スパルタカス (映画)
| スパルタカス | |
|---|---|
| Spartacus | |
| 監督 | スタンリー・キューブリック |
| 脚本 | ダルトン・トランボ |
| 原作 | ハワード・ファスト |
| 製作 | エドワード・ルイス |
| 製作総指揮 | カーク・ダグラス |
| 出演者 | カーク・ダグラス ローレンス・オリヴィエ |
| 音楽 | アレックス・ノース |
| 撮影 | ラッセル・メティ |
| 編集 | ロバート・ローレンス |
| 配給 | ユニバーサル・ピクチャーズ |
| 公開 | |
| 上映時間 | 184分 193分(復元版) |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $12,000,000[1] |
| 興行収入 | |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| AllRovi | |
| IMDb | |
『スパルタカス』(Spartacus)は1960年のアメリカ映画。ハワード・ファストが執筆したスパルタクスの反乱をテーマにした小説を、スタンリー・キューブリックが映画化した。
目次 |
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
物語はリビアの奴隷が働く鉱山で始まる。たくましいトラキア人奴隷のスパルタカス(カーク・ダグラス)は倒れた奴隷を助けようとして衛兵に反抗し、飢え死にの刑に処せられたが、鉱山に剣闘士の卵を探しにきた剣闘士養成所主のバタイアタス(ピーター・ユスティノフ)に見出され、カプアにある彼の養成所に連れて行かれることとなった。
養成所にてスパルタカスはバタイアタスと剣闘士上がりの教官であるマーセラスに目を付けられて幾度か屈辱を味わうが、そこで働く女奴隷のヴァリニア(ジーン・シモンズ)とはお互いに好意を持つ仲となった。そんなある日、ローマの閥族派(オプティマテス)の大物であるクラッサス(ローレンス・オリヴィエ)が養成所を訪れ、剣闘士同士の真剣試合を所望した。バタイアタスは真剣試合が剣闘士達に及ぼす悪影響を考えて断ったが、クラッサスは大金を積んで強要した。スパルタカスはトリアイナ使いの黒人剣闘士ドラバ(ウディ・ストロード)と闘うことになり、激しい闘いの末スパルタカスは剣を失い、ドラバにとどめを刺されるだけとなった。しかしドラバはクラッサスらの命に従わず、とどめを刺すどころか、その槍でクラッサスらに襲い掛かったが、衛兵によって阻まれ殺された。ドラバの死体は養成所内に見せしめとして逆さづりにされた。その後、クラッサスは接待に出たヴァリニアをみそめて、バタイアタスから購入する約束をして引き上げた。
翌日、売られていくヴァリニアの姿を目撃したスパルタカスは、怒りにまかせてマーセラスに襲い掛かり、他の剣闘士と協力してマーセラスと衛兵を殺害した。その勢いのまま剣闘士達は養成所を制圧。やがてヴェスヴィオ山中に立てこもって、他の奴隷達を仲間に加えてその数は急速に膨れ上がった。その中にローマに向かう途中で逃げ出したヴァリニアもおり、スパルタカスと結ばれることになった。
ローマでは、奴隷の反乱に対して、元老院の中でクラッサスら閥族派と対立する民衆派の大物グラッカス(チャールズ・ロートン)はクラッサスの親友グラブラスをたきつけてその指揮するローマ市兵団によって反乱鎮圧に向かわせ、同じ民衆派の仲間のジュリアス・シーザー(ジョン・ギャヴィン)をローマの留守兵団の司令官に任ずることに成功した。同じころクラッサスはシチリア人の青年奴隷で詩吟を専門とするアントナイナス(トニー・カーティス)を購入し、側に置こうとしたが、アントナイナスはスパルタカスのもとに逃亡した。グラブラスは、相手が奴隷であると油断しており、スパルタカスは彼の兵団を奇襲攻撃で打ち破った。
スパルタカスの指揮の下、反乱軍は東方のキリキア海賊の船によってイタリアから脱出するため、南イタリアのブリンディジ目指して南下した。これを阻止すべく正規軍であるローマ軍団が投入されたが、いまや数万に膨れ上がったスパルタカスの反乱軍は次から次へとそれらを打ち破った。敵対するクラッサスが奴隷討伐軍の総司令官に任命されて権力を握ることを恐れるグラッカスは、海賊と共謀してスパルタカスを安全に脱出させようとしたが果たせず、ついにクラッサスは元老院によって筆頭執政官兼全軍総司令官に指名され、8個軍団を率いてスパルタカスの討伐に向かうこととなった。
スパルタカスの軍勢はブリンディジの手前まで到着していたが、キリキア海賊はクラッサスによって買収されて撤収してしまった。更にスペインからポンペイウス、小アジアからはルクルスの軍団がクラッサスの増援として到着していた。絶望的な状況の中スパルタカスはローマに進撃してクラッサスの主力を打ち破ることによって、この戦争を一気に終結させることを決意する。劇中では、イタリア脱出まであと一歩と言うところで再びローマに進軍しなければならないことを全員に告げるスパルタカスと、ローマ出撃に際して反乱軍を撃滅し、スパルタカスを捕らえることを宣誓するクラッサスが、対照的に描写される。クラッサスはバタイアタスを陣中に留め置き、スパルタカスを生死を問わず見つけ出すように命じた。
反乱軍の前に整然と姿を現すローマの大軍団が印象的な、この映画のクライマックスとなる決戦は、ポンペイウスとルクルスの増援もあって反乱軍の完全な敗北に終わり、スパルタカスを含めわずか数千人が生き残っただけだった。クラッサスはスパルタカスを差し出せば他の奴隷の命は助けると約束したが、奴隷たちは異口同音に自分こそがスパルタカスであると名乗り出る。その結果、全員がアッピア街道沿いに磔にされることになった。その途中、クラッサスはかつてのバタイアタスの養成所でまみえたスパルタカスの顔を思い出し、アントナイナスと共に、2人を磔の列の最後に留めることにした。
クラッサスは生まれたばかりのスパルタカスの息子と共にヴァリニアを見つけ、自分の手元に置いたが、その心をつかむことはできなかった。クラッサスを憎むグラッカスに依頼されたバタイアタスはヴァリニアをひそかに連れ出したが、グラッカスはクラッサスの命を受けたシーザーに逮捕され、ローマ追放を宣告された。一方クラッサスはローマの城外でアントナイナスとスパルタカスの2人に真剣試合をさせ、勝者は磔にすると命じた。お互いを磔にしたくない2人は必死に戦い、やがてスパルタカスは勝利し、磔にされた。政争に敗れたグラッカスは自害を決意したが、その直前ヴァリニアとその子供を自由人にする書類を作成し、バタイアタスに託した。
バタイアタスはヴァリニアを連れてローマ城外に脱出したが、城門の外に磔にされたスパルタカスを見つけたヴァリニアは息子を抱いて馬車を降りてスパルタカスのもとに駆け寄り、息子は自由になったと伝えた。スパルタカスは静かにうなずき、やがて息を引き取った。ヴァリニアはバタイアタスにせかされて馬車に戻り、去っていった。
[編集] キャスト
| 役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
|---|---|---|---|---|
| DVD・BD | TV | |||
| スパルタカス | カーク・ダグラス | てらそままさき | 宮部昭夫 | |
| クラッサス | ローレンス・オリヴィエ | 磯部勉 | 新田昌玄 | |
| ヴァリニア | ジーン・シモンズ | 安藤麻吹 | 馬渕晴子 | |
| グラッカス | チャールズ・ロートン | 滝口順平 | 富田耕生 | |
| アントナイナス | トニー・カーティス | 森川智之 | 広川太一郎 | |
| バタイアタス | ピーター・ユスティノフ | 福田信昭 | 田中明夫 | |
| シーザー | ジョン・ギャヴィン | 小山力也 | 納谷六朗 | |
| ヘレナ | ニナ・フォック | 小宮和枝 | ||
| クリクサス | ジョン・アイアランド | 矢田耕司 | ||
| ティグラネス | ハーバート・ロム | 内田直哉 | 北村弘一 | |
| グラブラス | ジョン・ドール | 牛山茂 | 小林修 | |
| マーセラス | チャールズ・マッグロー | 斎藤志郎 | 富田耕生 | |
| ドラバ | ウディ・ストロード | |||
[編集] 受賞歴
- 1960年アカデミー賞
- 助演男優賞:ピーター・ユスティノフ
- 美術監督・装置賞(カラー):アレグザンダー・ゴリッツェン / エリック・オーボム / ラッセル・A・ゴーズマン / ジュリア・ヘロン
- 撮影賞(カラー):ラッセル・メティ
- 衣裳デザイン賞(カラー):ヴァレズ / ビル・トーマス
[編集] 備考
- キューブリックはあくまで監督として「雇われた」だけだと言い張り、死ぬまでこの映画を自分の作品とは認めなかった。これは製作者カーク・ダグラスが大物俳優であった事により、キューブリックの思惑どおりになかなか事が進まなかったことが理由とされている。これに懲りて、以降の作品では製作も自身が行うようになった。詳しくは、スタンリー・キューブリック#「あの映画には失望した」の項目を参照。
- キューブリックは本作の大成功をきっかけに有名監督になるが、その後のインタビューで「私の意見はカーク・ダグラス(=製作責任者)にとって多くの意見の一つに過ぎなかった」と述べるなどして、最終決定権が監督ではなくスタジオやプロデューサーが握るハリウッド・メジャーの製作システムにあるとして、これを度々批判している[2]。しかしその後、キューブリックはインタビュー等で一転自らの功績を誇示し、関係者の反感を買った。特に、『突撃』・『スパルタカス』の製作者としてキューブリックに活躍の場を与えたダグラスは、手腕を買っていたのに完成後、自分を貶める発言を繰り返すキューブリックに我慢ならず、自伝の中で「キューブリックは才能のあるクソッタレだ(a talented shit)」と、その監督手腕は認めつつも、人柄には疑問を投げ掛けている。
- 本作は元々アンソニー・マン監督でクランクインしていたが、ダグラスとの衝突により降板したため、当時まだ無名だったキューブリックが呼び寄せられた。マン演出によるシークエンスは現行本編冒頭に残っている。
- 初公開時に削除された一部シークエンス(ローレンス・オリヴィエが入浴する場面で奴隷のトニー・カーティスとの同性愛的な場面)が1991年に修復された。音声素材が消失しており、また、オリヴィエは1989年に死去していたので、彼にゆかりのあるアンソニー・ホプキンスが台詞を吹替えた[3]。カーティスは、ドキュメンタリー映画 『セルロイド・クローゼット』 の中で、このシーンがホモセクシュアルを匂わせる為に削除されたことを明らかにしている。
- かつて赤狩りで追放歴のあるダルトン・トランボ(ハリウッド・テンの一人)が13年ぶりに実名で脚本を担当した事から、公開当時は右派や軍人を中心に非難や上映反対運動が起こった。これに対し、ジョン・F・ケネディ大統領が事前通知なしで劇場を訪れて同作品を観賞し、好意的な感想を述べた事で、大ヒットにつながった[4]。
- 2010年8月、映画の公開50周年と、音楽の作曲者アレックス・ノースの生誕100周年を記念して、サントラCDの完全版が発売された[5][6]。
[編集] 出典
- ^ a b “Spartacus (1960) - Box office / business” (英語). IMDb. 2012年2月15日閲覧。
- ^ ミシェル・シマン著『キューブリック』より ISBN 978-4893671448
- ^ ホプキンスはオールドヴィック劇場で演出をしていたオリヴィエのオーディションを受けたり、「死の舞踏」でオリヴィエの代役を務めている。
- ^ ヴィンセント・ロブロット著、浜野保樹・櫻井英里子訳『映画監督スタンリー・キューブリック』(晶文社・2004年)ISBN 978-4-7949-6631-5、p156-157。
- ^ http://www.varesesarabande.com/servlet/the-14/Spartacus/Detail
- ^ http://diskunion.net/movie/ct/detail/VCL06101109
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