Su-25 (航空機)

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Su-25/Су-25

Sukhoi Su-25, Russia - Air Force AN2192992.jpg

内部構造

Su-25(スホーイ25、スホイ25;(ロシア語Су-25スー・ドヴァーッツァチ・ピャーチ)は、ソ連スホーイ設計局が開発した攻撃機シュトゥルモヴィーク)である。ソ連での愛称はグラーチュГрачミヤマガラスロシアウクライナに生息する小型のカラスの仲間)。北大西洋条約機構(NATO)の使用したNATOコードネームは「フロッグフット」(Frogfoot)。

概要[編集]

A-10攻撃機と同じような攻撃機の必要性を感じたソ連が、スホーイ設計局とヤコヴレフ設計局イリューシン設計局Il-102を開発)に対して開発競争を行わせ、スホーイ設計局が開発した機体を採用した。

近接支援用の亜音速航空機であるために、主翼は直線翼に近く、前縁の後退角は19度、後縁の後退角はつけられていない。主翼配置は肩翼でエンジンも主翼付け根にあり、A-10の競争試作機であるYA-9と大まかなレイアウトが似ている。シンプルな構造により高い信頼性を備え、最大搭載状態でも最大5Gの機動が可能である。

固定兵装はGSh-30-2 30mm 2砲身機関砲1門、装弾数は250発。最大4,400kgまで爆弾ロケット弾などを搭載できる。搭載エンジンは推力44.18kNのツマンスキー R-95Sh ターボジェットエンジン。また、操縦席チタン合金で補強し、徹底的な防御手段を講じている。1979年にソ連が軍事介入を開始したアフガニスタン侵攻においては1983年からSu-25が実戦投入され[1]、当初は反政府反ソ連ゲリラ側の対抗手段が射程に劣る口径12.7mmのDShK38重機関銃か口径14.5mmのKPV 重機関銃しか無かったこともあり、防御力の高いSu-25はほぼ無傷で一方的に攻撃を行っていた[2]。1985年からゲリラ側がソ連製の携行型地対空ミサイル9K32 ストレラ-2(SA-7 グレイル)を使用し始めると、Su-25も自衛手段としてフレアを用い始めたが、9K32はSu-25にとって大きな脅威ではなかった[3]。1986年にアメリカムジャーヒディーンに大量のスティンガーミサイルを提供し始めると、これにより初めてSu-25の撃墜が相次ぐこととなった[4]。スティンガーへの対応策として両エンジンの間にチタン板を入れて片方のエンジンが被弾してももう片方のエンジンが影響を受けないように改修した結果、比較的小型な機体ながらも重装甲による高い生存性を証明した(改修後の機体はスティンガーミサイルによる撃墜はないとも言われている)。

ソ連時代のSu-25は、主にトビリシで製造されていたが、グルジア共和国の独立後もグルジアの首都となったトビリシで製造が続けられていた。グルジアとロシアアブハジア南オセチアなどを巡って対立状態にあるが、グルジアはSu-25をロシアに輸出し、ロシアはそれをグルジアなど、カフカースザカフカース方面に配備するという皮肉な現状がある。特に、グルジア共和国独立時の紛争では同じ「赤い星」をつけたロシア、グルジア、アブハジア各軍のSu-25が互いの陣営や町を攻撃しあうという状況が生じたといわれ、誤認射撃による撃墜も何件か起きている。

派生型[編集]

Su-25
ソ連型の主生産型。1978年-1989年の間に582機がグルジア・ソビエト共和国のトビリシ工場で製造された。"クリョン-PS"レーザー目標捕捉/追尾システムにより、レーザー誘導式のミサイルおよび誘導爆弾の運用が可能で、弾着点連続表示による爆撃も行える。しかしテレビ画面を装備しておらず、TV画像誘導ミサイルは運用できない。HUDは装備されておらず、MiG-27と同系列のASP-17反射式照準器コックピット正面に存在する。
Su-25K
Su-25の輸出型。1984年-1989年の間に180機が製造された。
Su-25K
輸出型と名称が同じだがこちらは艦上攻撃機型である。1973年に研究が開始されたソ連のカタパルト式空母の搭載機として、MiG-23K、P-42KB(Su-27の試作機名称)等と共に研究が行われていた。設計では機首の設計を変更したレーダー搭載型も検討されていた。カタパルト空母の建造が見送られ、スキージャンプ式となったことによりMiG-23Kとともに開発中止となった。しかし、Su-25Kの研究開発の際に発着訓練機として検討されていたSu-25UBK設計案の簡易型としてSu-25UTGが実用化された[5]
Su-25UB
1985年に初飛行。複座練習機1986年末までに25機がブリヤートのウラン・ウデ工場で製造された。
Su-25UBK
Su-25UBの輸出型。ウラン・ウデ工場で製造された。
Su-25UBP
Su-25UTGの陸上訓練型。計画のみ[6][7]
Su-25UT(Su-28)
1987年に初飛行。複座練習機。1機のみの試作。
Su-25UTG
1989年に初飛行。艦上練習機。15機の生産機はロシアウクライナとで分けられた。
ウクライナは1994年に3機をロシアのSu-25UBと交換、2007年中国に1機を売却[8]2011年に最後の1機をエストニアを通じて米国に売却している[9]
Su-25BM
1990年にトビリシで初飛行。標的曳航機
Su-25T
1984年に初飛行。Su-25UBをベースに後席をつぶして電子機器と2基の燃料タンクを設置。照準システムをシクヴァルに換装した。テレビ画像誘導ミサイルが運用可能になり、HUDを装備するようになった。1990年に量産型8機が製造され、試作機を含めた製作数は20機以下。Su-25Tプログラムは2000年に正式に中止された[10]
Su-25TK(Su-34)
Su-25Tの輸出型。
Su-25TM(Su-39)
1991年に初飛行。Su-25Tをベースに照準システムをシクヴァルMに換装、高性能の小型レーダーであるコピヨー25(槍)を胴体下のポッドに搭載し、R-73R-77のような空対空ミサイルKh-31Kh-35のような空対艦ミサイルの運用能力を獲得している。試作機を含め4機が製造されたのみ。
Su-25SM
1999年に初飛行したロシアのSu-25のアップグレードプログラム。Su-25TやSu-25TMが高価過ぎるために立案された。コックピットは一部がMFDとなり、グラスコックピット化された。2013年2月に10機がロシア空軍の南部拠点に配備され[11]、運用訓練が行われている[12]
Su-25UBM
2008年に初飛行。攻撃能力を有するSM型の複座練習機。2010年ロシア空軍で正式化。
Su-25SM2
Su-25SMに新しい敵味方識別装置と無線機を装備したもの[13]
Su-25SM3
Su-25SMの更なる改修型。照準システムをSOLT-25に換装、ビテブスク-25電子戦スイートを装備し、より多くの武器の使用が可能[14]
Su-25UBM2
SM3型の複座練習機。
Su-25KM スコルピオーン
2001年に初飛行したグルジアのТАМ(Тбилавиамшени - Тблисский авиазавод)とイスラエルのエルビットシステムが共同開発した改良型。コックピットは3基のカラー液晶MFDで構成されるグラスコックピットとなっている。
Ge-31 ボラ
グルジアが開発しているエンジンやアビオニクスなどのロシア製のパーツをフランス、イタリア、イギリスから調達したもので代替した新造機[15]
Su-25M1
ウクライナのザポリージャ航空機修理工場"MiGremont"で開発されたアップグレード型[16]
Su-25UBM1
複座型。
PSSh
Su-25の大規模発展型でSu-25の後継機。Su-25UB型をベースに後席をつぶして燃料タンクを設置するなどの改良が加えられる。

実戦[編集]

実戦活動としては、ソ連のアフガニスタンへの侵攻アブハジア紛争の他、中央アジア各地での内戦南オセチア紛争アルメニアなどザカフカース方面での紛争などで使用されている。コートジボワールでは、保有する2機のSu-25UBが同国に駐留するフランス軍の基地を攻撃したとして、フランス軍によって少なくとも1機が破壊された。2014年イラクは国内のスンニ派武装勢力ISILの攻勢を抑える切り札としてロシアよりSu-25を購入。これは、フセイン政権時代に同機を運用していたパイロットの再起用をにらんだものであった[17]2015年9月30日にはロシアからシリアに派遣されたSu-25とSu-24がISILへの空爆作戦を開始した[18]

運用国・地域[編集]

採用国(青:運用中、赤:退役)

Su-25は、依然としてロシアでは主力攻撃機として用いられており、その他ウクライナベラルーシなど旧ソ連諸国の他、アフリカ中東の数ヶ国で使用されている。コートジボワールでは、単座型のSu-25も保有している。ヨーロッパでは、ブルガリアマケドニア共和国2005年の時点で主力機のひとつとして運用されている一方、チェコスロバキアではすでに退役している。

  • ソビエト連邦の旗
ソ連:各型
  • ロシアの旗
ロシア:各型
  • ウクライナの旗
ウクライナ:Su-25/UB
  • ベラルーシの旗
ベラルーシ:Su-25/UB
  • アルメニアの旗
アルメニア:Su-25/UB
  • アブハジアの旗
アブハジア:Su-25/UB
  • ウズベキスタンの旗
ウズベキスタン:Su-25/UB
  • カザフスタンの旗
カザフスタン:Su-25/UB
  • トルクメニスタンの旗
トルクメニスタン:Su-25/UB
  • アゼルバイジャンの旗
アゼルバイジャン:Su-25/UB
  • グルジアの旗
グルジア:各型
  • チェコの旗
チェコスロバキア:Su-25K/UBK
  • チェコの旗
チェコ:Su-25K/UBK
  • スロバキアの旗
スロバキア:Su-25K/UBK
  • マケドニアの旗
マケドニア:Su-25/UB
  • アンゴラの旗
アンゴラ:Su-25/UB
  • ペルーの旗
ペルー:Su-25/UB
  • コートジボワールの旗
コートジボワール:Su-25/UB
  • コンゴ民主共和国の旗
コンゴ民主共和国:Su-25/UB
  • イランの旗
イラン:Su-25K/UBK
  • イラクの旗
イラク:Su-25K/UBK
  • ガンビアの旗
ガンビア:Su-25/UB
  • エチオピアの旗
エチオピア:Su-25TK/UBK
  • 朝鮮民主主義人民共和国の旗
朝鮮民主主義人民共和国:Su-25K

性能・主要諸元[編集]

Suchoi Su-25.svg
  • 乗員:1名
  • 全長:15.36m
  • 全幅:14.36m
  • 全高:4.8m
  • 翼面積:33.7m²
  • 空虚重量:9,500kg
  • 最大離陸重量・17,600kg
  • エンジン:R-195×2基
  • 推力:44.13kN×2
  • 最大速度:950km/h
  • 航続距離:2,500km
  • 実用上昇限度:7,000m

兵装[編集]

固定武装
空対地ミサイル
空対地ロケット
空対空ミサイル
ガンポッド
  • GSh-23L 23mm連装機関砲 SPPU-22
爆弾
  • 250kg爆弾
    • FAB-250
    • KAB-250L/Kr
  • 500kg爆弾
    • FAB-500
    • KAB-500L/Kr

登場作品[編集]

ゲーム[編集]

初期型のSu-25が収録されており、プレイヤーが操縦することができる。
アドオンパック『LockOn: Flaming Cliffs』導入によりSu-25Tも操縦可能機体として追加される。
『Lock On: Modern Air Combat』の後継のコンバットフライトシミュレーションゲーム。
無料プレイ環境であるDCS WorldにSu-25Tが操縦可能機体として収録されており、リアリティの高い操縦と多彩な兵器を使用しての対地攻撃を行うことができる。また、AI専用機体として初期型Su-25とSu-25TMも収録されている。
有料アドオンモジュールの『DCS: Flaming Cliffs 3』を導入すると、初期型Su-25が操縦可能機体に追加される。
NRFがデルベントに上陸する連合軍を攻撃するために使用。マルチプレイと一部のミッションではプレイヤーも操縦可能。
プレイヤー機としてSU-25TMが使用可能。何故かA-10Aよりも格下の性能になっている。
ソ連ロシア系生産タイプで使用できる。バージョンによっては、耐久力・爆弾搭載量・航続距離などの性格付けで性能再現がなされている。
アップグレードでステルス性の強化やECMジャマーを搭載できる。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 三野正洋 『わかりやすいアフガニスタン戦争 「赤い帝国」最強ソ連軍、最初の敗退』 光人社、1998年ISBN 4-7698-0851-8

関連項目[編集]

外部リンク[編集]