音高

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音高(おんこう)、ピッチとは、

  1. 音楽用語
  2. 音声学用語

における音の高さのこと。

本項では音楽用語の「音高」「ピッチ」について解説する。音声学の「ピッチ」についてはアクセントを参照。

音高の知覚

音の丁度可知差異 (jnd; Just noticeable difference) は約5セント(半音の5/100)である。しかし、この値は音域によって異なり、音を同時に鳴らした場合にはより精密となる。人が感じる音高は音の大きさや音域そして音色に影響されるといわれる。周波数成分が複数ある音(自然界や楽器の音は全てそうである)から、人間がどのようにして音高を捉えているのかは、はっきりとは分かっていない。人間におけるその他の刺激と同様に、音高の知覚についても、ヴェーバー‐フェヒナーの法則によって説明することができる。可聴域の下限に近い音は高め、上限に近い音は低めに聴こえる。一般に大きい音ほど(僅かだが)高めに聴こえ、低音域では音の振幅が大きくなるほど、音高は低く知覚される。また、倍音の多い(強い)音ほど高めに聴こえる。

他の人間の感覚と同様に、聴覚にも錯覚が存在し、この「聴覚の錯覚」 (Auditory illusion) の結果、音高の相対的な知覚が惑わされる場合がある。これには、「3全音パラドックス (Tritone paradox)」などいくつかの例があるが、最も特筆すべきなのは「無限音階(シェパード・トーン、Shepard tone)」である。これは、連続の、あるいは不連続の特別な音のスケールが、上昇ないしは下降し続けるように知覚される現象である。

基準ピッチ

中央の1点ハ音(ド・C4・c')の上の1点イ音(ラ・A4・a')は、1939年にロンドンで行われた国際会議で440 Hzとされた(通常 "A = 440 Hz" か "A440" と記される)。しかしベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団では A = 444〜445 Hzが基準とされている[1]。日本では、戦後の1948年に9年遅れでA = 440 Hzを導入したが、以前は、1859年のパリでの会議、1885年のウィーンでの会議で定められたA = 435 Hzを標準としていた。現在の日本ではオーケストラや演奏会用のピアノは A = 442〜443 Hzとなる場合が多い。

脚注

  1. ^ 最相 (1998) pp.170-171

参考文献

関連項目