池田信夫

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池田 信夫
生誕 1953年10月23日(60歳)[1]
京都府
国籍 日本の旗 日本
研究機関 アゴラ研究所(アゴラ (ブログ)運営者)
研究分野 イノベーション経済学英語版
情報産業論
メディア経済学英語版
母校 東京大学経済学部
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
影響を
受けた人物
青木昌彦
岡部光明
金子郁容
曽根泰教
國領二郎
浜田宏一
受賞 高橋亀吉記念賞
日本計画行政学会学会賞学術賞
テレコム社会科学賞
情報通信学会賞
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池田 信夫(いけだ のぶお、1953年昭和28年〉10月23日[1] ‐ )は、日本経済学者[2][3](但し学位はない)、経済評論家[4][5]ブロガー日本放送協会(NHK)職員を経た後、現在SBI大学院大学客員教授青山学院大学非常勤講師、株式会社アゴラ研究所代表取締役社長。

人物[編集]

複数のブログを持ち、時事問題、経済科学などについてのコラムを自身のブログなどに掲載している。これまで多くの大学教授や評論家、政治家とネット上などで論争を繰り広げている[6]。内容は以下の記述のほか、本人が運営するブログ(外部リンク参照)を読むことで知ることができる。

主義・主張・持論[編集]

  • 自身でウィキペディアの編集を行なっていることをブログ記事にもしており、時に編集の呼びかけなども行なっていた[7]ウィキペディア日本版は質が悪く2ちゃんねる化しており、チェック体制を強め品質管理をきびしくすべきだと、そのあり方を批判している[8]
  • 自由主義に基づく論調であり、著作権強化の反対[9]や、放送局からソフト制作の機能を分離(ハード・ソフトの分離)すべき[10]といった立場をとる。
  • 「労働者への太陽政策だ」として、雇用流動化が雇用を増やす旨を主張している[11]。2009年現在の雇用制度は経営者労働組合既得権益を守るために非正規社員を差別する「雇用カルテル」であり、正社員の解雇規制を緩和することで同一労働同一賃金を実現すべきとしている[12]。また、「ワーキングプア」問題の裏側には、働かない高給取り中高年の存在があるとし、それを「ノンワーキング・リッチ」と定義している[13]
  • 大麻は毒性も依存性も、タバコより低いため、タバコの喫煙リスクを自己責任で認めるなら、同じ理由で大麻を合法化すべき、大麻で逮捕するのはナンセンスであると主張している[14]
  • 科学技術分野の国策プロジェクトでは、第五世代コンピュータは「史上最大の浪費プロジェクト」[15]汎用京速計算機は「スパコンの名を借りた公共事業」、「時代錯誤の大艦巨砲プロジェクト」と批判した[16]
  • 地球温暖化については地球温暖化懐疑論を唱えており、また民主党二酸化炭素25%削減政策をポピュリズムと呼んで批判している[17]
  • 日銀による金融の量的緩和には必要なときはすべきであるが、金融緩和は短期の景気対策で日本経済の実力(潜在成長率)を上げることはできないと主張している[18]。2006年の日銀の金融緩和により、日本からアメリカに流れたカネがアメリカの不動産バブルを増幅させ、サブプライムローン問題につながった。日本が大量の金融緩和をすると今度は中国に流れ、中国のバブルをさらに膨らませることになり、ひどい危機を引き起こすことは確実であると2011年の時点で主張している[18]
  • 2011年2月の時点で日本人の個人金融資産と国債発行残高が実質的に並んでしまうため、日本国内で国債を買える余力は3年ぐらいで尽きると指摘している[18]。2012年に発足した第2次安倍内閣で円と国債が暴落するリスクを見込んで資産を外貨預金に移している[19]。池田は自身について財政の専門家でないと言及している[20]
  • 福島第一原子力発電所事故について、被災者の人数を比較して震災の中では原発事故はマイナーな災害だと述べている[21]。また原発の欠点は安全性より経済性であり、「温室効果ガスを25%削減する」という国際公約さえ放棄すれば、新設する発電所は天然ガスに転換することが賢明と述べている[22]。また、原発は稼働させていくべきで、稼働してはいけないという法律根拠はないとしている。原発事故での放射能漏れをめぐって中部大学武田邦彦などを強烈に批判した[6]。2011年11月、池田は、ライブドアのブログ集約サイト「BLOGOS」がその年、最も話題になったブログを表彰する「BLOGOS AWARD 2011」でブログメディア賞を受賞した。武田も同時にページビュー(PV)賞を受賞したが、その授賞式で行われたパネルディスカッションでは、武田が「科学的に正しいということは難しい定義なのだが、ブログという手段を通じて科学者が直接、情報を発信していくことで、みなさんの役に立てるのではないか」と語ったのに対して、池田は「たとえば原発問題でも、放射能によって大変なことが起きるなどPVを稼ぐために根拠のないデマのようなことを書くモラルのない人が少なからず存在する」などと応じ、直接意見を戦わせた[23][24]
  • 橋下徹消費税の地方税化を訴えていることに関して「冗談でなければ無知としか思えない」などとする記事を掲載したところ、逆に橋下から「何よりも、細かな知識を述べるだけで、事の本質を突いていない。これは行政をやったことがないからでしょう」との反論を受けた[25]。2012年5月、橋下が大飯原発の再稼動を容認したため、「君子豹変す」と橋下に対する評価を改め、同年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙の投開票を目前に控えたツイートでは、独自に算定した「IQ」値による各政党トップのランク付けを発表し、橋下を第一位にした[6]
  • マクロ経済学は専門でないとしている[26]
  • "アベノミクスは「空気」で生まれ、「空気」のように消えた"[27]の中で、「名目金利=実質金利+期待インフレ率」と定義して、名目金利0.9%で期待インフレ率がインフレ目標の2%になると実質金利は2.9%になるという計算間違いの結果に基づいて、アベノミクスを批判した。また、実質金利の計算は、「小学生でもできる」と述べている。
  • 選択的夫婦別姓制度導入に賛同する。「入籍するとき別々にしたい人はして、子供はどちらかの姓を名乗ればいいだけのことだ。強制的に同姓にする必要はないし、それは『日本の伝統』でもない。」と述べる。同制度導入に反対するのは「家父長主義を保守と勘違いしたなんちゃって保守」とし、同制度に強硬に反対する高市早苗らの議員を批判している[28][29][30]
  • 2009年は米国が大不況(前年の2008年10月は米国の失業率は6.6%で2014年1月も同水準の6.6%である[31]が、当時は大不況で10月には10.2%という記録的な水準に達していた[32])に陥っていたが、池田はバラク・オバマの巨額の財政政策とベン・バーナンキの非伝統的金融政策を厳しく批判し、「政府の裁量的な介入は有害無益」「ケインズが復活したという表現は政治的にはそうだが、学問的には正しくない。」と述べていた[33]

経歴[編集]

1953年昭和28年〉10月23日 京都府で京都市役所職員の子として生まれる[34]

学歴[編集]

職歴[編集]

NHK時代の活動[編集]

朝日新聞社からも内定をもらっていたが、新人記者を警察記者クラブで研修させる「サツ回り」が嫌で断ったとブログでコメントしている[41]

NHKでは報道局特報部でディレクターを務め[42]、『ニュースセンター9時』の制作に関わり[43]、『クローズアップ現代』では初代デスクを務めた[44]と語っている。

数千億円の受信料と税金を投じたにもかかわらず、結果として失敗に終わったアナログハイビジョンのプロジェクトメンバーだったが、「現場でハイビジョンの開発をしていた私たちにとって、それは衛星放送で限られたマニア向けに流すとか、業務用の高級AV商品」と考えていたと記している[45]

1980年代には、ハイビジョン開発プロジェクトの一環として、ハイビジョン番組の制作に関わったこともあるが、(当時使っていた小さなモニターでは)ハイビジョンの画質のよさがよく分からなかったという[46]

1991年に、終戦特集の番組の取材で、韓国強制連行の被害者を探すため1ヶ月かけて50人ぐらいにインタビューしたが、軍に強制連行されたという人は1人もいなかった。しかし、それではネタにならないので、「日本にも道義的責任はある」という「告発調」の番組を作った[47][48]

NHKを退職したのは39歳で管理職の辞令を受けたときだが、管理職になると番組制作には基本的に携わることができなくなり、制作費の管理というつまらない仕事をするだけだと述べている[49]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『情報通信革命と日本企業』 NTT出版(原著1997年4月)。
  • 『インターネット資本主義革命』 NTT出版(原著1999年3月)。
  • 『ブロードバンド戦略勝敗の分かれ目…情報通信社会主義の崩壊』 日本経済新聞社(原著2001年12月)。
  • 『ネットワーク社会の神話と現実--情報は自由を求めている』 東洋経済新報社(原著2003年5月)。
  • 『情報技術と組織のアーキテクチャ』 NTT出版(原著2005年6月)。
  • 『電波利権』〈新潮新書〉(原著2006年1月)。
  • 『ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成』 日経BP社(原著2007年6月)。
  • 『過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか?』〈アスキー新書〉(原著2007年12月)。
  • 『ハイエク 知識社会の自由主義』 PHP新書(原著2008年8月)。
  • 『希望を捨てる勇気』 ダイヤモンド社(原著2009年10月)。
  • 『使える経済書100冊〜資本論からブラック・スワンまで〜』〈NHK出版新書〉(原著2010年4月)。
  • 『もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら』〈日経BP社〉(原著2011年11月)。
  • 『原発「危険神話」の崩壊』〈PHP新書〉(原著2012年2月)。
  • 『新電波利権ver2』〈アゴラブックス〉(原著2012年2月18日)。
  • 『ムーアの法則が世界を変える』〈アゴラブックス〉(原著2012年2月20日)。
  • 『「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか』〈白水社〉(原著2013年5月24日)。
  • 『アベノミクスの幻想: 日本経済に「魔法の杖」はない』〈東洋経済新報社〉(原著2013年8月)。

共著[編集]

共編著[編集]

  • 奥野正寛)『情報化と経済システムの転換』 東洋経済新報社、2001年9月。ISBN 9784492312971
  • (林紘一郎)『ブロードバンド時代の制度設計』 東洋経済新報社、2002年4月。ISBN 9784492313053

翻訳[編集]

  • リン・マーギュリス、ドリオン・セーガン『生命とはなにか…バクテリアから惑星まで』 せりか書房、1998年4月。ISBN 9784796702133

連載[編集]

  • 池田信夫の一刀両断(PC Japan
  • 池田信夫の「サイバーリバタリアン」(ASCII.jp)

脚注[編集]

  1. ^ a b 池田信夫 (いけだのぶお)”. 覚悟の瞬間(とき):やりたいことを極めた大人がカッコイイ. 2012年12月27日閲覧。
  2. ^ 岩本有平 (2010年3月26日). “池田信夫氏や西和彦氏ら、新会社で電子書籍出版へ--著者を公募”. CNET Japan. 2012年2月6日閲覧。
  3. ^ 孫社長と池田信夫さんが「光の道」対談(ITMedia)
  4. ^ 「Part 5 反貧困の処方箋 中間層の無関心が社会を壊す Interview 経済評論家●池田信夫」『週刊ダイヤモンド』3月21日号、ダイヤモンド社、2009年。
  5. ^ 20日から「事業仕分け第2弾」生中継〜片山さつき氏ら参加の討論特別番組も」 RBB TODAY、2010年5月13日。
  6. ^ a b c 橋下氏がトップ、安倍氏が最下位 政治家「IQランク」、ネットでは「全くの逆」と大不評”. J-CASTニュース (2012年12月10日). 2013年1月31日閲覧。
  7. ^ 池田信夫. “ウィキペディアとの闘い”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  8. ^ 池田信夫. “2ちゃんねる化するウィキペディア”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  9. ^ 池田信夫 (2009年10月8日). “著作権法は現代の禁酒法”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  10. ^ 池田信夫 (2009年8月12日). “通信と放送の融合を恐れるテレビ局”. 池田信夫の「サイバーリバタリアン」. 2013年1月7日閲覧。
  11. ^ 池田信夫 (2009年2月10日). “雇用流動化で失業率は下がる”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  12. ^ 池田信夫 (2009年6月18日). “経営者と労働組合の雇用カルテル”. アゴラ. 2009年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年6月19日閲覧。
  13. ^ 池田信夫 (2008年6月30日). “ノンワーキング・リッチ”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  14. ^ 池田信夫 (2008年11月16日). “大麻で逮捕するならタバコを禁止せよ”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  15. ^ 池田信夫 (2006年8月16日). “第五世代コンピュータ”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  16. ^ 池田信夫 (2007年11月23日). “スパコンの戦艦大和「京速計算機」”. 池田信夫 blog. 2013年12月11日閲覧。
  17. ^ 温室効果ガス「25%削減」というポピュリズム
  18. ^ a b c 経済論戦勝ったのはどっちだ!森永卓郎vs.池田信夫 激突120分”. 週刊現代 (2011年2月24日). 2013年1月31日閲覧。
  19. ^ 2%のインフレ目標は可能か池田信夫blog 2012年12月21日
  20. ^ 経済の死角 激論vol.1「日本の財政破綻は本当に起きるのか」 エコノミスト、論客たちが徹底討論「2011年 どうなる日本経済」vol.1現代ビジネス 2011年1月20日
  21. ^ 浜岡原発の「バカの壁」アゴラ -ライブドアブログ 2012年9月11日
  22. ^ 池田信夫 (2011年6月5日). “原発についてのまとめ”. 池田信夫 blog. 2011年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月27日閲覧。
  23. ^ ブロゴス・アワード2011 大賞に「Chikirinの日記」”. J-CASTニュース (2011年12月6日). 2013年1月31日閲覧。
  24. ^ 徳永浩 (2011年12月6日). “ブログの発信力がマスコミを超えるには=BLOGOS AWARD”. サーチナ. 2013年1月31日閲覧。
  25. ^ 橋下大阪市長ウォッチ 60ツイートのヒートアップバトル 橋下氏「知識述べるだけ」、池田氏「論点すり替え」”. J-CASTニュース (2012年4月9日). 2013年1月31日閲覧。
  26. ^ 池田信夫 (2009年11月9日). “デフレFAQ”. 池田信夫 blog. 2012年6月5日閲覧。
  27. ^ http://www.youtube.com/watch?v=iUXcQhxKtL0
  28. ^ 「『なんちゃって保守』の笑劇」ーBLOGOS 2013年11月12日
  29. ^ 本人ブログ
  30. ^ JBPress 2013.11.21
  31. ^ 失業率は2008年10月以来の6.6%に低下東洋経済 2014年2月8日
  32. ^ 10月の米失業率は10.2%、1983年以来26年ぶりAFP 2009年11月7日
  33. ^ 大不況の経済学アゴラ 2009年03月28日
  34. ^ 「池田信夫@ikedanob私の父は事なかれ主義の総本山、京都市役所の職員だった。あれは特権じゃなくて差別の一種。」
  35. ^ 2012年6月6日 - 7:37のツイート
  36. ^ 西和彦、山田肇、田中良拓と一緒に、ITNY & パートナーズという株式会社を設立した。商号は4人のパートナーのイニシャルを並べたもの。ITNYの仕事は「ITについての戦略コンサルティング」。池田信夫 (2005年5月29日). “ITNY”. 池田信夫 blog. 2009年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月13日閲覧。
  37. ^ 目黒譲二 (2009年1月26日). “ライブドア、池田信夫氏を編集長とするオピニオンブログ「アゴラ」を開設”. CNET Japan. シーネットネットワークスジャパン. 2009年8月13日閲覧。
  38. ^ 会社案内”. 株式会社アゴラ研究所. 2013年1月3日閲覧。
  39. ^ 池田信夫 (2010年3月3日). “電子出版はすでに始まっている”. 池田信夫blog. 2011年4月25日閲覧。
  40. ^ アゴラブックス 電子書店をオープン”. 株式会社アゴラブックス. 2011年4月25日閲覧。
  41. ^ 池田信夫 (2008年11月23日). “警察ネタの過剰”. 池田信夫 blog. 2009年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年11月27日閲覧。
  42. ^ 池田信夫-上武大学大学院-教授-経営管理研究科の経歴・公式プロフィール・ソーシャルグラフ
  43. ^ 池田信夫 (2008年11月17日). “古舘伊知郎氏が「格差社会」を語る気味悪さ”. 池田信夫 blog. 2008年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年11月20日閲覧。
  44. ^ 入江大輔 (2010年12月3日). “メディアの未来像を考える〜進化するネットメディア 変化するマスメディア 〜”. BLOGOS. ライブドア. 2010年12月3日閲覧。
  45. ^ 『電波利権』 66頁
  46. ^ 『電波利権』 64-65頁。
  47. ^ 朝日新聞は歴史認識を語れ 池田信夫 blog、2007年06月27日
  48. ^ 遅れてきた帝国主義 池田信夫 blog、2012年8月7日
  49. ^ 池田信夫 (2009年1月29日). “終身雇用がメディアをだめにする”. アゴラ. ライブドア. 2009年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月29日閲覧。

関連項目[編集]

  • 西和彦 - アゴラ出版局代表取締役。
  • 浦崎宏 - ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS)社長で元NHK経済部次長。NHK時代池田と共にNHKスペシャル「追跡・不良債権12兆円」を制作した。
  • アゴラ(ライブドア)

外部リンク[編集]