ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆

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ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆
Soukhoï frappant une position ennemie en Syrie.png
KAB-500S誘導爆弾を投下するSu-34
戦争:ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆
年月日:2015年9月30日〜継続中
場所:シリア全土
結果:継続中
交戦勢力
ロシアの旗 ロシア

フランスの旗 フランス

ISIL(イスラーム国)の旗ISIL

Flag of the Al-Nusra Front.svgアル=ヌスラ戦線

指導者・指揮官
ロシアの旗ウラジーミル・プーチン

ロシアの旗セルゲイ・ショイグ

フランスの旗フランソワ・オランド

ISIL(イスラーム国)の旗アブー・バクル・アル=バグダーディー

Flag of the Al-Nusra Front.svgアブー・ムハンマド・アル=ジャウラーニー

損害
Su-24・Mi-8それぞれ一機撃墜、2人死亡 595人死亡(185人の民間人を含む)
Template:Campaignbox シリア騒乱

ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆とは、2015年9月30日に開始されたロシア航空宇宙軍によるシリアへの空爆である。[1][2]

概要[編集]

2015年9月30日、ロシアウラジーミル・プーチン大統領は、シリア政府からの要請を受けたとしてシリア領内でISILに対する空爆を開始する、と発表した[3]。この作戦についてロシア国防省は、アメリカ主導の生来の決意作戦には加わらないとしている。

10月29日までに1000回以上の爆撃が行われ、185人の民間人を含む595人がこの空爆によって死亡した[4]

作戦の拡大[編集]

ロシア連邦軍がシリアに空爆を開始して以降もパリ同時多発テロ事件や、エジプトでのロシア旅客機撃墜などのISILが絡むテロ事件が相次いだ。このためウラジーミル・プーチン大統領はロシア航空宇宙軍に対し空爆作戦の拡大とフランス軍との共同作戦を指示した。[5][6]また、ロシア航空宇宙軍はこれまでシリア空爆に投入しなかった戦略爆撃機をシリアに投入して空爆を実施した。ロシア国防省の発表ではTu-95爆撃機とTu-160爆撃機がカスピ海上空に展開し、多数の長距離巡航ミサイルをシリア領内のISIL拠点に向けて発射した。しかし、一部のミサイルがイランに落下した。落下したミサイルは全て不発で被害はなかった。また、Tu-22M3爆撃機はシリア上空に直接展開し自由落下爆弾を投下した。ロシア国営テレビによればTu-22M3から投下された自由落下爆弾には「我々の市民に対する報復」、「パリの報復」、「パリのために」などと書かれていた。[7]

2017年6月16日には、5月28日にシリアのラッカ近郊でISIL幹部の会合が行われたのを狙って空爆を行い、その結果ISILのバグダーディー指導者が死亡した可能性があるとロシア国防省が発表している[8]

誤爆[編集]

この作戦による誤爆も発生している。欧米メディアはロシア軍がシリアで病院6か所に対して空爆をしたとして非難している。しかしロシア国防省は、この情報を確認した際に、病院があるとされた居住地区6か所のうち5か所には病院が一つも存在しないことを確認している。[9] またロシア国防省は、欧米の複数のマスコミがロシア機の攻撃で破壊されたと主張しているシリアのサルミンにある病院の航空写真を公開した。この写真には、病院の建物が無傷の状態で写っているという[10]

2017年2月9日には、シリア北部アレッポの郊外にてロシア軍機がISILを標的に建物に空爆を行った際、トルコ兵3人が巻き込まれ死亡、11人が負傷した。同日中にロシア国防省は誤爆の事実を認め、プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領に電話で弔意を伝えた。その後、両国軍で情報共有を進めることで一致した[11]

トルコ空軍によるSu-24の撃墜[編集]

2015年11月24日9時20分頃、トルコとシリアの国境付近で、ロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機がトルコの領空を侵犯したとして、トルコ軍のF-16戦闘機に撃墜され、シリア北部に墜落した。トルコ軍は国籍不明機2機が領空を侵犯したと認識し、10回警告したが領空侵犯を続けたため1機を撃墜したと主張している。Su-24の乗員1人が死亡した。乗員2人は緊急脱出装置で脱出したが、トルクメン人の反体制派武装勢力は同日夕方、「乗員2人を射殺した」と発表した。ロシアも「乗員1人が脱出後に地上から銃撃を受けて死亡した」と発表している(もう1人はその後アサド政権軍に救助され、生存確認)。Su-24は撃墜される前、シリアのトルコ系少数民族トルクメン人の居住地域を爆撃していた。このためトルコの反発を買ったとされている。また、乗員の捜索にあたっていたロシア軍のMi-8ヘリコプターがシリア反体制派によるとみられる攻撃を受けて損傷。アサド政権軍支配地域に不時着し、乗員1人が死亡したという。[12][13][14][15]

トルコとの対立[編集]

トルコはロシア連邦軍の空爆開始以来、ロシア軍が作戦行動をとるたびに「IS以外を攻撃した」と主張していた。ロシア軍は10月3日・4日に、トルコの領空を侵犯したとしてトルコから抗議を受け、「操縦ミスだった」と釈明している[16]

使用機種[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ロシア軍がついにシリア空爆を開始:その規模、標的、米露の思惑” (2015年10月1日). 2015年10月11日閲覧。
  2. ^ ロシア国防省が公開したシリア空爆の動画” (2015年10月1日). 2015年10月11日閲覧。
  3. ^ ロシア、シリアのISへ空爆 アサド大統領の要請受け”. 朝日新聞デジタル (2015年9月30日). 2015年11月22日閲覧。
  4. ^ ロシア軍空爆1カ月 シリア泥沼 市民犠牲増”. 東京新聞 (2015年10月31日). 2015年11月22日閲覧。
  5. ^ ロシア軍がカスピ海と地中海から巡航ミサイル攻撃” (2015年11月21日). 2015年11月23日閲覧。
  6. ^ ロシア軍が戦略爆撃機でイスラム国を大規模攻撃” (2015年11月18日). 2015年11月20日閲覧。
  7. ^ ロシア海軍艦艇 フランス海軍の空母艦隊を軍事援護へ”. スプートニク通信 (2015年11月18日). 2015年11月22日閲覧。
  8. ^ “IS最高指導者、シリアで殺害か=バグダディ容疑者、ロシア空爆で”. 時事通信. (2017年6月16日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2017061600929 2017年6月16日閲覧。 
  9. ^ ロシア国防省:ロシア航空宇宙軍がシリアで破壊したという病院は存在していない”. スプートニク通信 (2015年11月3日). 2015年11月22日閲覧。
  10. ^ 米国は、ロシア航空宇宙軍がシリアで病院を空爆したとする証拠の提出を拒否している”. スプートニク通信 (2015年11月3日). 2015年11月22日閲覧。
  11. ^ ロシア軍が誤爆、トルコ兵3人死亡 シリアでIS攻撃中 朝日新聞デジタル 2017年2月10日付
  12. ^ トルコ軍がロシア軍機撃墜 シリア国境、乗員2人死亡か朝日新聞デジタル2015年11月24日23時59分配信
  13. ^ ロシア機撃墜2人死亡 トルコに対抗措置NHK NEWS WEB2015年11月25日6時2分配信
  14. ^ トルコ、シリア国境で露軍機撃墜か…10回警告YOMIURI ONLINE2015年11月24日22時15分配信
  15. ^ 撃墜でロシア軍「トルコ機がシリア領空侵犯」YOMIURI ONLINE2015年11月25日11時40分配信
  16. ^ ロシア軍機、領空侵犯 トルコ外務省が抗議朝日新聞デジタル2015年10月6日5時0分配信

関連項目[編集]