安全管理者

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安全管理者
実施国 日本の旗 日本
認定団体 厚生労働省
等級・称号 安全管理者
根拠法令 労働安全衛生法
公式サイト 【厚生労働省】安全管理者について教えて下さい。
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安全管理者(あんぜんかんりしゃ)とは、労働安全衛生法において定められている、事業場の安全全般の管理をする者である。

要件

安全管理者は、次のいずれかの要件を満たす者でなければならない。労働安全衛生規則の改正により、選任する安全管理者の要件として、新たに安全管理者選任時研修の受講が必要になった(労働安全衛生規則第5条、平成18年10月1日施行)。

  • 厚生労働大臣の定める研修を修了した者で、次のいずれかに該当する者(平成18年2月24日付、基発第0224004号通達)
    1. 大学又は高等専門学校の理科系の課程を卒業し(これと同等以上の学力を有すると認められる者を含む)、その後2年以上産業安全の実務を経験した者
    2. 高等学校又は中等教育学校の理科系の課程を卒業し、その後4年以上産業安全の実務を経験した者
    3. その他厚生労働大臣が定める者(理科系統以外の大学を卒業後4年以上、同高等学校を卒業後6年以上産業安全の実務を経験した者、7年以上産業安全の実務を経験した者等)
  • 労働安全コンサルタント(試験区分はコンサルタントとしての活動分野を制限するものではない)

職務

  1. 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
  2. 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検
  3. 作業の安全についての教育及び訓練
  4. 発生した災害原因の調査及び対策の検討
  5. 消防及び避難の訓練
  6. 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  7. 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録

安全管理者は、総括安全衛生管理者が統括管理する業務のうち、安全に係る技術的事項を管理するとともに、作業場等を巡視(巡視の頻度に特に定めはない)し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。また、事業者は、安全管理者に対し、安全に関する措置をなしうる権限を与えなければならない。安全管理者が事故等でその職務ができないときは、代理者を選任しなければならない。

労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。

安全管理者は、その事業場に専属の者を選任しなければならない。ただし、2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいる場合は、その労働安全コンサルタントのうち1人については専属の者でなくてもよい。

なお、選任すべき人数については、事業場の規模や作業の態様等の実態に即して、必要な場合には2人以上の安全管理者を選任するよう努めなければならないとされるが、衛生管理者のように規模等によって選任すべき人数を定めた一般的な規定は安全管理者には設けられていない。

安全管理者は、労働基準法第41条でいう「監督若しくは管理の地位にある者」に当然には該当せず、該当するか否かは当該労働者の労働の態様によって判定される(昭和23年12月3日基収3271号)。

選任すべき事業場

次の業種で常時50人以上労働者を使用する一定の事業場において選任が義務付けられている。10人以上50人未満の場合は、安全衛生推進者を選任することになる。

  • 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備及び機械修理業

以下の事業場では、安全管理者のうち少なくとも1人を専任の安全管理者としなければならない。

  • 常時300人以上の労働者を使用する、建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業
  • 常時500人以上の労働者を使用する、無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業
  • 常時1000人以上の労働者を使用する、紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業
  • 常時2000人以上の労働者を使用する、過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える上記以外の業種

安全管理者の選任期限は、選任すべき事由が発生した日から14日以内で、事業場を管轄する労働基準監督署長に届出なければならない。

選任時研修の内容

外部リンク