キリスト教右派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

キリスト教右派((きりすときょううは)、英語: Christian right)は、宗教右派((しゅうきょううは)英語: Religious right)を指す(以下、宗教右派と記述する)。宗教右派は、保守的なプロテスタント福音派(エヴァンジェリカル)キリスト教原理主義(ファンダメンダリスト)など主に白人の保守的なキリスト教徒を動員して、伝統的諸価値を擁護・促進する政治・社会運動である。特に白人の福音派(エヴァンジェリカル)が中心となっているといわれるが、カトリック保守派も含まれる。キリスト教徒の政治的および社会的右派の勢力を意味する。

アメリカ合衆国の現代キリスト教」、「キリスト教の歴史」は別項にて参照。ここでは、アメリカ合衆国[1]カナダなどの宗教右派について記述する。

概要[編集]

アメリカ合衆国南部」、「アメリカ合衆国の歴史」「バイブル・ベルト」も参照
アメリカ宗教意識調査(American Religious Identification Survey, ARIS)に基づく、所属宗派の調査結果(2002年)。青はカトリック信者が多数派を占めた地域、赤はバプテストが多数派を占めた地域。赤が濃いほどバプテストと答えた人の割合の割合が多くなる

宗教右派の定義は、キリスト教の保守的勢力で、自分たちの保守的信仰理解と価値観を政治に反映するために、積極的に政治行動をする人びとである。その政治行動とは、投票への参加であり、選挙運動であり、ロビー活動である[2]。 宗教右派は「キリスト教右派」とも呼ばれ、保守的なプロテスタント福音派(エバンジェリカル)、キリスト教原理主義者(ファンダメンダリスト)など主に白人の保守的なキリスト教徒を動員して、伝統的諸価値を擁護・促進する政治・社会運動である [3] [4]。特に白人の福音派(エバンジェリカル)が中心となっているといわれるが、カトリック保守派も含まれる[5]。 宗教右派とは、保守的なプロテスタント福音派(エヴァンジェリカル)、キリスト教原理主義(ファンダメンダリスト)などを主に白人の保守的なキリスト教徒を動員して、伝統的諸価値を擁護・促進する政治・社会運動を指す。特に白人の福音派が中心となっているといわれるが、カトリック保守派も含まれる。つまり、キリスト教右派を構成するのは、政治・宗教的に保守的なキリスト教福音派とその下位集団であるキリスト教原理主義という[6]

"Religious Right"を指す用語には、「宗教右派」[7]の他に、 「キリスト教右派」(英語: Christian right)、「宗教右翼」(英語:Religious Right) [注釈 1] [注釈 2]、 「キリスト教右翼」(英語:The Christian Right) [注釈 3]、 「新宗教右派」、 「新宗教右翼」(英語:New Religious Right) [注釈 4]を日本語訳したものがある。 堀内一史によると、宗教右派は、「キリスト教保守派」(英語: Conservative Christianity)、「宗教保守派」(英語: Religious Christianity)、「プロ・ファミリー派」(英語:Pro-Family)と同義で使用されているとしているという[8]。 その他、「宗教保守運動(宗教保守主義政治・社会運動)」(英語:Religious Right)[注釈 5]がある。

バイブル・ベルトの範囲

バイブル・ベルト((聖書地帯)英語:Bible Belt)は、一般にファンダメンダリスト(キリスト教原理主義者)が多く住む地帯とよばれ、アメリカ南部に片寄って存在している[9]。 田中久男によると、バイブル・ベルトは、アメリカ南部の独特な宗教文化、集合的な生活習慣があり、その宗教文化は「プロテスタント正統主義の最右翼をなすもので、その特徴は保守的信条よりも、きわめて感情的な、時として粗暴な宗教態度にある」としている [10]。 バイブル・ベルトの範囲やその定義等については曖昧な点があるといわれている[注釈 6]

運動・団体は、1920年代の北米聖書連盟、アメリカ聖書十字軍などによるキリスト教原理主義諸団体の政治運動、1950年代のキリスト教十字軍、キリスト教反共主義の政治運動、1970年代末から1980年代の宗教円卓会議、モラル・マジョリティ、キリスト教徒の声などによる政治運動、1990年代以降のキリスト教連合、家族フォーカス、家族調査評議会などがあげられている[11]


信仰[編集]

保守的教派[編集]

福音派」、「原理主義」、「キリスト教原理主義」も参照

宗教右派信仰は、保守的なキリスト教福音派(エヴァンジェリカル)とその下位集団であるキリスト教原理主義者(ファンダメンダリスト)である[6]ことから共有した信仰を持つものの、ファンダメンダリストは超保守的な信仰を信じている。 宗教右派の主張は、中絶同性愛公教育などの問題を生命観や家族観、道徳観などにかかわるもので(世俗的)個人の権利を尊重するリベラリズムだけでは判断しがたい領域が含まれているため、キリスト教的価値観による世俗的人間中心主義を克服すること目的としている。とくに宗教右派は内政問題について価値基準と影響を与えている [12]。 この宗教右派による政治・社会運動は、1920年代に始まり、1970年代後半以降、共和党の大きな支持母体となった [13] [14][15]

福音派(エヴァンジェリカル)は、デヴィッド・ベビントンによると[16]、「キリストの十字架上の死の贖罪効果」を信じ、キリストによって生まれ変わったと実感する「ボーン・アゲイン」体験を有し、「聖書の無謬性」を信じ、キリ「ストの代理贖罪」を信じ、「福音の社会的拡大」に実行を伴う強い関心を示す人々」を福音派の信仰の特徴としているという[6]。 他方、キリスト教原理主義(ファンダメンダリスト)はジョージ・マースディン[17]・ナンシー・アマ―マン [18] によると、福音派の4項目の信仰を共有し、「ディスペンセーショナル・プレミレニアリズム」を信じ、「世俗との分離主義を貫く」という信仰もつプロテスタント信者である[19]。信者は、24の宗派から構成されているといわれている [注釈 7]

保守派の対立[編集]

保守的教派は、1980年代、アメリカキリスト教界に立場の違いがあり、穏健な福音派(エヴァンジェリカル)と超保守派「新宗教右翼」(ファンダメンタリスト)との対立があったという [20]。福音派(エヴァンジェリカル)は、簡潔にまとめると「 ①キリストの十字架上の死の贖罪効果を信じ、②キリストによって生まれ変わったと実感する「ボーン・アゲイン」体験を有し、③聖書の無謬性を信じ、④福音の社会的拡大に実行を伴う強い関心を示す人々」を指すと言われている [21]。1980年代に「新宗教右翼」と呼称されたのは主にキリスト教原理主義(ファンダメンダリスト)を中心とした超保守派であり、「聖書の逐語霊感」、「キリストの処女降誕」、「キリストの代理的贖罪」、「キリストの身体的復活」、「キリストの可視的再臨」を信仰するプロテスタント信者である。信者は、24の宗派から構成されているといわれている [22] 。ファンダメンタリズム的価値観は、キリスト教の尊重・「伝統的核家族」の重要性・親や教師の権威の尊重・性別役割の保持・愛国主義 ・自由企業経済制度にあるという [23]

聖書無謬説に基づく主張[編集]

聖書無謬説」も参照

ファンダメンダリストの超保守性は、ファンダメンダリストが多く住む地帯であるバイブル・ベルトと呼ばれた南部でみられる。ファンダメンダリストの主張は、聖書を忠実に直訳し、聖書の創造説を信じて他の進化説を排撃するため、非常に保守的なものである。「神」対して、管理や罰を強調するmaster 、king、judgeといった男性的なイメージを持ち、男性優位の考えを強く持っている。同時に、家族を重視し、堕胎性表現などを含めた道徳観も他の宗派に比べて保守的である [24]。 従って、ファンダメンダリストは、他のプロテスタントと異なり、道徳的に体罰を受け入れやすいだけでなく、罪に対する罰を積極的というより当然必要なものとみなし懲罰的姿勢をとる。そのため、学校教育とともに家庭教育にて、子どもへの体罰を「愛」や「権威」という名のもとに、「体罰」を駆り立ててきたという [25]。また、ファンダメンタリズム(新宗教右翼)の主張には、中絶ポルノホモセクシャル男女平等権憲法修正案(英語:Equal Rights Amendment)などのように、伝統的なアメリカの家庭のあり方とそれを支えてきた価値を脅かすものに対し反対していくという主張(プロ・ファミリー)があった [26]

政教分離原則に基づく主張 [編集]

アメリカ合衆国最高裁判所
アメリカ合衆国憲法」、「権利章典 (アメリカ)」、「政教分離原則#アメリカ合衆国の政教分離」も参照

政教分離原則は、アメリカ合衆国憲法修正第1条に示されており、「合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律(中略)を制定してはならない。」とされている [27]。 これは、一つに国教の制定あるいは特定の宗教を優遇したりすることを禁じるもので、宗教自体に国家が関心を示す事は支障ないとするものである。もう一つに国家と教会の分離を定めるというものであるという [28]

宗教右派の主張は、この修正第1条を論点としている。アメリカ合衆国最高裁判所が宗教上の行為を違憲と判決に対し、宗教右派(福音派とキリスト教原理主義者)は、修正第1条の政教分離原則に反し、政府による信仰の介入が行われたと反発したものであった。[29]。宗教右派は、司法の判決に対し、聖書と修正第1条の政教分離原則に基づいて論争・事件・反発を示している。

沿革[編集]

ウィルコックス(英語:Wilcox,Clyde)によると、宗教右派の政治参加を4つの時期に分類されている [30] [31] [32]

キリスト教原理主義潮流の形成時期(1920年代)[編集]

アメリカ合衆国の歴史 (1918-1945)」、「進化論論争」も参照

1920年代の北米聖書連盟、アメリカ聖書十字軍などによるキリスト教原理主義諸団体の政治運動がある[33]

リベラル派支配下の時期(1950年代)[編集]

アメリカ合衆国の歴史 (1945-1964)」も参照

1950年代のキリスト教十字軍、キリスト教反共主義の政治運動がある[33]

政治介入の要因

1970年代は、キリスト教原理主義者による政治介入がみられる時期である。キリスト教原理主義(ファンタメンダリスト)が政治への介入を見せた理由を、マシュー・C・モエンにより4つあげられている[34]。一つに、最高裁判所の判決、特に学校での祈祷を違憲とした「エンゲル対ヴィタール判決(1962)」人工妊娠中絶の権利を擁護した「ロウ対ウェイド判決(1973)」。二つに、外交政策、特にソ連との緊張緩和対イスラエル政策におけるイスラエル支持の相対的低下としたもの。三つに、60年代から70年代のカウンターカルチャーや麻薬濫用などによる道徳的腐敗[注釈 8]。最後に、リベラル派の聖職者による公民権運動などの活動があるという[注釈 9][35]

宗教右派政治介入の時期(1970年代末―1980年代)[編集]

アメリカ合衆国の歴史 (1964-1980)」、「アメリカ合衆国の歴史 (1980-1991)」も参照

1970年代末から80年代の宗教円卓会議、ジェリー・ファルエルなどによる「モラル・マジョリティ」、「キリスト教徒の声」などによる政治運動がある。[33]

共和党への接近

危機意識をもったキリスト原理主義者は、保守化した共和党に接近した。 1978年ジミー・カーター大統領[注釈 10]は宗教系私立学校が人種差別を行っていることに対し、非課税措置に制限を加えようとしたが、キリスト教系私立学校が一斉に反発、南部パブテスト派を中心に反対運動がおこり、1980年には福音派、特に宗教右派の票が共和党候補へと移ったという [35]

宗教右派の政治化

宗教右派と共和党への接近について、モエンによると、ロナルド・レーガン大統領、ニュー・ライトの上院議員、若手共和党保守派下院議員、テレビ伝道師の存在をあげている[34]

ロナルド・レーガン大統領候補は、1980年大統領選挙で、伝統的価値をテーマに宗教右派を政治の主流とし、宗教右派に信任を与え、政治的にに利用していた。1980年8月のダラス訪問「国内政局説明会」では、福音派の支持を得るために「進化論、人工中絶、州政府の宗教問題への介入をめぐる彼らの意見に賛同した」という。1984年大統領選挙では、レーガン大統領は宗教右派の働きかけで、保守的なキリスト教徒を集めた集会に出席し地方を遊説している[36]ニュー・ライトの上院議員のジョン・イースト上院議員は、人工中絶反対に関する公聴会を司法委員会(1981年)で開催し宗教右派の政策課題を立法化しようとした。第97回議会(1981年‐82年)では、上院委員会で5回公聴会を開催し人工中絶、学校での祈祷、授業料の非課税化といった宗教右派の政策課題であった。第98回議会(1983-84年)でも、同様の政策課題が取り上げた[37]。 下院の若手議員のニュート・キングリッチボブ・ウォーカーらは、Conservative Opportunity Society(COS)を結成し、この組織の中心的メンバーが特に第98回議会で、人工中絶や学校での祈祷などに関する宗教右派の政策課題を下院の重要な政治課題に捉えた[38]。 そして、オーラル・ロバーツジェリー・ファルウェルジミー・スワガートなどのテレビ伝道師の協力があった。テレビ伝道師ファルウェルの視聴者数は1000万人であったともいわれ、リベラル化した社会に伝統的価値を取り戻そうと彼らに働きかけたポール・ウェイリッチ等のニュー・ライトの存在も大きかったという[39]

宗教右派拡大の時期(1990年代以降)[編集]

アメリカ合衆国の歴史 (1991-現在)」も参照

第4期は1990年代以降のキリスト教連合、家族フォーカス、家族調査評議会などによる政治運動である[40]

運動[編集]

公教育[編集]

進化論論争[編集]

進化論論争」、「アメリカ合衆国の歴史 (1918-1945)#スコープスの「猿」裁判」も参照

ファンダメンダリスト(キリスト教原理主義)の活動については、堀江洋文によると、1920年代頃から見られ、リベラル派の影響下で社会のみならず教会自体が自由主義化、世俗化の方向へ向かっていることに危惧を覚え、聖書の真理や主要教理が蔑ろにされている状況を是正しようとし、進化論論争を始めに運動を展開したという [41]

創造科学
進化論論争」アメリカ合衆国の歴史 (1918-1945)#スコープスの「猿」裁判、「創造科学」を参照

神への祈り、聖書唱和[編集]

公教育での神への祈り、聖書唱和は、1960年代のアメリカ合衆国最高裁判所によって違憲とされ、全国的(アメリカ国内)に反発した。宗教国家とされるアメリカでは、1960年代にはリベラル色が強まったアメリカ合衆国最高裁判所によって公立学校での「神へ祈り」の指導を禁止しとなる判決をした。キリスト原理主義派(ファンダメンダリスト)や福音派(エバンジェリカル)は,伝統的価値観の後退,伝統的家族の崩壊と見て強い危機感を抱いた[42]1947年にはアメリカ合衆国憲法修正第1条による政教分離原則が連邦政府だけでなく州政府にも適用され [43]1962年のエンジェル対バイテル訴訟では、広範に行われていた公教育での「祈り」の指導を、連邦最高裁が違憲と判断した [44]。 飯山雅史によると、原理主義派や福音派は,つい「最近まで当然と思っていた習慣」を「連邦最高裁によって覆され」、「政府が信仰に介入してきた」ことへ反発し、「失われたものを取り返そう」とする「防御的」な意識を示していた [43]アメリカ合衆国連邦裁判所の判決に対し反対を示した主要な訴訟がいくつかある。主要なものには1962年のエンジェル対バイテル訴訟 、1963年のエイビントン町教育委員会対シェンプ訴訟、そして1985年のウオレス対ジェフリー訴訟などがある。

新田浩司によると、アメリカ合衆国最高裁判所による、エイビントン町教育委員会対シェンプ訴訟などの判例は、政教分離は宗教と国家の分離ではなく、教会と国家の分離であり、教会と公権力が癒着することを防ぐ意味合いが強く、一定限度を超える国家と宗教との結びつきを禁じるものと解釈しているという [45]

判例

エンジェル対バイテル訴訟1962年)は、1951年ニューヨーク州教育委員会が「祈り」を作成し公立学校で唱和することとなったことに対し、公的宗教の確立を意味し、個人の信教の自由を侵害するものとして訴訟が起きたものであった[46]

エイビントン町教育委員会対シェンプ訴訟1963年)は、ペンシルバニア州法は公立学校では毎日聖書を10節読み、「主の祈り」を唱和をすることを求めていた。メリーランド州でも同様の事が行われていたことから、訴訟により、宗教活動を停止させようとしたものであった[47]

ウオレス対ジェフリー訴訟1985年)は、1978年制定のアラバマ州法は、公立学校で児童に対し、始業時1分以内の「瞑想」を義務付けた。州議会は1981年に「瞑想」を「瞑想または自主的な祈り」と修正し、適用の範囲を州内の公立教育機関全てに拡げた。これに対し訴訟が行われたものであった[48]

葉山明によると、上記三訴訟における、アメリカ合衆国連邦裁判所での論争の中心は、アメリカ合衆国憲法修正第1条の政教分離原則であった。多数意見は、公立学校で「聖書唱和」や「神への祈り」を行うことを、児童、生徒の自主判断であっても、公的宗教(派)の樹立につながり、また、個人の信仰の自由を制約するとして違憲とした。少数意見は、これらの行為は「アメリカ精神の伝統」を認知するものにすぎないとし憲法に反しないとしたものであったという[49]

判決の影響

1962年6月25日のエンジェル判決、続く1963年6月17目のシェンプ判決は、アメリカ国民に反響を起こした。1958年に結成された超保守、超反共団体であるジョン・バーチ・ソサエティ(英語:the John Birch Society)はアール・ウオーレン長官の弾劾を求めて運動をおこした。南部 のバイブル・ベルト(聖書地帯)選出の議員たちは判決に対し非難したという [50]。また、マシュー・C・モエンによると、これらの判決はキリスト教原理主義が政治化した要因の一つであったという[51]

体罰廃止法案の反対[編集]

体罰廃止法案の反対は、ファンダメンダリストが体罰に関して特異な存在であり、近代教育で正当されたジェンダーの扱いに対し、宗教理念上相容れないためである。宗教的な価値(英語:Christian value)は、人道主義的な価値(英語:humanistic value)と異なり、体罰について、宗教的価値観から正当で妥当な教育手段として位置付けられている。したがって、聖書の史実を信じ、宗教的に、保守的であるである親は子供の躾に体罰を利用しており、未だ、ファンダメンダリストは体罰廃止に対し反対が強いという。このことから、バイブル・ベルト(聖書地帯)以外では体罰に関する意識改革が進んだのに対し、バイブル・ベルトでは宗教的な価値観を堅持しているため体罰が残っているという [52]。 片山紀子によると、バイブル・ベルト地帯は過去に報告された学校体罰の行使総数が多い州と重なり、体罰とバイブル・ベルトとの関係を指摘している。体罰に関してやや特異な存在であるのは、近代教育の中で正当とされた罰やジェンダーの扱いに関し、宗教理念上、相容れない部分を持っているためであったという [53]

ホームスクール[編集]

Families Learning Together

ホームスクールとは、「義務教育期間であっても子どもを学校に通学させることなく、家庭で教育し育てることである」。「アメリカにおいて1980年代の中頃から顕著になるホームスクール運動」がある。「ホームスクール運動は極めて保守的で、宗教的にもファンダメンタリストエヴァンジェリカルの人々による運動である」。ホームスクールに関する調査では、ホームスクールの理由は「宗教上の理由」がほとんど一番目に挙げられてている。「80年代はオルタナティヴな教育として強調され、90年代はファンダメンタリストやエヴァンジェリカルの運動として強調されてきた」という [54]

修正第1条と公教育[編集]

アメリカ合衆国憲法修正第1条と公教育との兼ね合いによる問題にはいくつかある。カトリック教会学校へ通う児童・生徒に対するバス代の(州)政府負担の問題、カトリック教会学校自動・生徒への一般科目の教科書の無償負担の問題、そしていわゆる「シェアード・タイム・プログラム」(英語:shared-time program)の問題[注釈 11]などがあるといわれている [55]

生命倫理[編集]

妊娠中絶問題[編集]

人工妊娠中絶」および「ロー対ウェイド事件」も参照

中絶問題は、「「家族」「秩序」といったモラルの問題としてとらえる反対派 、女性の社会進出や貧困などの社会問題としてとらえる容認派」との間で論争が続いている。「「人間は神が造った」という聖書の教えをそのまま信じる人々」のキリスト教原理主義は人工妊娠中絶を反対している。

1992年には、アメリカ大統領選挙の主要な論争の一つであった妊娠中絶権の論争があった。アメリカ大統領選挙は、(当時)現職のブッシュ大統領(共和党)、クリントンアーカンソー州知事(民主党)、ぺロ一(無所属)の争いとなった。キリスト原理主義は、共和党の綱領に影響を与え中絶全面禁止をうたっており、共和党は「中絶反対」、民主党は「中絶容認」の立場を明らかにした [56]。 関連する問題に、特定のバイオテクノロジー及びその使用(例:胚性幹細胞を使った研究)の禁止、生命倫理遵守などがある。

LGBTへの反発[編集]

同性愛反対運動(2015年6月)
ゲイ解放運動」も参照。
反同性愛運動

反同性愛運動は、宗教右派が進めており、本格化したのは1970年代である。1969年ストーンウォール事件を機に本格化したLGBTゲイ解放運動に対し、宗教右派は反発し「反対運動(第一次バックラッシュ)で「子供たちを守れ」キャンペーンを行った。その活動はテレヴァンジェリスト(英語: Televangelist)に依拠して宗教的言説を前面を押し出したものであった。

1990年代には、宗教右派は実現すべく政治(共和党)に接近し、両者を「家族の価値」言説を結び付けた(第二次バックラッシュ)。この宗教右派のロビー活動により、連邦議会1996年婚姻防衛法を制定した[57]

ローレンス対テキサス州事件
ローレンス対テキサス州事件」も参照。

2003年には、ローレンス対テキサス州事件があり、同性愛者による性行為およびオーラルセックスを禁じたテキサス州刑法の規定を違憲無効とした、アメリカ合衆国最高裁判所の判決があった。ブッシュ大統領支持母体の一つであった宗教右派団体は、同性愛での性行為をアメリカ合衆国最高裁判所が認めることは許しがたいことであった [58]

伝統的道徳観[編集]

公民権運動[編集]

アフリカ系アメリカ人公民権運動」、「アメリカ合衆国の歴史 (1964-1980)」も参照

カウンターカルチャー[編集]

カウンターカルチャー」、「ヒッピー」、「アメリカ合衆国の歴史 (1964-1980)」も参照

伝統的道徳観を腐敗させるものとして、カウンターカルチャー、ヒッピーロックポルノ、麻薬濫用など、彼らが下品、猥褻であるとする音楽・出版・放送へ反発していた。

フェミニズムへの反発[編集]

フェミニズム」、「ジェンダー」および「女性史(英語版)」も参照

キリスト教原理主義者(ファンダメンタリズム)的価値観は、キリスト教の尊重・「伝統的核家族」の重要性・親や教師の権威の尊重・性別役割の保持である[59]

政治[編集]

キリスト教右派の団体や構成員には、共和党の主義や政策に賛成、支持するものが多く、時には逆に共和党の主義や政策に影響を与えることもある。例えば、ジョージ・W・ブッシュ大統領の選挙戦では、キリスト教右派の共和党支持者が、無視できない役割を果たしたものと考えられている。

アメリカ大統領選挙において共和党から出馬する政治家は、キリスト教右派の支持を取り付けることが特に予備選挙の段階で重要であり、またキリスト教右派色の濃い候補が出馬することもある(クリスティン・オドネルマイク・ハッカビーミシェル・バックマンリック・サントラムベン・カーソンテッド・クルーズなど)。

一方でキリスト教右派の主張を政策に反映させることは本選挙において大都市に多いとされる中道層の取り込みに不利となる。そのため共和党の政治家はキリスト教右派の主張をどこまで受け入れるかというバランスに苦慮している。

影響[編集]

2001年9・11の同時多発テロ以降、「宗教右派」は、「ネオコン」と呼ばれた政策集団と共にブッシュ政権に大きく影響力をもち、2003年イラク戦争を推し進めた世界観は両者によって形成されたといわれている [60]

2004年には、ブッシュ大統領一般教書演説の中で、政権のスローガンである「思いやり」を中心に「「神」や、「信仰」「家族」といった言葉を随所に散りばめ」「宗教色と保守色の強い演説に」した。また、不変の価値として「勇気、思いやり、畏敬、誠実、異なる信仰や宗教の尊重」を挙げ、「宗教に関連しては特に同性愛者同士の結婚への反対」を示し、宗教右派団体へのメッセージとしたといわれている [61]


脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 山本貴裕は、宗教右翼を用語を、1980年代のアメリカ社会に出現する超保守派勢力の表現に使用しており、「宗教右翼(Religious Right)」の出現によってさらに拡大されることになった。宗教右翼の代表的組織の一つ、モラル・マジョリティ(英語:Moral Majority)は、20年代のファンダメンタリズムの伝統に属する保守的プロテスタントを動員したとある(山本(2002)、pp.133)。
  2. ^ 堀江洋文は、「宗教右翼」をキリスト教原理主義者を扱う用語としては広義な印象を持つとし、「宗教右翼」の使用を避け「キリスト教右翼」の用語に統一している。(堀江(2010)、pp.1)
  3. ^ 堀江洋文は、キリスト教原理主義者を中心に扱うことから、「キリスト教右翼」という用語を使用している。 (堀江(2010)、pp.1)
  4. ^ 「新宗教右翼」は、森孝一が、1980年代には、穏健な保守派に対する勢力となる超保守派の表現に使用していた。(森(1987)、pp.86)
  5. ^ 蓮見博昭によると、福音派にファンダメンダリストを含むものとしている(蓮見(1996)、pp.4-5)
  6. ^ 片山紀子によると、バイブル・ベルトという名称について曖昧があるという。例えばファンダメンダリストの基準、ファンダメンダリストの流れにあるブラック宗教の位置づけ、報告されていない信者等の問題があるという(片山(2000)、pp.123)。
  7. ^ 片山紀子は、論文では、キリスト教原理主義(ファンダメンダリスト)を"Protestant Fundamentalist"と表記している(片山(2000)、pp.117-118)。
  8. ^ 具体的には、反戦運動ヒッピー、伝統への反逆、麻薬濫用などがあり、キリスト教原理主義者は「アメリカの道徳的退廃」と嘆いたという(堀内(2006)、p.54)
  9. ^ リベラル派の聖職者(ジェシー・ジャクソンマーティン・ルーサー・キング)によるロビー活動、議会での証言、市民的不服従などから、大きな刺激をキリスト教原理主義者たちが受けたという(堀内(2006)、p.54)
  10. ^ ジミー・カーター大統領は「ボーン・アゲイン」の福音派として知られているという(堀内(2006)、pp.54)
  11. ^ 「シェアード・タイム・プログラム」とは、カトリック教会学校と公立学校が協力して、前者の在学生が一般科目は公立学校で受け、宗教科目は自らの学校で受けるというプログラムという。(葉山(1992)、pp.126)

出典[編集]

  1. ^ 大関(2005)、pp.16
  2. ^ 森(2004)、pp.123-140
  3. ^ 堀内(2006)、pp.50-51
  4. ^ Sociology: understanding a diverse society Margaret L. Andersen, Howard Francis Taylor , Cengage Learning, 2005 ISBN 978-0-534-61716-5, ISBN 978-0-534-61716-5
  5. ^ Deckman, Melissa Marie (2004). School Board Battles: The Christian Right in Local Politics. Georgetown University Press. p. 48. ISBN 9781589010017. https://books.google.com/books?id=H0SSrYRzK5cC&pg=PA48 2014年4月10日閲覧。. 
  6. ^ a b c 堀内(2006)、pp.50-51
  7. ^ 「宗教右派」の用語は、藤井(2004)、堀内(2006)、廣瀬(2007)、藤本(2007)、飯山(2008)にて使用されている。
  8. ^ 堀内(2006)、pp.51
  9. ^ 片山(2000)、pp.123
  10. ^ 田中(2006)、pp.46-47
  11. ^ 堀内(2006)、pp.52
  12. ^ 堀内(2007)、pp.51-73
  13. ^ 堀内(2006)、pp.51-65
  14. ^ Williams, Daniel K. (2010). God's Own Party: The Making of the Christian Right. New York: Oxford University Press. pp. 1, 2. ISBN 9780195340846. 
  15. ^ ジョン・ヒックス. The Political subsistence of the Religious Right. The American Religious Experience. http://are.as.wvu.edu/jhicks.htm 2016年5月7日閲覧。. 
  16. ^ David Bebbington(1989)、pp.2-17
  17. ^ George M.Marsden(2006)
  18. ^ Nancy T. Ammerman(1991)
  19. ^ 堀内(2011)、pp.77-79
  20. ^ 森(1987)、pp.86
  21. ^ 堀内(2006)、pp.50、51
  22. ^ 片山(2000)、pp.117-118
  23. ^ 土田(1997)、pp.176、177
  24. ^ 片山(2000)、pp.117、118
  25. ^ 片山(2000)、pp.117、118
  26. ^ 森(1987)、pp.88
  27. ^ 飯山(2008)、pp.339
  28. ^ 新田(2012)、pp.28
  29. ^ 飯山(2008)、pp.339
  30. ^ Wilcox,Clyde(1995)、pp.21-39
  31. ^ Wilcox,Clyde(2000)
  32. ^ Wilcox,CIyde and Carin Larson.(2006)
  33. ^ a b c 堀内(2006)、pp.52
  34. ^ a b Moen(1989)、pp.49-64
  35. ^ a b 堀内(2006)、pp53-54
  36. ^ 堀内(2006)、pp54
  37. ^ 堀内(2006)、pp54-55
  38. ^ 堀内(2006)、pp55
  39. ^ 堀内(2006)、pp55
  40. ^ 堀内(2006)、pp.52
  41. ^ 堀江(2010)、p.5
  42. ^ 飯山(2008)、pp.339
  43. ^ a b 飯山(2008)、pp.339
  44. ^ 葉山(1992)、pp.110
  45. ^ 新田(2012)、pp.28
  46. ^ 葉山(1992)、pp.109-110
  47. ^ 葉山(1992)、pp.110-111
  48. ^ 葉山(1992)、pp.111-112
  49. ^ 葉山(1992)、pp.112
  50. ^ 葉山(1992)、pp.121
  51. ^ 堀内(2006)、pp53
  52. ^ 片山(2000)、pp.117-119
  53. ^ 片山(2000)、pp.117-119
  54. ^ 長嶺(2003)、 p.114-132
  55. ^ 葉山(1992)、pp.126
  56. ^ 三井(1993)、pp.212-215
  57. ^ 小泉(2011)
  58. ^ 村上(2004)、pp.159-178
  59. ^ 土田(1997)、pp.176、177
  60. ^ 藤本(2009)、p.40
  61. ^ 村上(2004)、p.159-178

参考文献[編集]

和書
  • 飯山雅史「米国における宗教右派運動の変容―2008年米国大統領選挙と福音派の新たな潮流―」、『立命館国際研究』第20巻第3号、立命館大学2008年、 337-363頁。
  • 大関敏明『アメリカのキリスト教原理主義と政治支援団体』、文芸社2005年
  • 大津尚志「生徒の懲戒・体罰に関する日本、フランス、アメリカの法制上の比較考察」、『武庫川女子大学大学院 教育学研究論集』第9号、武庫川女子大学大学院2014年、 9-15頁。
  • 片山紀子「アメリカ南部州において存続する学校体罰の成因」、『奈良女子大学文学教育文化情報学講座年報』第4号、奈良女子大学2000年、 pp115-126。
  • 片山紀子「[シンポジウム]アメリカの学校における体罰の衰退」、『体育教育学研究』30(1)、日本体育科教育学会2014年、 57-62頁。
  • 小泉明子『同性婚と「家族の価値」 : 合衆国文化戦争の一側面』、京都大学2011年
  • 田中久男「ミシシッピのEmmett Till事件と「乾燥の九月」 : 文化のかたちとしての構造化された暴力」、『アメリカ研究』第40号、アメリカ学会2006年、 39-56頁。
  • 土田映子「ファンダメンタリズムの教育裁判戦略「世俗ヒューマニズム」の周辺」、『アメリカ研究』Vol.1997No.31、アメリカ学会1997年、 175-183頁。
  • 中野博文「20世紀アメリカ民主政と政治制度をめぐる権力対立」、『アメリカ研究』1999(33)、アメリカ研究会1999年、 59-78頁。
  • 長嶺宏作「アメリカにおけるホームスクール運動の成長と変容 ― ホームスクール支援団体の理念と活動分析を中心として―」、『比較教育学研究』Vol.2003 No.29、日本比較教育学会2003年、 114-132頁。
  • 新田浩司「政教分離と市民宗教についての法学的考察」、『地域政策研究』第14巻2・3合併、高崎経済大学地域政策学会2012年、 21-35頁。
  • 蓮見博昭「アメリカの宗教保守主義運動と民主主義政治システム」、『人文学部紀要』第8号、恵泉女学園大学1996年、 3-27頁。
  • 葉山明「宗教(キリスト教)とアメリカ政治社会 ―公立学校における神への祈り、聖書唱和を憲法違反とする最高裁判所判決からの考察―」、『文明研究所紀要』第12号、東海大学1992年、 109-133頁。
  • 藤井 創「「アメリカ的キリスト教」の検証 : 9.11自爆攻撃の煙の中から姿を現わしたアメリカ教の素顔」、『金城学院大学キリスト教文化研究所紀要』第8号、金城学院大学2004年、 89-124頁。
  • 藤本龍児「ネオコンと宗教右派 一公共哲学的観点による比較一」、『宗教と社会』第13号、「宗教と社会」学会2007年、 51-73頁。
  • 藤本龍児 『アメリカの公共宗教―多元社会における精神性』 エヌティティ出版、2009年ISBN 13:978-4757142282 
  • 堀内一史「アメリカにおける宗教右派の政治化--過去と現在」、『麗沢学際ジャ-ナル』14(2)、麗沢大学経済学会2006年、 49-65頁。
  • 堀内一史「[研究ノート]信仰が社会・政治関係に及ぼす影響bに関する基礎的研究(中間報告)、アメリカ合衆国カリフォルニア州モデスト市の場合」、『麗沢学園ジャーナル』19(1)、麗沢大学経済学会2011年、 75-90頁。
  • 堀江洋文「キリスト教原理主義とアメリカ政治」、『専修大学社会科学研究所月報』第569号、専修大学2010年、 - 1-37頁。
  • 三井宏隆「妊娠中絶権をめぐる論争について」、『哲学』第95号、慶應大学1993年、 212-215頁。
  • 村上直久「ブッシュ米大統領の2004年一般教書演説のディスコース分析」、『長岡技術科学大学言語・人文科学論集』第18号、長岡技術科学大学2004年、 159-178頁。
  • 森孝一「メインライン教会と新宗教右翼―アメリカ・キリスト教界の現状と展望―」、『基督教研究』第48巻第2号、同志社大学1987年、 - 173-194頁。
  • 森孝一「アメリカの「見えざる国教」再考」、『アメリカ研究』Vol.2004 No.38、アメリカ学会2004年、 123-140頁。
  • 山本貴裕「ファンダメンダリストのカトリック観の変化―1878年~1918年―」、『アメリカ研究』Vol.2002 No.36、アメリカ学会2002年、 131-149頁。
洋書
  • Boles,John.The South Through Time.A History of an American Region. Vol.II,3rd ed. Upper Saddle River,NJ:Pearson Prentice Hall. 2004.
  • David Bebbington.Evangelicalism in Britain: a History from the 1730s to the 1980s. London: Unwin Human. 1989
  • George M.Marsden. Fundamentalist and American Culture. New Edition. New York: Oxford University Press.2006.
  • Margaret L. Andersen, Howard Francis Taylor , Cengage Learning, 2005 ISBN 978-0-534-61716-5, ISBN 978-0-534-61716-5.
  • Moen,Mathew C. (1989). The Christian Right and Congress.. Tuscaloosa: University of Alabama Press.. 
  • Nancy T. Ammerman."North American Protestant Fundamentalism." pp1-65 in Martin E. Marty and R. Scott Appleby eds. Fundamentalismes Obseved. Checago:University of Chicago Press,1991.
  • Wilcox,Clyde,"Premillennialists at the Millennium:Some Reflections on the Christian Right in the Twenty-first Century," in Bruce, Steve, Peter Kivisto and William H.Swatos,Jr.(eds.) The Rapture of Poitties, The Christian Right as the United States Approaches the year 2000. New Brunswick,NJ:Transaction Publishers,1995.pp.21-39.
  • Wilcox,Clyde. Onward Chrtstian Soldiezs?: The Religious Right in American Politias. 2nd ed,Boulder,CO:Westview.2000.
  • Wilcox,CIyde and Carin Larson.Onward Christian Soldibns?:The Retligious Right in American Polities. 3rd ed.Boulder,CO:Westview.2006.
  • Williams, Daniel K. God's Own Party: The Making of the Christian Right. New York: Oxford University Press. pp. 1, 2. ISBN 9780195340846.2010.

関連項目[編集]