誤植

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誤植(ごしょく)とは、印刷物における文字数字記号などの誤りのこと。ミスプリント(ミスプリ)ミスタイプ(mistype)とも言う。

特に、企業名商標人名を始めとする固有名詞や、数字の位取りの誤植が起こると、大問題となる。

そもそもは、活版印刷写真植字で間違った活字植字してしまうことを指す。 近年では印刷物全般に対しても用いられているが、これは厳密には正しくなく、印刷物以外の字の間違いは単に「誤字」と言う。また、ウェブサイト等での誤字や脱字に対して用いることも厳密には正しくない。

あるスーパーの値札における誤植。「ラブライブ!」と書かなければならないところが「ラブラブ」になってしまっている。

概要[編集]

当初の誤植とは、「植字の誤り」つまり活版印刷での印刷過程である組み版時のミスであり、植字工がおこす活字の組み間違いだった。活字の欠落、酷い場合には単語そのものの欠落や、活字の配置間違い(例えば"cat"を"act"等)は目立つミスであるが、文字サイズが9ポイントで指定されているのに、8ポイントや10ポイントのものが紛れ込んでしまう、ポイント間違いも含まれる。ただし、電算植字やDTPの普及発達によって、「誤植」の起こる組み版そのものが行われなくなっている。

手書きの文書の誤りは「誤記」と言う。「誤植」は主に活版や写植などの大量印刷物の表記の誤りを指す言葉であり、文書処理ソフト上における綴り誤りはその誤り方によって「ミスタイプ」や「誤変換」という。しかし、インターネットの普及によって、ブログなど書いたものが直接公開されるものが一般化し、出版形態も印刷一辺倒でなくなった事もあって、誤記と誤植の差は、無くなりつつある。

「誤植」はあくまでも「表記の誤り」のことを指す。例えば「日本は米国より面積が広い」という文は事実に反するが、(「日本」と「米国」を逆に植字してしまったり、本来は「狭い」とすべきところを誤って「広い」と植字してしまったなどの理由でなければ)これは誤謬であって誤植にはあたらない。そのような、文の内容に踏み込んで誤りを正す作業は「校閲」という。

しかし、今日では上記のような内容の間違いによる誤謬、ミスタイプ、誤変換なども全て一律に「誤植」と呼ばれるようになっている[1]が、言葉としては誤り[2]であり、誤用の定着の一例と言える。本来ならば、誤記、誤謬等、使い分けられるべきものが、誤植と一纏めにされるようになった経緯は、不明である。


誤植とは、本来意図した表現の一部が別の字に置き換わってしまう誤りである。大抵は気づけば元の表現に復元できるが、場合によっては深刻な誤解を生むこともある。例えば、薬学の本で薬の量や、単位、種類を誤れば生命に直接関わる。百科事典や辞書などで間違いがあれば間違った知識が流布してしまう危険がある。同様に、小売店が商品の値段を書き間違えた場合には損を承知でその値段で売らざるを得なくなる事態も起きる。電子化された領域では、ヒューマンエラーやデータの破損などでこのような事態が発生することが考えられる。実際、一時期オンライン販売業界の界隈では価格の登録ミスによるトラブルが度々表面化し、幾つかの業者が損害を発生させたことから、現在では大半のオンライン販売サイトで、価格の誤表示については遡って無効とできる旨あらかじめ断り書きを販売規約に入れておくなど何らかの対処がされている。


本来、誤植は編集作業の過程で「校正」によって正されるべきものである。校正は軽視されがちだが、誤植の有無は出版物や出版社の質を計る指針にもなりうる。校正が不十分だと刊行後にも誤植が残ることが多い。このため、論語子罕第九の「後生可畏」の句をもじって「校正畏るべし」の警句がしばしば言われる。逆に校正者の思い込みによって正しい表現に間違った修正がなされることも起こり得るが、表現に関して直接修正することは、校正者権限の逸脱であり最も忌避される[3]。表現修正に踏み込む場合は、正誤確認のお伺いを立てて、著者や編集者に確認を取るに止まる。ただし、近年に多い編集者が校正も兼ねている場合や、著者校に回す時間のない新聞などは別である[4]

刊行後に誤植が大量に判明した場合や緊急の場合には、修正箇所をまとめた正誤表が改版前に出されることもある。その正誤表や、正誤表の発行後にも刊行物でさらに誤植が発見される例もある。

原因[編集]

言語上の原因[編集]

工学上の原因[編集]

  • 活字の入れ間違い。使った活字をケースに戻すとき入れ間違ったため、次から使うときに誤植となる[8]
  • 文書データの文字化け校了後にも起こりうる[9]

誤植の歴史[編集]

「誤書」は写本の時代からあったが、誤植の歴史は活版印刷の歴史と同時に始まった。ヨハネス・グーテンベルクの印刷した『グーテンベルク聖書』は西洋ではじめての本格的な活版印刷物とみなされ、出版史における不滅の金字塔であるが、その中にも多数の誤植がある。42行聖書はたびたび紙数の都合で行数を変更しており、組版の組み替えなどによる多数の混乱が生じていた。そのため、この聖書の研究では、誤植と訂正の状況を追う研究が一分野をなしている。

洋の東西を問わず、王室や政府、政教分離が成されていない国における宗教書にまつわる誤植では厳しい措置が取られることが多く、キリスト教の聖書絡みのものでも後述するようなものが知られているが、戦前の日本でも、皇室がらみの記事で誤植があると「不敬」として厳しく処罰された。1942年富田常雄作『軍神杉本中佐』で「天皇陛下」を「天皇下」と誤植した童話春秋社はこのために出版停止の憂き目に遭った。その対策として、ある新聞社では「天皇陛下」の四字を一つにまとめた特注の活字も製作されたという。

誤植の形態も、時代や技術革新によって変化している。出版物が活版印刷中心の時代には、版の組立時の似た活字の取り違えが多かったが、20世紀後半に文章執筆がワードプロセッサもしくはワープロソフトなどによるものが主流になってからは、かな・漢字変換の際の誤変換や単漢字辞書検索での選択ミスなどによる、同音異義語や似た読みの取り違えが増加した。OCRスキャナによる文書読み取りでは、しばしば形状が似た字の読み違えが生じる。またその他に、文字コードの外字領域などが僅かに異なる環境で文書の作成とDTP編集を別々に行って印刷に出したところ、それらの文字が別の文字に置き換わってしまう場合、また誤って1バイト文字と2バイト文字を混用した場合(例: 51個、appleなど)、同一でなければならない文書内のフォントサイズや種類を誤って混用した場合などにも、誤植が発生する原因になる。

また、海外で製造された日本向け製品では、日本語を母国語としない現地担当者が日本語のマニュアル取扱説明書)やパッケージの説明書きを作成したことで、似たような形状の文字、たとえば「」「」「」「(カタカナのニ)・(漢数字の二)」を混同したり、「」を「ノレ」と書くなどといった誤植が起きている。

誤植の例[編集]

聖書の誤植[編集]

姦淫聖書

グーテンベルク聖書から始まった近代出版史は、誤植の歴史でもある。聖書には誤植史上記念碑的なものが多々ある[10][11]

姦淫聖書
1631年英国で印刷業者ロバート・バーカー英語版によって印刷された欽定訳聖書は、のちに The Wicked Bible 、すなわち「姦淫聖書(邪悪聖書)」と呼ばれた。それは出エジプト記におけるモーセの十戒の第七条、"Thou shalt not commit adultery" (汝姦淫するなかれ)から、否定の not が抜け落ちたために、「汝姦淫すべし」となり、神が人々に姦淫を勧める聖書となってしまったからである。このためバーカーは高額の罰金を科されるも、支払えずに投獄されて獄死し、聖書は回収された。しかし密かに隠して取っておいた者が何人もいて、現在も世界に11部残されているそうである。
馬鹿者聖書
1763年の欽定訳聖書では、詩編の"the fool hath said in his heart there is no God"(愚かな者は心のうちに神はないと言う)という一節を、no を落として"there is a God"(神はある)と誤植し、キリスト教徒で信仰の厚い者こそが馬鹿である、という趣旨になった。印刷者には高額の罰金が科され、問題の聖書は回収された。
1580年ドイツで刊行された聖書では、出版屋の妻がひそかに印刷所に忍び入り、創世記の"Und er soll dein Herr sein."(彼は爾のたるべし)とあるところを、勝手に活字を組み替えて"Und er soll dein Narr sein."(「彼は爾の馬鹿者たるべし」)とした。この聖書は、ヴォルフェンビュッテルアウグスト大公図書館に所蔵されている。
酢の聖書
1717年刊行のクラレンドン・プレス版の聖書は、ルカ福音書第20章の表題を、"the Parable of the Vineyard"(葡萄畑寓話)とすべきところを、"the Parable of the Vinegar"(の寓話)と誤植したため、「酢の聖書」と呼ばれている。

日本の法令の誤植[編集]

日本法令公布その他公示手続きは、判例上、「特に国家がこれに代わる他の適当な方法をもつて法令の公布を行うものであることが明らかな場合でない限りは、法令の公布は従前通り、官報をもつてせられるものと解するのが相当で」[12]あるとされているが、官報にも誤植が散見される。官報の誤植には、大別して「原稿誤り」及び「印刷誤り」の二種類が存在する。原稿誤りとは、主に、国の機関から独立行政法人国立印刷局に対して官報への掲載を依頼する際に、国の機関から送付される原稿に誤りがある場合を指す。原稿誤りが発見された場合、掲載を依頼した国の機関が、国立印刷局に対して職権により正誤欄への掲載を依頼することとなる。対して印刷誤りは、原稿に誤りはなく、国立印刷局が官報を印刷する際に誤りが生じた場合を指す。印刷誤りの場合、国立印刷局または掲載を依頼した国の機関が正誤の手続きを行うこととなる。

官報の誤植には、掲載されている法令の効力に重大な影響を及ぼす可能性がある。1948年に起きた食糧管理法違反事件では、1947年12月30日に公示された農林省告示で、本来「いんげん」(改正前の告示におけるテボーに相当する)と記載するべきところが、農林省の原稿誤りにより、「ナタマメ」と誤記したことが問題となった。1948年4月7日に農林事務官(国の機関である農林省の事務系職員)名義で官報に正誤を掲載することとなった。日本の法令では、前述のとおり官報によって公布されることとなっており、また、法令の効力について、判例は、「成文の法令が一般的に国民に対し現実にその拘束力を発動する(施行せられる)ためには、その法令の内容が一般国民の知りうべき状態に置かれることが前提要件とせられる」[13]としていることから、本件では、官報正誤による法令の効力及び官報正誤以前の法令の効力について問題とされた。本件について最高裁判所は、「官報に公示するがごとき公示手続上の過誤は、農林事務官においてこれが正誤の手続を執ることは当然その権限内にあるものと解するを相当とするから、前示正誤は正当であつて、少くとも官報正誤の日以後における本件「テボー」の輸送委託をした行為にはその正誤された告示が適用されるものといわなければならない」」[14]とし、官報正誤による法令の効力について、少なくとも官報正誤の日以後については正誤された告示が適用されると判示している。さらに最高裁判所より差し戻された本件における札幌高等裁判所判決では、「公布せられた告示に誤があつて、その誤であることが外部から容易に認識し得るときは、その誤を正して解釈すべきであるから、正誤の有無に拘らず、その告示ははじめから正しく解釈せられたところに従つて効力を有するといはねばならないが、その誤が外部から容易に認識し得るものでないときは、後に正誤せられるまではその誤つている部分は国民を拘束する力がなく、正誤せられた後にその時からはじめて正誤せられたところに待つて効力を生下ると解するのが相当である」[15]とし、本件について官報正誤以前に行われた公訴事実については無罪としている。

年金改革法案
2004年(平成16年)6月、厚生労働省から提出された年金改革法案の中に、条項を追加したにも関わらず、その後で「前条の規定にかかわらず…」と引用する他の条文が修正から漏れていたために、別の関係ない条文を引用してしまうことになるなど、条文ミスが多数発見された[16]
なお、2005年(平成17年)5月には、社会保険庁から発行している国民年金保険料の納付免除・猶予申請の却下通知書に、本来「全額免除」とあるべきところを、印刷業者のミスにより「額免除」と誤植されて、刷り直しを余儀なくされた。54万枚印刷され、印刷費用は250万円である。

辞書の誤植[編集]

『岩波国語辞典』第3版
岩波書店国語辞典、『岩波国語辞典』第3版の第1刷では、「ごびゅう」(本来は「謬」)を引くと、「【謬】あやまり。「―を犯す」」という誤植があった。刊行当時「自らが率先して誤謬を実践してくれるとは、親切な辞書だ」と皮肉られた。
『生物学語彙』
ゴキブリは、かつては「御器齧り(ゴキカブリ)」等と呼ばれていた。しかし、1884年(明治17年)岩川友太郎が書いた日本初の生物学用語集『生物學語彙』では、最初の記述には「ゴキカブリ」とルビが振られていたものの、2か所目には「ゴキブリ」と書かれ、一文字抜けていた。この本は初版しか発行されず、間違いを訂正することができなかった。その後1889年(明治22年)に作られた『中等教育動物学教科書』にも「ゴキブリ」と記述されてしまい、この間違いは、以降の教科書や図鑑にも引き継がれてほとんど全ての文献に「ゴキブリ」と書かれ、和名として定着した(→#定着した誤植)。これはのちにフジテレビ系トリビアの泉』でも視聴者投稿により紹介された。なお『東京朝日新聞』では、1927年(昭和2年)の記事[17]を最後に「ゴキカブリ」の表記は使われなくなっている[18]
精神科医・小説家・エッセイストで昆虫愛好家でもあった北杜夫はエッセイ集『どくとるマンボウ昆虫記』にて、当時ヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』の一部の日本語翻訳版において、蝶の一種「コムラサキ」が「ニムラサキ」と誤記されている事、これが文学書刊行時の誤植ではなく、翻訳家の用いた独和辞典における誤植が、昆虫学の基礎知識を持たない独文学者により違和感を持たれずにそのまま和訳に用いられたことによるという事例を紹介している。

教科書の誤植[編集]

雪国はつらいよ条例
1988年(昭和63年)新潟県中魚沼郡中里村 (現・新潟県十日町市)が制定した「雪国はつらつ条例」(現在は失効)が、2002年(平成14年)2月に発行された、中学校の公民教科書『新しい社会 公民』(東京書籍刊)で「雪国はつらいよ条例」と誤って紹介され、報道などで取り上げられた[19][20]地方公共団体名の「中里村」も「中里」と同時に誤植されていた[19][20]

漫画・漫画界の誤植[編集]

『ねじ式』
1968年『月刊漫画ガロ』(青林堂)に掲載されたつげ義春の漫画『ねじ式』に、主人公の少年が海でメメクラゲに腕を噛まれ、血管が露出するシーンがある。この「メメクラゲ」は、本来は「××クラゲ」という伏字表現になっていたが、編集者も写植屋も誤読したために「メメクラゲ」と印刷された。原稿を読んだ青林堂の編集者高野慎三は、この奇怪な作品に「メメクラゲ」という名称の生物はごく自然と思い込み、特に確認することなく写植へと回し、翌日打ち上がった写植もメメクラゲとなっていた。このとき同僚の一人も「メメクラゲとは実に異様ですね」と言い、高野も「さすがつげさんだね」と応じたという。後日、つげは高野に対し「メメクラゲのほうが作品に合っているような気がするね」と言ったという[21]
『おまけの海藤家』
白泉社の少女漫画雑誌『花とゆめ プラチナ増刊』1998年(平成10年)5月15日号に掲載された加藤知子の漫画『おまけの海藤家』で、登場人物が「なんとまあ、俺様ときたらおちこんでるらしいんだぜ」という内容の科白を言うシーンで、「」と「」が置き換わってしまった。
コミカルではない雰囲気で男性器の話題が飛び出すこの誤植は、『本の雑誌』や『VOW』にも紹介され表紙に使われたこともある。
『ジョジョの奇妙な冒険』
荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部ファントム・ブラッドの一場面に、主人公ジョナサン・ジョースターが愛犬・ダニーをディオに蹴り飛ばされ、激昂して「何をするんだァーッ」と叫ぶシーンがある。単行本第1巻初版に収録された際、この場面は「何をするだァーッ」と誤植されてしまった。この誤りは2002年の文庫版発売まで10年以上も訂正されなかった[22]

その他書籍の誤植[編集]

いい親を演じなさい
三重県が2004年から毎年11月の子ども虐待防止啓発月間に合わせ発行している、県の「子どもを虐待から守る条例」を紹介するパンフレットの「子育てのヒント」の欄で「いい親を演じない」とすべきところを「いい親を演じない」としてしまい、三重県庁は急遽パンフレットの回収を行った。2007年11月になって誤植に気付いたという[23]
川本三郎=誤訳
サンリオ文庫から出ていたロザリンド・アッシュ『蛾』(工藤政司訳、1979年、初版)の巻末の既刊書目録にはレイ・ブラッドベリ万華鏡』が記載されているが、訳者名を「川本三郎=翻訳」とすべきところが「川本三郎=誤訳」となっている。
真田信仍
戦国武将の真田信繁(真田幸村)の名前は、しばしば真田信仍(さなだのぶより)と誤植された。徳川光圀西山遺事』・湯浅常山常山紀談』など複数の資料で誤記され、明治時代に資料を翻刻(活字化)された際にもこの誤植が踏襲されている(光圀はわざわざ「幸村というのは誤りで信仍が正しい」とさえ発言している)。これは信繁の自筆署名のくずし字の判読を誤った誤植であるという。菊池寛は著書『真田幸村』で「信繁の兄の真田信之が「私の弟の名前は武田信繁と同じで、字も同じだ」といっているのだから信繁が正しい。江戸時代は信仍で通っていた」と述べている[24]
罪の巨塊 / 巨魂
曽野綾子には著書『ある神話の背景』で大江健三郎『沖縄ノート』を引用する際に「罪の巨塊」とある部分を「罪の巨」と誤読し、出版社も気づかなかったテキストがある(読売新聞社 1984、PHP研究所 1992、ワック 2006)。厳密には「誤植」というより、曽野綾子の誤解・誤読であり、1984年刊行の『曽野綾子選集. II 第2巻』を元テキストとし、それ以前の著作および大江健三郎の元引用テキストを確認しなかった編集者のミス(広義の誤植)である。さらに曽野綾子は「SAPIO」2007年11月28日号、「沖縄集団自決と従軍慰安婦=なぜ日本人はデマに平伏してしまうのか」(池田信夫×曽野綾子)では「罪の巨魁」という語を使っている。

雑誌の誤植[編集]

『中央公論』幸田露伴「佐佐木氏の如き歌」
中央公論』1905年(明治38年)1月1日号に掲載された幸田露伴の評論「文芸の批評家と一般士女との関係」(のち「批評」と改題)内で、「歌人にして歌学者たる佐佐木氏の解する能はずといふが如き歌」が「歌人にして歌学者たる佐佐木氏の如き歌は今猶行はるゝにあらずや。」と誤植された。ここは流行に阿った芸術の悪い例が列挙された部分だが、数字の脱字により「佐佐木氏でもわからないような歌」とするつもりが、「佐佐木氏のような歌」となり、また、この直前の4項目が「~にあらずや」で連続しているため、この文もそのような形に誤植された。これにより、露伴の親友でもあった佐佐木信綱(佐佐木氏)を非難する文となっている[6]
この件で、露伴は信綱に謝罪の書簡を送り(信綱からの書簡と共に内容は伝わっていない)、その一方で、内容確認のために編集部に原稿の返却を求めたが、原稿は紛失されていた。露伴は再度、信綱に書簡を送り(岩波書店『露伴全集』書簡集に186として収載)、編集部に訂正方を申し入れ、2月1日号の「前号正誤」に訂正と謝罪とが掲載された。いっぽう信綱は、露伴からの書簡に添えたメモで「つまらぬ事」と評しており、気にはしていなかったようである[6]
『週刊プレイボーイ』「南田洋子」
週刊プレイボーイ』1984年(昭和59年)11月20日号に掲載された新人紹介の記事で、「南野陽子」が「南田洋子」と誤植された[25]
『週刊SPA!』大正洗脳事件
1989年(平成元年)2月2日発売の週刊誌『週刊SPA!』2月9日号の記事中、「大正天皇」を「大正洗脳」と誤植した箇所があると判明。発行元の扶桑社は同号を発売中止とし、併せて既に発送した分を回収した[26][27]
『女性セブン』幻の皇大子
女性セブン』(2004年12月23日号)は2004年(平成16年)12月9日発売予定だったが、皇室記事の見出しで「皇太子」が「皇子」となっていたことに印刷作業の途中で気付き、急遽刷り直すことになったため、発売が12月13日に延期された[28]
『大白蓮華』戸田城聖の誕生日と命日を間違える
2017年(平成29年)12月25日発売の創価学会機関誌大白蓮華』2018年1月号の記事で、「戸田先生の生誕の日である2月11日」とすべきところを「戸田先生の祥月命日である2月11日」と誤植され[29]、発売2日後の『聖教新聞』にて訂正記事を掲載した[30][31]

新聞の誤植[編集]

新聞は、日刊という形態と時事を扱うスタイルから、入稿から印刷までが非常に短く、校正する時間も限られるために漫画、雑誌より誤植が出やすい。後日に訂正欄もしくは訂正記事によって訂正されることが多い。誤報#単純なミスも参照。

「無能無智ロシア皇帝」事件
1899年(明治32年)5月24日読売新聞ロシア皇帝について書いた社説の中に「全能全智と称せられる露国皇帝」とすべきところを「無能無智」としてしまった。「全」と「無」は楷書では似ていないが、崩し字が文選で読み間違えられた[32]。同新聞社は、即日「謹んで天下に謝す」と題した訂正の号外を配布し、ロシア帝国公使館に単なる誤植である旨を説明して事なきを得た。
広告の誤植 (1) - 風邪薬「ルル」のロゴが「サントリー角瓶」の広告に
1960年(昭和35年)11月13日朝日新聞の広告で、一部印刷ミスがあった。本来三共(現・第一三共ヘルスケア)から発売された「強力ルルエース」のロゴを間違って、洋酒の寿屋(現・サントリー)の「サントリーウィスキー(現・サントリー角瓶)」の広告に掲載してしまった[33]
「ペネルクイズ」
1975年(昭和50年)4月6日に放送が開始されたABCテレビの「パネルクイズ アタック25」初回放送日の朝日新聞東京本社版のテレビ番組表に「ペネルクイズ アタック25」と誤植されていた。
「プロ野球ニュース中山美穂」事件
フジテレビのスポーツ番組プロ野球ニュースで、当時フジテレビアナウンサーだった中井美穂の初担当回当日の新聞のラテ欄において、中山美穂と誤記された。
「老人死ね」事件
1989年頃の上毛新聞の見出しが「殴られ重体の老人死ぬ 松井田」と出そうとしたところ、「老人死 松井田」となってしまったことで問い合わせや抗議が殺到した。この誤植は『VOW2』(1989年7月発行)にも収録され、バラエティ番組の誤植特集で取り上げられるなどした。
「観光客を拉致せよ」事件
2005年(平成17年)11月2日 宮崎日日新聞朝刊のテレビ欄MRTイブニング・ニュースの内容を「観光客誘致を!!韓国でトップセールス」としようとしたところ、「観光客拉致を!!〜」となってしまい、後日訂正がなされた[34]
「岡田首相退任」事件
2010年(平成22年)7月1日 デーリー東北の朝刊で「岡田監督 退任の意向」とすべき内容を、「岡田首相」と誤って記者が入力し印刷され、40分後に印刷部員の指摘によって「岡田監督」に修正し、印刷し直すことになったが、すでに新聞販売店への発送が始まっていたので、発行部数10万5000部のうち、およそ半分の5万部は誤った紙面のまま配布された。翌日訂正がなされた[35]。当時の政治家に岡田克也がいたが、岡田克也は首相になったことがない。
「温家室」事件
2010年12月30日付の人民日報で中国の温家宝首相を「温家」と誤植。担当者は解雇も含め厳しい処分が予想されていたが[36]、その後、人民日報編集部の関係者が口頭反省で済んだと報道された[37]
「大塚製薬のリポビタンD」
2011年10月9日付けの伊勢新聞朝刊で、前日10月8日に行われた「津まつり」のステージイベント出演者に対して栄養ドリンク・「リポビタンD」を大正製薬の協賛で配布するという記事が掲載されたが、その見出しを「演者らにファイト!! 大塚製薬、『リポD』配る」と誤って掲載してしまった(ただし本文は「大正製薬」のままであった)[38]。なお大塚製薬が製造・販売する似た商品は「オロナミンCドリンク」(医薬品ではない)である。
広告の誤植 (2) - 「ボーイズラブ」が「ボーズラブ」に
2015年6月17日付毎日新聞東京本社版朝刊1面に掲載された、太田出版による溝口彰子の評論新刊『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』の広告において、副題の箇所がボーズラブと誤植された[39][40]。著者の溝口は自身のTwitterで「それにしても『ボーズラブ』って!」[41]とつぶやいた[40]
習近平にまつわる誤植事件
2015年末から2016年にかけ、中国共産党中央委員会総書記習近平にまつわるいくつの誤植事件が発生した。2015年11月6日江蘇省無錫市の地元紙・無錫日報で「習近平越南訪問」を「習近年越南訪問」と誤植[42]。同12月4日中国新聞社は報道で、「習近平致辞(習近平の講話)」を「習近平辞職(習近平が辞職)」と誤植[43]。2016年3月13日新華社ウェブサイトで「中国最高の指導者習近平」を「中国最後の指導者習近平」と誤植[44]。同4月21日香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「Xu died last year徐才厚が昨年死亡した)」を「Xi died last year(習近平が昨年死亡した)」と誤植[45]。同4月22日23日人民日報などの中国共産党系メディアは「習近平総書記」を「新加坡総書記」と誤植[46]。同7月1日、騰訊ニュースサイトが「習近平発表重要講話(習近平が重要な講話を発表した)」を「習近平発飆重要講話(「発飆」とは「ひどく怒る・発狂」の意味)」と誤植[47]
年明け早々、年代表記が前年に
福井新聞2018年1月4日付朝刊1面題字横にある日付欄において、年代表記が「2017年(平成29年)」となっていた[48]

輸入製品に見られる誤植[編集]

輸入商品、特に説明書の印刷を中国など海外の業者に委託した際には誤植が少なからず見られる。 これは言語の壁そのものもさることながら、日本語の記述面での特異性(日本語で使用される文字には「さ」と「き」と「ち」のように形が似た文字、果ては時として「へ(ひらがな)」と「ヘ(カタカナ)」、「ニ(カタカナの"に")」と「二(漢数字の"2")」のように音まで同じ文字すらある=そもそもミスが起こりやすいこと、日本人以外にはカタカナの細かい差異を区別することが難しいこと、「漢字カナ(かな)交じり文」という3種類、そこにアルファベットまで入れると4種類の系統の言語(文字)を混在させて使用する文章など)、つまり日本語は記述が難しい言語であることも関係していると見られる。

『DELL』スタソド、ヶーブル、カ夕カナ
パソコンメーカーのDELLモニター接続解説書には「スタに取り付ける」(「ソ」が「ん」ではなく「そ」)や「ーブル」などの誤植が見られる。また、キートップ上の「カタカナ」が「カカナ」(カタカナの「タ」ではなく漢字の「夕(ゆう)」)となっていたり、カタカナの「ソ」と「ン」が混同されて使われるなどの事例もある。
『ドラゴンモデルズ』「フや消し」シリーズ
香港に本社を持つプラモデルメーカー『ドラゴンモデルズ』の模型の組み立て説明書の誤植。
ドラゴンモデルズから発売されている模型の組み立て説明書やパッケージは世界展開を考慮して多国籍の言語で表記されているが、その中でも日本語表記は「つや消し」が「フや消し」や「フセ消レ」、「つや消レ」とされている。また、これ以外に同様ないし類似の誤植ケースが多数あるといわれる。
2014年2月のワンダーフェスティバルでは、パロディ商品として、これらの誤植を色名に反映させた塗料用ボトルがGSIクレオスホビー部からイベント会場限定で販売された[49]
『農心』ユッケジャンラーメン
韓国に本社を持つ食品メーカー「農心」から発売されているユッケジャンラーメンにおいて以前は、パッケージの製造元に「農心ヅャパソ」(正しくは「農心ジャパン」)、住所が「新虎ノ門失業会館ビル」(正しくは「新虎ノ門実業会館ビル」)と記載されるなど、日本版パッケージでの誤植がみられたが、2018年現在は修正されて正しい表記になっている。

その他メディアの誤植[編集]

『お山のお猿』 「戸倉千代子」
歌手島倉千代子プロデビュー曲は『この世の花』であるが、その5年前にもテイチクレコードから童謡『お山のお』を発売していた。しかし、このレコードは歌手名が「倉千代子」と誤植されていたため(レコード会社の社員によるミスとされている)、「島倉千代子」としてのデビュー曲にはならなかった[50]
『ウルトラマン』「M78星雲」
テレビ番組『ウルトラマン』で、主人公の出身地は当初、極めて特異な特徴を持つ星雲(正確には銀河)であるM87にちなんで、「M87星雲」とするはずだった。しかし企画書に「M78星雲」と誤植された。「万一本当のM78星雲からクレームが来るとしても、我々はとっくに死んでいるずっと未来のことだろうから」として、そのまま劇中でも使用され、定着した。なお、これによって没とされてしまった「M87」の名称は、後にウルトラ兄弟の長兄となったゾフィーの必殺技「M87光線」の名前で使用されている。実際のM78は、地球から見て比較的明るいということ以外、特にこれといった特徴のない反射星雲である。
『ギターフリークス・ドラムマニア』「KONMAI」
1999年平成11年)のコナミのゲーム『ギターフリークス』と『ドラムマニア』で、e-AMUSEMENT用の「KONAMI ID」を登録する部分で「A」と「M」が入れ替わって「KONMAI ID」と表記された。また、コナミが発売したゲームのバグや誤字、ユーザーの希望や要望から大きく外れた仕様を揶揄する「コンマイクオリティ」という用語が生み出され、以後定着した。「コンマイクオリティ」は自由国民社刊の『現代用語の基礎知識2008』にも収録されている。
なお、コナミはこれ以降にも「KOMANI」「KOMAMI」「KOMNAMI」「KOANMI」など、自社名の誤植を何度もしている[要出典]
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』「歴史保存教会」
SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がDVD-Video化されたときの誤植。本来なら「歴史保存協会」だが、「歴史保存教会」となっていた。マーティがデロリアンを見た時の「ヘビーなデザインだ」も「ベビーなデザインだ」となっていた。Blu-ray Discソフトでは後者のみ修正されている。
フジテレビの天気予報 「はえ」
1988年(昭和63年)10月17日に放送されたフジテレビ全国ニュースFNNスーパータイム)内の天気予報で、「名古屋 はれ」とすべき所を、「名古屋 はえ」と誤植で表示された。これは後に同局の『NG大賞』(現『がんばった大賞』)で取り上げられた。
『あたしンち』「未納加茂市」
2004年(平成16年)5月テレビ朝日系のテレビアニメ『あたしンち』のお母さん川柳のコーナーにて、投稿者の字幕テロップの住所を「岐阜県美濃加茂市」と表記すべき所を、「岐阜県未納加茂市」と表記していた。BS朝日で3年半後に再放送した際も修正せず放送。当時は政治家の年金未納問題が話題になっていた。なお、美濃加茂市の読みはみのかもしであり、みのうかもしとは読まない。
出川哲朗氏お別れの会
2013年12月2日付の「webザ・テレビジョン」のNHK総合テレビジョン情報番組・「ニュースウオッチ9」の紹介で、「川上哲治氏お別れ会」と表示すべきを、誤って「出川哲朗氏お別れ会」と表記し、ネット上で話題となった[51]。川上は2013年10月に93歳で病没。出川は2017年3月現在も存命中である。
北干住駅
2015年(平成27年)6月、東京メトロ千代田線北千住駅の駅名票が交換されたが、北千住駅とするところを「北住駅」になってしまった。東京メトロは、業者の発注ミスと説明している[52]
列車名表示に「喜多方ラーメン
2016年(平成28年)6月18日、磐越西線只見線会津若松駅の行き先表示に、本来「さよなら485系あいづ 15:25 郡山」と表示すべきところが「喜多方ラーメン 15:25 郡山」と表示してしまう事案が発生した。当日は485系ラストランの団体臨時列車が運転されていた。原因は、2004年2月に運行された「喜多方ラーメンフェスタ号」のデータが残っていたために起こった[53]
『魔境伝説アクロバンチ』登場主役メカの形式
SF冒険TVアニメ『魔境伝説アクロバンチ』において主役ロボットの「アクロバンチ」を構成するメカニカルの内、Bメカの「ファルコン・バンチャー」の形式名称は第2話のタツヤの説明では「リーサ型」となっている。ただし脚本時点では実は第2話「氷雪山の怪光」8ページにて「ーサー型」となっており、この誤植/誤読はアフレコ台本時点までに発生したものである事がわかる。なお、この脚本内ではその他にも誤植があり、例えば第1話「大秘宝を求めて」25ページではトロイの発見者である「シュリーマン」の名前を「シューマン」として記述している。この形式名称の誤植/誤読はそれ以降修正されず、各種出版物でも公式に「リーサ型」で固定している。
「中共総書記」洪秀柱
2016年11月12日、台湾の三立電視台洪秀柱国立国父紀念館訪問を放送したところ、「中国国民党主席 洪秀柱」と表記すべきところを「中共総書記 洪秀柱」と表示してしまった[54]
音速を超えた球速1467km/h
デイリースポーツウェブ版が第100回全国高等学校野球選手権記念大会の途中経過を伝えた見出しで、「金足農・吉田、5回で5奪三振 最速は146キロ(後略)」と伝えるべきところを、1467キロと伝えてしまい、ネット上で話題となった。ミスタイプが原因である[55]

定着した誤植[編集]

誤植が正規表現に替わって定着する場合もある。上記の「ゴキブリ」、「メメクラゲ」、「M78星雲」、「リーサ型」はその好例である。 また、定着とまでは行かないまでも誤植された側がその誤植をネタとして使用する事例も多々存在する。

作品[編集]

  • ルパン三世』の銭形警部の本名として設定された名前は4種類有るが「一」という最初の設定が誤植されて生まれた「幸一」という名前がアニメ版の公式設定になってしまった。
  • ひょっこりひょうたん島』のドン・ガバチョの笑い声が「ハハッハ」なのは、本来「ハハッハ」とすべきところを台本が誤植されており、声優がそのまま読んでしまったためだが、定着した。
  • 魔人探偵脳噛ネウロ』で、登場人物の1人「石垣筍」の本来の名前の読みは「いしがき しゅん」だったが、誤植によって「じゅん」が正式な名前になったことが単行本2巻で明かされた。また、「魔界777ツ能力(どうぐ)」の一つ「生まない女王様(イビルバジャー)」は、本来は「まない女王」であることが、単行本第5巻で明かされた。
  • 長野県歌「信濃の国」の5番で、仁科五郎盛信が仁科五郎信盛と歌われているが、歌詞を訂正しないまま長野県の歌としてそのまま歌い継がれている。ただし、仁科盛信は晩年に「信盛」と改名していた可能性が指摘されている[56]
  • 寺田寅彦の俳句「粟一粒秋三界を蔵しけり」は、岩波書店の寺田寅彦全集で「一粒秋三界を蔵しけり」(アワクリ)と誤植されたが、こちらの誤植バージョンが有名で、「栗の句」の代表作として知られている[57]
  • 若山牧水の歌集『海の声(海の聲)』序文には「われはげに云ひがたき、悲哀と慰とを覺えずんばあらず」という文があるが、「慰籍」という語は存在しない。類似の語として「慰」(いしゃ)は存在する。

名称[編集]

  • ホンソメワケベラ(ホン・ソメワケ・ベラ、漢字では“本染分倍良”)は当初“ホソメワケベラ”(ホソ・ソメワケ・ベラ:細染分倍良)と命名されて発表される予定だったが、論文に“ホソメワケベラ”と誤植されて直されることなく発表され、漢字表記も誤植された側に合わせて“ホンソメワケベラ”が正式な標準和名となった。
  • 富山県高岡市の「高岡開町400年記念事業」に際して発行された記念商品は、立山連を「立山連」と誤植してしまった。これを逆手にとって記念事業を推進していた高岡次世代経営塾は立山連邦王国なる架空のミニ独立国を建国した[58]
  • 戦国武将の林秀貞は、最近まで本名を林通勝と誤って伝えられていた。同時期に「林若狭守通勝」という人物がいたためとされる。これに限らず戦国武将には似た名前が多いため事績の混乱しているケースは多く、徳川実記を編んだ江戸時代の学者林述斎は、史料の混乱により、氏名が誤記されて、事績が混乱しているケースが多いと嘆いている。ただし、秀貞の子が勝吉、孫が勝久と「勝」の字を使った名前であることから、「通勝」を名乗った後に「秀貞」に改名した可能性も指摘されている。
  • 小説家吉川英治は、本名の「英次」(ひでつぐ)で作品を書いていたが、出版社が誤って「英」としたのを本人が気に入り、筆名とした。
  • 俳優コメディアン大村崑は当初「大村昆」という芸名を名乗ったが、台本に「大村」と誤植されたのを本人や師匠の大久保怜が共に気に入り、そのまま芸名として使っている[59]
  • コラムニスト押切伸一はある雑誌で「伸切伸一」と表記された(『VOW』ネタにもなった)ことで「のびきりのびいち」を一時期名乗っていた。親族や友人等からは「そりゃお前らしい」と言われたという。
  • 四方田犬彦は本来の筆名の「丈彦」を「彦」と表記され、それをそのまま筆名として使うようになった。
  • 漫画家の矢野健太郎は、数学者の矢野健太郎をもじって「矢野太郎」という筆名を名乗ったが、処女作の掲載時に「矢野太郎」と誤植されてしまい、そのまま現在の筆名として使い続けている[60]
  • 漫画家うすた京介は、読み切りを投稿する際に、近くにあったウスターソースをもじって「うすた宗介」と名乗ったが、作品の入賞が発表された際に「うすた介」と誤植されてしまい[61]、そのまま現在も筆名として使い続けている[62]
  • 小説家時雨沢恵一は、編集者の誤植である「雨沢恵一」を、複数の著書のあとがきに登場させた。
  • もじら組はイベント「関西オープンソース+フリーウェア2003」のパンフレットで「もぐら組」と誤記されたことで一時期自ら「もぐら組」を名乗っていたことがある[63]
  • 新日本プロレス所属レスラーの高橋裕二郎は、デビュー当時あらゆる書類で「裕郎」と誤植されたため、「石原裕次郎にあやかる」意味も合わせて2010年まで「裕次郎」をリングネームにした。
  • 大相撲力士(元関脇)のは、「海力山」と改名届を出した1957年1月場所に番付表の誤記に遭い、そのまま番付どおりの四股名を名乗った。
  • 競走馬ダイユウサク1991年の第36回有馬記念優勝馬)は、本来馬主は「ダイコウサク」という馬名にするつもりだったが、競走馬登録の際に「コ」と「ユ」の文字を取り違えられて「ダイユウサク」の名前で登録されてしまい、以後その名前で現役を通した。
  • 同じ競走馬のスウヰイスー1952年、戦後初の牝馬クラシック二冠馬)も、本来であれば「スウィ(ウヰ)ートスー」として登録するつもりだったが、馬主から調教師に電話で馬名を説明した際、当時の電話技術の影響か、「ス・ウィ・スー」と聞き違いをしてしまい、そのまま馬名にしたという説がある。
  • サッカーガーナ代表リチャード・キングソンの本名はリチャード・キングストン (Richard Kingston) だが、2006 FIFAワールドカップに出場した際、ユニフォームの背中ネームを「KINGSON」と誤植され、以来、代表でも所属クラブでも「キングソン」の登録名でプレーし続けている。
  • ラグビーニュージーランド代表(通称オールブラックス)は1905年-1906年にイギリス遠征で34勝1敗という好成績を収め、試合を見た地元記者が「全員がバックスのようだ(All Backs)」と称えるつもりがミスタイプで「All Blacks」となってしまったという逸話がある[64]
  • JOYSOUNDEXILEパーフェクト2008など、一部の男男デュエットで、スペード、クローバーではなく、スペード、ダイヤとなっている。

誤植を題材とした小説[編集]

佐野洋の推理小説「一本の鉛」ISBN 4-04-131201-9 は、誤植が題材の推理小説。「一本の鉛」は活字の意味である。

脚注[編集]

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  1. ^ 例えば、『VOW』では手書きチラシの誤字(食品トレイを食品ドレイと誤るなど)や写真の間違いまで一括して誤植としており、「誤植にむしばまれて」などのコーナーで扱っている。宝島編集部『VOW全書3』、宝島社1999
  2. ^ そもそも植字をしていないので、誤植しようが無い
  3. ^ 簡潔に言うと、校正者の職分は、原稿通りに印刷されているかの検査であり、原稿内容には関与しないし、してはならない
  4. ^ ただし、新聞社の場合、担当部署は「校閲部」である
  5. ^ 大岡信「校正とは交差することと見つけたり」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.96–101(底本 『光のくだもの』小学館 1992年)
  6. ^ a b c 十川信介「誤植の憾み 露伴の信綱宛書簡をめぐって」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.212–219(底本 『図書岩波書店 2009年11月号)
  7. ^ 森鷗外「鸚鵡石(序に代うる対話)」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.176–189(底本 『鷗外全集26巻』岩波書店 1973年)
  8. ^ 山口誓子「校正の話」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.122–129(底本 『海の庭』第一書房 1942年)
  9. ^ 高橋輝次「冷や汗をかく編集者」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.86–89
  10. ^ S. Freud, "Psychopathology of Everyday Life" 1901 (tr. A. A. Brill, 1914) pp.127f.
  11. ^ 小酒井不木. “誤謬の値段”. 2017年5月1日閲覧。(『紙魚』昭和2年1月号)
  12. ^ 最高裁判所昭和30年(あ)第871号昭和33年10月15日大法廷判決、刑集第12巻14号3313頁
  13. ^ 最高裁判所昭和30年(れ)第3号昭和32年12月28日大法廷判決、刑集第11巻14号3461頁
  14. ^ 最高裁判所昭和25年(あ)第739号昭和25年9月28日第一小法廷判決、刑集第4巻9号1848頁
  15. ^ 札幌高等裁判所昭和26年(う)第10号、高等裁判所判例集第4巻7号798頁
  16. ^ 年金改革法、条文ミス 上乗せ年金支給の根拠「消える」、asahi.com(朝日新聞)、2004年6月23日 08:02。
  17. ^ 「そろそろ活動する油虫とアリ もっとも良い退治薬」『東京朝日新聞』1927年5月26日付朝刊、7面。
  18. ^ 誤記から生まれた?嫌われもの「G」、ことばマガジン(朝日新聞デジタル)、2012年6月26日。
  19. ^ a b 「雪国はつらいよ条例」は「はつらつ条例」の誤りでした、asahi.com、2002年12月17日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  20. ^ a b 「雪国はつらつ」→「雪国はつらいよ」、スポニチアネックス、2002年12月18日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  21. ^ 写植を行った編集者、権藤晋の回想から 「『ねじ式』夜話―つげ義春とその周辺」喇嘛舎、1992年
  22. ^ 【ドコモ】ジョジョスマホの予測変換が超スゴイ! 「な」の入力で「何をするだァーッ!」 - ロケットニュース24、2012年7月28日
  23. ^ 「いい親を『演じなさい』→『演じない』でした 県、虐待防止チラシ修正」『朝日新聞』2007年11月2日付朝刊、23頁、三重全県。
  24. ^ 菊池寛『真田幸村』青空文庫
  25. ^ 『週刊プレイボーイ創刊50周年記念出版「熱狂」』集英社(集英社ムック)、2016年、126頁。ISBN 978-4-08-102224-3
  26. ^ 「週刊誌、誤植で回収 扶桑社の『SPA!』」『朝日新聞』1989年2月3日付東京夕刊、14頁。
  27. ^ 再来年の天皇退位の報道で心配される“誤植”や“誤用”、NEWSポストセブン、2017年12月11日 16:00。
  28. ^ 皇室関連記事で見出しに誤植 「女性セブン」発売延期、asahi.com、2004年12月8日 22:54。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  29. ^ 『大白蓮華』2018年1月号、21頁。
  30. ^ 「大白蓮華1月号 おわびと訂正」『聖教新聞』2017年12月27日付、2面。
  31. ^ 『週刊現代』2018年3月3日号、68頁。
  32. ^ 外山滋比古「校正畏るべし」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.12–15(底本 『ことばの四季』中公文庫 1989)
  33. ^ 寿屋の広告に載ってしまった「ルル」のロゴ本来ルルのロゴが掲載されるべきだった広告。「強力ルルエース」のロゴの箇所が空欄になっている
  34. ^ お詫びの紙面 - Facebook
  35. ^ 「岡田首相退任の意向」と1面掲載 デーリー東北お詫びして訂正
  36. ^ 人民日報、温家「室」首相と誤植 関係者に厳しい処分か
  37. ^ 溫家寶變溫家「室」 人民日報誤植未遭懲處
  38. ^ 当該記事の写真お詫びの紙面
  39. ^ マツモトトモの漫画『ボーズラブ!!!』とは一切関係ない。
  40. ^ a b あの太田出版が新聞広告で痛いミス 「ボーイズラブ」を「ボーズラブ」と誤記 - J-CASTニュース(2015年6月18日)
  41. ^ akikomizのツイート(611110816939507712)
  42. ^ 无锡日报头版惊现“习近年”
  43. ^ 中新社誤報習近平「辭職」中國媒體全部跟著錯
  44. ^ 新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道
  45. ^ 香港英字紙、習近平主席「死去」と誤報
  46. ^ 中国官媒又出错!习近平变「新加坡总书记」
  47. ^ 誤植習近平「發飆」 騰訊被查
  48. ^ “福井新聞、新年の朝刊で「2017年(平成29年)」と誤植 Twitterで福井タイムリープ説飛び交う”. ねとらぼ. (2018年1月5日). http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/05/news091.html 2018年1月8日閲覧。 
  49. ^ GSIクレオスホビー部 - twitter・2014年2月6日
  50. ^ 島倉千代子『島倉家―これが私の遺言』文芸社、2005年、118-121ページ。ISBN 4835591259
  51. ^ webザテレビジョン、「川上哲治氏お別れ会」を「出川哲朗氏お別れ会」と誤表記J-CASTニュース)、問題の番組紹介ページ
  52. ^ 北千住駅が「北干住駅」に ホーム看板27枚を誤植で交換 - スポニチアネックス(2015年7月29日)※2015年10月13日閲覧、インターネットアーカイブによるキャッシュ
  53. ^ 次の列車は「喜多方ラーメン」 誤表示の原因は12年前の出来事だった ハフィントンポスト 2016年6月20日配信 2017年8月7日閲覧
  54. ^ 洪秀柱遭誤植成這個 讓網友諷:美夢成真喇! 自由時報 2016年11月12日
  55. ^ 金足農・吉田投手、最速「1467キロ」って エースの快投にスポーツ紙記者思わず?、J-CASTトレンド、2018年8月20日 19:00。
  56. ^ 丸島和洋「武田勝頼と一門」『武田勝頼のすべて』新人物往来社、2007年。
  57. ^ 坪内稔典「粟か栗か」、高橋輝次 編著『増補版 誤植読本』筑摩書房ちくま文庫 2013 pp.145–147(底本 『産経新聞』朝刊 2012年11月9日号)
  58. ^ 誤植逆手に立山連邦“建国” HPから高岡発信、北日本新聞、2009年02月17日 09:40。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
  59. ^ 大村崑『崑ちゃん ボクの昭和青春譜』文藝春秋、2016年、59-60頁。ISBN 978-4-16-390513-6
  60. ^ 矢野健太郎「1+1=「健」!?」、『数学セミナー』、日本評論社、1986年11月、 3頁。
  61. ^ k_usutaのツイート(8331200607)
  62. ^ k_usutaのツイート(8331404681)
  63. ^ 【コラム】ハイテクウォーカー・オープンソース業界の尽きない悩み - マイコミジャーナル・2003年11月4日
  64. ^ 『世界のサッカー 相性の秘密』p129

関連項目[編集]