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* 製作・著作:[[ソニー・コンピュータエンタテインメント]]{{R|guide126-127}}
* 製作・著作:[[ソニー・コンピュータエンタテインメント]]{{R|guide126-127}}


== 評価 ==
== 反響 ==
{{コンピュータゲームレビュー
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|rev3Score = 229/300{{R|TPS19980626}}
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}}
『[[週刊ファミ通]]』の[[クロスレビュー]]では、9、7、7、8の31点と採点され、30点から31点のソフトが対象となる「シルバー殿堂」入りとなった(レビュアーは、サワディ・ノダ、カミカゼ長田、渡辺美紀、羽田隆之){{R|famitsu19980713}}。『[[電撃PlayStation]]』のDPSソフトレビューでは、60、80、80、90の310点と採点された(レビュアーは、[[岩崎啓眞]]、ウォルフ中村、なんでもゆうこ、電撃レビュアーズ){{R|DPS19980710}}。『[[ザ・プレイステーション]]』のザ・プレ流PSソフト品評会では、64、88、77の229点と採点された(レビュアーは、荒木由紀枝、飯田REI、内海一秀){{R|TPS19980626}}。
『[[週刊ファミ通]]』の[[クロスレビュー]]では、9、7、7、8の31点と採点され、30点から31点のソフトが対象となる「シルバー殿堂」入りとなった(レビュアーは、サワディ・ノダ、カミカゼ長田、渡辺美紀、羽田隆之){{R|famitsu19980713}}。
『[[電撃PlayStation]]』のDPSソフトレビューでは、60、80、80、90の310点と採点された(レビュアーは、[[岩崎啓眞]]、ウォルフ中村、なんでもゆうこ、袋こ〜じ){{R|DPS19980710}}。
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; アニメーション
; アニメーション
: サワディ・ノダ内海一秀は、フルアニメーション・フルボイスについて肯定的な評価を与えている{{R|famitsu19980713}}{{R|TPS19980626}}。とくにサワディは、「なりきり感覚」という表現を用い「遊んでいるうちにだんだん、はまっていってまるで本気で彼女と会話をしているような気になっていくのがすごい」と評している{{R|famitsu19980713}}。
: サワディ・ノダ、渡辺美紀、羽田隆之、岩崎啓眞、なんでもゆうこ、飯田REI、内海一秀の7人は、フルアニメーション・フルボイスについて肯定的な評価を与え{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}{{R|TPS19980626}}。とくにサワディは、「なりきり感覚」という表現を用い「遊んでいるうちにだんだん、はまっていってまるで本気で彼女と会話をしているような気になっていくのがすごい」と評し{{R|famitsu19980713}}。
: 一方、カミカゼ長田は、フルアニメーションについて「確かによく動く」としつつも、「それほどスゴイとは感じなかった」と述べている{{R|famitsu19980713}}。
; シナリオ
; シナリオ
: カミカゼ長田なんでもゆうこは、シナリオについて肯定的な評価を与えている{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくにゆうこは、ストーリー展開について「ムダのない」という表現を用い「ゲームにのめり込みやすいのも良いところですね」と評している{{R|DPS19980710}}。
: カミカゼ長田なんでもゆうこ、袋こ〜じの3人は、シナリオの完成度について肯定的な評価を与え{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくにゆうこは、ストーリー展開について「ムダのない」という表現を用い「ゲームにのめり込みやすいのも良いところですね」と評し{{R|DPS19980710}}。
: 一方、岩崎啓眞と渡辺美紀は、シナリオについて定的な評価を与えている{{R|DPS19980710}}{{R|famitsu19980713}}。岩崎「安っぽい印象」という表現を用い「プレイを始めてから3分で、メイストーリー最後まで読めてしまう内容では、あまりにお寒いではないか」述べ{{R|DPS19980710}}、渡辺はメインストーリーについて「柱となもう1本あってもよった」と述べている{{R|famitsu19980713}}。
:渡辺美紀、羽田隆之、なんでもゆうこの3人は、マルチエンディングであることについて定的な評価を与え{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくに羽田は、ディング27種類存在することについて「まじめに作られて」と評した{{R|famitsu19980713}}。
; キャラクター
; キャラクター
: サワディ・ノダは、ヒロインの赤坂美月について詳細避けつつも「絶対惚れるよ」肯定的に評している{{R|famitsu19980713}}。
: 羽田隆之と荒木由紀枝の2人は、ヒロインの赤坂美月について否定的な評価与えた{{R|famitsu19980713}}{{R|TPS19980626}}。くに羽田は、「女の子の一人称が『ボク』なのが個人的にぶ」と述べ、ヒロインの赤坂美月が[[ボク少女]]であことに抵抗を示した{{R|famitsu19980713}}。
: 一方、羽田隆之と荒木由紀枝は、キャラクターについて否定的な評価を与えている{{R|famitsu19980713}}{{R|TPS19980626}}。とくに羽田は、ヒロインの赤坂美月について「女の子の一人称が『ボク』なのが個人的にだいぶ」と述べている{{R|famitsu19980713}}。
; システム
; システム
: カミカゼ長田岩崎啓眞は、システムについて肯定的な評価を与えている{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくに田は、セーブ画面でシナリオ達成度やエンディングの数が分かについて「やる気が沸いてイイじです」と評している{{R|famitsu19980713}}。
: ウォルフ中村飯田REIの2人は、コントローラーの振動の使い方について肯定的な評価を与え{{R|DPS19980710}}{{R|TPS19980626}}。とくに田は、主人公心臓音に合わせて振動すことについて「臨場もバッチシ」と評し{{R|TPS19980626}}。
: 一方、ウォルフ中村と荒木由紀枝は、システムについて否定的な評価を与えている{{R|DPS19980710}}{{R|TPS19980626}}。中村はエンディングリストが無いことについて「到達済みエンディングの確認がしづらい点も×」と述べ{{R|DPS19980710}}、荒木は毎回エンディングを迎えて、また最初から始めないと達成率にカウントされないシステムについて「途中からでも達成率にカウント出来ればよかった」と述べている{{R|TPS19980626}}。
; 操作性
; 操作性
: 羽田隆之とウォルフ中村は、操作性について肯定的な評価を与えている{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくに羽田操作性ついてクイクで良好」と評している{{R|famitsu19980713}}。
: 渡辺美紀とウォルフ中村の2人は、プレイ済みの場面をスキップできることについて肯定的な評価を与え{{R|famitsu19980713}}{{R|DPS19980710}}。とくに渡辺、複数回プレイすると何度も同じ場面を見ることなるのでスキプの存在は貴重」と評し{{R|famitsu19980713}}。
: 一方、内海一秀はプレイヤーの操作について「選択肢の決定だけ」なことを指摘して、「ゲーム性の低さは否めない」と述べている{{R|TPS19980626}}。


本作のPS版の初動(発売週の売上)は約10万本に達し、週間ランキングで1位となった(「[[アスキー (企業)|アスキー]]」発表:102,047本){{R|famitsu19980724}}。また、本作のPS版の推定販累計売本数は312,939本であり、1998年の年間売り上げの38位にランクインした{{R|famitsu20020510}}。
本作のPS版の初動(発売週の売上)は約10万本に達し、週間ランキングで1位となった(「[[アスキー (企業)|アスキー]]」発表:102,047本){{R|famitsu19980724}}。また、本作のPS版の推定販累計売本数は312,939本であり、1998年の年間売り上げの38位にランクインした{{R|famitsu20020510}}。


『週刊ファミ通』の「ユーザーが推す怖いゲーム」では、本作は得票数が47票で9位を獲得した(ちなみに、1位は得票数が124票で『[[バイオハザード7 レジデント イービル]]』であった){{R|famitsu20180823200}}。ユーザーのコメントは「パッケージに描かれた、まるで学園恋愛ドラマのようなイラストとは別人の美月に戦慄した」「いまだからこそ、あの得体のしれない恐怖を感じてほしい。ただの恐怖ではなく、考えることが大いにある『恐怖』を」であった{{R|famitsu20180823204}}。
『週刊ファミ通』の「ユーザーが推す怖いゲーム」では、本作は得票数が47票で9位を獲得した{{R|famitsu20180823200}}。投票したユーザーは「パッケージに描かれた、まるで学園恋愛ドラマのようなイラストとは別人の美月に戦慄した」「いまだからこそ、あの得体のしれない恐怖を感じてほしい。ただの恐怖ではなく、考えることが大いにある『恐怖』を」と評した{{R|famitsu20180823204}}。


『週刊ファミ通』の「あなたが32番目に好きなゲームは?」では、ファミ通編集者である2人(オポネ菊池とブラボー!秋山)が「バッドエンドを見てこその物語。トラウマレベルの恐怖!」{{R|famitsu20180621121}}「恋愛モノと思いきや、凄惨なシーンが印象的」{{R|famitsu20180621131}}とコメントした。
『週刊ファミ通』の「あなたが32番目に好きなゲームは?」では、ファミ通編集者である2人(オポネ菊池とブラボー!秋山)が32番目に好きなゲームとして挙げており、それぞれ「バッドエンドを見てこその物語。トラウマレベルの恐怖!」{{R|famitsu20180621121}}「恋愛モノと思いきや、凄惨なシーンが印象的」{{R|famitsu20180621131}}とした。


ライターのカワチは、本作を「ヒロインの『赤坂美月』という複雑なキャラクターを選択肢によって多角的に理解していくゲーム」と評した{{R|sisilala tv}}。
ライターのカワチは、本作を「ヒロインの『赤坂美月』という複雑なキャラクターを選択肢によって多角的に理解していくゲーム」とコメントした{{R|sisilala tv}}。また、Good End 04「とらわれた心」に関して「すべてのギャルゲーマーへの挑戦のような気がしていて、いちばん好き」とコメントした{{R|sisilala tv}}。それと、本作での流血沙汰が多いことに対して「ジャンルの『やるドラ』って『やるドラマ』じゃなくて『殺るドラマ』のことなんじゃないの?」とコメントした<ref>{{Cite web |url=http://dps.dengeki.com/500/428 |title=ダブルキャスト 電撃PlayStation 500号記念特設サイト |date=2011-08-29 |website=電撃ドットコム |publisher=[[アスキー・メディアワークス]] |accessdate=2021-03-04 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120528080717/http://dps.dengeki.com/500/428 |archivedate=2012-05-28 |deadlinkdate=2021-03-04}}</ref>。


[[MAGES.]]の[[志倉千代丸]]は「かつて発売された『[[やるドラ]]』のようなアニメーションを大々的に取り入れる案が何度か出まして。僕らはやはり『やるドラ』にはちょっとした憧れがあるんですよね」と本作を含む『やるドラ』シリーズから影響を受けていることをインタビューで回答した<ref>{{Cite web |url=https://www.famitsu.com/news/201709/21142252.html |title=志倉千代丸氏インタビュー『シュタインズ・ゲート エリート』は“ゲーム以上でいて、アニメ以上” |date=2017-09-21 |website=[[ファミ通.com]] |publisher=[[KADOKAWA Game Linkage]] |accessdate=2021-02-28}}</ref>。
[[MAGES.]]の[[志倉千代丸]]は「かつて発売された『[[やるドラ]]』のようなアニメーションを大々的に取り入れる案が何度か出まして。僕らはやはり『やるドラ』にはちょっとした憧れがあるんですよね」と本作を含む『やるドラ』シリーズから影響を受けていることをインタビューで回答した<ref>{{Cite web |url=https://www.famitsu.com/news/201709/21142252.html |title=志倉千代丸氏インタビュー『シュタインズ・ゲート エリート』は“ゲーム以上でいて、アニメ以上” |date=2017-09-21 |website=[[ファミ通.com]] |publisher=[[KADOKAWA Game Linkage]] |accessdate=2021-02-28}}</ref>。


== 関連商品 ==
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2021年3月28日 (日) 12:01時点における版

ダブルキャスト

ゲーム:ダブルキャスト
ゲームジャンル アドベンチャー[1]
サスペンス[1]
ホラー[1]
対応機種 PlayStation[PS][1]
PlayStation Portable[PSP][2]
開発元 Production I.G[3]
シュガーアンドロケッツ[3]
ウィル[PSP][4]
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント[3]
総監督 東郷光宏[3]
監督 西久保瑞穂[3]
プロデューサー 石川光久[3]
山元哲治[3]
ディレクター 池内伸彰[3]
キャラクターデザイン 後藤圭二[3]
プロジェクト起案・原案 Production I.G[3]
シナリオ 川崎逸朗[3]
久保田雅史[3]
松原順[3]
音楽 梶浦由記[3]
桑原和男[3]
清水彰彦[3]
藤澤孝史[3]
荒木裕子[3]
メディア CD-ROM[PS][1]
UMD[PSP][2]
ダウンロード販売[PSP/DL][5]
プレイ人数 1人[1]
発売日 1998年6月25日[PS][1]
2001年8月16日[PS/Best][6]
2005年7月28日[PSP][2]
2009年9月24日[PSP/DL][5]
売上本数 312,939本[PS][7]
レイティング CEROB(12才以上対象)[PSP][2][5]
コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力[PSP][5]
キャラクター名設定 不可
エンディング数 27[8]
セーブファイル数 5[9]
セーブファイル容量 1ブロック[PS][10]
キャラクターボイス 主人公以外フルボイス[11]
その他 CGモード:なし
音楽モード:なし
回想モード:なし
メッセージスキップ:あり[12]
オートモード:なし
ラジオドラマ:「ダブルキャスト」ザ・ドラマCD
放送局 文化放送
東海ラジオ放送
朝日放送ラジオ
番組 ラジオジュテーム
発売元 SPE・ビジュアルワークス[13]
レーベル VORN[14]
発売日 1999年1月21日[13]
収録時間 73分15秒[13]
話数 全6話[13]
枚数 全1枚
漫画:ダブルキャスト アンソロジーコミック
作者 速水翼[15]
青紀やまと[15]
九条友淀[15]
杉崇亜緒弥[15]
服部あゆみ[15]
さいとう邦子[15]
あずみ椋[15]
ありともか[15]
辰藤剣[15]
佐々木ナツ[15]
出版社 ソフトバンクパブリッシング[16]
レーベル SB COMICS ゲームシリーズ[16]
発行日 1999年5月31日[16]
発売日 1999年5月28日[17]
巻数 全1巻
話数 全10話[15]
関連作品
テンプレート - ノート
プロジェクト 美少女ゲーム系
ポータル ゲーム

ダブルキャスト』(Double Cast)は、1998年6月25日ソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたPlayStationアドベンチャーゲーム[1]

本作は記憶喪失になったヒロインを軸としたサスペンス作品であり[18]、暴力シーンやグロテスクな表現が含まれている[19]。また、四季を題材とした『やるドラ』シリーズの第1作目であり、夏を舞台としている(その後、春を舞台とした『季節を抱きしめて』、秋を舞台とした『サンパギータ』、冬を舞台とした『雪割りの花』が発売された)[20]

劇中の全シーンがアニメーションで展開するが[21]、企画・原作・アニメーション制作は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』や『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』などを制作したProduction I.Gが担当した[22]

徹底してフルボイス・フルアニメーションで展開したこと、発売元がソニーだったこと、『機動戦艦ナデシコ』で知られる後藤圭二がキャラクターデザインを担当したことなどが話題になった[21]

やるドラ

『やるドラ』シリーズは全編フルボイス・フルアニメーションで物語が展開するアドベンチャーゲームのシリーズ名であり、本作は『やるドラ』シリーズの第1作目である[21]。各作品は本線と呼ばれるメインのシナリオが1本存在して、そこから分岐シナリオが派生していくシステムになっている[23]

PlayStationで発売された4作品(本作・『季節を抱きしめて』・『サンパギータ』・『雪割りの花』)は、夏・春・秋・冬といった季節が舞台となっている[20]。また、「大学生の主人公が記憶喪失のヒロインと出会う」という共通の設定になっている[24]

ゲームシステム

本作は全編フルアニメーションで物語が展開するマルチエンディング形式のアドベンチャーゲームである[25](いわゆる、フローチャート型のアドベンチャーゲームである[26])。アニメーションの途中で現れる選択肢を選ぶと、選んだ選択肢の内容に沿ってシナリオが進行する[12]

一度でもグッドエンドを迎えると、死人が続出するサブシナリオに入れる[27]。条件を満たすと、ゲームをスタートした直後に選択肢が表示され、スタート地点を選べるようになる[28]

シナリオを進行していくと達成率が上がっていく[29]。また、特定の数値を達成すると登場人物のメッセージを聞ける[29]

本作にはリプレイ機能があり、プレイしたデータのシナリオを選択肢なしで通常のアニメーションのように観られる[30]

ストーリー

所属する映画研究部の飲み会で酔い潰れた主人公は、見知らぬ女性の赤坂美月に介抱される[31]。美月は自分の名前以外の記憶が思い出せないことを主人公に打ち明けると、主人公は自分の家に来ることを提案する[32]。すると、美月はすぐにその提案を受け入れる[32]

映画研究部の部長である篠原遥は、映研がプライベートフィルムの賞をしばらく取ってないこと、大学の中央執行部から部室を明け渡せという話が出ているらしいということから、劇中劇である「かこひめの寝屋」を撮影してプライベートフィルムの賞を取ることを部員に宣言する[33]。だが、過去の映画の撮影中に主演女優と監督兼カメラマンが大学の屋上から相次いで飛び降りて2人とも死亡するという事件が発生したシナリオなので、主演女優を演じる学生が中々見つからない[33]。そこで、遥は学外から主演女優を探すよう部員に命じる[33]。主人公は遥に美月を紹介すると、遥は美月を主演女優に抜擢する[33]

霊園で映画の撮影をしている時、主人公の同期である二村英樹が「赤坂」と彫られている墓を見つけたので、主人公と美月は二村に話を聞こうとする。だが、二村は美月の親戚の墓と勘違いして美月の代わりに親戚の名前を調べると、墓には「赤坂美月」と彫られていた[34]。また、その日の夜の帰り道に美月はフルフェイスのヘルメットを被ったバイク乗りの男に襲われ、「おまえなんか生きてるワケない」と言われる[35]。これらの出来事によって、美月は自分の存在に疑問を持ち、取り乱してしまう[35]

そのような状況の中、主演男優の佐久間良樹が事故で腕を骨折したので、身長体重が近いという理由で主人公が主演男優代理に抜擢され、主演男優をダブルキャストすることになる[36]。遥の別荘での撮影中も主人公は1人でセリフの練習をしていたが、美月に見つかって一緒に練習をすることになる[37]。途中、アドリブで美月を抱きしめながら「君は確かにここにいて、僕の腕の中で必要な存在として成り立っている」と言った後、美月と初めてキスをする[37]

遥の別荘での撮影が終了して主人公と美月は自宅に戻ると、すぐに遥が現れる[38]。以前から主人公と美月が同居していることを知っていた遥は、映画が完成するまでは主人公と離れて暮らすよう美月に命じる[38]。それから数日後、ポストに猫の死体が入っていたり、玄関に「死ネ」などのラクガキがされたりするなど、主人公への嫌がらせが始まる[38]。そのような状況の中、主人公がフィルムの編集作業を進めていると撮影再開の連絡が入る[39]。現場に行くと左腕にギプスをはめた佐久間と美月がいた[39]。そして、この日で撮影はクランクアップを迎えた[39]

全ての撮影が終わったので、美月は主人公の家に戻ってくる[40]。その後、佐久間から電話[注 1]があり、直接会って美月の過去について話したいと言われる[40]。待ち合わせの廃病院に行くと、佐久間らしき人物に左手の刃物で切り付けられるが、主人公は蹴り返して応戦する[40]。佐久間らしき人物が袋小路の部屋に逃げたので主人公も部屋に入ると、そこには美月が倒れていた[40]。部屋の小窓から外を見ると、外にはフルフェイスのヘルメットを被った男がバイクにまたがっていて、主人公に気づくとバイクで逃走してしまう[40]。バイクがあった場所には「南西総合病院」と書かれた封筒が落ちていて、中には美月らしき人物が写っている2枚の写真が入っていた[40]

美月の看病を遥に任せた主人公はフィルムの編集作業に戻るのだが、何故かフィルムのカットのつなぎに違和感を感じてしまう[41]。主人公は何気なく2枚の写真に目を通す[41]。2枚とも美月らしき人物がテニスをしている写真だが、ラケットの打ち方が異なっていた[41]。1枚目は右から来たボールを右手で持ったラケットで打ち返した後の写真で、2枚目は右から来たボールを両手で持ったラケットで打ち返した後の写真である[41]。その瞬間、頭の中に一つの答えが出る[41]。主人公は遥と二村に電話[注 1]をかけて協力を要請する[41]

編集したフィルムの試写という名目で、主人公は美月を部室に呼び出す[42]。そこで、フィルムのカットによって美月の利き腕が変わることを指摘する[42]。驚く美月に対して、「南西総合病院」精神科の医師である森崎真奈美との会話を撮った映像を流す[42]。森崎は姉の赤坂美月と妹の赤坂志穂カウンセリングを担当していた。森崎は、姉の美月は自殺したこと、志穂には「姉の人格である凶暴な『赤坂美月』」と「仮の人格である記憶喪失の『赤坂美月』」といった複数の人格が現れること、志穂は右利きで美月は左利きであることを説明する[42]。そして、主人公は廃病院で襲ったのは美月であることを指摘する[42]。その瞬間、姉の人格である「美月」は手元にある刃物で主人公を刺そうとする[42]。「美月」は、主人公の家へのラクガキや廃病院で襲ったのは自分がやったことだと告白して部室から出るが、外には遥と二村が「美月」の行く手を塞ぐように立っていた[42]。とっさの判断で「美月」は立ち入り禁止になっている非常階段を上って屋上へ移動したので、主人公も後を追いかける[42]

主人公が屋上に到着すると、「美月」は転がっている鉄パイプを拾って主人公を殺そうとするが、突然現れた佐久間によって鉄パイプを受け止められる[43]。佐久間は、生前の美月によって志穂との仲を邪魔されたこと、美月と名乗る人物が現れたので「お前なんか生きてるはずないだろう」と聞いたことを打ち明けた後、「美月」によって鉄パイプで殴られる[43]。「美月」は主人公を殺そうとするが、主人公に手首を掴まれた後、共に屋上から落下する[43]

落下地点には遥と二村が用意したマットが敷かれていたため、二人は無傷で済む[44]。飛び降りた影響で姉の人格である「美月」は現れなくなり、志穂の人格が現れるようになる[44]。そして、無事に映画は完成して、主人公と志穂は結ばれる[44]

登場人物

主人公とメインヒロイン

主人公
:なし[注 2]
映画研究部の新人部員[45]。カメラを担当している[46]。一人称は「僕」[47]。あだ名は「新人」[45]
映画研究部の飲み会で酔い潰れてしまい、ゴミ捨て場で寝ていたところを美月に介抱される[31]。お礼にコーヒーをご馳走するが、雑談しているうちに美月の境遇を知り、彼女を居候させることになる(なお、主人公自身は叔父の家に居候の身である)[32]
赤坂 美月(あかさか みつき) / 赤坂 志穂(あかさか しほ)
声:平松晶子[3]
本作のヒロイン。
酔いつぶれた主人公を介抱したことが縁で知り合い[31]、彼の家へ転がり込むことになる[32]。その後、「かこひめの寝屋」の主演女優に抜擢される[33]。「赤坂 美月」という名前以外の記憶が一切失せており、素性なども謎に包まれているが、普段は至って明るく振る舞っている[48]
実は多重人格者であり、ストーリー後半で本名が「赤坂 志穂」であることが明かされる[42]
赤坂 美月(仮の人格[49]
志穂の人格の一つ[42]。後述する本来の志穂の人格でも姉の美月の人格でもなく、社会生活を営むために作り上げられた仮の赤坂美月である[49]。主人公に出会う前までの記憶は無い[48]。周りにはボーイッシュに振る舞っている[48]
一人称は「ボク[32][注 3]。右利き[注 4]
赤坂 美月(姉の人格[49]
志穂の人格の一つ[42]。志穂の双子[注 5]の姉である本物の美月(後述)をベースにした凶暴な人格[42]。森崎はこの人格について、「嫉妬深くてとても危険。志穂を溺愛していて、彼女が心を許した男性を襲う可能性がある」と説明している[42]
一人称は「あたし」[42]。左利き[注 6]
赤坂 志穂
志穂の主人格であり、彼女本来の人格[42]。つまり、志穂の中には「美月(仮の人格)」「美月(姉の人格)」「志穂」の3つの人格が存在しているが、同時に主人格であるはずの本来の志穂は眠った状態でずっと表に現れていなかった[42]
姉の美月が悪い男に捕まって男性不振になったことから、少しでも男性と懇意になりかけると虐待されるようになり、また彼女の自殺現場を目の当たりにしたため、その凶暴な美月の人格を宿す解離性同一性障害(いわゆる多重人格)を発症するようになる[20]。そういった経緯から、南西総合病院で森崎のカウンセリングを受けていた[46]
一人称は「あたし」[53]。右利き[注 6]

メインヒロインの関係者

赤坂 美月(本物)
声:なし
本物の美月であり、赤坂志穂の双子[注 5]の姉[42]。左利き[注 6]。故人[42]
幼少時に両親を事故で亡くし、志穂と2人で暮らしていた[42]。悪い男性に捕まったことが原因で、男性不信になってしまった結果、志穂に過剰な愛情を注ぐようになる一方、志穂が男性に近寄った場合は彼女に暴力を振るうこともいとわなくなる[42]。南西総合病院で森崎のカウンセリングを受けていたが[46]、最終的に自殺してしまう[42]
佐久間 良樹(さくま よしき)
声:置鮎龍太郎[3]
「かこひめの寝屋」に出演する男優[54]。映画研究部の部員ではない[54]
周囲にはプレイボーイと噂されているが、実際はそうではなく、女性には常に真剣で、相手の方が変な期待をして近付いてくることの方が多い[54]
森崎 真奈美(もりさき まなみ)
声:折笠愛[3]
南西総合病院精神科の医師[55]
才色兼備と称えられるに相応しい美女であるうえ、精神科としての手腕も確かである[56]

映画研究部メンバー

篠原 遥(しのはら はるか)
声:水谷優子[3]
映画研究部の部長[57]。監督を担当している[注 7]。お高く止まらない江戸っ子である[59]。良家の一人娘[57]
元々映画には興味があったわけでもないまま入部したところ、物語開始の前年に当時の部長がとある理由から失踪したため、人望の高さから部長の座を引き継ぐことになる[59]
見た目は派手であるが、男性には奥手である[60]
二村 英樹(ふたむら ひでき)
声:森久保祥太郎[3]
主人公と同期の新人部員で、主人公とは友人である[61]。カメラを担当している[46]
映画の知識は「映研最高峰の人材」と称されている[62]
楠木 翔子(くすのき しょうこ)
声:白鳥由里[3]
主人公と同期の新人部員[63]。メイクを担当している[63]
自分自身より、他人を美しくすることを第一に考えるタイプである[63]。本当は海外での本格的なメイクの勉強を希望していたが、親に反対されたため、普通の大学へ通いながら日々勉強に励んでいる[63]
奥手そうな外見とは裏腹に、恋愛経験については美月や遥より豊富という噂もある[63]
剛田 豪(ごうだ ごう)
声:立木文彦[3]
主人公の先輩の映画研究部の部員[64]。助監督を担当している[46]
元はプロレス同好会に所属していたが、遥が撮ってくれたプロモーションビデオを気に入り、そのまま映画研究部に所属する[64]
バッドエンドになった場合、元ライバルで現相方の花園と共に登場し、アドバイスを送ってくれる[65]
花園 雅美(はなぞの まさみ)
声:松本保典[3]
主人公の先輩の映画研究部の部員[64]。備品のメンテナンスを担当している[46]
剛田と同じく、元はプロレス同好会に所属していたが、映画研究部に入り浸るようになった彼の後を追って映画研究部に所属する[64]
バッドエンドの際に行われる寸劇では、剛田のアドバイスに対して「うむ、その通り!」と合いの手を入れている[65]

エンディング

Good End

No. サブタイトル 内容
01 ダブルキャスト 大学の屋上から飛び降りた結果、すべての記憶を取り戻し、志穂本来の人格に統合される[53][注 8]
02 志穂 大学の屋上から飛び降りた結果、姉妹の記憶を失い、美月(仮の人格)の人格が志穂の名前で過ごすようになる[66]
03 美月 大学の屋上から飛び降りた結果、以前の記憶をすべて失い、ボーイッシュな人格が志穂の名前で過ごすようになる[67]
04 とらわれた心 大学の屋上から飛び降りた結果、入院したまま美月(姉の人格)として過ごすことが多くなる[58]

Normal End

No. サブタイトル 内容
01 翔子 主人公から告白された翔子は泣き出してしまう[68]
02 映研 美月が主演女優を降りると言い出すので、主人公が説得して映画の撮影がスタートする[69]
03 親友 二村がカメラマンを降りると言い出すので、遥が説得して映画の撮影がスタートする[70]
04 麻由 桜の根本で倒れている麻由を見かけ、『季節を抱きしめて』の予告映像が流れる[71]
05 マリア 路地裏でうずくまっているマリアを見かけ、『サンパギータ』の予告映像が流れる[72]
06 花織 立ち寄ったアパートで花織を見かけ、『雪割りの花』の予告映像が流れる[73]

Bad End

No. サブタイトル 内容
01 少女 初めて会った美月につれない言動を繰り返したため、美月が怒って主人公の元を去る[74]
02 夢のつづき 怒った美月を追いかける途中で主人公は階段から転落して気絶するが、目覚めるとゴミ袋の山で寝ていて、また美月と出会う[75]
03 狂気(1) 遥の別荘で夜寝ている時に何者かによって主人公と二村が包丁で殺戮される[76]
04 狂気(2) 遥の別荘が放火され、主人公と映画研究部の部員が焼死したニュースを佐久間がテレビで見ている[77]
05 狂気(3) 遥の別荘が放火され、主人公と遥は別荘から脱出するが、別荘から出てきた何者かによって殺戮される[78]
06 狂気(4) 遥の別荘が放火され、主人公は脱出しようとするが、階段から落ちて足に怪我をして逃げきれず、美月に殺戮される[79]
07 狂気(5) 遥の別荘が放火され、主人公と遥が別荘から脱出するが、足に怪我をして逃げきれず、別荘から出てきた何者かによって殺戮される[80]
08 狂気(6) 遥の別荘が放火され、主人公は何者かから部長と剛田を必死に守るが殺戮される[81]
09 かこひめの寝屋 ラストシーンに使う飛び降り心中事件を撮影したフィルムを二村に見せられ、他のシーンの完成を強要される[82]
10 殺人鬼 佐久間に「美月のことで話がある」と廃病院に呼び出されるが、行った先の廃病院で暗がりに現れた何者かによって包丁で殺害される[83]
11 真犯人(1) トリック自体が解明できてない上に推理を間違っているので、部室で真犯人に殺害される[84]
12 真犯人(2) トリック自体が解明できてない上に推理を間違っているので、部室で美月に三脚で殺害される[85]
13 とどかぬ想い トリックは解明しているが佐久間が現れないので、大学の屋上で美月に鉄パイプで殴り殺される[86]
14 姉妹 大学の屋上から転落する美月の腕を主人公が捕まえて説得できたと思ったが、美月は自分から主人公の手を振りほどいて転落死する[87]
15 終焉 大学の屋上から飛び降りた結果、二村と部長がマットの準備をしていなかったために、主人公と美月が死亡する[88]
16 記憶 大学の屋上から飛び降りた結果、マットへの着地はうまくいったが、病院で目覚めた主人公は記憶を失っている[89]
17 真実は… 映画は完成するが、犯人と思われる佐久間が自殺したので事件は未解決のままである[90]

主題歌

エンディングテーマ「door」
歌:小畑由香里 / 作詞:サエキけんぞう / 作曲・編曲:江見トモヒロ[3]

開発

企画が立ち上がったのは1996年4月であったが[91]、このときはCD-ROM2枚組で春・夏・秋・冬の物語(『季節を抱きしめて』・本作・『サンパギータ』・『雪割りの花』)が入っており、1話が約30分のライトなアドベンチャーゲームを作るというものであった[23]。4月から5月まで企画を作成したが、この段階では全編をアニメーションで動かす予定はなく、アドベンチャーゲームによく見られる止め絵を多用したゲームを想定していた[91]。6月から8月まで『季節を抱きしめて』のテスト版を作成してシュガーアンドロケッツの社長であった山元哲治に見せたところ、「作るなら徹底して作った方が良いのではないか」と言われ、1タイトルにつき1パッケージになるように脚本・絵コンテを再調整することになった[91]。それに伴い、1話につき約300カットの予定が、最終的には1話につき約1500カットに増加した[23]。マスターアップは1998年4月であり、製作期間は約2年にわたった[91]。ただし、本作と『季節を抱きしめて』『サンパギータ』『雪割りの花』の4作品を同時進行で制作していたため、実質的には1作品あたりの製作期間は6か月から8か月であった[91]

タイトルが現在のものに決定するまで2回の変更があった。開発初期のタイトルは『四季「夏」』であり[92]、次のタイトルは『フォーシーズンズメモリー 夏 〜アクトレス〜』であった[93]。最終的には現在のタイトルである『ダブルキャスト』に決定した。

シナリオについて東郷光宏は硬質なサスペンス作品を想定していたが、川崎逸朗によって脚本を大幅に変更した絵コンテが仕上がった[91]。ただ、その絵コンテが後藤圭二が描いたキャラクターと合致したため、そのまま採用された[91]

劇中劇である「かこひめの寝屋」が導入された理由は、最初に美月の謎を問いかけてしまうと彼女の正体だけにプレイヤーの興味が向かうことが危惧されたため、その興味を分散するためであった[注 9][94]。また、初稿シナリオの内容は「最初はいきなり映画を撮ってる状態から話が始まっていたんですよ。ある事件が起こって、学生名簿を調べてみると、美月という名前がなかった」と川崎逸朗はインタビューで答えているが、それでは誰が映画のヒロインに美月を推薦したのかが分からなかったため、劇中劇が導入された[94]

予定されていた話として、遥が自分の初恋について話す話や佐久間が活躍する話などがあったが、容量の関係でカットされた[95]。また、記憶が戻った美月が黙って皆の前から去るエンディングが候補として挙がっていた[96]

キャラクターに関しては、赤坂美月の服装はパンチラ対策としてキュロットスカートにしていたが、川崎逸朗の指示でスカートに変更された[94]。その結果として、本作はPlayStation初のパンチラ解禁作品となった(お色気描写を規制していたプラットフォーマーであるソニーが自分で規制を破る形となった)[19]

スタッフ

PS版

反響

評価
レビュー結果
媒体結果
週刊ファミ通31/40[97]
電撃PlayStation310/400[98]
ザ・プレイステーション229/300[99]

週刊ファミ通』のクロスレビューでは、9、7、7、8の31点と採点され、30点から31点のソフトが対象となる「シルバー殿堂」入りとなった(レビュアーは、サワディ・ノダ、カミカゼ長田、渡辺美紀、羽田隆之)[97]

電撃PlayStation』のDPSソフトレビューでは、60、80、80、90の310点と採点された(レビュアーは、岩崎啓眞、ウォルフ中村、なんでもゆうこ、袋こ〜じ)[98]

ザ・プレイステーション』のザ・プレ流PSソフト品評会では、64、88、77の229点と採点された(レビュアーは、荒木由紀枝、飯田REI、内海一秀)[99]

アニメーション
サワディ・ノダ、渡辺美紀、羽田隆之、岩崎啓眞、なんでもゆうこ、飯田REI、内海一秀の7人は、フルアニメーション・フルボイスについて肯定的な評価を与えた[97][98][99]。とくにサワディは、「なりきり感覚」という表現を用いて「遊んでいるうちにだんだん、はまっていってまるで本気で彼女と会話をしているような気になっていくのがすごい」と評した[97]
シナリオ
カミカゼ長田、なんでもゆうこ、袋こ〜じの3人は、シナリオの完成度について肯定的な評価を与えた[97][98]。とくにゆうこは、ストーリー展開について「ムダのない」という表現を用いて「ゲームにのめり込みやすいのも良いところですね」と評した[98]
渡辺美紀、羽田隆之、なんでもゆうこの3人は、マルチエンディングであることについて肯定的な評価を与えた[97][98]。とくに羽田は、エンディングが27種類存在することについて「まじめに作られてるのがわかる」と評した[97]
キャラクター
羽田隆之と荒木由紀枝の2人は、ヒロインの赤坂美月について否定的な評価を与えた[97][99]。とくに羽田は、「女の子の一人称が『ボク』なのが個人的にだいぶ」と述べ、ヒロインの赤坂美月がボク少女であることに抵抗を示した[97]
システム
ウォルフ中村と飯田REIの2人は、コントローラーの振動の使い方について肯定的な評価を与えた[98][99]。とくに飯田は、主人公の心臓音に合わせて振動することについて「臨場感もバッチシ」と評した[99]
操作性
渡辺美紀とウォルフ中村の2人は、プレイ済みの場面をスキップできることについて肯定的な評価を与えた[97][98]。とくに渡辺は、複数回プレイすると何度も同じ場面を見ることになるので「スキップの存在は貴重」と評した[97]

本作のPS版の初動(発売週の売上)は約10万本に達し、週間ランキングで1位となった(「アスキー」発表:102,047本)[100]。また、本作のPS版の推定販累計売本数は312,939本であり、1998年の年間売り上げの38位にランクインした[7]

『週刊ファミ通』の「ユーザーが推す怖いゲーム」では、本作は得票数が47票で9位を獲得した[101]。投票したユーザーは「パッケージに描かれた、まるで学園恋愛ドラマのようなイラストとは別人の美月に戦慄した」「いまだからこそ、あの得体のしれない恐怖を感じてほしい。ただの恐怖ではなく、考えることが大いにある『恐怖』を」と評した[102]

『週刊ファミ通』の「あなたが32番目に好きなゲームは?」では、ファミ通編集者である2人(オポネ菊池とブラボー!秋山)が32番目に好きなゲームとして挙げており、それぞれ「バッドエンドを見てこその物語。トラウマレベルの恐怖!」[24]「恋愛モノと思いきや、凄惨なシーンが印象的」[103]と評した。

ライターのカワチは、本作を「ヒロインの『赤坂美月』という複雑なキャラクターを選択肢によって多角的に理解していくゲーム」と評した[20]

MAGES.志倉千代丸は「かつて発売された『やるドラ』のようなアニメーションを大々的に取り入れる案が何度か出まして。僕らはやはり『やるドラ』にはちょっとした憧れがあるんですよね」と、本作を含む『やるドラ』シリーズから影響を受けていることをインタビューで回答した[104]

関連商品

書籍

タイトル 発売日 発売元 ISBN 内容
オフィシャル やるドラ ファンブック ダブルキャスト CD-ROMスペシャルデータ集 1998年6月25日[105] ソニー・コンピュータエンタテインメント - 攻略本とCD-ROM。
「やるドラ」攻略シリーズ ダブルキャスト 公式ガイド 1998年7月12日[106] ソフトバンクパブリッシング[106] ISBN 4-7973-0678-5 攻略本[106]。各キャストの設定資料などが掲載されている[106]
ダブルキャスト オフィシャルガイドブック 1998年7月[107] アスペクト[107] ISBN 4-7572-0150-8 攻略本[108]。本文ストーリーライン、制作スタッフインタビュー、シナリオルートやエンディングルートを示したフローチャートを収録している[108]
やるドラシリーズ 公式ディレクターズガイド ダブルキャスト&季節を抱きしめて 1998年9月[109] 集英社[109] ISBN 4-08-108084-4 攻略本。
ダブルキャスト アンソロジーコミック 1999年5月28日[17] ソフトバンクパブリッシング[17] ISBN 4-7973-0953-9 アンソロジーコミック[17]

CD

タイトル 発売日 発売元 内容
door 1998年7月18日[110] SPE・ビジュアルワークス[111] シングルCD[110]。エンディングテーマを収録している[110]
「ダブルキャスト」オリジナル・サウンドトラック 1998年11月21日[112] SPE・ビジュアルワークス[113] アルバムCD[112]。本編のBGMを収録している[112]
「ダブルキャスト」ザ・ドラマCD 1999年1月21日[13] SPE・ビジュアルワークス[13] ドラマCD[13]

その他の商品

タイトル 発売日 発売元 内容
ダブルキャスト 本線用台本 - - アフレコ用台本。ゲーム開始からGood End 01「ダブルキャスト」までが収録されている。本製品の予約特典。
TRADING COLLECTION「ダブルキャスト」 1998年[114] 天田印刷加工[114] トレーディングカード[114]。全108種類のカードが存在する(ノーマルカード:90種類、メタリックカード:12種類、ベストショットカード:6種類)[114]
ダブルキャスト コレクターズディスク 1999年4月29日[115] Production I.G[116] Windows 95/98専用アクセサリー集[116]。スクリーンセーバーや壁紙、脚本段階の初期シナリオなどが収録されている[116]
やるドラ公式設定BOX 1999年4月 マンガパック 設定資料集

脚注

注釈

  1. ^ a b 自宅の固定電話ではなく、自分のPHSを使用している[40][41]
  2. ^ ドラマCD版では鈴村健一が僕を担当する[13]
  3. ^ ドラマCD版では心の声のみ「あたし」になっており、実際に喋る時の「ボク」と使い分けている[50]
  4. ^ 劇中で「ボク」と呼んでいる時、右手で箸を持ってラーメンを食べているシーンがある[51]
  5. ^ a b 『オフィシャルガイドブック』で「双子の姉と共に、中学を卒業するまで祖父母のもとに預けられていた」という記述がある[52]
  6. ^ a b c 劇中で、森崎から「赤坂志穂は右利き、赤坂美月は左利き」と説明された、と主人公が述べている[42]
  7. ^ 「かこひめの寝屋」のポスターに監督「しのはら遥」と記載されている[58]
  8. ^ このエンディングにはバージョンが2つあり、最後に二村が遥に告白するかどうかが異なる[53]
  9. ^ あらすじは「ある男が『囲い女』を拾ったことから始まる。『囲い女』とは今で言う愛人のこと。その愛人が、最初は橋の下の小さな棺桶を寝床にしていたのだが、男といい仲になると金が入り、寝床がだんだんとぜいたくになっていくのに気づく。それに連れ『囲い女』は男への欲求が大きくぜいたくになり、男の全財産を使い果たすだけでなく、精神肉体までも女の中に『囲い』込んでしまう」である[33]

出典

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  4. ^ 劇中のスタッフロールより。
  5. ^ a b c d やるドラポータブル ダブルキャスト オンライン配信版”. PlayStation 公式サイト. ソニー・インタラクティブエンタテインメント. 2019年7月26日閲覧。
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  7. ^ a b 『週刊ファミ通』第700巻(2002年5月10・17日号)、20-28頁。
  8. ^ 『公式ガイド』、88頁。
  9. ^ 『公式ガイド』、15頁。
  10. ^ パッケージの表裏面より。
  11. ^ 『公式ガイド』、12頁。
  12. ^ a b 『公式ガイド』、14頁。
  13. ^ a b c d e f g h 「ダブルキャスト」ザ・ドラマCD”. アニプレックス. 2019年7月18日閲覧。
  14. ^ ザ・ドラマCD「ダブルキャスト」(廃盤)”. CDJournal.com. シーディージャーナル. 2021年3月11日閲覧。
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  16. ^ a b c 『アンソロジーコミック』、162頁。
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  19. ^ a b 『とんがりギャルゲー紀行』、16-21頁。
  20. ^ a b c d 【ダブルキャスト】心に闇を抱えたボクッ娘が教えてくれた家族の絆【ギャルゲーBAR☆カワチ_第2回】”. シシララTV. シシララ. 2021年2月28日閲覧。
  21. ^ a b c 『ダブルキャスト』発売から今日で20周年! 美少女との出会いから陰惨なバッドエンドまでフルアニメで描く意欲的なADV”. iNSIDE. イード (2018年6月25日). 2021年2月28日閲覧。
  22. ^ 『レトロゲームMANIAX ADV'80-'00 レジェンドアドベンチャーゲーム』、112-113頁。
  23. ^ a b c 『サーヴィランス 監視者』 開発者ロングインタビュー(2)”. 電撃オンライン. KADOKAWA (2002年4月11日). 2019年7月26日閲覧。
  24. ^ a b 『週刊ファミ通』第1540巻(2018年6月21日号)、121頁。
  25. ^ 『公式ガイド』、3頁。
  26. ^ イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(前編)”. 4Gamer.net. Aetas (2013年11月9日). 2021年3月6日閲覧。
  27. ^ 『ダブルキャスト』発売から20年。『やるドラ』シリーズ第1弾をネタバレありで振りかえる【周年連載】”. 電撃オンライン. KADOKAWA Game Linkage (2018年6月25日). 2021年3月4日閲覧。
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  30. ^ 『公式ガイド』、13頁。
  31. ^ a b c 『ファンブック』、8-9頁。
  32. ^ a b c d e 『ファンブック』、10-12頁。
  33. ^ a b c d e f 『ファンブック』、16-19頁。
  34. ^ 『ファンブック』、26-27頁。
  35. ^ a b 『ファンブック』、28-30頁。
  36. ^ 『ファンブック』、31-33頁。
  37. ^ a b 『ファンブック』、43-47頁。
  38. ^ a b c 『ファンブック』、48-53頁。
  39. ^ a b c 『ファンブック』、54頁。
  40. ^ a b c d e f g 『ファンブック』、55-62頁。
  41. ^ a b c d e f g 『ファンブック』、62-63頁。
  42. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『ファンブック』、64-69頁。
  43. ^ a b c 『ファンブック』、70-73頁。
  44. ^ a b c 『ファンブック』、74-75頁。
  45. ^ a b 『公式ガイド』、22頁。
  46. ^ a b c d e f 『ファンブック』、3頁。
  47. ^ 『オフィシャルガイドブック』、7頁。
  48. ^ a b c 『公式ガイド』、23頁。
  49. ^ a b c 『オフィシャルガイドブック』、90頁。
  50. ^ 平松晶子(声優)、鈴村健一(声優)、水谷優子(声優)、白鳥由里(声優)、森久保祥太郎(声優)、梶浦由記(音楽) (21 January 1999). 「ダブルキャスト」ザ・ドラマCD (CD). SPE・ビジュアルワークス.
  51. ^ 『ファンブック』、12-15頁。
  52. ^ 『オフィシャルガイドブック』、70頁。
  53. ^ a b c Good End 01「ダブルキャスト」より。
  54. ^ a b c 『公式ガイド』、27頁。
  55. ^ 『公式ガイド』、29頁。
  56. ^ 『オフィシャルガイドブック』、11頁。
  57. ^ a b 『公式ガイド』、24頁。
  58. ^ a b Good End 04「とらわれた心」より。
  59. ^ a b 『オフィシャルガイドブック』、8頁。
  60. ^ 『ファンブック』、86-88頁。
  61. ^ 『公式ガイド』、26頁。
  62. ^ 『オフィシャルガイドブック』、10頁。
  63. ^ a b c d e 『公式ガイド』、28頁。
  64. ^ a b c d 『公式ガイド』、25頁。
  65. ^ a b Bad End 01「少女」からBad End 17「真実は…」より。
  66. ^ Good End 02「志穂」より。
  67. ^ Good End 03「美月」より。
  68. ^ Normal End 01「翔子」より。
  69. ^ Normal End 02「映研」より。
  70. ^ Normal End 03「親友」より。
  71. ^ Normal End 04「麻由」より。
  72. ^ Normal End 05「マリア」より。
  73. ^ Normal End 06「花織」より。
  74. ^ Bad End 01「少女」より。
  75. ^ Bad End 02「夢のつづき」より。
  76. ^ Bad End 03「狂気(1)」より。
  77. ^ Bad End 04「狂気(2)」より。
  78. ^ Bad End 05「狂気(3)」より。
  79. ^ Bad End 06「狂気(4)」より。
  80. ^ Bad End 07「狂気(5)」より。
  81. ^ Bad End 08「狂気(6)」より。
  82. ^ Bad End 09「かこひめの寝屋」より。
  83. ^ Bad End 10「殺人鬼」より。
  84. ^ Bad End 11「真犯人(1)」より。
  85. ^ Bad End 12「真犯人(2)」より。
  86. ^ Bad End 13「とどかぬ想い」より。
  87. ^ Bad End 14「姉妹」より。
  88. ^ Bad End 15「終焉」より。
  89. ^ Bad End 16「記憶」より。
  90. ^ Bad End 17「真実は…」より。
  91. ^ a b c d e f g 『ファンブック』、119-120頁。
  92. ^ 『公式ガイド』、116頁。
  93. ^ 『ダブルキャスト 本線用台本』表紙より。
  94. ^ a b c 『オフィシャルガイドブック』、62-63頁。
  95. ^ 『ファンブック』、121頁。
  96. ^ 『ファンブック』、122頁。
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  99. ^ a b c d e f 『ザ・プレイステーション』第109巻(1998年6月26日・7月3日合併号)、26頁。
  100. ^ 『週刊ファミ通』第501巻(1998年7月24日号)、16-17頁。
  101. ^ 『週刊ファミ通』第1550巻(2018年8月23日・30日合併号)、200頁。
  102. ^ 『週刊ファミ通』第1550巻(2018年8月23日・30日合併号)、204頁。
  103. ^ 『週刊ファミ通』第1540巻(2018年6月21日号)、131頁。
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  108. ^ a b ダブルキャスト オフィシャルガイドブック”. Webcat Plus. 国立情報学研究所. 2021年2月11日閲覧。
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参考文献

外部リンク