レッドブル・パワートレインズ

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レッドブル・パワートレインズ: Red Bull Powertrains Ltd)は、2021年2月16日[1]に設立されたF1パワーユニット(PU)製造会社[2]。略称はRBPT

RBPT:レッドブル パワートレインズ (Building 8)
現地語社名
Red Bull Powertrains Ltd.
種類
非公開会社
業種 自動車産業 ウィキデータを編集
事業分野 自動車用その他の部品および付属品の製造
設立 2021年2月16日
創業者 Red Bull GmbH
Dietrich Mateschitz
本社 Red Bull Technology Campus
Building 8, Bradbourne Drive
Tilbrook, Milton Keynes, UK
主要人物
Helmut Marko(Director)
Christian Horner(Director)
Ben Hodgkinson(T.Director)
従業員数
300人以上 (2022年8月)
親会社 レッドブル・レーシング ウィキデータを編集
ウェブサイト www.redbullpowertrains.com

西側がHONDAのPU関連施設 東側がRBT(2), RBR(1), RBAT+RBPT(8)
地図
地図
北側 : Honda R&D Europe UK Ltd[3]
- HRD Milton Keynes, Motor Sports Division[4]
南側 : Mugen Euro Co.,Ltd[5][6]:(組立リビルド施設)(WTCC E/G:HR412E)

 

地図
RBT(2), RBR(1), RBAT+RBPT(8)

レッドブル・レーシングを顧客の中心に据えた設定で、PUを供給・販売するPU製造業者として、オーストリアのレッドブル社(Red Bull GmbH)(RB)の子会社。PUメカ開発凍結協定の成立するタイミングを待っての会社設立直後から英国ミルトン・キーンズで急速な機材設備の調達[7]や建屋建設工事が進行した[8][9][10]

PUメカ開発凍結協定の成立が会社設立の必須の前提条件だったというが、この点が重要である。設計を伴わないエンジンのリビルドと数値制御によるPUのR&Dで2026年まで繋ぐという計画で、これは、1992年に供給停止したホンダエンジンの残骸を引き継ぎ、2000年まで無限がF1で行ったエンジンサプライサービスとその内容は近似している。

違うところは、現代のPUは数値制御によって幾通りもの燃焼形態での運用が可能となっているところであり、設計当事者が関与したリビルドは、性能面から抜け落ちる確率が極めて低いという点である。

概要

2021年までHRD Sakuraが開発・製造していたPUの供給を2022年シーズンより引き継ぐ目的で設立され、ホンダのイギリス拠点であったHRD Milton Keynes(HRD UK)のスタッフの大部分(現地雇用者の大半)を継承する[11][12]。当初はホンダが保有している知的財産権(IP:Intellectual Property)利用権を購入し、レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリにPUを供給する予定であったが、周辺状況の変化により、ホンダは子会社のモータースポーツ専門会社ホンダ・レーシング(HRC)を通じ、2025年まで現行のPUの製造・組み立て・供給を継続し、レッドブルではPUの調整を行いバッジネームをつけて使用する[13][14]

レッドブルでは、2026年のレギュレーション改定のタイミングで独自設計のPUを投入する計画で、元メルセデスAMG F1のPU部門(HPP)のイルモア系エンジニアのベン・ホジキンソンを責任者として迎えたほか、スティーブ・ブレウェット/オミド・モスタギミ/ピップ・クロード/スティーブ・ブロディ/アントン・メイヨ/フィル・プリューなど、元メルセデスのイルモア系エンジニアを多数スカウトしている。これらのエンジニアはガーデニング休暇明けの2022年5月以降に順次RBPTに合流する予定[15]。一方で元ホンダF1(現: HRC)の日本人スタッフ数名は出張を延長し[16]、副テクニカルディレクターを務めた本橋正充が在英して、エンジン部署の現場責任者を暫くは継続する(アルファタウリ担当のディレクターも引き続き兼任する)[17]

2022年8月、レッドブル・レーシングのファクトリーの東側に隣接した新社屋が完成し、往年の名ドライバーでヘルムート・マルコとも親交のあったヨッヘン・リントにちなみ「リント・ビルディング」と名付けられた[18]。同時にフィル・プリュー[19]の獲得も報じられた。

ベン・ホジキンソン Ben Hodgkinson Technical Director テクニカル ディレクター[20] (ex) HPP
スティーブ・ブレウェット Steve Blewett PU Production Director レッドブルPUの生産ディレクター (ex) HPP
オミド・モスタギミ Omid Mostaghimi Head of Powertrains Electronics and ERS PU+ギア関連の電気系+ERS責任者 (ex) HPP
ピップ・クロード Pip Clode Head of Mechanical Design ERS ERS設計の責任者 (ex) HPP
アントン・メイヨ Anton Mayo Head of PU Design ICE 内燃機関設計の責任者 (ex) HPP
スティーブ・ブロディ Steve Brodie Group Leader ICE Operations[21] 内燃機関グループ運営のリーダー (ex) HPP
フィル・プリュー[22] [23]Phil Prew (ex) Chief Engineer at Mercedes AMG HPP トラックサイドR&Dのスペシャリスト

戦績

 年 車台 エンジン   ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 ポイント ランク
2022年 RB18 レッドブル・パワートレインズ
RBPTH001 1.6L V6ターボ
P BHR SAU AUS EMI MIA ESP MON AZE CAN GBR AUT FRA HUN BEL NED ITA SIN JPN USA MEX SÃO ABU 759 1位
オランダの旗 フェルスタッペン  19 1 Ret 1 1 1 3 1 1 7 2 1 1 1 1 1 7 1 1 1 6 1 454
メキシコの旗 ペレス  18 4 2 2 4 2 1 2 Ret 2 Ret 4 5 2 5 6 1 2 4 3 7 3 305
AT03 レッドブル・パワートレインズ
RBPTH001[24] 1.6L V6ターボ
P フランスの旗 ガスリー Ret 8 9 12 Ret 13 11 5 14 Ret 15 12 12 9 11 8 10 18 14 11 14 14 23 35 9位
日本の旗 角田 8 DNS 15 7 12 10 17 13 Ret 14 16 Ret 19 13 Ret 14 Ret 13 10 Ret 17 11 12
  • 太字ポールポジション斜字ファステストラップ。(key)
  • † 印はリタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
  • ‡ ハーフポイント。レース周回数が75%未満で終了したため、得点が半分となる。
  • * は現時点の暫定

脚注

  1. ^ RED BULL POWERTRAINS LIMITED overview”. find-and-update.company-information.service.gov.uk. 2022年8月24日閲覧。
  2. ^ レッドブルは2022年以降ホンダF1パワーユニット技術を引き継ぐ”. redbullracing.com. 2022年8月1日閲覧。
  3. ^ Honda R&D Europe (U.K.) Ltd. : イギリス | 研究・開発 | Hondaグループ | 会社案内”. 公式サイト. 2022年8月27日閲覧。
  4. ^ Honda Racing Development UK Ltd : 設立 2019/02 | 会社案内”. 公式サイト. 2022年8月28日閲覧。
  5. ^ F1欧州活動拠点について(2013年07月11日) : MUGEN EURO Co., Ltd.は(株)M-TECの英国子会社”. honda.co.jp. 2022年8月27日閲覧。
  6. ^ 外観 Mugen の工場”. Google Maps. 2022年9月3日閲覧。
  7. ^ AVLからテストベンチを調達済み”. Formula1-Data. 2022年8月28日閲覧。
  8. ^ RBPT 2021年10月 工事中”. Google Maps. 2022年8月24日閲覧。
  9. ^ RBPT 2021年10月 工事中”. Google Maps. 2022年8月24日閲覧。
  10. ^ RBPT 工場の位地”. Google Maps. 2022年8月24日閲覧。
  11. ^ 【分析】レッドブル、“ポストホンダ時代”に向け見通し良好か。新会社設立で柔軟性も確保”. motorsport.com. 2022年9月3日閲覧。
  12. ^ 山本MD会見:ホンダF1最終シーズンに向け、攻めの開発でパワー向上”. AUTO SPORT (2021年3月13日). 2022年8月1日閲覧。
  13. ^ ”ホンダ製”PU、2025年までF1を戦うことが決定!HRC、技術サポート継続へ”. motorsport. 2022年8月2日閲覧。
  14. ^ ホンダ、レッドブルF1への支援を2025年まで延長---最前線の現場を公開”. レスポンス. 2022年8月2日閲覧。
  15. ^ ”間もなく”稼働…2026年の次世代F1エンジン開発用施設の内部を公開”. Formula1-Data. 2022年9月1日閲覧。
  16. ^ 今後ホンダとレッドブルどうなる?山本雅史,柴田久仁夫,尾張正博座談会”. 中日スポーツ. 2022年3月23日閲覧。
  17. ^ レッドブル&HRC密着:ホンダとの新たな第一歩を踏み出したバーレーンGP”. AUTO SPORT (2022年3月19日). 2022年3月28日閲覧。
  18. ^ 建物は伝説の王者にちなみ『リント・ビルディング』と命名”. AUTO SPORT (2022年8月7日). 2022年8月15日閲覧。
  19. ^ "フィル・プリュー" - 画像検索”. google.com. 2022年8月24日閲覧。
  20. ^ Red Bull hire Ben Hodgkinson from Mercedes to lead new powertrains division”. Sky Sports. 2021年12月14日閲覧。
  21. ^ Red Bull poach five key figures from Mercedes in technical shake-up”. Independent (2021年5月6日). 2021年12月14日閲覧。
  22. ^ 建物は伝説の王者にちなみ『リント・ビルディング』と命名”. AUTO SPORT (2022年8月7日). 2022年8月15日閲覧。
  23. ^ Philip Prew”. linkedin.com. 2022年8月24日閲覧。
  24. ^ AT03 Monoposto Stagione F1 2022 | SCUDERIA ALPHATAURI” (イタリア語) (2022年2月13日). 2022年2月14日閲覧。

関連項目

外部リンク