「名鉄3300系電車 (3代)」の版間の差分

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[[つり革]]は三角形のもので、これまでの名鉄通勤車と異なりすべてパイプを通して吊されている<ref>従来の車両(6000系(1次車の車端を除く)から300系(ロングシート部を除く)まで)は冷房ダクトまたは天井に金具を付けて直接吊していた。</ref>。本系列までは従来の転換クロスシート装備車両と同様、クロスシート部分にはつり革が無い。なお、客室天井高さは2,270mmでJR東日本E231系などと同等である。また300系以降の標準設計としては、扉上部のLED案内表示装置の取付けに合わせて、幕板部の車内側(荷棚から上)が全体に内傾している点が挙げられる。連結面の貫通扉の窓は縦長で大型のものである。
[[つり革]]は三角形のもので、これまでの名鉄通勤車と異なりすべてパイプを通して吊されている<ref>従来の車両(6000系(1次車の車端を除く)から300系(ロングシート部を除く)まで)は冷房ダクトまたは天井に金具を付けて直接吊していた。</ref>。本系列までは従来の転換クロスシート装備車両と同様、クロスシート部分にはつり革が無い。なお、客室天井高さは2,270mmでJR東日本E231系などと同等である。また300系以降の標準設計としては、扉上部のLED案内表示装置の取付けに合わせて、幕板部の車内側(荷棚から上)が全体に内傾している点が挙げられる。連結面の貫通扉の窓は縦長で大型のものである。


[[バリアフリー]]対応として[[ドアチャイム]]を装備するほか、[[弱視]]者への注意喚起のため、客用扉部分の床は黄色のカラーステップとされている。両先頭車の運転席直後には[[車椅子スペース]]が設けられ、車椅子スペースとして使用されない場合の座席定員を増やすため、この部分には跳ね上げ式の折り畳み式補助椅子が設置された<ref>これまでの車両は単なる立席スペースであった。</ref>。この補助椅子の座面の裏側には車椅子固定用のベルトが装着され、窓上部には[[網棚|荷物棚]]も設置されている。各車両とも1両あたりで4名分の[[優先席]]が設けられている。また、床敷物はノンスリップタイプのものが採用されている。客室内のカラーリングは300系と同様にライトグレー系とされ、化粧板は微粒柄入り、座席モケットは柄入りで、色は一般席が青系、優先席が赤系である。側扉、妻面貫通扉、座席部分のポールはローズピンクであるが、今後全ての車両で、優先席付近を除いて、完全無塗装になる予定である。
[[バリアフリー]]対応として[[ドアチャイム]]を装備するほか、[[弱視]]者への注意喚起のため、客用扉部分の床は黄色のカラーステップとされている。両先頭車の運転席直後には[[車椅子スペース]]が設けられ、車椅子スペースとして使用されない場合の座席定員を増やすため、この部分には跳ね上げ式の折り畳み式補助椅子が設置された<ref>これまでの車両は単なる立席スペースであった。</ref>。この補助椅子の座面の裏側には車椅子固定用のベルトが装着され、窓上部には[[網棚|荷物棚]]も設置されている。各車両とも1両あたりで4名分の[[優先席]]が設けられている。また、床敷物はノンスリップタイプのものが採用されている。客室内のカラーリングは300系と同様にライトグレー系とされ、化粧板は微粒柄入り、座席モケットは柄入りで、色は一般席が青系、優先席が赤系である。側扉、妻面貫通扉、座席部分のポールはローズピンクである。


各車両とも2段表示が可能な3色LED式の[[車内案内表示装置]]が千鳥配置で1両あたりで3台設置され、通常は上段に種別・行き先と次の停車駅の切り替え表示が、下段は最大で8つ先までの停車駅または文字ニュースが表示される。また、妻面の鴨居部にはLED式による号車表示器が設置されている。
各車両とも2段表示が可能な3色LED式の[[車内案内表示装置]]が千鳥配置で1両あたりで3台設置され、通常は上段に種別・行き先と次の停車駅の切り替え表示が、下段は最大で8つ先までの停車駅または文字ニュースが表示される。また、妻面の鴨居部にはLED式による号車表示器が設置されている。
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1次車の落成後、3150系の増備は2年半の間なかったが、2007年度に2次車として5本が増備された。同年[[3月]]に落成し、試運転の後、同年[[4月]]より営業運転を開始した。これに伴い7000系の4両編成3本と6両編成1本が廃車された。
1次車の落成後、3150系の増備は2年半の間なかったが、2007年度に2次車として5本が増備された。同年[[3月]]に落成し、試運転の後、同年[[4月]]より営業運転を開始した。これに伴い7000系の4両編成3本と6両編成1本が廃車された。


この増備車では、車内座席のオールロングシート化、座席周囲の手すりの色のピンクからライトブルーパープルへの変更され、塗色範囲も縮小された。手すりについて今後全ての車両で、優先席付近を除いて、完全無塗装になる予定である。扉横の手すりの無塗装化、オーロラビジョンR-STAYの照明が白色LEDに変更された。また、新製時より自動給電装置と[[緊急停止装置|EB装置]]を搭載し、3300系2次車と同様に天井周りにも変化が見られる。座席がオールロングシート化された理由は、ラッシュ時に3300系・3150系が使用された際にいわゆる「積み残し」が多発したためとされている<ref>どこでも通勤通学客、特に短距離乗車の客は扉付近に立ち止まる傾向があるが、[[中京圏|名古屋圏]]、ことに名鉄では2扉車時代の習慣が根強いからか、車内の奥の方へ詰めるというラッシュ時の乗車マナーがよく浸透しておらず特にその傾向が強い(名鉄が緊急のラッシュ対策として扉付近の立ち席スペースを広く取った時期があるのもそのためである)。本系列のセミクロス車の場合は立ち客がクロスシート部分の通路まで入っていかず、そのため車両の実質収容力が低下したために「積み残し」が起きた。</ref>。オールロングシートへの変更により全体定員は各車117名から125名に、座席定員は44名から46名へと増えた。
この増備車では、車内座席のオールロングシート化、座席周囲の手すりの色のピンクからライトブルーパープルへの変更塗色範囲も縮小、扉横の手すりの無塗装化、オーロラビジョンR-STAYの照明が白色LEDに変更された。また、新製時より自動給電装置と[[緊急停止装置|EB装置]]を搭載し、3300系2次車と同様に天井周りにも変化が見られる。座席がオールロングシート化された理由は、ラッシュ時に3300系・3150系が使用された際にいわゆる「積み残し」が多発したためとされている<ref>どこでも通勤通学客、特に短距離乗車の客は扉付近に立ち止まる傾向があるが、[[中京圏|名古屋圏]]、ことに名鉄では2扉車時代の習慣が根強いからか、車内の奥の方へ詰めるというラッシュ時の乗車マナーがよく浸透しておらず特にその傾向が強い(名鉄が緊急のラッシュ対策として扉付近の立ち席スペースを広く取った時期があるのもそのためである)。本系列のセミクロス車の場合は立ち客がクロスシート部分の通路まで入っていかず、そのため車両の実質収容力が低下したために「積み残し」が起きた。</ref>。オールロングシートへの変更により全体定員は各車117名から125名に、座席定員は44名から46名へと増えた。


制御装置は3155F・3156Fが三菱製、3157F-3159Fが東芝製である。
制御装置は3155F・3156Fが三菱製、3157F-3159Fが東芝製である。

2012年3月26日 (月) 11:08時点における版

名鉄3300・3150系電車
急行運用に就く名鉄3300系
(2008年4月5日 / 豊田本町駅
基本情報
製造所 日本車輌製造
主要諸元
軌間 1,067
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 120
設計最高速度 130
起動加速度 2.0(70km/hまで)
減速度(常用) 3.5
減速度(非常) 4.0
編成定員 3300系:490名(座席188名)
3150系:234名(座席88名)*1
それぞれ先頭車補助席4名を含む
編成重量 132.4t(3300系)
68.0t(3150系)
全長 先頭車18,900mm
中間車18,830
全幅 2,744(外板間2,730)
全高 屋根高3,600mm
冷房装置上面4,016mm
パンタグラフ折畳4,055
主電動機 かご形三相誘導電動機
駆動方式 WN継手式
歯車比 5.65 (96:17)
編成出力 170kW×8=1,360kW(3300系)
170kW×4=680kW(3150系)
制御装置 VVVFインバータ制御
IGBT素子
制動装置 回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動
(常用段数:7段)
保安装置 M式ATS
備考 *1 - 1次車。2次車以降は本文参照
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名鉄3300系電車(めいてつ3300けいでんしゃ)は、2004年平成16年)に登場した名古屋鉄道通勤形電車

なお、本項では同一設計で2両編成を組む名鉄3150系電車についても記述する。

概要

3300系

2004年10月に登場した地上用で初のステンレス車両で、4両編成で組成される。系譜としては3500系、3700系の発展型となる。2009年現在、5本20両が在籍している。

車体

車体は、300系をベースとした日本車輌製造ブロック工法によるステンレス製である。地上用のため、300系の20m級4ドアから19m級3ドアに変更されている。

断面は、300系ではストレートなものであったが、本系列では車体裾が3700系・3100系と同様に台枠部で鋭角に絞ったものになっている。

300系では屋根上にあった車外スピーカーは、本系列では取り付け位置が車体側面に変更され、先頭車で5個、中間車で6個設置されている。

前頭部は事故で損傷した際に修理がしやすいように普通鋼製とされ、この部分にはステンレス車体との一体感を出すためシルバーメタリック塗装が施されている。また、前・側面の窓下には名鉄カラーのスカーレットの帯が配され、前面部については細めのものとなっている。

前面のデザインは300系をベースとした丸みを帯びた貫通型で、非常時に連結されている他編成(本系列もしくは後述する3150系同士の場合のみ)への乗務員の移動を容易にするため、前面の非常用貫通扉の位置が300系と比較して中央寄りに変更されている。また、前面の灯具類は300系では上部に前照灯排障器(スカート)の上部に尾灯を兼ねた標識灯が設置されているが、本系列では腰部に横並び(前照灯が内側となる)で配され、一体感を出すため、灯具周りには左右間を結ぶダークグレーの帯パーツが配されている。なお、前照灯はHIDランプ、標識灯はLED式である。

300系では正面の非常用貫通扉上部に設置されていた運行番号表示器は本系列では使用されないため、省略されている。

電気連結器を装備する関係で、前面のスカートは2000系などと同一の左右の2分割タイプで、グレーに塗装されている。

客室側窓は、扉間はクロスシートロングシートとも8名分の座席配置にほぼ合致する大型2連固定窓、車端部は両先頭車の運転室側は3500系などと同様の小窓で、連結面側および中間車は、コストダウンを図るため、上部内折れ開閉式の大型窓とされている。また、すべての窓には300系と同様にUVカットガラスが使用され、カーテンが省略されている。前面および側面の種別・行先表示器は従来の字幕式ではなく、2000系などと同様の三菱電機オーロラビジョンR-STAYが採用された。床面高さは1,100mmである。運転室と客室の仕切りは、乗務員扉が従来通り中央に設けられ、扉窓と従来より小型化された運転席背面の窓を黒褐色の着色ガラスとして、遮光幕はフリーストップ式のものが後者のみに設けられた。

室内

車内(3150系)

厳しい空間的制約により地上設備の強化が行えず、列車の増発や増結が困難な名鉄名古屋駅を通る路線において、混雑の緩和とクロスシートを好む利用客の要望を両立させる解決策として、先に小牧線で就役した300系で採用された転換クロスシートとロングシートを扉間ごとに交互に配置する構成になっている。クロスシートの前後間隔は標準の900mmであり、通路幅は640mmとなる。なお、地上用の3扉通勤形車両がクロスシート装備で新製されたのは1990年6500系7次車および6800系4次車以来14年ぶりのこと[1]であった。

つり革は三角形のもので、これまでの名鉄通勤車と異なりすべてパイプを通して吊されている[2]。本系列までは従来の転換クロスシート装備車両と同様、クロスシート部分にはつり革が無い。なお、客室天井高さは2,270mmでJR東日本E231系などと同等である。また300系以降の標準設計としては、扉上部のLED案内表示装置の取付けに合わせて、幕板部の車内側(荷棚から上)が全体に内傾している点が挙げられる。連結面の貫通扉の窓は縦長で大型のものである。

バリアフリー対応としてドアチャイムを装備するほか、弱視者への注意喚起のため、客用扉部分の床は黄色のカラーステップとされている。両先頭車の運転席直後には車椅子スペースが設けられ、車椅子スペースとして使用されない場合の座席定員を増やすため、この部分には跳ね上げ式の折り畳み式補助椅子が設置された[3]。この補助椅子の座面の裏側には車椅子固定用のベルトが装着され、窓上部には荷物棚も設置されている。各車両とも1両あたりで4名分の優先席が設けられている。また、床敷物はノンスリップタイプのものが採用されている。客室内のカラーリングは300系と同様にライトグレー系とされ、化粧板は微粒柄入り、座席モケットは柄入りで、色は一般席が青系、優先席が赤系である。側扉、妻面貫通扉、座席部分のポールはローズピンクである。

各車両とも2段表示が可能な3色LED式の車内案内表示装置が千鳥配置で1両あたりで3台設置され、通常は上段に種別・行き先と次の停車駅の切り替え表示が、下段は最大で8つ先までの停車駅または文字ニュースが表示される。また、妻面の鴨居部にはLED式による号車表示器が設置されている。

運転室については、運転台は2000系のものをベースとしたワンハンドル式主幹制御器液晶モニタ装置付きの仕様であるが、将来のワンマン運転にも対応できるように機器配置が変更されている[4]。一般的なワンハンドル式マスコンは左手で操作するように設置されているが、当系列では右手で操作するような配置になっているという特徴がある。

屋根上機器

空調装置は名鉄の車両で初の集中式(容量40,000kcal/h、東芝 RPU-11020)が採用され、各車両とも1両あたり1基設置されている。排気扇は従来のものよりも大型のもので形状も変更され、各車両とも空調装置の前後に1台ずつ設置されている。集電装置東洋電機製造製のシングルアーム式パンタグラフを各電動車(モ3350形およびモ3400形、以下同じ)に1基装備する。

床下機器

各電動車に搭載されている制御装置はIGBT素子による1C2M×2群方式のVVVFインバータ制御で三菱電機または東芝製である。故障時対応として補助電源(CVCFインバータ)と一体とされ、補助電源の故障時にはVVVFの1群を開放してCVCFに切り替えるデュアルモード方式が採用されている。後述する3150系と設計を共通化するため、これまでの4両組成を組む系列(3500系・3700系のほか、1000系や6500系など)とは異なり、M車(電動車)は1M方式となり、4両固定編成を組む車両としては6000系以来となるMTユニット方式となった[5]。主電動機は東洋製の170kWのものを各電動車に4個装備する[6]。ブレーキシステムには純電気ブレーキを採用し、回生率を向上させている。また、3500系などの電気指令式ブレーキの車両との併結に対応させるための読替装置が搭載されている。補助電源のSIVは3100系以降の他形式と同様電動車に搭載し、上記の通り故障時にはCVCFインバータによってバックアップされる。制御車(ク3300形)および付随車(サ3450形)には蓄電池とC-1500型電動空気圧縮機が搭載されている。

製造年次

2004年度(1次車:3301F)
3301F
(2009年8月29日 / 本宿 - 名電長沢)

2004年10月に3150系3151Fとともに落成し、試運転の後、同年11月15日に営業運転を開始した。当初は4両編成単独で普通列車主体の限定運用が組まれていたが、10日ほどで3500系や3700系と共通に運用されるようになった。なお、制御装置は三菱製である。

この3301Fの車両番号は、豊橋方がク「3301」、豊橋方から2両目がモ「3351」、岐阜方がモ「3401」と、直近に営業運転を終了した車両の番号がそのまま転用されている[7]

この3301Fと後述する3150系1次車の就役により、5500系2005年1月28日をもって営業運転を終了し、7500系も3本が廃車された。

「電車で、ECO MOVE。」キャンペーンの一環として、2008年より、毎年6月から10月にかけて「エコムーブトレイン」のラッピングが施されている。

2005年度(2次車:3302F - 3305F)
3305F
(2009年12月27日 / 黒田 - 木曽川堤)

7500系を全廃するために4本16両が製造され、2005年7月に落成。試運転の後、同年8月より営業運転を開始した。これにより7500系は同年8月7日を最後に営業運転を終了した。

運転室直後の折り畳み式補助椅子が2200系と同様の肘掛け付きのものに変更されている。また、天井中央部のパネルが平板になるなど変化が見られる。

制御装置は3302Fと3303Fが三菱製、3304Fと3305Fが東芝製である。

なお、2006年8月から2010年5月まで3305Fの岐阜方先頭車であるモ3405号はインバータ装置が新型のものに、片側の台車の主電動機が全閉自冷式のものにそれぞれ交換され、各種試験が行われていた(メーカーはいずれも東芝製)。このため同車は岐阜方と豊橋方で変調音が異なっていた。このうちの全閉自冷式主電動機については2008年登場の瀬戸線4000系で本採用となった。[8]

4両組成の本線用通勤車は既に3500系が相当両数在籍することや、2007年度から2009年度には5000系の増備が優先されていたことなどから、2006年以降本系列の増備は中断している。

3150系

3150系(3157F)
(2008年12月27日 / 黒田 - 木曽川堤)

2004年10月に登場した3300系の2両組成バージョンである。前述したが、設計負担を軽減させるために本系列では3300系の両先頭車であるク3300形およびモ3400形と同一設計とされている。よって仕様は3300系と同一である。系譜、機能的には3100系の改良増備型と言える。2008年までに16本32両が製造された。なお、共通運用が組まれている3100系と同様、ミュージックホーンや自動放送装置は搭載されていないため、3150系ならびに3100系が先頭車となる特急(名鉄名古屋・名鉄岐阜・犬山方面)はミュージックホーンを鳴らすことができない。ただし、2200系や1700系と併結して快速特急・特急の運用に入った際にはそれらの編成に搭載されている自動放送や車内メロディが流れる。

製造年次

2004年度(1次車:3151F - 3154F)
3154F
(2008年12月29日 / 常滑駅)

3151Fは2004年10月に3301Fとともに落成し、同年11月までに他の3編成が落成した。仕様は3301Fと同一である。試運転の後、同年11月27日にそれまで7000系・7500系で運用されていた列車の一部を置き換える形で就役した。2005年1月29日のダイヤ改正までは限定運用が組まれ、本系列のみ2+2の4両で主に犬山線河和線系統の急行に充当されていた。

制御装置は3151Fが三菱製、3152F - 3154Fが東芝製である。

2007年度(2次車:3155F - 3159F)
3157F
(2008年12月27日 / 黒田 - 木曽川堤)

1次車の落成後、3150系の増備は2年半の間なかったが、2007年度に2次車として5本が増備された。同年3月に落成し、試運転の後、同年4月より営業運転を開始した。これに伴い7000系の4両編成3本と6両編成1本が廃車された。

この増備車では、車内座席のオールロングシート化、座席周囲の手すりの色のピンクからライトブルーパープルへの変更(塗色範囲も縮小)、扉横の手すりの無塗装化、オーロラビジョンR-STAYの照明が白色LEDに変更された。また、新製時より自動給電装置とEB装置を搭載し、3300系2次車と同様に天井周りにも変化が見られる。座席がオールロングシート化された理由は、ラッシュ時に3300系・3150系が使用された際にいわゆる「積み残し」が多発したためとされている[9]。オールロングシートへの変更により全体定員は各車117名から125名に、座席定員は44名から46名へと増えた。

制御装置は3155F・3156Fが三菱製、3157F-3159Fが東芝製である。

2008年度

老朽化が進む7000系の置き換えを進めるため、2008年度には7本14両が製造された。

3次車(3160F - 3163F)

2008年6月に4本が落成した。2次車同様のオールロングシート仕様で、座席の形状も従来通りであるが、先に登場した5000系に準じたマイナーチェンジが行われ、前・側面の種別・行先表示器はオーロラビジョンR-STAYからフルカラーLED式のものに変更された他、優先席が各車4名分→10名分に増加し、優先席エリアのつり革とスタンションポールは黄色のものを採用し、区別を図った。運転席直後の車椅子スペースにあった荷棚と折りたたみ椅子は廃止され、車椅子固定用のベルトのみとなっている。そのため座席定員は再び各車44名となった。また、運転室側の消火器の設置箇所は車椅子スペース上部から車掌台側の座席の横に変更され、設置箇所の化粧板には欠き取りがある。

4次車(3164F - 3166F)

2008年12月に3本が落成した。基本的には先に落成した3160F - 3163Fと同一仕様であるが、側扉付近の床が黄色に着色されている。ただし、同じく扉付近の床面に黄着色の施されている4000系2300系とは異なり、床敷物は濃淡ブルーグレーの2色のままとされている。この4次車就役にともない、4両編成3本が残されていた7000系は定期運用を終了した。

運用

2010年2月現在3300系・3150系両系列で4両編成5本20両、2両編成16本32両の合計21本52両と3500系・3700系・3100系を合わせて4両編成44本176両、2両編成39本78両の合計83編成254両が在籍し、前述したように、3300系・3150系は電気指令式ブレーキシステムを有する車両との併結運転が可能であるため、在来の3500系・3700系・3100系の併結が日常的に見られる。運用は編成両数で分けられ、3300系は4両固定編成を組む3500系・3700系と共通に運用され、快速急行から普通まで広範囲にわたって運用されている。また、2011年3月改正より再び全車一般車特急の定期運行が再開され、深夜の名鉄名古屋駅発東岡崎行きや中部国際空港駅発岐阜行きの特急でも使用される様になった。3150系は2両編成の3100系との共通運用が組まれ、3300系と同様に快速急行以下の種別での運用が主体であるが、朝夕のラッシュ時には2200系1700系の増結用として名古屋本線や犬山線の快速特急・特急の運用にも充当される。以前は築港線での運用にも入っていた。なお、3150系や3100系の定期運用の中には2両編成を3本連結した6両編成での営業運転があるほか、回送列車では2両編成を4連結した8両編成での運行も存在する。

3300系・3150系とも2010年の時点では、豊田線蒲郡線三河線小牧線での定期運用はない[10]。また、2008年6月28日までは広見線新可児駅 - 御嵩駅間にも入線していたが、ダイヤ改正による同区間のワンマン運転開始にともない、定期運用は消滅した。 三河線では営業運転開始後から2005年1月29日のダイヤ改正までの短い間に知立~碧南間にも入線していた。これ以外にも三河線には車両が不足したときに入線したことが何度かある。

主要諸元

  • 起動加速度:2.0km/h/s(2.5km/h/s準備)
  • 減速度:3.5km/h/s(常用)4.0km/h/s(非常)
  • 最高速度:120km/h(130km/h準備)

編成構成

3300系

 
(名鉄名古屋駅基準)
← 豊橋・中部国際空港
名鉄岐阜・新鵜沼 →
形式 ク3300形
(Tc)
モ3350形
(M)
サ3450形
(T)
モ3400形
(Mc)
搭載機器 CP,BT VVVF,SIV CP,BT VVVF,SIV
車両番号 1次車 3301 3351 3451 3401
2次車 3302

3305
3352

3355
3452

3455
3402

3405

3150系

 
← 豊橋・中部国際空港
形式 ク3150形
(Tc)
モ3250形
(Mc)
搭載機器 CP,BT VVVF,SIV
車両番号 1次車 3151

3154
3251

3254
2次車 3155

3159
3255

3259
3次車 3160

3163
3260

3263
4次車 3164

3166
3264

3266
凡例
  • VVVF:主制御器(1C2M2群)
  • SIV:補助電源装置(静止形インバータ)
  • CP:電動空気圧縮機
  • BT:蓄電池
  • このうち、「モ3350形」、「モ3400形」、「モ3250形」という形式は2代目ないし3代目である。

車体装飾

  • 2006年3月6日から7月8日まで、3302Fに岐阜県可児市に所在する花フェスタ記念公園バラをイメージしたラッピングが、同年9月には中京競馬場のラッピングが施されていた。
  • 2010年10月1日から翌年3月末まで子育て応援の日「はぐみんデー」の取り組みとして、3305Fの車体全体にラッピングが施された。名鉄における全面ラッピングは3701・3106Fの愛知県警ラッピング(2003年4月~2004年3月)以来、2度目となる。
  • また、3301Fは毎年6月頃から秋まで「エコムーブトレイン」のラッピングが施される。これは2006年から実施されている「電車で、ECO MOVE。」の中の「名鉄エコプロジェクト」の一環として実施されているもので、ラッピングの際には窓下の帯が緑色に変更[11]され、車内には環境に関するポスターが掲出される。
    • 初めて「エコムーブトレイン」のラッピングが施されたのは2008年6月5日から9月15日までであった。
    • 2009年は同年6月5日から10月31日まで運行の予定であったが、翌2010年2月28日までラッピングが継続された。
    • 2010年は同年3月1日にラッピング解除の後、5月27日から11月8日まで2月までのものとは異なるデザインで再度ラッピングが施され、窓下の帯には虹や沿線の小学生が描いた生き物のイラストが描かれていた。
    • 2011年は5月22日よりラッピングが施され、2012年3月31日まで運行される予定。

参考文献

  • 「新車ガイド 名古屋鉄道3300系・3150系」『鉄道ファン』2005年3月号(通巻527号)p.96 - 101、交友社
  • 「New model 名古屋鉄道3300系・3150系」『鉄道ピクトリアル』2005年4月号(通巻760号)p.57 - 60、電気車研究会
  • 『鉄道ピクトリアル』 2009年3月増刊号 名古屋鉄道特集号

脚注

  1. ^ 地上用の3扉通勤形での転換クロスシート装備は初の事例となる。
  2. ^ 従来の車両(6000系(1次車の車端を除く)から300系(ロングシート部を除く)まで)は冷房ダクトまたは天井に金具を付けて直接吊していた。
  3. ^ これまでの車両は単なる立席スペースであった。
  4. ^ 相違点としては、運転士用の放送マイクが設置されている点や、ホーム監視用モニタの設置スペースが設けられている点などが挙げられる。
  5. ^ 但し、300系もMM'ユニットのように見えるが主回路は1M方式である。
  6. ^ モーターおよび制御器から発せられる変調音は2000系などと同じである。
  7. ^ なお、旧3301号および3351号は解体されたが、「イモムシ」のニックネームを持つ旧3401号舞木検査場に留置されている。
  8. ^ ただし、4000系ではメーカーが三菱製のものとなっている。
  9. ^ どこでも通勤通学客、特に短距離乗車の客は扉付近に立ち止まる傾向があるが、名古屋圏、ことに名鉄では2扉車時代の習慣が根強いからか、車内の奥の方へ詰めるというラッシュ時の乗車マナーがよく浸透しておらず特にその傾向が強い(名鉄が緊急のラッシュ対策として扉付近の立ち席スペースを広く取った時期があるのもそのためである)。本系列のセミクロス車の場合は立ち客がクロスシート部分の通路まで入っていかず、そのため車両の実質収容力が低下したために「積み残し」が起きた。
  10. ^ 豊田線・小牧線はすべて地下鉄直通規格の20m4ドア車で運用されており、蒲郡線・三河線はワンマン運転対応車により運用されているためである。
  11. ^ デザインは毎年異なる。

外部リンク

関連項目