロ曲も対象に オリコン 2019年12月20日配信, 2019年12月20日閲覧
- ^ SWITCH Vol.31 No.8 Southern All Stars [僕らのサザン、みんなのサザン] p48より。
- ^ a b 傑作かつ“豊作”だった二枚組の『KAMAKURA』(前編) WHAT's IN? Tokyo 2019年12月7日配信 2020年10月18日閲覧
- ^ ベストヒットUSAS (Ultra Southern All Stars)付属のブックレット 「KAMAKURA」テレビCMより
- ^ 桑田佳祐、明石家さんまがサザンのCMに出演した経緯を語る マイナビニュース 2018年6月27日閲覧
- ^ TK MUSIC CLAMP 1995年5月24日放送分 フジテレビ(ウェブ魚拓使用)。
- ^ サザンオールスターズ 売上別TOP10&主な記録 オリコン 2015年1月22日閲覧
- ^ a b スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P233)
- ^ スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P234)
- ^ a b 傑作かつ“豊作”だった二枚組の『KAMAKURA』(後編)全曲解説付きWHAT's IN? Tokyo 2019年12月14日配信 2020年10月18日閲覧
- ^ 『桑田佳祐のやさしい夜遊び』2014年12月6日放送分。
- ^ スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P235)
- ^ a b 吉田拓郎の闘病中に桑田佳祐が励ましの唄を歌った伝説ライブパフォーマンスとは?2017年11月17日 エキサイトニュース
- ^ 吉田拓郎の闘病中に桑田佳祐が励ましの唄を歌った伝説ライブパフォーマンスとは?2017年11月17日 エキサイトニュース
- ^ 桑田佳祐と吉田拓郎との隠された過去。今日までそして明日から。 - Techinsight 2011年3月20日配信 2020年10月18日閲覧
- ^ 大衆に寄り添うサザンの真骨頂見せつけた『無観客ライブ』 その圧倒的パフォーマンスは今後のさまざまな方向性示した東京中日スポーツ 2020年7月23日配信 2020年10月18日閲覧
- ^ スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P236)
- ^ スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P238 – 239)
- ^ スージー鈴木『サザンオールスターズ 1978-1985』(2017年、新潮新書、P242)
外部リンク
- KAMAKURA - SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE