反社会的行動

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反社会的行動(はんしゃかいてきこうどう、Anti-social behaviour)は、青少年の問題行動の一つとして語られる社会的規範から逸脱した行動[1]。原因として、行為障害(CD)、パーソナリティ障害を挙げることも少なくない。

アメリカ精神医学会のDSMでは、継続する反社会的行動を反社会性パーソナリティ障害(Antisocial personality disorder)、世界保健機関のICDではF60.2非社会性パーソナリティ障害(Dissocial personality disorder)としている[2]行為障害である場合には反社会性パーソナリティ障害は除外される[2]

発生の背景[編集]

成人では、政治、宗教などの信条に基づいて、周囲の社会に対して反社会的な活動を展開するなどのケースもあり、青少年の場合と一律には語れない。青少年の場合、これはその社会の法律や習慣、社会規範に明らかに反し、逸脱しているとされるような行為のことで、犯罪行為、少年非行に類した行為のことをいう。類したもので、非社会的行動向社会的行動トゥレット障害などの神経性習癖などがあり、これらと区別して、特に他者に迷惑、危害、不安を及ぼすようなものから、飲酒・喫煙・家出・盛り場徘徊・不純異性交遊・薬物乱用・刺青などまで被害者が明確ではないものまでをいう。多いものは、盗み暴力、怠学、家出・放浪、虚言など。非社会的・向社会的行動に対して、これは対人・社会的関係を壊すものとして区別される。非社会的行動は、対人・社会的関係を回避し、向社会的行動は、逆にそれを求め執着する傾向が強い。

反社会的行動の出現は、児童期の注意欠陥・多動性障害(ADHD)と重なって出てくる場合、また青年期の第二反抗期に一時的に親や大人たちからの独立心の表れと相まって一時的に出てくる場合などがあるが、深刻なものはそれが生涯にわたり継続していくケースである。そういうケースの背景としては、特に男性の場合ジェンダー問題、親からの虐待、とりわけネグレクト、貧困、社会的に恵まれない成育環境などがあるといわれる。これは、日本でも欧米でも共通で、欧米の場合、さらに社会的なマイノリティの出身であることなども影響するという識者もある。ただし、これには公安関係者のバイアスだとする声もある。

日本では、生産に全く関与せず、社会の負担となるだけのニートや生活保護受給者なども、労働者から感情的に反社会的存在とみなされる場合が有る。そのために、就職活動をしても過去の経歴で門前払いされ、社会復帰が難しくなっている現状が有る。

統計[編集]

行為障害を原因とする反社会的行動は、児童青年期において最も多くみられる精神と行動の問題である[1]。英国国家統計局によれば、1999-2004年にかけての5-16歳における行為障害有病率は5%であった[1]。2004年の英国調査では、非行によって児童保護プログラムに登録された子供の約40%に行為障害が確認された[1]。行為障害を持つ子供の50%ほどが、その後に反社会性パーソナリティ障害が形成される[1]

行為障害は、児童青年が児童青年精神保健サービス(CAMHS)に紹介される最も一般的な理由である[1]。英国では、児童総合診療医への受診者の30%は行動問題についてであり、地域児童保健サービスへの受診者の45%は行動問題について、小児科外来受診の28%は精神問題についてであった[1]

対応策[編集]

社会への復讐を目的とした犯罪行為を未然に防止する対策としては、その子の置かれている不利な生活環境の改善と、すでに学校を卒業としていれば、適切な雇用機会を提供すること。またその子に支持的な環境、その子を受容し、助言できるような人間関係、いいかえれば、ポジティヴな仲間集団をまわりにつくれるよう努めることが有効だといわれている。

認知行動療法[編集]

認知行動療法(CBT)は、反社会的行動への対応において、効果性が高く、根拠に基づいた治療法であるとされる[3]。この種の治療法は、個人が社会的状況をどう認識し、どう行動するかを変化させることに焦点を置く。とりわけ特に攻撃的な反社会的行動をする個人は、誤った社会的認識(敵意帰属バイアス英語版など)をしている傾向があり、これはネガティブな方向への行動結果をまねくものである[4]。またCBTは、青年などにはさらに効果があり、小さな児童には効果が劣ることが判明している[5]

CBTの一種である社会的問題解決力トレーニング英語版(PSST)は、個人がどのように社会的環境を考え、その結果どう振る舞うかを理解し修正していくことを目的としている[6]。このトレーニングでは、順を追ってセラピー外で起こる問題への潜在的な解決法を評価する技術を学び、さらに物理的暴力を避けてポジティブな問題解決法を作成し、紛争を解決する方法を学ぶ[7]

ペアレントトレーニング[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 英国国立医療技術評価機構 2013, Introduction.
  2. ^ a b ICD-10 Version:2008, WHO, (2008), http://apps.who.int/classifications/icd10/browse/2008/en#!/F60.2 
  3. ^ Cognitive-Behavioral Therapy for Personality Disorders (CBT)”. 2016年5月13日閲覧。
  4. ^ McCart, M. R.; Priester, P. E.; Davies, W. H. & Azen, R. (2006). “Differential effectiveness of behavioral parent-training and cognitive-behavioral therapy for antisocial youth: A meta-analysis”. Journal of Abnormal Child Psychology 34 (4): 527–543. doi:10.1007/s10802-006-9031-1. 
  5. ^ Bennett, D. S. & Gibbons, T. A. (2000). “Efficacy of Child Cognitive-Behavioral Interventions for Antisocial Behavior: A Meta-Analysis”. Child & Family Behavior Therapy 22 (1): 1–15. doi:10.1300/J019v22n01_01. 
  6. ^ Mash, E.J.; Wolfe, D.A. (2016). Abnormal Child Psychology. Belmont, CA: Wadsworth Publishing Company. pp. 269. 
  7. ^ CEBC » Problem Solving Skills Training › Program › Detailed”. 2016年5月13日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]