固定電話
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固定電話(こていでんわ)とは、携帯電話などの移動体電話の普及に伴って、一定の場所に固定された電話を指して使われる再命名による呼称。特に、個人宅に設置されたものは「家電」(いえでん)もしくは「一般電話」とも俗称される。
主な特徴[編集]
- 設置場所が電気通信事業者により特定されている。
- 使用場所へ物理的な加入者線の引き込みが行われる場合がほとんどである(無線方式の加入者収容もごく少数存在する)。
- 初期の携帯電話に比べると通信が安定しており、音声の帯域が広く高音質である。
- 電話交換機から電力が供給されるため、電源がない場所でも設置可能である[注 1]。
日本の固定電話[編集]
日本[1][2]では、0AB〜J方式の電話番号を付与された加入電話(ISDN含む)や共同電話、IP電話を指す場合がほとんどである。移動しない050番号のIP電話、固定して使用することを想定した携帯電話(ホームプラス電話・おうちのでんわ・homeでんわ)を含む場合がある。
0AB〜J電話の場合、設置場所が電気通信事業者により特定され加入者が無断で移動できないようになっているため、電話番号(市外局番、市内局番)から契約者の所在地が判別できる(例・東京都区部:03、愛知県名古屋市:052、大阪市:06)。このことから、許認可や契約行為の際の所在地を確認する電話番号として使用される(携帯電話や050番号は所在地確認には利用できない)。貸金業者は貸金業法の規定により、貸金業登録簿に記載できる電話番号は0AB〜J電話のみとされる。
警察・消防当局はそれぞれの緊急番号である110番と119番の受報においてその位置を知る事ができる。
申し込みにより、当該番号に付加する特殊電話サービス(フリーダイヤルやナビダイヤルなどの着信)を利用が可能な場合が多い。
電話番号 | 中継網 | 加入者線 | 局給電 | 種類 | 当該年3月末加入数(万) | 電気通信事業者 | サービス | 備考 | |||||||
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2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 単位 | 開始 | 終了 | |||||||
0AB〜J | PSTN 回線交換 |
ツイストペアケーブル | ○ | 加入電話 | 1880 | 1754 | 1636 | 1514 | 1410 | 1312 | 契約 | NTT 東西 |
1889年 | 2024年 | メタルIP電話などへ移行 |
INSネット | 254 | 233 | 214 | 194 | 177 | 160 | 1988年 | ||||||||
SB | 1997年 | ||||||||||||||
KDDI | 2016年 | ||||||||||||||
直収電話 | 172 | 166 | 162 | 153 | 143 | 134 | SB | 2024年 | |||||||
KDDI | 2016年 | ||||||||||||||
同軸ケーブル | - | CATV | 12 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | J:COM | 2017年[3] | |||||
NGN [注 2] VoIP |
FTTH | 光IP電話 | 3245 | 3364 | 3446 | 3521 | 3568 | 3594 | 電話番号利用数 | NTT 東西 |
2003年 | ||||
ISP | ブロードバンドインターネット接続とセット | ||||||||||||||
同軸ケーブル | ケーブルプラス電話 | J:COM KDDI |
2005年 | 電話の単独利用も可 | |||||||||||
ケーブルライン | SB | 2007年 | |||||||||||||
無線 | ホームプラス電話 | KDDI | 2015年 | VoLTE | |||||||||||
おうちのでんわ | SB | 2017年 | |||||||||||||
homeでんわ | ドコモ | 2022年 | |||||||||||||
ワイヤレス固定電話 | NTT 東西 | ||||||||||||||
ツイストペアケーブル | ○ | メタルIP電話 | 2024年 | 各社へ卸売 | |||||||||||
050 | IP網 | - | 050 IP |
853 | 891 | 895 | 892 | 899 | 941 | 2003年 | インターネット電話を含む |
日本の現況[編集]
かつて6000万件以上あった契約数は2000年度に携帯電話に追い抜かれ、2020年度は2000万件を割り込んだ。携帯電話やSNSで家族や友人と連絡し、固定電話に不慣れなまま就職する若い世代には、職場の固定電話に着信があると緊張し、わざと電話をとらなかったり、電話応対中に泣き出したり、果てはそうしたストレスから離職したりする者もいる。このため固定電話応対の研修や代行を行う企業もある[5]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 『電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和3年度第4四半期(3月末))』(プレスリリース)総務省 総合通信基盤局、2022年6月17日 。2022年6月24日閲覧。
- ^ 『(参考4)NTT東日本・NTT西日本を合計した加入電話・ISDN契約数の推移』(プレスリリース)NTT東日本、2022年5月31日 。2022年6月24日閲覧。
- ^ J:COM PHONEはなぜ、サービスを終了したのですか? | JCOMサポート
- ^ 『通信利用動向調査(世帯編)』(プレスリリース)総務省、2021年5月25日 。2018年9月16日閲覧。
- ^ 「固定電話恐怖症増える 応対外注やスキル研修も」『読売新聞』朝刊 2020年7月8日(くらし家庭面)
関連項目[編集]
- 電気通信役務:電話の付加サービスなど。
- 電話回線:電話機の接続インターフェースなど。
- 電話加入権:施設設置負担金問題など。
- 有線放送電話:地域団体が設置する地域内の固定電話・放送サービス。
- 基礎的電気通信役務:いわゆる「ユニバーサルサービス」。
- 携帯電話:スマートフォンやフィーチャーフォン。
- リープフロッグ型発展:いわゆる「蛙飛び現象」。固定電話の整備が遅れた国で携帯電話が急発展することが典型例とされる。