羊たちの沈黙

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羊たちの沈黙』(ひつじたちのちんもく、原題:The Silence of the Lambs)は、トマス・ハリスの小説。1988年刊。

天才的な洞察力を持つ精神科医でありながら人肉嗜好社会病質者ハンニバル・レクター博士を主役にしたシリーズ小説の2作目。その年に出版された優秀なホラー小説を顕彰するブラム・ストーカー賞を受賞している。

概要[編集]

小説と映画では、彼のかつての患者の一人であり女性を誘拐し皮を剥いでいるバッファロー・ビルに関する情報を得るため、若きFBI訓練生のクラリス・スターリングが、投獄されている社会病質の精神科医のもとに送られる。

当初、クラリスと対面したレクター博士は「アカデミーに帰りなさい、クラリスお嬢さん」とすげなくあしらうが、彼女が囚人の一人に辱められたことに怒り、その非礼への償いとして最初のヒントを与える。その後、クラリスの少女時代の記憶、秘められた過去の話と引き換えに、博士は彼女へ事件解決のアドバイスを与え続けていく。

バッファロー・ビル[編集]

この作品に登場するバッファロー・ビルBuffalo Bill)は、作中での本名は別にあるが、彼の起こした連続殺人事件の本名不詳の犯人の当座の名称として、「獲物を捕らえて殺し、皮を剥ぐ」という所からバッファロー・ビルにちなんで呼ばれ、定着した。

裁縫とアジア産の大型のを育てることが趣味で女装癖があるという、猟奇殺人犯の典型のひとつとも言うべき人物像を与えられている。

彼は太った女性を誘拐して古い自宅の地下にある穴蔵に閉じ込め、その間ローションで肌の手入れをさせ、痩せて皮を剥ぎ易くなった頃に殺害。皮膚を剥いでなめし、その革で服を作るというかなり狂気じみたことをしていた(これは自分は性同一性障害だと信じ、女性になろうとする心理の表れだったが、実際は性同一性障害ではないと診断されている)。小型犬を飼っていて、それを溺愛している。

彼のモデルになったのは猟奇殺人者として有名なエド・ゲイン及びテッド・バンディ(死体を加工して服を作る・幼い頃の母親の教育からの影響が強いなどはエド・ゲインに由来し、作中で見せた誘拐の手口、体の不自由なふりをして車に椅子を積むのを手伝ってもらい、その隙に襲うというものはテッド・バンディの手法だった)である。ハリスはウィスコンシン州で記者見習いをしているとき、エド・ゲインによる有名な猟奇殺人事件を担当しており、犯行手口などはこのときの取材にヒントを得ている。

映画[編集]

1990年に監督ジョナサン・デミ、主演ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスで映画化された。