精神病質

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精神病質(せいしんびょうしつ、: psychopathy)またはサイコパシーとは、精神障害の一種であり、社会に適応することが難しい恒常的なパーソナリティ障害[1]、または、精神病健常との中間状態[2]。精神病質を持つ者は精神病質者サイコパス: psychopath)と言う。犯罪社会学者の赤羽由起夫が言うには「精神病質とは,性格の極端さのために自分や他人が悩む症状につけられた病名」であり[3]教育心理学者の加戸陽子・眞田敏らによると「精神病質とは、成人において非社会性または反社会性を常況として社会生活上の困難をしめすパーソナリティ障害と解釈されることが多い」[4]。精神病質という用語は、主に異常心理学生物学的精神医学などの分野で使われている。

定義[編集]

用語
類似語
  • 類似する用語として、社会病質しゃかいびょうしつ: sociopathyソシオパシー)がある。行動遺伝学者デヴィッド・リッケン (David T. Lykken) は反社会的人格を「ソシオパス的人格」「サイコパス的人格」「性格神経症」の三つに大別し、「ソシオパス的人格は、親の育て方などによる後天的なもの」「サイコパス的人格は元来の性格、気質などの先天的なもの」として位置付けている[5]。しかし一般には、ソシオパスとサイコパスはほぼ同義なものとして扱われることが多い[* 1]。研究では、原因は遺伝的要因と非遺伝的要因が挙げられている。
  • 「サイコパシー」は「マキャヴェリズム」「ナルシシズム」と共に、ダークトライアド[6]を構成する3要素の1つである。
注意点

「精神病質(サイコパシー)」という言葉はかつては(主にヨーロッパにおいて)精神医学用語の1つとして、比較的広い意味で用いられていた。現在ではそうした用法は廃れているが、今日の用法と混同しないよう注意が必要である。またサイコパスは俗にサイコと略されることがあるが、この言葉には「精神病的(: psychotic、サイコチック)」という意味も含まれることもあるので「サイコパス的(: psychopathic、サイコパシック)」とは必ずしも同義ではない。

統計・割合[編集]

精神病質者(※マイルド・サイコパスも含む)は、人口に対し決して少なくない一定数(1%から数%)で存在し続けていると見積もられており「学校のクラスに一人くらい」「会社にも必ず何人もの」精神病質者がいると考えられる。一般の人々と異なるさまざまな特徴があるが、精神病質者は人を騙すことを得意としているため、それを専門家でない者が見分けることは、非常に困難である[7]。日本にもおよそ120万人いると推定される[8][要ページ番号]。下記の様に統計的見積もりに、バラつきがあるのは、後述する「マイルド・サイコパス」を含めるか、含めないかによる相違である[9][要ページ番号]

  • 反社会性パーソナリティ障害の一般人口における有病率は、男性3%、女性1%ほど[10]
  • ロバート・ヘアポール・バビアクは「女性のサイコパスが統計的に少なく出やすい、または見落とされやすい理由」として、サイコパスの特徴が見られる人間に対して、精神科医は「男性の場合は『サイコパス』と診断するが、女性の場合は『パーソナリティ障害(演劇性・境界性・自己愛性)』などの異なった診断を下しがちなこと」と「『女性はサイコパスでない』という先入観」によると推測している[11]
  • マーサ・スタウトによれば、アメリカでは25人に1人(約4%)とされる。「その多くが犯罪者でなく身近にひそむ異常人格者である」という「マイルド・サイコパス」の実態は反映していない(#診断を参照)。
  • 米国には少なくとも300万人、ニューヨークだけでも10万人のサイコパスがいると、ロバート・ヘアは統計的に見積っている[要出典]。J・ブレアはアメリカでは反社会性人格障害のうち4分の1がサイコパスであるとしておりその率は全体の0.25%である。[12]

特徴[編集]

行動・情動面での特徴[編集]

オックスフォード大学の心理学専門家ケヴィン・ダットンは、精神病質者(サイコパス)の主な特徴を以下の様に定義している[13]

中でも、最大の特徴は「良心の欠如」であり、他人の痛みに対する共感が全く無く、自己中心的な行動をして相手を苦しめても快楽は感じるが、罪悪感は微塵も感じない[14][要ページ番号]。「人の人権尊厳を平気で踏みにじる行動をしながら、そのことに心が動かない」という特徴があり、良心の呵責なく他者を傷つけることができる[15]。精神病質者の大部分は殺人を犯す凶悪犯ではなく、身近にひそむ異常人格者(=マイルド・サイコパス(※後述))であるとされている。このようなマイルド・サイコパスは、社会的成功を収めることも多いとされている。

犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは以下のように定義している。

中野信子により以下のような具体的な特徴が挙げられている[16][要ページ番号]

  • 「良心の欠如」「表面的な愛想の良さ」「言葉の巧みさ」「節操のなさ」「長期的な人間関係の欠如」という特徴がある。
  • ありえないようなウソをつき、常人には考えられない不正を働いても、平然としている。ウソが完全に暴かれ、衆目に晒されても、全く恥じるそぶりさえ見せず、堂々としている。それどころか、「自分は不当に非難されている被害者」「悲劇の渦中にあるヒロイン」であるかのように振る舞いさえする。
  • 外見は魅力的で社交的。トークやプレゼンテーションも立て板に水で、抜群に面白い。だが、関わった人はみな騙され、不幸のどん底に突き落とされる。性的に奔放であるため、色恋沙汰のトラブルも絶えない。
  • 長期的なビジョンを持つことが困難なので、発言に責任を取ることができない。過去に語った内容とまるで違うことを平気で主張する。矛盾を指摘されても「断じてそんなことは言っていません」と、涼しい顔で言い張る。経歴を詐称する。
  • 残虐な殺人や悪辣な詐欺事件をおかしたにもかかわらず、まったく反省の色を見せない。そればかりか、自己の正当性を主張する手記などを世間に公表する。
  • ネット上で「荒らし」行為をよくする。
  • 愛情の細やかな人の良心をくすぐり、餌食にしていく。自己犠牲を美徳としている人ほどサイコパスに目をつけられやすい。
  • 脳の一部の領域の活動・反応が著しく低く「不安恐怖を感じにくい」「モラルを感じない」「痛々しい画像を見ても反応しない」などの特徴がある。
  • 他者への共感は欠如しているが、国語の試験問題を解くかのように、相手の目から感情を読み取るのは得意である。しかし他人の恐怖や悲しみを察する能力には欠ける。
  • 都会を好む、都会と相性がいい[17]

コーセラのオンライン対談講座で、イェール大学の心理学専門家ポール・ブルームは精神病質者について

「私が思うに世界を良くも悪くも変えている人の心理機構は、感情移入においては中度から低度である反面、その他の倫理的感情においてしばしば高度な人です。」


(I think the psychology of somebody who changes the world for better or worse is somebody who is medium to low in empathy, but often high in other moral emotions.)

と述べている[18]。対談者のクリスティーナ・スターマンズ(Christina Starmans)から紹介された質問「精神病質者たちは世界の最悪な人々の一部です。彼らは酷いことをしています。では私たちは、低感情移入的または精神病質的な人々の手に世界を委ねるべきでしょうか?」[* 2]に対し、ブルームは次の発言で回答している[18]

「すると精神病質者たちは実に感情移入が欠如〔不足〕していて、精神病質者たちは悪い人々です、定義上は。しかし、感情移入が欠如している他の個々人は悪い人々ではありません。

自閉症を持つ個々人がその一例で、感情移入が欠如しています。ほとんどの検査では、精神病質者たちよりもはるかに低感情移入的です。でも彼ら〔自閉症患者たち〕は悪い人々ではありません。彼らは世界を悪化させません。彼らはしばしば犠牲者たちです、その、残酷なことの。でも残酷な加害者たちになることは滅多にありません。そしてそれが示唆するのは、感情移入の欠如それ自体が人間を悪い人にすることはないということです。
それと、それとこれも覚えておいてください。つまり、つまり人は精神病質者たちや攻撃的な人々の中に感情移入が欠如しているのを見出しますが、それはしばしば状況次第なんです。言い換えると、彼らの脳が低感情移入的だから彼らが悪いことをするわけではありません。むしろ、彼らが悪いことをするのは多種多様な理由があるからです。衝動制御の低さ。しばしば害意がある欲求など。そうして悪いことをしていく途中で、彼らは自らの感情移入を引き下げるのです。」


(So psychopaths do lack empathy, and psychopaths are bad people, by definition. But other individuals who lack empathy are not bad people.
Individuals who have autism for instance lack empathy. By most tests are far less empathetic than psychopaths. But they're not bad people. They don't make the world worse. They're often the victims of, of cruelty but very rarely the perpetrators of it. And what that suggests is, that lack of empathy per se doesn't make you into a bad person.

Also, also keep in mind that, that the lack of empathy you see in psychopaths and in aggressive people is often a situational thing. In other words, it's not that their brains are low empathy and then they do bad things. Rather, they do bad things for all sorts of reasons. Low impulse control. Often malevolent desires and so on. And then in the course of doing bad things they turn down their empathy.)[18]

マイルド・サイコパス[19][編集]

サイコパスの症状はグレーゾーン的であり「サイコパス的な脳のつくりを持ちながら、反社会性傾向はなく、攻撃性が社会的に許容される程度(重犯罪を犯さない[20])」のサイコパス(→#原因、脳の特徴)も存在しており、身近な日常に紛れ込んでいる可能性も高い。このような、社会的に適合・成功しているケースを「マイルド・サイコパス(または成功したサイコパス)」と呼ぶこともある。

影響力[編集]

人がサイコパスに騙されやすい理由として、人間の脳には以下3つの特性があるため、もともと自身で意思決定を行わず、何かを信じ、信じたことに従っていた方が、脳に負担がかからず楽という習性がある為である[23][要ページ番号][24]

  • 認知的負荷(自分で判断することが負担で、それを苦痛に感じる)
  • 公正世界誤謬(人間の行いに対して公正な結果が返ってくるものである、と考える思い込みである)
  • 認知的不協和(自身の中で矛盾する認知を同時に抱えて不快感(葛藤)をおぼえると、その矛盾を解消しようと、都合のいい理屈をつくりだす)

なぜサイコパスは魅力を有するのかという疑問のひとつの答えとして、南カリフォルニア大学における神経学的研究結果が挙げられる[25]。それによると、犯罪的な嘘つきは、通常の人と違い、脱抑制状態になることなく嘘をつけるようにできているという。

女性の心理学者が診断していた男性のサイコパスに恋して彼の逃亡を幇助したという話が知られている(『診断名サイコパス』,p.213-214)。

ロバート・ヘアは「世の中の全ての本を読んでも、サイコパスの破壊的影響力から守られるということはない。専門家も含めて、誰もが騙され、操られ、ペテンにかけられ、当惑の果てに取り残される。優秀なサイコパスは、どんな相手の心の琴線でも協奏曲を奏でることができる。」と述べている(『Without Conscience』,Ch.13 A Survival Guide, p.207)。

サイコパスと結婚した経験があり、『Just Like His Father?(父親と同じ?)』の著者でもあるリアン・リーダム精神科医は、「サイコパスと一緒に住むと、サイコパスと同じ視点で世の中を見るほどに変わりうるものなのでしょうか?」という問いに対して、「答えは確実にイエスです。それは、あなたが如何にサイコパスを知っていようとも、サイコパスと一緒に生活をする、しないに関わらず、サイコパスといかなる関係をもつときにも起こることです。」と述べている[26]

サイコパスと職業、組織内のサイコパス[編集]

ケヴィン・ダットンの調査による、サイコパスの多い職業の上位10位は次のとおり[13]

また、ヘアは、次のような職業の者に多いと推測している[27]

また、他にも次のような者にも多いとしている[27]

企業内のサイコパス

彼らの特性が原因で、サイコパスは、組織内の位置としては組織下層部よりも上層部に多いと考えられており、とりわけ企業に存在するサイコパスはコーポレート・サイコパス (corporate psycopath) と呼ばれ、長年安定して営まれてきた企業をときに破滅へと導く原因になり得ると考えられはじめている[28]。コーポレート・サイコパスには以下の様な特徴がある[29][要ページ番号]

  • 「変化」と「スリル」を好むため、様々なことが次々起こる状況に惹かれる。
  • 自由な社風になじみやすい。ラフでフラットな意思決定が許される状況を利用する。
  • 他人を利用することが得意な為、リーダー職に適正がある。スピードが速い業界などでは、本性が暴かれる前に、周りの状況が変化するため都合が良い。一般社会ではサイコパスの発生率は1%だが、組織の指導的地位にいる人で見ると4%になるという研究がある[30]
  • 口ばかりうまくて地道な仕事はできないタイプが多い。
  • 職場の環境を「協調し合う場所」というより「競争的なもの」であると捉える。

サイコパスと考えられる著名人[編集]

診断[編集]

現状では、チェックリストのみが診断基準であるので医学的にサイコパスと同じ状態であっても反社会性がなければサイコパスとはならない。反社会性などの診断基準を満たす者は幼少期からの素行問題など行動面の異常を示すことが多い[33]。日本国の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に、「この法律で『精神障害者』とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と定義され、精神障害者に該当しつつ、保護の対象者と成る事を法的に認めているが、必ずしも全てが該当するとも言えず、時代相応の医学(科学)的な診断結果に基づいて判断される。

現在は20項目(『HARE PCL-R第2版テクニカルマニュアル』)が新たに定められ、それを用いて個別診断で半構造面接を行い2時間半 - 3時間かけて評定をする。

サイコパスは病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、パーソナリティ障害と位置付けられており、日本では反社会性パーソナリティ障害と名称されている。

精神病質と社会病質が混合されているがヘアによると精神病質と社会病質は似て非なるものであると記している。精神病質の原因と考えられているのは前頭葉の障害であるとされ、精神病質は遺伝病だとされる意見が主とされている。逆に、家庭・周囲環境や障害に因る心身の衰弱によるものなどによる、精神病質に似た性格異常は仮精神病質(偽精神病質)とされ、精神病質とは識別されている。

エミール・クレペリン[* 5]によるとサイコパスのひとつに「空想虚言者」という類型がある。ただしクレペリンの時代の精神病質の概念は現在のものとはことなる。

DSM-IVでの行為障害反社会性パーソナリティ障害の診断とPCL-Rで示されるサイコパス概念の違いは、人格というより、〈対人・情動〉、〈衝動的・反社会性行動〉、〈前2者に含まれない要素〉に着目することによってDSM-IVの診断を発展させたところにある。DSM-IVの診断では、単に反社会的行動をとる人たちという幅広い、それに至る多くの道があるという集団が同定されてしまう。

チェックリスト[編集]

サイコパシー・チェックリスト(PCL)

最も一般的に用いられているのは、ロバート・D・ヘアによって作成されたサイコパシー・チェックリスト英語版Psychopathy Checklist, Revised (PCL-R))である[34][35][36]

PCLは専門家が使う場合でも相当に複雑な臨床診断の道具であり、専門知識のない一般人が自分自身やそばにいる人をこれを使って診断してはならないとされている。この診断にはしっかりした訓練と、正式な採点方法が必要である。

サイコパシー・チェックリスト (PCL)
  1. 口達者/表面的な魅力
  2. 過去におけるサイコパスあるいは類似の診断
  3. 自己中心性/自己価値の誇大的な感覚
  4. 退屈しやすさ/欲求不満耐性の低さ
  5. 病的に嘘をついたり人を騙す
  6. 狡猾さ/正直さの欠如
  7. 良心の呵責あるいは罪悪感の欠如
  8. 情緒の深みや感情の欠如
  9. 無神経/共感の欠如
  10. 寄生虫的な生活様式
  11. 短気/行動のコントロールの欠如
  12. 乱交的な性関係
  13. 幼少期からの行動上の問題
  14. 現実的で長期的な計画の欠如
  15. 衝動性
  16. 親として無責任な行動
  17. 数多くの結婚・離婚歴
  18. 少年時代の非行
  19. 保護観察あるいは執行猶予期間の再犯の危険が高い
  20. 自分の行動に対する責任を受け入れることができない
  21. 多種類の犯罪行為
  22. 薬物やアルコールの乱用が反社会的行動の直接の原因ではない
  • 各項目は、「0, 1, 2」の3点法で採点し、臨床的には合計点で評価する。点数が高いほどサイコパスの特質を多く持っていることになる。
サイコパシー・チェックリスト改訂版 (PCL-R)[37]
  1. 口達者/表面的な魅力
  2. 誇大的な自己価値観
  3. 刺激を求める/退屈しやすい
  4. 病的な虚言
  5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る)
  6. 良心の呵責・罪悪感の欠如
  7. 浅薄な感情
  8. 冷淡で共感性の欠如
  9. 寄生的生活様式
  10. 行動のコントロールができない
  11. 放逸な性行動
  12. 幼少期の問題行動
  13. 現実的・長期的な目標の欠如
  14. 衝動的
  15. 無責任
  16. 自分の行動に対して責任が取れない
  17. 数多くの婚姻関係
  18. 少年非行
  19. 仮釈放の取消
  20. 多種多様な犯罪歴
  • それぞれの項目は、0 - 2点で評定、総計で0 - 40点に分布する。
  • 成人で30点を超えるとサイコパスとされ、20点未満であるとサイコパスではないとみなされる。
  • 子供のサイコパス傾向についての基準はあまり確立していないが、27点がカットオフ値。
サイコパシー・チェックリスト (PCL-R) をめぐる論争

サイコパシーの尺度の一つとして、PCL-Rは確かに有用ではあるが、PCL-Rが「サイコパスの定義」と誤解されることが危惧されており、特に犯罪歴に関する項目が含まれている点に関しては強い批判がある[38]。これに対して、ロバート・ヘアらは、「サイコパスであるためには、広義の意味で反社会的(: antisocial)であることは必須であるが、犯罪的(: criminal)であることは必ずしも必須ではない」と認めている[39]。これにより、かつてハーヴェイ・クレックレーがその著書「The Mask of Sanity(正気の仮面)」で示唆した、非犯罪的サイコパスないし“成功した”サイコパス[* 6]の存在が再認識された。“成功した”サイコパスと呼ばれる者たちの多くは、大統領や大企業のCEOなど、社会的成功を収めている人物だといわれている。

サイコパスの2因子モデル
因子1:対人/情動面 因子2:衝動的/反社会的行動面 因子3:どちらにも含まれない項目
1. 口達者/表面的な魅力 3. 刺激を求める/退屈しやすい 11. 放逸な性行動
2. 誇大的な自己価値観 9. 寄生的生活様式 17. 数多くの婚姻関係
4. 病的な虚言 10. 行動のコントロールができない 20. 多種多様な犯罪歴
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) 12. 幼少期の問題行動
6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 13. 現実的・長期的な目標の欠如
7. 浅薄な感情 14. 衝動的
8. 冷淡で共感性の欠如 15. 無責任
16. 自分の行動に対して責任が取れない 18. 少年非行
19. 仮釈放の取消
サイコパスの3因子モデル
尊大で虚偽的な対人関係 感情の欠落 衝動的/無責任 どの因子にも含まれない項目
1. 口達者/表面的な魅力 6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 3. 刺激を求める/退屈しやすい 10. 行動のコントロールができない
2. 誇大的な自己価値観 7. 浅薄な感情 9. 寄生的生活様式 11. 放逸な性行動
4. 病的な虚言 8. 冷淡で共感性の欠如 13. 現実的・長期的な目標の欠如 12. 幼少期の問題行動
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) 16. 自分の行動に対して責任が取れない 14. 衝動的 17. 数多くの婚姻関係
15. 無責任 18. 少年非行
19. 仮釈放の取消
20. 多種多様な犯罪歴

原因、脳の特徴[編集]

先天的な原因があるとされ、男性が多いとされるが[40]、B・ブレアによれば反社会性の面では男性優位であるが、情動面では男女に差はないという。脳の働きを計測すると、共感性を司る部分の働きが弱い場合が多いという[40]反社会性パーソナリティ障害の一般人口における有病率は、男性3%、女性1%ほど[41]

ジェームズ・ファロン(自らがサイコパスと同じ脳構造を持っているという脳科学者)は「三脚スツール」という理論を提唱し[42]、「反社会的行動をするサイコパス」の発現条件として以下3つの要素全てが揃うこととしている。

  1. 脳機能:前頭前野から扁桃体へつながる機能の低下
  2. 遺伝子:MAO-A遺伝子などいくつかの遺伝要因
  3. 生育環境:幼少期の身体的、精神的、性的虐待

ファロン自身が患っている疾患は双極性障害、強迫性障害、パニック発作。遠い親族に殺人者、殺人嫌疑者、兄弟にADHDがおり、本人の行為障害的行動についても語っている[43]。ジェームズ・ブレアは扁桃体の機能不全こそがサイコパスの主な原因とするが、その原因については不明としている。

現時点で言えることは、以下の2点である。

  • 脳の機能について、遺伝の影響は大きい
  • 生育環境が引き金になって反社会性が高まる可能性がある

虐待や劣悪な環境を避けることで反社会性の発現のいくらかは抑えられるという研究がある[44][要ページ番号]

脳の特徴

管理[編集]

英国国立医療技術評価機構(NICE)は精神病質の診断基準を満たす人口に対しては、認知行動介入を検討するとしている[47]。また併発疾患を治療することで、精神病質によるリスクを減少させることができる[47]。また、これに携わるスタッフは有害事象リスクが高いため、スタッフには高レベルの支援と厳重な監督が提供されなければならないとしている[47]

フィクション[編集]

犯罪少年犯罪)を題材にしたフィクションの作品においてもサイコパス(またはソシオパス・反社会性パーソナリティ障害)の要素があるキャラクターが登場している。大抵はモラルが欠落した者(反社会性を持つ者)・犯罪者・サイコキラーとして登場している。

小説[編集]

映画[編集]

文献目録[編集]

  • ロバート・D・ヘア『診断名サイコパス』小林宏明訳、早川書房、1993年。ISBN 978-4-15-050241-6
  • ジェームズ・ブレア『サイコパス-冷淡な脳-』福井裕輝訳、星和書店、2005年。ISBN 978-4-7911-0713-1
  • マーサ・スタウト『良心をもたない人たち 25人に1人という恐怖』木村博江訳、草思社ISBN 978-4-7942-1929-9
  • 高橋紳吾『サイコパスという名の怖い人々』河出書房新社、1999年。ISBN 978-4-309-50185-7
  • ロバート・D・ヘアポール・バビアク『社内の「知的確信犯」を探し出せ』ファーストプレスISBN 978-4-903241-57-9
  • ケヴィン・ダットン『サイコパス 秘められた能力』NHK出版、2012年。ISBN 978-4-14-081602-8
  • ジェームス・ファロン『サイコパス・インサイド ある神経科学者の脳の謎への旅』影山任佐訳、金剛出版、2015年。ISBN 978-4-7724-1407-4
  • 中野信子『サイコパス』文春新書、2016年。ISBN 978-4-16-661094-5

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 良心をもたない人たち』では、訳者あとがきにも述べられているように、ソシオパス、反社会性パーソナリティ障害、サイコパスがほとんど区別されていない。
  2. ^ 原文は“Psychopaths are some of the worst people in the world. They do terrible things. So should we be putting the world in the hands of people who are low empathy or psychopathic?”
  3. ^ ハーバード大学の専門家グループによる非専門家向けの啓蒙書『サイコパスとサイコパシーに関する考察:よくある質問に対する答えと事例 ("Thinking About Psychopath and Psychopathy: Answers to Frequently Asked Questions With Case Examples")』(2006) - iUniverse によれば、「ジム・ジョーンズが何の精神疾患を有していたかは多少の議論の余地はある。彼について知られている全てのことに基づいて言えば、彼は完全サイコパスであったように思われる」(同、148頁)とある。ジム・ジョーンズは、子供の頃から猫を殺してお葬式ごっこをするなどの行為障害がみられた(Stanley Nelson, “Jonestown: The Life and Death of the People’s Temple,” Fireflight Media, October 20 2006, compact disk, https://www.youtube.com/watch?v=ydHRESPjBxg.)が、成人後はインディアナポリス人権委員会(Indianapolis Human Rights Commission)委員長、サンフランシスコ住宅管理委員会(San Francisco Housing Authority Commission)委員長といった公職を歴任し、当時の大統領夫人ロザリン・カーター(Rosalynn Carter)の表敬訪問も受けている(Reiterman, Tim, and John Jacobs. Raven: The Untold Story of Rev. Jim Jones and His People. Dutton, 1982. ISBN 978-0-525-24136-2,p.66,p.266,p.303)ので、成功したサイコパスであったともいえる。ジム・ジョーンズは、成功したサイコパスと完全サイコパスが必ずしも相反する概念ではないことを示す好例である。
  4. ^ テッド・バンディは、サイコパシーのポスターボーイとして有名であるが、実際には少年期犯罪や早期の行為障害がなく、PCL-R の得点もサイコパスと呼ばれるには少し足りない。サイコパシーの特性を示さなかったわけではないが、典型的なサイコパスとはいえない(『Thinking About Psychopath and Psychopathy: Answers to Frequently Asked Questions With Case Examples』, p.204)。
  5. ^ 内田クレペリン精神検査の元となる「作業曲線」を発見した人物。
  6. ^ ただし、クレックレー自身は「部分的サイコパス(: partial psychopath)」という言い方をしている。このタイプのサイコパスは、例えば、『社内の「知的確信犯」を探し出せ』において、「デイヴ」というキャラクターを用いて素人向けに説明されている。

出典[編集]

  1. ^ 小学館 2020, p. 「精神病質」.
  2. ^ Britannica Japan Co., Ltd. 2020, p. 「精神病質」.
  3. ^ 赤羽 2012, p. 108.
  4. ^ 加戸 et al. 2013, p. 15.
  5. ^ Lykken, D. T. "The Antisocial Personalities", Psychology Press, 1 edition (May 3, 1995), 7頁。
  6. ^ http://karapaia.com/archives/52252648.html
  7. ^ 原田隆之による書籍の抜粋記事、100人に1人がサイコパス?!──身近な「冷血」とどう付き合うか 原田隆之『サイコパスの真実』より じぶん堂
  8. ^ 『サイコパス』中野信子,文春新書
  9. ^ 『サイコパスの真実』(原田隆之、ちくま新書)
  10. ^ CG77: Antisocial personality disorder: Treatment, management and prevention (Report). 英国国立医療技術評価機構. (2009-01). http://www.nice.org.uk/guidance/cg77/. 
  11. ^ 『サイコパス』文春新書P194
  12. ^ サイコパス-冷淡な脳-、25p
  13. ^ a b 英国心理学者 サイコパスが多い職場上位10を発表
  14. ^ 『サイコパスの真実』(原田隆之、ちくま新書)
  15. ^ https://www.shigotoba.net/expert_interview_1906_tamerainaku.html
  16. ^ 『サイコパス』文春新書
  17. ^ 『サイコパス』文春新書P221
  18. ^ a b c Moralities of Everyday Life Week 2 Office Hours (2015) https://www.coursera.org/lecture/moralities/week-2-office-hours-2015-5Ohrr
  19. ^ https://www.shigotoba.net/expert_interview_1906_tamerainaku.html
  20. ^ https://www.shigotoba.net/expert_interview_1906_tamerainaku.html
  21. ^ 中野信子『サイコパス』文春新書
  22. ^ https://keiei.proweb.jp/news/1/1375/1883/
  23. ^ 中野信子『サイコパス』文春新書
  24. ^ Lerner, M.J. & Montada, L. (1998). An Overview: Advances in Belief in a Just World Theory and Methods, in Leo Montada & M.J. Lerner (Eds.). Responses to Victimizations and Belief in a Just World (1–7). Plenum Press: New York.
  25. ^ Liars' Brains Wired Differently https://news.usc.edu/22586/Liars-Brains-Wired-Differently/
  26. ^ Can victims become like the psychopath?(サイコパスの犠牲者はサイコパスのようになりますか?) http://www.lovefraud.com/2008/10/03/can-victims-become-like-the-psychopath/
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参考文献[編集]

  • 赤羽, 由起夫「少年犯罪と精神疾患の関係の語られ方」『犯罪社会学研究』第37巻、日本犯罪社会学会、2012年、 104-118頁、 NAID 110009554174

関連項目[編集]

外部リンク[編集]