名鉄4000系電車
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名鉄4000系電車 | |
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名鉄4000系電車 (2009年7月29日 / 喜多山 - 大森・金城学院前) | |
基本情報 | |
運用者 | 名古屋鉄道 |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 | 2008年 - 2013年 |
製造数 | 18編成72両 |
運用開始 | 2008年10月1日 |
投入先 | 瀬戸線 |
主要諸元 | |
編成 | 4両編成 (2M2T) |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 100 km/h[1] |
設計最高速度 | 100 km/h |
起動加速度 | 3.0 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
編成定員 | 522名 |
編成重量 | 130.1 t |
全長 |
先頭車 18,900 mm 中間車 18,830 mm |
車体長 |
先頭車 18,385 mm 中間車 18,230 mm |
全幅 | 2,744 mm (外板間 2,730 mm) |
全高 |
冷房装置上面最大 4,046 mm パンタグラフ折畳 4,055 mm |
主電動機 | 全閉外扇形三相誘導電動機 |
駆動方式 | 歯車型継手式平行カルダン軸駆動 |
歯車比 | 96:17 (5.65) |
制御方式 |
VVVFインバータ制御 (IGBT素子) |
制動装置 |
電空演算回生ブレーキ併用MBSA電気指令式ブレーキ (純電気ブレーキ付) |
保安装置 | M式ATS |
名鉄4000系電車(めいてつ4000けいでんしゃ)は、2008年(平成20年)に登場した名古屋鉄道(名鉄)瀬戸線用の通勤形電車である。
概要[編集]
本系列は、2008年(平成20年)の瀬戸線栄町駅乗り入れ30周年を機に、車両の近代化のため、6000系、6600系、6750系といった既存車両の全面置き換え用として新造された車両である。
2008年10月から4両組成1本が営業運転を開始した[2]。現在は全18本が所属[3]し、上記在来車両の置き換えが完了した。
車体[編集]
瀬戸線用車両では初のステンレス製車体となった。これは尾張旭検車区の移転新設に際して、周辺環境への配慮等から揮発性塗料による塗装設備が設置されないことが決定していたことによるものである。
車体構造は、2004年から他線区に投入されている3300系・3150系をベースとした「日車式ブロック工法」によるものであるが、ドア周りの溶接はスポット溶接からレーザー溶接に変更されている。
前頭部は上記の3300系などとは異なりパノラミックウィンドウではなくステンレス製の角張ったものとなり、デザインとしては名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)N1000形に類似するが、N1000形との相違点としては、乗務員ドアが後ろ寄りにある点、側方の視認性確保のために運転台および車掌台の横に三角形の窓が設けられている点、灯具類が上記3300系などと同じく前照灯はHIDランプ、標識灯はLED式で横並びに配置されている点が挙げられる。また、前・側面の窓下には名鉄カラーのスカーレットの帯が配されている[注釈 1]。
前面のスカートは、電気連結器を搭載しないことから左右一体型となり、小型となった。
側窓については、扉間の側窓は大型2連固定窓となっており、車端部の側窓は、両先頭車の運転室側は上記3300系などと同様の小窓、連結面側および中間車はコストダウンを図るため上部内折れ開閉式の大型窓となっている。また、客室側窓はUVカットガラスを使用しており、巻き上げカーテンは省略されている。このほか、車体側面の車両番号表記や点検ぶたの位置が、3300系などに比べてやや上部に変更されている。
冷房装置は3300系などと同様の集中式40,000kcal/h×1基であるが、三菱電機製 CU735 となった。
行き先表示機はフルカラーLED式で、種別側は文字の縁取りが4009Fを皮切りに追加され、4016F以降は初めからこの仕様となっている。
室内[編集]
座席等[編集]
全体的なレイアウトは、同年に先行して導入された本線用の5000系などと同様で、瀬戸線のラッシュ時の混雑率が高いこともあり、座席はすべて片持ち式のロングシートとなっている。ただし座席は背もたれ部分の傾斜が大きい座面形状やクッションの硬さなど、JR東日本E233系と同等のものに変更された。
客用扉の室内側も本線系の車両とは異なり、ステンレス無塗装仕上げである(かつて瀬戸線を走っていた6750系も同様であった)。
バリアフリー設備[編集]
バリアフリー対応として、客用扉周り部分の床は黄着色となっている。両先頭車の運転席直後には車椅子スペースが設けられ、各車両とも1両あたりで10名分の優先席が設けられている。また、床敷物はノンスリップタイプのものとなっている。
客室内のカラーリングや化粧板、座席モケット柄は5000系と同様のものとなっており、スタンションポールがライトブルーで塗装されている点も同様である。また、明確化のため優先席部分のスタンションポールとつり革はオレンジ色となっている。ライトブルー塗装はのちに剥がされ、4008F以降は梨地加工を施した無塗装のポールが採用されるようになった。同編成では優先席部分のポールもオレンジを塗装から凹凸のある樹脂性の部品に変更された。
案内設備[編集]
名鉄の通勤形電車としては初めて、すべての客用ドア上にLCD画面による車内案内表示装置が設置された。これは、三菱電機のTFT液晶モジュールの画面を使用しており、仕様は、同じシステムを搭載しているJR東日本E233系などのものと類似している。営業運転時のLCD画面には、停車駅の案内や所要時間、乗車マナーや扉の開閉の注意などを表示するが、2000系(ミュースカイ)のようなCMや最新ニュースなどの表示は実施していない。
これまでの瀬戸線用車両と同様に自動放送装置が搭載され、音声による自動案内が実施されている。当初、沿線の企業の広告や乗車マナーについての放送は省略されていたが、2009年初頭の沿線企業広告放送更新の際に、広告放送が流れるようになった。
3300系・3150系、5000系などと同様の乗車促進用メロディ機器が搭載されている。また、瀬戸線用車両では初めて各車両の妻面に号車番号が表示されている。尾張瀬戸方が1号車である。ただし本線系の通勤用車両とは異なり、常時4両固定編成で運用され連結運転は一切行わないためステッカーによる表示である。
床下機器[編集]
モ4050形に搭載されているVVVFインバータ制御装置は三菱電機製で、1C4M×2群構成、使用素子はIGBTである。主電動機は、名鉄で初めて全閉外扇形のものを採用した[注釈 2]。採用理由として、省保守、省エネルギー、低騒音化の点で優れていること、瀬戸線の車両は主電動機内部の塵埃堆積量が多い傾向があるが、全閉外扇形主電動機は内部は汚損しない構造であること、といった点が挙げられる[4]。出力は、名鉄3300系・3150系と同じく170kWであり、電動車に4個装備する[注釈 3]。平均駅間が短く、曲線による速度制限が多い当線の普通列車運用に合わせ、起動加速度と営業最高速度を小牧線 - 名古屋市営地下鉄上飯田線直通用車両の300系と同じ値に設定した。また、電動空気圧縮機(CP)についても低騒音型のスクロール式のものが初採用されている。
台車は、曲線が多い瀬戸線の特性から、名鉄の完全新造車としては1992年落成の6500系・6800系の最終増備車以来16年ぶりとなるボルスタ付きのものが採用された[注釈 4][注釈 5]。軸箱支持方式は、名鉄でこれまで採用されていたSUミンデン方式ではなくモノリンク式となった[注釈 6]。
静止形インバータ(SIV)は4両分を賄う150kVAのものをモ4150形に、電動空気圧縮機はMBU1100型をク4000形とク4100形に1台ずつ搭載する。
編成表[編集]
2014年度時点の車両番号を基本として記載する[3]。
[5] | ← 尾張瀬戸 栄町 →
| |||
形式 | ク4000 | モ4050 | モ4150 | ク4100 |
---|---|---|---|---|
区分 | Tc1 | M2 | M1 | Tc2 |
車両番号 |
4001 | 4051 | 4151 | 4101 |
4002 | 4052 | 4152 | 4102 | |
4003 | 4053 | 4153 | 4103 | |
4004 | 4054 | 4154 | 4104 | |
4005 | 4055 | 4155 | 4105 | |
4006 | 4056 | 4156 | 4106 | |
4007 | 4057 | 4157 | 4107 | |
4008 | 4058 | 4158 | 4108 | |
4009 | 4059 | 4159 | 4109 | |
4010 | 4060 | 4160 | 4110 | |
4011 | 4061 | 4161 | 4111 | |
4012 | 4062 | 4162 | 4112 | |
4013 | 4063 | 4163 | 4113 | |
4014 | 4064 | 4164 | 4114 | |
4015 | 4065 | 4165 | 4115 | |
4016 | 4066 | 4166 | 4116 | |
4017 | 4067 | 4167 | 4117 | |
4018 | 4068 | 4168 | 4118 | |
搭載機器 | CP | VVVF,PT | SIV,PT | CP |
- 2008年(平成20年)度 - 4000系導入の第1弾として、4両組成1本が導入され、同年10月1日から営業運転を開始した。
- 2009年(平成21年)度 - 引き続き、2009年度中に、4両組成4本(合計16両)が導入された。
- 2010年(平成22年)度 - 4両組成1本を投入し、6750系を置き換えた。名鉄全体にとって当年度唯一の新製投入となった[注釈 7]。
- 2011年(平成23年)度 - 4両組成2本(合計8両)が導入された。
- 2012年(平成24年)度 - 4両組成6本(合計24両)が導入された。
- 2013年(平成25年)度 - 4両組成4本(合計16両)が導入され、在来車両の全18編成(合計72両)の置き換えが完了した。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ なお、先頭部構体へのステンレスの採用は名鉄では初めてである。
- ^ 日本においては小田急電鉄(50000形「VSE」等)、西日本鉄道(3000形)に次ぐ採用例である。
- ^ 型式は三菱電機製MB-5123-B(170kW/1,100V・125A・1985rpm)。
- ^ 本系列で採用されたボルスタ付き台車は3300系3次車以降、3150系5次車以降にも採用された。
- ^ 低速・急曲線の路線ではモノリンク・ボルスタ付きが有利という試験結果に基づく。東京メトロ10000系や京成3000形も別の発想からではあるが同様の台車を採用しており、技術的に退化した訳ではない。
- ^ 名鉄におけるモノリンク式台車の採用については、過去にボルスタレス式のものが3500系の3534Fで試験的に装用されていた実績があるが、モノリンク式ボルスタ付き台車の採用は初である。
- ^ 当初は2010年度までに合計40両を投入する予定であった[6]。
出典[編集]
- ^ 名古屋鉄道殿向け瀬戸線4000系 - 日本車輌製造
- ^ 外山勝彦「名古屋鉄道 現有車両プロフィール 2009」『鉄道ピクトリアル』第816巻、電気車研究会、2009年3月、 301頁。
- ^ a b 『私鉄車両年鑑2015』イカロス出版、2015年、257頁。ISBN 978-4802200035。
- ^ 交友社『鉄道ファン』2008年11月号p.74の記述による。
- ^ 外山勝彦、名古屋鉄道(資料提供)「名古屋鉄道 現有車両プロフィール 2009」『鉄道ピクトリアル』第816巻、電気車研究会、2009年3月、 309、315。
- ^ “「特急政策の見直し」と「平成 19 年度の車両新造計画」について (PDF)”. 名古屋鉄道 (2006年9月29日). 2015年8月24日閲覧。
外部リンク[編集]
- 「名鉄4000系 主要諸元」日本車輌製造
- 「名鉄車両博物館 4000系」名古屋鉄道
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