圏谷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
飛騨山脈涸沢カール天狗原カールなどが確認できる。
タトラ山脈の圏谷

圏谷(けんこく)、カールドイツ語: Kar)は、氷河の侵食作用によってできた広い椀状ののこと。

概要[編集]

山地の斜面をまるでスプーンでえぐったような地形であり、高山の山稜直下などに見られる。氷河が成長と共に山肌を削り、上からみると半円状ないし馬蹄形状の谷となる。成長期には形状を推し量ることはできないが、氷河の後退と共に地上に現れ谷となる。U字谷モレーンと並んで、見た目にわかりやすい氷河地形の一つである。

谷の両側と山頂側が急峻なカール壁に囲まれ、それらの急崖に囲まれた底には平坦な(ときには逆傾斜した)カール底が広がる。カール底には氷河によって運ばれた土砂が堆積したモレーン(堆石)が認められることが多く、またカール湖という湖ができている場合がある。

日本で最初に発見され学術的に記載された圏谷は、帝国大学教授の山崎直方により発見された立山連峰山崎カールであるとされている。以後、多くの圏谷を含む氷河地形が国内で発見・調査され、それらは日本の後期更新世から完新世における古環境研究に大きな寄与をもたらしている。

日本の圏谷[編集]

日本国内では、本州中部の日本アルプスおよび北海道日高山脈において明瞭な圏谷地形が現存しており、カール底にあるモレーンや堆積物を対象にして氷河が発達・衰退した年代の推定が行われている。立山連峰に現存する氷河の規模はいずれも1km内外であり、また氷河が現在よりも発達した最終氷期においても、規模は大きいものでもせいぜい10kmで、数百m程度の小規模なものも多く、それほど大規模の氷河はなかったとされる。

日高山脈
飛騨山脈
木曽山脈
赤石山脈

関連項目[編集]