B-CAS

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BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード

B-CAS(ビーキャス)とは株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ (BS Conditional Access Systems Co.,Ltd.) の略称、もしくは同機能を実現するために受信機に設置するカード(B-CASカード)のことを指す。また、この会社が提供する限定受信方式(ARIB限定受信方式[1])のことを指すこともある。

B-CAS方式は日本のBSデジタル放送の有料放送受信者を対象とする狭義の限定受信システム (CAS:Conditional Access System) としてスタートし、その後BSデジタル放送以外にも利用されデジタル放送におけるデジタル著作権管理 (DRM) の一部として正規の機器を認証する広義の限定受信方式として利用されている。CAS自体は有料放送において使われるものであるが、公益性の高い通常の無料放送でCASを全面的に採用しているのは報じられている限りにおいて日本のみであり、ガラパゴス化していると言える。

目次

[編集] 概要

B-CASカードによる限定受信システムはビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS社)によって開発された。2000年平成12年)12月1日、BSデジタル放送が開始された際に有料放送契約者を対象として運用開始された。その後、110度CSデジタル放送の有料放送にも採用された。

2004年平成16年)、BSデジタル放送の無料放送に著作権保護が目的とされるコピー制御が導入された際、コピー制御信号(CCI。コピーワンスが原則とされるが2008年平成20年)7月よりダビング10も併用)とともにCCIの実効性を担保する限定受信方式としてDRMの一部の形でBSデジタル放送・地上デジタル放送・110度CSデジタル放送に広く採用されることとなった。BSデジタル・110度CSデジタル放送に関しては日本周辺諸国へ衛星からのスピルオーバーによる視聴・録画等を防ぐ目的ももっている(ただし、B-CASカードを日本国外へ持ち込んだ場合は防げない。B-CASカード利用規約では、国外への持ち出しを禁止している)。

この限定受信の方式はB-CAS方式と呼ばれ、日本のデジタル放送における著作権保護に利用されている。

2007年平成19年)10月25日、既に発行されたB-CASカードを流用した上でコピー制御信号を無視することを前提としたパソコン向け地上・BSデジタルチューナーのフリーオが発売されB-CASを用いたDRMシステムは根底から覆された[2]。現在はB-CASに搭載されている暗号鍵をインターネット上で通知する手段も実用化され、フリーオにはB-CASを要さず[3]著作権保護を目的とした運用は機能していない。また2009年平成21年)11月からは、Plug-inSIM形状のminiB-CASカード(地上デジタル専用)の運用が始まった。加えて、2011年(平成23年)9月東芝から発売されたデスクトップパソコン「dynabook REGZA PC D731シリーズ」では赤色miniB-CASカード(地上・BS・110度CS兼用)が導入されている。

[編集] B-CAS方式

2000年平成12年)12月1日にBSデジタル放送、2002年平成14年)3月1日に110度CSデジタル放送、そして2003年平成15年)12月1日に地上デジタル放送がそれぞれ開始された。当初から現在に至るまで、B-CASは有料放送であるWOWOWスカパー!e2のCASとして利用されている。なお、有料放送はカードに対しての解除信号が送られているためカードを差し替えることで利用できる機器を切り替えることができる。

開始当初、限定受信は有料放送が対象でありコピー制御も有料放送を除いて行われていなかったが「BSデジタル放送を録画したビデオテープがインターネットオークションに出品される著作権侵害があった」とする放送事業者の主張により問題視され、2004年平成16年)4月5日からは有料放送・無料放送を問わず著作権保護が目的であるとするコピー制御が開始された。ラジオ放送の一部や110度CSデジタル放送では、主に広告を目的とした通販番組など無料番組の一部ではコピー制御・限定受信の一方または両方が行われない番組もある。この制御の実効性を担保する手段としてB-CASの限定受信が応用され、これらはDRMとして機能することとなった。

B-CAS方式によるデジタル放送は動画データにコピー制御信号 (CCI) を加えた上で暗号化MULTI2暗号・日立製作所開発)して送信される。視聴する際はB-CASカードに格納されている暗号鍵を用いて復号し、復号されたデータはCCIに忠実に取り扱われる。これにより、B-CAS方式の限定受信の行われている放送・番組では社団法人電波産業会 (ARIB) とB-CAS社に認証されB-CASカードが発行されたチューナー(コピー制御対応チューナー)にB-CASカードを挿入することが必須になり、それ以外の手段では視聴不可能となった。

B-CASカードを使用する受信機には特定条件に一致した場合に放送局からのお知らせを目的とした文言を画面に表示する「自動表示メッセージ」と呼ばれる機能がある。NHKの衛星放送においてはユーザー登録を行わないままBSデジタル放送を視聴し一定期間(1か月)が経過すると、この機能を利用した「ユーザー登録のお知らせ」が表示される。地上デジタル放送ではユーザー登録をしなくとも画面上に「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない[4]

B-CAS方式による放送ではデジタル技術を用いた録画機器と一部アナログ録画機器での番組の録画及び暗号化はされていないが、録画にさまざまな制限が掛かる。「B-CASとコピーワンス」、「DVDレコーダー#DVDレコーダーとコピー制御の関係」の項などを参照。

[編集] B-CASカード

B-CASカードはB-CAS社が発行する接触式ICカードでARIBとB-CAS社に認証されたデジタル放送受信機に同梱して配布され、受信機(チューナー、セットトップボックス、デジタル放送対応テレビDVDレコーダーなど)に挿入して使用する。B-CASカードのICチップ内部にはカード毎に固有のID番号と暗号鍵が格納されている。

B-CASカード単位で受信契約情報が記録されているため、NHKの衛星放送受信契約や有料放送の視聴契約等の情報が記録されているカードを差し替えることにより別のデジタル放送受信機でも同様の視聴や録画が可能となっている。このため、デジタル放送受信機を買い替えた際にも従来使用していたB-CASカードを挿すことにより新しい受信機でも買い替え前同様の視聴や録画が可能である。逆に言えば、新しく買い替えたからといって、従来のカードが使用できる状態であれば改めて契約をし直す必要はない。

B-CASカードは赤カード・青カード・CATV専用カード(オレンジ色)の3種類が一般的に知られている。家電量販店に行けば、店頭展示テレビに挿入されている店舗用B-CASカードも見受けられる。

赤カードはBS・CS110度・地上のデジタル放送3波共用カードである(裏面にBSデジタル専用と書かれていてもダウンロードサービスを受けることにより3波利用可能である)。

青カードは地上デジタル放送専用カードである(B-CAS社へのライセンス料の支払軽減が目的とされている)。BS及び110度CSは受信可能であるが、CSの有料番組の契約はできない。地上デジタル特別内蔵用カード(浴室等に持ち込むことができる防水加工されたテレビ等に内蔵)は屋外使用の仕様や防水仕様などの受信の場合、着脱が難しいため出荷段階から挿入済みとされる。また、12セグの視聴が可能なカーナビゲーションやUSB型受信機等にSIMカードタイプのminiB-CASカードが発行されている。

その他、白カード(店頭展示テレビ専用)、黄色カード(用途限定カード)、黒カード(業務用)など限られた用途のB-CASカードも存在するが一般視聴者が目にすることはあまりない。これらのカードはネットオークションに出品されることもあるが、同社は契約違反であるとして問題視している[5]

雑誌『週刊ポスト』の報道では、毎年の発行枚数と売り上げから計算するとB-CAS社にとっては1枚600円前後のビジネスと推測されている[6]

B-CAS社はデジタル放送推進協会 (Dpa) と契約を交わし、ARIB規格に準拠して著作権保護機能を遵守するメーカーの機器にカードを支給していると述べている[6]。前述のように、著作権保護については不完全であり、また、この仕組みにより非関税障壁が形成され、Dpa参加各社の利権となっている。

BSデジタル放送・CS110度デジタル放送・地上デジタル放送を視聴するためには否応無くB-CASカードが必要であり受信機は同カードの発行審査を受け合格するようコンテンツ保護機能を実装しなければならないことから審査費用、ライセンス費用、さらに複雑化する設計による製造コスト増による関連機器の低価格化の阻害や視聴者に同カードを配布する際のシュリンクラップ契約の妥当性についての批判する向きもある[誰によって?]

また上記B-CASカード発行審査は汎用バスに生のデジタルデータを流すことを禁じているが一般的な視聴スタイルとなりつつあるパソコンでのテレビ視聴や録画、それらの製品開発を阻害しているとの指摘もある。これが原因で完全デジタル化後、現状のアナログ放送のキャプチャ環境と同等な環境を確保すべく不正な製品(あくまでもARIB技術資料の要件に対して不正ということであり、技術仕様を強制することの正当性が否定されるなら正当な製品である)が多く出回る可能性も高いと考えられ実際にフリーオPT1PT2などの非正規のチューナーが市販されている。

[編集] B-CASカードの所有権とシュリンクラップ契約

シュリンクラップ契約にて締結される使用許諾契約約款ではB-CASカードの所有権は株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズに帰属するとされている。

[編集] 技術的問題

CELL REGZAには8チャンネル同時視聴を可能とするためB-CASカードが6枚挿入されている。

かねてよりB-CASカードそのものを悪用した(不正機器にB-CASカードを挿入した)不正コピーには対応できない可能性が指摘されていたが、フリーオのように「正規に発行されたB-CASカードの流用を前提としたチューナー」によってB-CAS方式のDRMは破られた。さらにはインターネット経由によるB-CAS鍵の共有[7]や別途用意するカードリーダーを前提とするデジタルチューナ[8]が発売されるに至っておりDRMとしてまったく機能していない状態である[9]

他の問題点として、1枚のB-CASカードが放送2チャンネル分しか制度上対応していないことが挙げられる(技術的には対応可能)。このため、録画機能を充実させるために3チャンネル以上受信対応させた機種の場合、複数枚のB-CASカードが必要になり受信装置のコストアップの一因になっている。地デジ全チャンネル録画(8チャンネル分)に対応したCELL REGZAではその他の録画や実際の視聴のために計6枚のB-CASカードを搭載している[10]。その他、カード単位で契約が管理されているため、受信機が複数ある場合放送2チャンネル分以下でも契約の共有ができない問題もある。ある有料チャンネルをカード1枚分のみ契約した場合、テレビとレコーダーが別々の場合は見るときはテレビに、録画するときはレコーダーにというように、カードの差し替えが必要となる。

[編集] 紛失、盗難問題

B-CASカードは容易に取り出すこと(抜き差し)が可能なため、公共施設や病院(診療所)、旅館など、不特定多数の人が出入りする場所にB-CASカードが入ったテレビからB-CASカードを盗まれる可能性が高い。その為そのような施設ではB-CASの挿入口をテープで張るなど抜かれないよう対策をしているところが多い。

[編集] B-CAS見直しに向けて

総務省の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」(以下、デジコン委員会)は2008年平成20年)9月26日、地上デジタル放送のB-CASを見直すことを決めた。

同委員会では見直し案として、

  • コンテンツ保護機能のチップ化
  • コンテンツ保護機能のソフトウエア化

といったものが中心に検討された[11]。最終的に、地上デジタル放送についてはソフトウェア制御によるCASの運用を行う団体として「一般社団法人地上放送RMP管理センター」が2011年平成23年)6月に設立され、2012年平成24年)7月より段階的に新方式を導入することとなった。なお従来型のB-CASも新方式と並行運用される。

ただこれらの見直しはあくまで地上デジタル放送に対するものにとどまっており、BSデジタル放送やCS放送も含めた形でのB-CASの見直しは2011年平成23年)現在も進んでいない。

[編集] ユーザー登録廃止への動き

2009年平成21年)11月9日に、ビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ (B-CAS) は地デジ専用B-CASカードのユーザー登録制度を2011年平成23年)3月末で廃止すると発表した[12][13]

2010年平成22年)7月5日に、ビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ (B-CAS) は、全てのB-CASカードのユーザー登録を廃止すると発表した。廃止後は、それまでに収集した個人情報は速やかに消去するとしている[14]。しかし、収集した個人情報が確実に消去され、かつ他の第三者(特に法的権限を持つ公的機関)に漏洩していないかどうかについて、実質的な監査を行う法制度は、発表時点で存在していない。

2011年平成23年)4月、同社はユーザー登録の廃止を発表した。民放系BSデジタル放送5社が視聴率測定の代わりに行っている『BSパワー調査』など、従来本個人情報を利用して行われていた調査等については、調査方法の変更等を余儀なくされている。

[編集] その他

デジコン委員会の第5次答申では「消費者や権利者の立場からB-CASについてさまざまな指摘が行なわれた」ことを理由にB-CAS見直しの方向を打ち出している[15]

元NHK職員で経済学者である池田信夫2008年平成20年)9月26日にB-CAS見直しが決定した際に「B-CASの廃止が事実上決まった」と述べた[16]が、実際に廃止が決まったわけではなく「見直し」が決まっただけである。また放送局・権利者団体の意向に沿っていたデジコン委員会においてB-CAS見直しの流れとなった原因としてはインターネット上での圧倒的なB-CAS反対意見があり、これを受けた公正取引委員会独占禁止法違反の容疑でB-CAS社などの事情聴取に乗り出したことが原因だったとも述べた。

[編集] ギャラリー

[編集] 脚注

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  1. ^ ARIB STD-B25 デジタル放送におけるアクセス制御方式 5.1版”. 社団法人電波産業会 (2009年3月18日). 2010年6月30日閲覧。
  2. ^ 中野淳; 高田学也 (2007年12月14日). “放送業界を揺るがすコピーフリーの地デジ受信機「フリーオ」を入手”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  3. ^ ついにあの「フリーオ」がB-CASカード不要に、とんでもない方法を採用”. GIGAZINE. OSA (2008年8月21日). 2009年7月6日閲覧。
    “「フリーオ」が初の店頭販売、地デジ/BS放送などに対応”. Akiba PC Hotline! (インプレス). (2009年5月23日). http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20090523/etc_friio.html 2009年7月6日閲覧。 
  4. ^ BSデジタル放送の受信確認メッセージって何?”. NHK /digital. 日本放送協会 (2008年4月7日). 2008年9月19日閲覧。
  5. ^ 長谷川博 (2007年9月10日). “B-CASカードのネット転売に権利者団体が警鐘,背後に「無反応機」の影”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  6. ^ a b 「地デジマフィアを肥えさせる新型テレビ「不要な内蔵カード (B-CAS)」」、『週刊ポスト』第40巻第44号、小学館、2008年10月、 pp. 150-151頁。
  7. ^ フリーオ、最新ソフトでB-CASカードが不要に! (ポケットニュース)” (2008年8月21日). 2009年7月6日閲覧。
  8. ^ 地デジ・BS/CS 4番組同時受信!「PT1」の設定を徹底解説”. 教えて君.net. にゅーあきば (2008年12月23日). 2009年7月6日閲覧。
  9. ^ インターネット経由のB-CAS鍵はどのように製造されているのかは明らかになっていない。
  10. ^ http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091005_319591.html
  11. ^ 金子寛人 (2008年12月24日). “B-CAS見直し、「技術的エンフォースメント」の4案を提示…情通審”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  12. ^ 地デジ専用B-CASカードのユーザー登録制度を廃止”. ITmediaNews (2009年11月9日). 2009年11月9日閲覧。
  13. ^ 地上デジタル専用B-CASカードのユーザー登録廃止の予定について” (2009年11月9日). 2009年11月11日閲覧。
  14. ^ http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1007/05/news070.html
  15. ^ 金子寛人 (2008年6月24日). “B-CAS見直しが本格始動、「2011年までに改善策決め運用開始」”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  16. ^ 池田信夫 (2008年10月7日). “「第5権力」としてのウェブ”. 池田信夫の「サイバーリバタリアン」. アスキー・メディアワークス. 2008年10月7日閲覧。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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