国際数学オリンピック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

国際数学オリンピック (International Mathematical Olympiad, IMO) は、毎年行われる高校生を対象とした数学の問題を解く能力を競う国際大会である。

概要[編集]

旧共産圏に源を発し、西側諸国そして中近東へと参加が拡大してきた。テストは2日間あり、出場者は、各1日4時間半で3問ずつに挑戦する。各問題は7点満点で採点され、満点は42点である。採点の結果、上位1/12には金メダル、次の2/12には銀メダル、次の3/12には銅メダルが授与される。出題範囲は概ね高校2年生程度までで微積分確率・統計行列は含まない。ただし、日本の高校の指導要領から外された単元に関わっている問題はある。

日本は1990年の第31回北京大会より参加した。1カ国あたり、最大6人の選手が参加できる。2009年ブレーメンドイツ)大会では、104カ国・地域565人が参加した。日本から参加するには、日本数学オリンピックに参加し、上位入賞する必要がある。倍率は約150倍である。

フィールズ賞受賞者には、過去に数学オリンピックで上位入賞した者も多い。年齢制限に下限は存在しないので、高校生以下の学生も参加可能。テレンス・タオは最年少メダル獲得者である。チプリアン・マノレスクは「三回出場し、三回全問満点」を成し遂げた唯一の出場者である。

派生大会[編集]

中学生以下対象「国際数学競技会」は各国持ち回りの大会。略称は「IMC」。日本は2013年にチーム順位第1位に輝いた。台湾人が「コンペティション」と表記した会からの参加で、日本数学オリンピックのサイトにはそれが採用されているが、「コンテスト」表記を用いる国もあり一定していない。一カ国複数チームの応募が可能。2016年現在日本は参加していないが、一定数の国家が参加中である。

大学学部生対象「国際数学コンペティション」が存在する。コンペティションでは回答に用いる言語は英語である。日本人を含むアジア人の上位入賞者は一切存在しない。おもに、東ヨーロッパロシアの参加が目立つ。人数制限は存在しないが、所属大学・指導教官の明示が必要。

中国女子数学オリンピック英語: China Girls Mathematical Olympiad)は毎年中華人民共和国で開催されている女性限定の数学オリンピック。日本は2011年より参加していたが、鳥インフルエンザの問題などで[1]2013年以降日本選手は派遣されていない。テストは2日間であり、各1日4時間で4問ずつに挑戦する。メダル配分のルールは同じ。

ヨーロッパ女子数学オリンピック英語: European Girls' Mathematical Olympiad)はヨーロッパの各都市が持ち回りで行い、2012年から毎年行われている。日本は2014年より参加。

過去の国際数学オリンピック[編集]

参加
国数
開催地 順位
1位 2位 3位 4位 5位
01 1959年 7 ブラショヴブカレストルーマニア ルーマニア
02 1960年 5 シナヤ(ルーマニア) チェコスロバキア
03 1961年 6 ヴェスプレームハンガリー ハンガリー
04 1962年 7 チェスケー・ブジェヨヴィツェチェコスロバキア ハンガリー
05 1963年 8 ワルシャワヴロツワフポーランド ソ連
06 1964年 9 モスクワソビエト連邦 ソ連
07 1965年 10 ベルリン東ドイツ ソ連
08 1966年 9 ソフィアブルガリア ソ連
09 1967年 13 ツェティニェユーゴスラビア ソ連
10 1968年 9 モスクワ(ソビエト連邦) 東ドイツ
11 1969年 14 ブカレスト(ルーマニア) ハンガリー
12 1970年 14 ケストヘイ(ハンガリー) ハンガリー
13 1971年 15 ジリナ(チェコスロバキア) ハンガリー
14 1972年 15 トルン(ポーランド) ソ連
15 1973年 16 モスクワ(ソビエト連邦) ソ連
16 1974年 16 エアフルト、ベルリン(東ドイツ) ソ連
17 1975年 17 ブルガス、ソフィア(ブルガリア) ハンガリー
18 1976年 19 リエンツオーストリア ソ連
19 1977年 20 ベオグラード(ユーゴスラビア) アメリカ
20 1978年 17 ブカレスト(ルーマニア) ルーマニア
21 1979年 23 ロンドンイギリス ソ連
22 1981年 27 ワシントンD.C.アメリカ アメリカ
23 1982年 30 ブダペスト(ハンガリー) 西ドイツ
24 1983年 32 パリフランス 西ドイツ
25 1984年 34 プラハ(チェコスロバキア) ソ連
26 1985年 38 ヨウツァフィンランド ルーマニア
27 1986年 37 ワルシャワ(ポーランド) ソ連/アメリカ
28 1987年 42 ハバナキューバ ルーマニア
29 1988年 49 シドニーキャンベラオーストラリア ソ連
30 1989年 52 ブラウンシュヴァイク西ドイツ 中国 ソ連 アメリカ
31 1990年 54 北京中国 中国 ソ連 アメリカ ルーマニア フランス
32 1991年 55 シグツーナスウェーデン ソ連 中国 ルーマニア ドイツ アメリカ
33 1992年 56 モスクワ(ロシア 中国 アメリカ ルーマニア CIS イギリス
34 1993年 73 イスタンブールトルコ 中国 ドイツ ブルガリア ロシア 台湾
35 1994年 69 香港 アメリカ 中国 ロシア ブルガリア ハンガリー
36 1995年 73 トロントカナダ 中国 ルーマニア ロシア ベトナム ハンガリー
37 1996年 75 ムンバイインド ルーマニア アメリカ ハンガリー ロシア イギリス
38 1997年 82 マルデルプラタアルゼンチン 中国 ハンガリー イラン ロシア アメリカ
39 1998年 76 台北台湾 イラン ブルガリア アメリカ
ハンガリー
台湾
40 1999年 81 ブカレスト(ルーマニア) 中国
ロシア
ベトナム ルーマニア ブルガリア
41 2000年 82 大田韓国 中国 ロシア アメリカ 韓国 ブルガリア
ベトナム
42 2001年 83 ワシントンD.C.(アメリカ) 中国 アメリカ ロシア ブルガリア
韓国
43 2002年 84 グラスゴー(イギリス) 中国 ロシア アメリカ ブルガリア ベトナム
44 2003年 82 東京日本 ブルガリア 中国 アメリカ ベトナム ロシア
45 2004年 89 アテネギリシャ 中国 アメリカ ロシア ベトナム ブルガリア
46 2005年 91 メリダメキシコ 中国 アメリカ ロシア イラン 韓国
47 2006年 90 リュブリャナスロベニア 中国 ロシア 韓国 ドイツ アメリカ
48 2007年 93 ハノイベトナム ロシア 中国 ベトナム
韓国
アメリカ
49 2008年 97 マドリードスペイン 中国 ロシア アメリカ
韓国
イラン
50 2009年 104 ブレーメンドイツ 中国 日本 ロシア 韓国 北朝鮮
51 2010年 96 アスタナカザフスタン 中国 ロシア アメリカ 韓国 カザフスタン
タイ
52 2011年 101 アムステルダムオランダ 中国 アメリカ シンガポール ロシア タイ
53 2012年 100 マル・デル・プラタアルゼンチン 韓国 中国 アメリカ ロシア カナダ
54 2013年 97 サンタ・マルタコロンビア 中国 韓国 アメリカ ロシア 北朝鮮
55 2014年 101 ケープタウン南アフリカ 中国 アメリカ 台湾 ロシア 日本
56 2015年 104 チエンマイタイ アメリカ 中国 韓国 北朝鮮 ベトナム
57 2016年 109 香港 アメリカ 韓国 中国 シンガポール 台湾
58 2017年 111 リオデジャネイロブラジル 韓国 中国 ベトナム アメリカ イラン

今後の開催予定[編集]

日本の順位[編集]

国際数学オリンピック[編集]

(日本の順位、獲得メダル数)

  • 1990年 - 20位(銀2, 銅1)
  • 1991年 - 12位(銀3, 銅3)
  • 1992年 - 8位(金1, 銀3, 銅1)
  • 1993年 - 20位(銀2, 銅3)
  • 1994年 - 10位(金1, 銀2, 銅3)
  • 1995年 - 9位(金1, 銀3, 銅2)
  • 1996年 - 11位(金1, 銀3, 銅1)
  • 1997年 - 12位(金1, 銀3, 銅1)
  • 1998年 - 14位(金1, 銀1, 銅3)
  • 1999年 - 13位(金2, 銀4)
  • 2000年 - 15位(金1, 銀2, 銅3)
  • 2001年 - 13位(金1, 銀3, 銅2)
  • 2002年 - 16位(金1, 銀3, 銅1)
  • 2003年 - 9位(金1, 銀3, 銅2)
  • 2004年 - 8位(金2, 銀4)
  • 2005年 - 8位(金3, 銀1, 銅2)
  • 2006年 - 7位(金2, 銀3, 銅1)
  • 2007年 - 6位(金2, 銀4)
  • 2008年 - 11位(金2, 銀3, 銅1)
  • 2009年 - 2位(金5, 銅1)
  • 2010年 - 7位(金2, 銀3)
  • 2011年 - 12位(金2, 銀2, 銅2)
  • 2012年 - 17位(銀4, 銅1)
  • 2013年 - 11位(銀6)
  • 2014年 - 5位(金4, 銀1, 銅1)
  • 2015年 - 22位 (銀3, 銅3)
  • 2016年 - 10位(金1, 銀4, 銅1)
  • 2017年 - 6位(金2, 銀2, 銅2)

中国女子数学オリンピック[編集]

  • 2011年 - (金1, 銅1)
  • 2012年 - (金1, 銀1, 銅2)

ヨーロッパ女子数学オリンピック [2][編集]

  • 2014年 - 10位(銀2, 銅1)
  • 2015年 - 8位(金1, 銅3)
  • 2016年 - 11位(金1, 銅2, 優秀賞1)
  • 2017年 - 21位(銅4)
  • 2018年 - 12位(金1, 銀1, 銅1)

日本人満点[編集]

  • 片岡俊基(2005年)[3]
  • 栗林司 (2005年)[4]
  • 副島真(2009年)[5]

日本人金メダリスト[編集]

国際数学オリンピック[編集]

  • 児玉大樹(筑波大学附属駒場高等学校) - 1992年(11位)。現・東京大学大学院数理科学研究科特任准教授[6]
  • 高橋悟(灘高等学校) - 1994年(23位)。現・シンガポール国立大学教授[7]
  • 丸岡哲之(開成高等学校) - 1995年(15位), 1997年(7位)(1994年中学生で銀メダル)
  • 中島さち子フェリス女学院高等学校) - 1996年(7位)。現・ジャズ・ピアニスト。日本人女性唯一の金メダリスト(2016年現在)
  • 長尾健太郎(開成高等学校) - 1998年(7位), 1999年(37位), 2000年(28位)の3年連続金メダル。名古屋大学大学院多元数理科学研究科助教在職中の2013年に31歳で胞巣状軟部肉腫により死去し、翌年算数オリンピックに長尾賞が新設された[8]
  • 伊藤淳(武蔵高等学校) - 1999年(28位)
  • 尾高悠志(筑波大学附属駒場高等学校) - 2001年(38位)。現・京都大学大学院理学研究科数学教室准教授[9]
  • 今井直毅(灘高等学校) - 2002年(29位)。現・東京大学理学部数学科准教授[10]
  • 西本将樹(灘高等学校) - 2003年(29位)、2004年(33位)。現・河合塾講師[11]
  • 清水俊宏(早稲田実業学校高等部) - 2004年(28位)
  • 栗林司(筑波大学附属駒場高等学校) - 2005年(1位)。東京大学・特別研究員DC1(~2015年3月)[12]
  • 片岡俊基(高田高等学校) - 2005年(1位)、2007年(7位)。東京大学・特別研究員DC1(~2015年3月)[13]
  • 渡部正樹(筑波大学附属駒場高等学校) - 2005年(23位), 2006年(21位)
  • 大橋祐太(筑波大学附属駒場高等学校) - 2006年(13位)
  • 副島真(筑波大学附属駒場高等学校) - 2007年(19位), 2008年(12位), 2009年(1位)、東京大学大学院情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 今井研究室 修士課程[14]
  • 関典史(灘高等学校) - 2008年(35位)。現・モルガン・スタンレー社員
  • 滝聞太基(筑波大学附属駒場高等学校) - 2009年(12位)
  • 保坂和宏(開成高等学校) - 2009年(8位)
  • 今村志郎(灘高等学校) - 2009年(27位)
  • 岸川滉央(久留米大学附設高等学校) - 2009年(4位), 2010年(9位)
  • 井上秀太郎(灘高等学校) - 2010年(27位)
  • 吉田健祐(筑波大学附属駒場高等学校) - 2011年(6位)
  • 山本悠時(東海高等学校) - 2014年(5位)
  • 隈部壮(筑波大学附属駒場高等学校) - 2014年(12位)
  • 早川知志(洛星高等学校) - 2014年(26位)
  • 上苙隆宏(早稲田高等学校) - 2014年(40位)
  • 高谷悠太(開成高等学校) - 2016年(23位), 2017年(1位)
  • 黒田直樹(灘高等学校) - 2017年(36位)

アジア太平洋数学オリンピック[編集]

  • 渡部正樹(筑波大学附属駒場高等学校) - 2005年
  • 片岡俊基(高田中学校・高等学校|高田高等学校) - 2006年
  • 渡部正樹(筑波大学附属駒場高等学校) - 2007年
  • 副島真(筑波大学附属駒場高等学校) - 2008年
  • 副島真(筑波大学附属駒場高等学校) - 2009年
  • 保坂和宏(開成高等学校) - 2010年
  • 岸川滉央(久留米大学附設高等学校) - 2011年
  • 葛西祐美(東京都立国立高等学校)- 2012年
  • 山下真由子(新宿山吹高等学校)- 2013年
  • 山下真由子(新宿山吹高等学校)- 2014年
  • 井上卓哉(開成高等学校) - 2015年

中国女子数学オリンピック[編集]

  • 葛西祐美(東京都立国立高等学校)- 2011年、2012年

ヨーロッパ女子数学オリンピック[編集]

  • 荻田真矢(愛光高等学校)- 2015年、2016年

日本人総出場回数上位者[編集]

5回出場
4回出場
  • 丸岡哲之(開成中学・高等学校) - 1994, 1995, 1996, 1997年
  • 長尾健太郎(開成中学・高等学校) - 1997, 1998, 1999, 2000年
  • 今井直毅(灘中学・高等学校) - 1999, 2000, 2001, 2002年
  • 片岡俊基(高田中学・高等学校) - 2004, 2005, 2006, 2007年
  • 副島真(筑波大学附属駒中学・高等学校) - 2005, 2007, 2008, 2009年

国際数学オリンピックに出場したフィールズ賞受賞者[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 公益財団法人 数学オリンピック財団. “ヨーロッパ女子数学オリンピック(EGMO)について”. 2014年2月10日閲覧。
  2. ^ ヨーロッパ女子数学オリンピック(EGMO)における日本選手の成績
  3. ^ Toshiki KataokaInternational Mathematical Olympiad
  4. ^ Tsukasa KuribayashiInternational Mathematical Olympiad
  5. ^ Makoto SoejimaInternational Mathematical Olympiad
  6. ^ 児玉 大樹東京大学
  7. ^ ASSOCIATE PROFESSOR SATORU TAKAHASHI NUS
  8. ^ 算数オリンピックに「長尾賞」 国際数学オリンピック3年連続「金」の故長尾健太郎さんを記念産経新聞、2014.5.8
  9. ^ 尾高悠志京都大学
  10. ^ 今井直毅東京大学
  11. ^ 講師紹介河合塾
  12. ^ 栗林 司日本の研究.com
  13. ^ 片岡俊基日本の研究.com
  14. ^ 今井研究室 > 研究室構成員

関連項目[編集]

外部リンク[編集]