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セイバーメトリクスとは、野球ライターで野球史研究家・野球統計の専門家でもある[[ビル・ジェームズ]](George William “Bill” James, 1949年 - )によって1970年代に提唱されたもので、[[アメリカ野球学会]]の略称'''SABR''' (Society for American Baseball Research) と測定基準 (metrics) を組み合わせた造語である。ジム・アルバート、ジェイ・ベネットが著した『メジャーリーグの数理科学(原題Curve |
セイバーメトリクスとは、野球ライターで野球史研究家・野球統計の専門家でもある[[ビル・ジェームズ]](George William “Bill” James, 1949年 - )によって1970年代に提唱されたもので、[[アメリカ野球学会]]の略称'''SABR''' (Society for American Baseball Research) と測定基準 (metrics) を組み合わせた造語である。ジム・アルバート、ジェイ・ベネットが著した『メジャーリーグの数理科学(原題''Curve Ball''<ref>{{cite book|language=en|last1=Albert|first1=J.|last2= Bennett|first2= J.|year= 2001|title= Curve Ball: Baseball, Statistics, and the Role of Chance in the Game|publisher= [[:en:Springer-Verlag|Springer-Verlag]]{{en icon}} New York, LLC. |location=New York}}{{ISBN2|0387988165}}。復刻改版(Springer-Verlag New York, LLC.、2003年){{ISBN2|038700193X}}。</ref> )』はセイバーメトリクスについてわかりやすく解説している。 |
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野球には、様々な価値基準・指標が存在するが、セイバーメトリクスではこれらの重要性を数値から客観的に分析した。それによって野球における采配に統計学的根拠を与えようとした。しかし、それは野球を知っているものならば常識であるはずのバント・盗塁の効力を否定するなど、しばしば野球の従来の伝統的価値観を覆すものであると同時に、ジェームズ自身が本格的に野球をプレーした経験がなく、無名のライターに過ぎなかったこともあって当初は批判的に扱われた。この理論が一般的に知られるようになった現在でも「野球はデータではなく人間がプレーするもの」という信念を持つ人々からは歓迎されていない風潮がある。 |
野球には、様々な価値基準・指標が存在するが、セイバーメトリクスではこれらの重要性を数値から客観的に分析した。それによって野球における采配に統計学的根拠を与えようとした。しかし、それは野球を知っているものならば常識であるはずのバント・盗塁の効力を否定するなど、しばしば野球の従来の伝統的価値観を覆すものであると同時に、ジェームズ自身が本格的に野球をプレーした経験がなく、無名のライターに過ぎなかったこともあって当初は批判的に扱われた。{{独自研究範囲|この理論が一般的に知られるようになった現在でも「野球はデータではなく人間がプレーするもの」という信念を持つ人々からは歓迎されていない風潮がある|date=2024年4月}}。 |
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セイバーメトリクスの観点においては「アウトを取られなければ試合が終わらない」という考えから出塁率が重視され、最初は懐疑的に見ていた提唱者のジェームズも、後に[[DIPS (野球)|DIPS]]を重視するに至っている<ref>{{harvnb|桑原|2015}}</ref>{{要ページ番号|date=2024年3月}}。 |
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2000年代、[[オークランド・アスレチックス]]のゼネラルマネージャー[[ビリー・ビーン]]は球団の資金力がないなかでセイバーメトリクスを重視したチーム編成を敢行し成功を収めた。また、その改革を描いたノンフィクション |
2000年代、[[オークランド・アスレチックス]]のゼネラルマネージャー[[ビリー・ビーン]]は球団の資金力がないなかでセイバーメトリクスを重視したチーム編成を敢行し成功を収めた。また、その改革を描いたノンフィクション[[#大衆文化への波及|小説及びその映画化作品]]はいずれもヒットし、この概念の普及に一役を買った。 |
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メジャーリーグは、公式記録にセイバーメトリクスに基づく指標を複数使用している。その他、アメリカの主要なスポーツメディアが、セイバーメトリクスの各種の指標を選手成績として公表している。 |
メジャーリーグは、公式記録にセイバーメトリクスに基づく指標を複数使用している。その他、アメリカの主要なスポーツメディアが、セイバーメトリクスの各種の指標を選手成績として公表している。 |
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ジェームズは『Bill James Online』にて意見を発信しており、2017年9月には「Final Report on the 50 True Superstars Project」と題したMLBの歴代トップ50プレーヤーを発表している。日本人選手では[[イチロー]]が17位に入った<ref>{{Cite web |url=https://www.billjamesonline.com/final_report_on_the_50_true_superstars_project/ |title=Final Report on the 50 True Superstars Project |website=Bill James Online|author=Bill James |date=2017-09-26 |accessdate=2017-09-28}}</ref>。 |
ジェームズは『Bill James Online』にて意見を発信しており、2017年9月には「Final Report on the 50 True Superstars Project」(仮題:本物のスーパースター50選企画の総括報告)と題したMLBの歴代トップ50プレーヤーを発表している。日本人選手では[[イチロー]]が17位に入った<ref>{{Cite web |url=https://www.billjamesonline.com/final_report_on_the_50_true_superstars_project/ |title=Final Report on the 50 True Superstars Project |website=Bill James Online|author=Bill James |date=2017-09-26 |accessdate=2017-09-28}}</ref>。 |
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== 日本におけるセイバーメトリクス == |
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日本球界では[[千葉ロッテマリーンズ|千葉ロッテ]]や[[北海道日本ハムファイターズ|日本ハム]]のように指標として導入した球団があるものの<ref>{{Cite web|和書|url=http://wakusei2nd.com/archives/series/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%83%BB%E9%B3%A5%E8%B6%8A%E8%A6%8F%E5%A4%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%EF%BC%88%E5%89%8D%E7%B7%A8%EF%BC%89%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%90 |title=統計学者・鳥越規央インタビュー(前編)セイバーメトリクス以降の優雅?で感傷的?な日本野球 |website=wakusei2nd.com|publisher= PLANETS |date=2019-05-17 |accessdate=2020-12-17}}</ref>、{{独自研究範囲|全体としては定着しているとは言いがたく、特にスポーツ新聞やテレビなど、マスメディアでの使用例はほとんどない|date=2024年4月}}。 |
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セイバーメトリクスの専門家が「セイバー的には送りバントは勝ちにつながる作戦とはいえない」と指摘した際、「そうなんですか!」と驚いた解説者もいたといい<ref name="toyo-hiroo-20200820">{{Cite web|和書|url=https://toyokeizai.net/articles/-/369801 |title=送りバントを妄信する日本球界が気づかぬ現実 |website=[[東洋経済]]ONLINE |date=2020-08-20 |accessdate=2020-08-20}}</ref>、このような現状を「日本の野球界は精神論を重視し、セイバーメトリクスのもたらした野球の価値観の変化を受け入れられておらず、[[ガラパゴス化]]が進んでいる」と批判的に見る向きもある<ref name="toyo-hiroo-20200820"/>。 |
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== 大衆文化への波及 == |
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セイバーメトリクスがより広く知られる契機に小説その他のメディアがある。 |
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* 小説 『[[マネー・ボール]]』 |
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*J.アルバート、J.ベネット 『メジャーリーグの数理科学(下)』 後藤寿彦監修、加藤貴昭訳、[http://www.springer.jp/ シュプリンガーフェアラーク東京(現・シュプリンガー・ジャパン株式会社)]〈シュプリンガー数学リーディングス〉、2004年、ISBN 4-431-71017-5 |
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*同書を映画化した「[[マネーボール (映画)|マネーボール]]」 |
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== 参考文献 == |
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* {{cite book|和書 |author=桑原晃弥 |title=[[ビリー・ビーン]]弱者が強者に勝つ思考法: メジャーリーグの名物[[ジェネラルマネージャー|GM]]|publisher=|PHP研究所 |series=PHPビジネス新書 |ref={{harvid|桑原|2015}} |year=2015}} |
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発行年準備。 |
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**上巻、{{ISBN2|4-431-71016-7}} |
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**下巻、{{ISBN2|4-431-71017-5}} |
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2024年4月1日 (月) 05:08時点における版
セイバーメトリクス(英語: SABRmetrics, 一般にSabermetrics)とは、野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法である。
概要
セイバーメトリクスとは、野球ライターで野球史研究家・野球統計の専門家でもあるビル・ジェームズ(George William “Bill” James, 1949年 - )によって1970年代に提唱されたもので、アメリカ野球学会の略称SABR (Society for American Baseball Research) と測定基準 (metrics) を組み合わせた造語である。ジム・アルバート、ジェイ・ベネットが著した『メジャーリーグの数理科学(原題Curve Ball[1] )』はセイバーメトリクスについてわかりやすく解説している。
野球には、様々な価値基準・指標が存在するが、セイバーメトリクスではこれらの重要性を数値から客観的に分析した。それによって野球における采配に統計学的根拠を与えようとした。しかし、それは野球を知っているものならば常識であるはずのバント・盗塁の効力を否定するなど、しばしば野球の従来の伝統的価値観を覆すものであると同時に、ジェームズ自身が本格的に野球をプレーした経験がなく、無名のライターに過ぎなかったこともあって当初は批判的に扱われた。この理論が一般的に知られるようになった現在でも「野球はデータではなく人間がプレーするもの」という信念を持つ人々からは歓迎されていない風潮がある[独自研究?]。
セイバーメトリクスの観点においては「アウトを取られなければ試合が終わらない」という考えから出塁率が重視され、最初は懐疑的に見ていた提唱者のジェームズも、後にDIPSを重視するに至っている[2][要ページ番号]。
2000年代、オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャービリー・ビーンは球団の資金力がないなかでセイバーメトリクスを重視したチーム編成を敢行し成功を収めた。また、その改革を描いたノンフィクション小説及びその映画化作品はいずれもヒットし、この概念の普及に一役を買った。
メジャーリーグは、公式記録にセイバーメトリクスに基づく指標を複数使用している。その他、アメリカの主要なスポーツメディアが、セイバーメトリクスの各種の指標を選手成績として公表している。
ジェームズは『Bill James Online』にて意見を発信しており、2017年9月には「Final Report on the 50 True Superstars Project」(仮題:本物のスーパースター50選企画の総括報告)と題したMLBの歴代トップ50プレーヤーを発表している。日本人選手ではイチローが17位に入った[3]。
発展形
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野球と定量分析手法
応用
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機械学習のモデル
日本におけるセイバーメトリクス
日本球界では千葉ロッテや日本ハムのように指標として導入した球団があるものの[4]、全体としては定着しているとは言いがたく、特にスポーツ新聞やテレビなど、マスメディアでの使用例はほとんどない[独自研究?]。
セイバーメトリクスの専門家が「セイバー的には送りバントは勝ちにつながる作戦とはいえない」と指摘した際、「そうなんですか!」と驚いた解説者もいたといい[5]、このような現状を「日本の野球界は精神論を重視し、セイバーメトリクスのもたらした野球の価値観の変化を受け入れられておらず、ガラパゴス化が進んでいる」と批判的に見る向きもある[5]。
大衆文化への波及
この節は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。 翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
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セイバーメトリクスがより広く知られる契機に小説その他のメディアがある。
参考文献
関連書籍
発行年準備。
- Bill James (2001). The New Bill James Baseball Abstract. copyright 2001. paperback edition 2003, Free Press. ISBN 0743227220
- J・アルバート、J・ベネット『メジャーリーグの数理科学』 後藤寿彦 監修、加藤貴昭 訳([http://www.springer.jp/ シュプリンガーフェアラーク東京=現・シュプリンガー・ジャパン株式会社〈シュプリンガー数学リーディングス〉、2004年)
- 上巻、ISBN 4-431-71016-7
- 下巻、ISBN 4-431-71017-5
- 上記の原書
- Albert, J.; Bennett, J. (2001). Curve Ball: Baseball, Statistics, and the Role of Chance in the Game. Springer-Verlag(英語) New York, LLC. ISBN 0387988165
- Albert, J. Bennett, J. (2003). Curve Ball: Baseball, Statistics, and the Role of Chance in the Game. Represent. 2003 Edition.(復刻改版)Springer-Verlag New York, LLC. ISBN 038700193X
- マイケル・ルーイス『マネー・ボール—奇跡のチームをつくった男』中山宥 訳、二宮清純 解説(ランダムハウス講談社、2004年)ISBN 4-270-00012-0
- Baseball Prospectus Team of Experts; Keri, J.; Click, J. (2006). Baseball Between the Numbers: Why Everything You Know About the Game Is Wrong. The Perseus Books Group. ISBN 0465005969
- データスタジアム 編『野球の見方が180度変わるセイバーメトリクス』(宝島社、2008年)ISBN 4796662685
脚注
- ^ Albert, J.; Bennett, J. (2001) (英語). Curve Ball: Baseball, Statistics, and the Role of Chance in the Game. New York: Springer-Verlag(英語) New York, LLC.ISBN 0387988165。復刻改版(Springer-Verlag New York, LLC.、2003年)ISBN 038700193X。
- ^ 桑原 2015
- ^ Bill James (2017年9月26日). “Final Report on the 50 True Superstars Project”. Bill James Online. 2017年9月28日閲覧。
- ^ “統計学者・鳥越規央インタビュー(前編)セイバーメトリクス以降の優雅?で感傷的?な日本野球”. wakusei2nd.com. PLANETS (2019年5月17日). 2020年12月17日閲覧。
- ^ a b “送りバントを妄信する日本球界が気づかぬ現実”. 東洋経済ONLINE (2020年8月20日). 2020年8月20日閲覧。
関連項目
外部リンク
- アメリカ野球学会 (SABR)(英語)
- Abstracts from the Abstracts, Baseball Analists.com(英語) - 上記の中の "Abstracts from the Abstracts" に、ビル・ジェームズが発刊したBaseball Abstract(1977-1988)12冊の要約がある。
- MLB Official Info(英語) - メジャーリーグの公式記録項目の解説。セイバーメトリクスに基づく指標が公式記録に複数使用されている。
- SMR ベースボール・ラボ
- データスタジアム
- DELTA OFFICIAL WEB SITE
- 1.02 - DELTA社が運営している。2014年シーズン以後における、NPBにおける各種セイバーメトリクスの記録が収録されている。
- 全国軟式草野球リーグG-LEAGUE - チーム成績にセイバーメトリクスを正式採用している草野球リーグ